音楽の素晴らしさみたいな、ことを確認できる、筆者の豊富な含蓄に裏打ちされている音楽談義が、好きです。筆者と友達なら喫茶店で音楽について喋りたい。出てくる僕の大好きなグレングールドの、そこの意見は合いませんね、とか、言いたいなあ
そして、推理もある。音楽のものと、理数系が同居しております。しかし日本人初のフィールズ賞を取った数学者はピアノが大変得意であったように、まあ、同じですわな。弦と弦の間の相対距離を正確に描けば描くほど、完璧に美しいものができる。
で、推理の部分も、話せばネタバレなんすけど、
松本清張。点と線、とかでないけども、なんか、現代の人間の苦しみみたいなものが入っていて、このトリックが!とかでない、妙に深く、直裁でいて複雑、哀しく切ないものがあります。
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シューマンの指 (100周年書き下ろし) 単行本 – 2010/7/23
奥泉 光
(著)
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購入オプションとあわせ買い
シューマンの音楽は、甘美で、鮮烈で、豊かで、そして、血なまぐさい――。
シューマンに憑かれた天才美少年ピアニスト、永嶺修人。彼に焦がれる音大受験生の「わたし」。卒業式の夜、彼らが通う高校で女子生徒が殺害された。現場に居合わせた修人はその後、ピアニストとして致命的な怪我を指に負い、事件は未解決のまま30余年の年月が流れる。そんなある日「わたし」の元に、修人が外国でシューマンを弾いていたいう「ありえない」噂が伝わる。修人の指にいったいなにが起きたのか――。
野間文学賞受賞後初の鮮やかな手さばきで奏でる書き下ろし長編小説。
著者紹介
1956年、山形県生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。同大学院修士課程修了(博士課程中退)。現在、近畿大学教授。1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、1994年『石の来歴』で芥川賞受賞。2009年『神器 軍艦「橿原」殺人事件』で野間文芸賞受賞。著書に『バナールな現象』『『吾輩は猫である』殺人事件』『グランド・ミステリー』 『鳥類学者のファンタジア』『浪漫的な行軍の記録』『新・地底旅行』『モーダルな事象-桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活』などがある。
シューマンに憑かれた天才美少年ピアニスト、永嶺修人。彼に焦がれる音大受験生の「わたし」。卒業式の夜、彼らが通う高校で女子生徒が殺害された。現場に居合わせた修人はその後、ピアニストとして致命的な怪我を指に負い、事件は未解決のまま30余年の年月が流れる。そんなある日「わたし」の元に、修人が外国でシューマンを弾いていたいう「ありえない」噂が伝わる。修人の指にいったいなにが起きたのか――。
野間文学賞受賞後初の鮮やかな手さばきで奏でる書き下ろし長編小説。
著者紹介
1956年、山形県生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。同大学院修士課程修了(博士課程中退)。現在、近畿大学教授。1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、1994年『石の来歴』で芥川賞受賞。2009年『神器 軍艦「橿原」殺人事件』で野間文芸賞受賞。著書に『バナールな現象』『『吾輩は猫である』殺人事件』『グランド・ミステリー』 『鳥類学者のファンタジア』『浪漫的な行軍の記録』『新・地底旅行』『モーダルな事象-桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活』などがある。
- 本の長さ314ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2010/7/23
- 寸法13.5 x 2.5 x 19.5 cm
- ISBN-104062163446
- ISBN-13978-4062163446
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商品の説明
著者について
1956年、山形県生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。同大学院修士課程修了(博士課程中退)。現在、近畿大学教授。1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、1994年『石の来歴』で芥川賞受賞。2009年『神器 軍艦「橿原」殺人事件』で野間文芸賞受賞。著書に『バナールな現象』『『吾輩は猫である』殺人事件』『グランド・ミステリー』 『鳥類学者のファンタジア』『浪漫的な行軍の記録』『新・地底旅行』『モーダルな事象-桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活』などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2010/7/23)
- 発売日 : 2010/7/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 314ページ
- ISBN-10 : 4062163446
- ISBN-13 : 978-4062163446
- 寸法 : 13.5 x 2.5 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 305,630位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 84,950位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1956(昭和31)年山形県生れ。
