無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
尼僧とキューピッドの弓 (100周年書き下ろし) 単行本 – 2010/7/24
- 本の長さ242ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2010/7/24
- ISBN-104062163284
- ISBN-13978-4062163286
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2010/7/24)
- 発売日 : 2010/7/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 242ページ
- ISBN-10 : 4062163284
- ISBN-13 : 978-4062163286
- Amazon 売れ筋ランキング: - 856,676位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
【著者紹介】
多和田葉子(たわだ・ようこ)
小説家、詩人。1960年3月23日東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ハンブルク大学大学院修士課程修了。文学博士(チューリッヒ大学)。
1982年よりドイツに在住し、日本語とドイツ語で作品を手がける。1991年『かかとを失くして』で群像新人文学賞、1993年『犬婿入り』で芥川賞を受賞。2000年『ヒナギクのお茶の場合』で泉鏡花文学賞、2002年『球形時間』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、2003年『容疑者の夜行列車』で伊藤整文学賞、谷崎潤一郎賞、2005年にゲーテ・メダル、2009年に早稲田大学坪内逍遙大賞、2011年『尼僧とキューピッドの弓』で紫式部文学賞、『雪の練習生』で野間文芸賞、2013年『雲をつかむ話』で読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞など受賞多数。2016年にドイツのクライスト賞を日本人で初めて受賞。2018年『献灯使』で全米図書賞翻訳文学部門受賞。
著書に『ゴットハルト鉄道』『飛魂』『エクソフォニー 母語の外へ出る旅』『旅をする裸の眼』『ボルドーの義兄』『百年の散歩』『地球にちりばめられて』などがある。
ヨーロッパ、アメリカ、アジアでこれまで700回以上の朗読会を開いている。アメリカではスタンフォード大学、コーネル大学、マサチューセッツ工科大学など1999年以降多数の大学に招かれ、数日から数ヶ月滞在。著作は日本語でもドイツ語でも20冊以上出版されており、フランス語訳、英訳の他にも、イタリア語、中国語、ポーランド語、韓国語、ロシア語、オランダ語、スェーデン語、ノルウェー語などの翻訳が出ている。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
第一部は修道院の中の話で、特に何もストーリー展開らしいものがなく退屈。主人公の「わたし」が、尼僧たちに密かに変なあだ名をつけていくのだが、なぜそのようなあだ名をつけるのかも不明で、読んでいてしらける。ひょっとしたらドイツ語がわからないと理解できないのか、とも思ってしまう。
第二部はストーリー展開があるが、読んでいて気分が良くなる内容ではない。
単なる語呂合わせなんてものじゃない。言葉を音から捉えて、意外なモノが繋がり小説世界が新鮮に広がる。といっても、シュールなのではない。
ふわっとなり過ぎて嘘臭くなることもなく、人間心理がむき出しになり過ぎて厭世的になることもない。
ファンタジックな童話的または詩的要素と生ぐさい話とが絶妙なバランスをもって構築されている。
なんて思いながら読んでいたら、最後にガツンとやられました。
そう、自分の体験が自分が体験したように他人に理解されることは、たとえうまく語ることができたとしても、恐ろしく稀有だということを、改めて思いました。逆もまた真なり。
どの部分・要素に注意が向くかで、さまざまに光る作品。時間をおいて何度でも読み返したいと思える数少ない一冊。
他のヨーロッパ諸国在住の方々が書いた小説やエッセイとは違い、独特な雰囲気のお話でした。尼僧の恋愛話は万国共通だと思いますが、行間の間にに感じる人との距離感、会話からの生活臭、風景描写から聞こえる生活音は、ドイツなのでしょうか(行ったことがないので分かりませんが)? ただ、大陸越えの2部はあまり楽しめませんでした。1部で保たれていた女性のしなやかさ(したたかさ)を、静けさと不思議(不気味)なユーモアに包んで、そこからもれでる女性特有の弱さ・強さ(いやらしさ)は楽しめました。今後、他の作品も読んでみたいと思いました。
現代のプロテスタントの尼僧院はレビューアの先入観とは全く違う場所でした。辛い人生を経た挙句だったり、一人で安心して暮らしていきたいと願ったり、一通りの人生を卒業したと悟った一人身の女性が尼僧として暮らすところではありますが、その役目は神に仕えることや布教することではなく、歴史的文化財である尼僧院の建物・文物を守ることや参観者を案内することなのだとか。興味深いです。
尼僧たちとの噛み合いきらない会話から見えてくる、互いの交わるものの孤独な生活。尼僧院はあくまでも個人の集まりで、不調和こそ当たり前で、妙な調和は変だと思う個人の集まりでした。特に高齢の女性たちの可愛らしい事といったら無い。また、離婚を経てきている女性も家族との絆がしっかり繋がっていたり、蜜月だったころもあったりと動いていく個人史が「一人寂しく」の対極の豊かさを伝えてくれます。
尼僧院長は宗教的指導者ではなく、尼僧院の経営者であり、経営方針に従って運営していく。改革派が居て、保守派も居る。尼僧院長代理の運営原則は民主主義。穏やかながらも現代社会の縮図なのですね。
そんな中の一つのエピソードが尼僧院長駆け落ちでした。
というのが全体の3/4を占める第一部。
第二部は第一部の何年も後の話。駆け落ちした尼僧院長について全く別の話者が語ります。種明かしのようでもありますが、それ以上に見かけだけからは窺い知れない女性のストーリーに驚かされ、生きることの多様さ、複雑さ、濃さに、味わいを感じさせられました。
この作品を手に取ってみた。
文章と世界観を試しながら読む感じを味わった。
この作者は、どんな感じの本を書くのだろうと。
描かれる場所が修道院で、尼僧が登場人物、
そして、キーポイントになるのが弓、である。
独特になるのは当然だ。
でも、それがものすごく別世界的な感じがなく、
無理なくのその世界にはいりこめてしまう。
それぞれの尼僧の命名の仕方には、少しついてはいけなかったが、
名前で語られたら、もっとわかりにくいだろう。ドイツ名だろうから、、、
物語は、楽しめた。
先へ先へと急ぐ感じではないが、最後まで読みたいと覆う作品だった。
わたしは、第二部があってよかったと思う。
一部を思い返しながら読めたので。
この作者の本を、徐々ににゆっくりと読んでいきたいと思った。