1986年「地の鳥 天の魚群」でデビュー。1990年の「その言葉を」が注目を集め、以後1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、瞠目反・文学賞、1994年『石の来歴』で芥川賞を受賞。主な小説に、『葦と百合』『バナールな現象』『グランド・ミステリー』など。エッセイ集に『虚構まみれ』、共訳書に『古代ユダヤ社会史』がある。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年5月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シューマンについての記述がオリジナルか出典のあるものか分かりませんが、その部分を楽しめなければ、成立しない作品だと思います。
2023年11月26日に日本でレビュー済み
友達とのやり取りでシューマンの話をしていたときにこの小説の名前が出てきたので興味を持って、作者や本に関する前知識無しで読みました。
前半は音大を目指すピアノ弾きの高校生の青春ストーリーがシューマンの曲や思想と絡めて語られるという感じなのですが、これだけシューマンに耽溺してるならもう少し文章自体に詩情が欲しいなぁと思いながら読みました。
後半になると事件が起き、心情的にもドロドロした幻想的ロマン的な色合いを帯びてきて、おぉ、ロマン派か!となるのですが、最後二重のどんでん返しのような展開があって、結局描かれたことの半分以上は精神疾患がある人の妄想だった的なところに落ち着いてしまって、「何だよそれ」ってなりました。
著者がシューマンが好きなことは伝わりますし、面白く読めはしましたけど、読書体験としては終わり良くなくて台無しという感じでした。
あと、クラシックそれなりに好きな身としても、どの曲の何小節目のどの音がみたいな記述が多すぎて、わざわざ楽譜を確認したり曲を聞きながら読んだりはしないので、そういうところは流し読みしました。
前半は音大を目指すピアノ弾きの高校生の青春ストーリーがシューマンの曲や思想と絡めて語られるという感じなのですが、これだけシューマンに耽溺してるならもう少し文章自体に詩情が欲しいなぁと思いながら読みました。
後半になると事件が起き、心情的にもドロドロした幻想的ロマン的な色合いを帯びてきて、おぉ、ロマン派か!となるのですが、最後二重のどんでん返しのような展開があって、結局描かれたことの半分以上は精神疾患がある人の妄想だった的なところに落ち着いてしまって、「何だよそれ」ってなりました。
著者がシューマンが好きなことは伝わりますし、面白く読めはしましたけど、読書体験としては終わり良くなくて台無しという感じでした。
あと、クラシックそれなりに好きな身としても、どの曲の何小節目のどの音がみたいな記述が多すぎて、わざわざ楽譜を確認したり曲を聞きながら読んだりはしないので、そういうところは流し読みしました。
2017年12月7日に日本でレビュー済み
音楽小説としては興味深く面白かった。
不気味な、あるいは妖しい妄想と同性愛
が、ミステリーとしては、すっきり明確な結末が欲しい人間なのでモヤモヤして読後感が残念です。
結末が曖昧なものもミステリーではあるのでしょうが、理路整然を求める人にはオススメできない。
途中まで面白かったからこそ、ある種の最期であろうと答えと終幕を書いて欲しかった。
不気味な、あるいは妖しい妄想と同性愛
が、ミステリーとしては、すっきり明確な結末が欲しい人間なのでモヤモヤして読後感が残念です。
結末が曖昧なものもミステリーではあるのでしょうが、理路整然を求める人にはオススメできない。
途中まで面白かったからこそ、ある種の最期であろうと答えと終幕を書いて欲しかった。
2018年9月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
以前図書館で借りて読んでいたのを忘れて購入。途中で既読であることに気が付いたけど、面白く一気に最後まで読み切ってしまった。
2010年10月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これはミステリというより、ロマン派風の幻想小説といった方が
しっくりくる小説です。とても楽しめました。
謎解きにこだわる方が多いのに少々ビックリ。
出版社がミステリを全面にして販売展開でもしたのかな・・・
謎解きプロセスの巧拙でこの作品を評価するのはかなり
惜しい気がします。
何より、シューマンのピアノ曲の雰囲気が、小説の雰囲気に
とてもうまく昇華されています。彼の曲になじんでいる方
ならとても楽しめると思います。
特に「幻想曲」の泡沫のように浮かんでは沈み込む独特の
ロマン派的な過剰な主意性、運命感みたいなものが、作品
の通奏低音としてうまくかもし出されていると思います。
月夜の「幻想曲」というのは、あまりにハマりすぎな感も
ありますが、ルナティック=狂気という実に古典的な意匠が
用いられていて、まさにロマン派へのオマージュといって
いいと思います。
他のレビューアの方も書いていらっしゃいますが、上手に
映画化するといい作品になるように思います。
シューマンについての薀蓄もうなづくところが多く、
下手な解説書を読むより有益かもしれません。
ホフマンをはじめとする物語に触発されて作曲したことで有名な
シューマン。本書は逆にシューマンの曲に触発されて書かれた物語。
ロマン派風の幻想性を纏うのもうなづけます。
「幻想曲」のほかにも、「交響的練習曲」「森の情景」などが
重要なシーンとからめて、ちりばめられていますが、
個人的には「クライスレリアーナ」がアイテムとして
用いられていなかったので、つかってほしかったなぁと
少々残念でした。
読んだのは電車の中がもっぱらでしたが、間ずっとウォー
クマンでシューマンを聞きながら読んでいました。
しっくりくる小説です。とても楽しめました。
謎解きにこだわる方が多いのに少々ビックリ。
出版社がミステリを全面にして販売展開でもしたのかな・・・
謎解きプロセスの巧拙でこの作品を評価するのはかなり
惜しい気がします。
何より、シューマンのピアノ曲の雰囲気が、小説の雰囲気に
とてもうまく昇華されています。彼の曲になじんでいる方
ならとても楽しめると思います。
特に「幻想曲」の泡沫のように浮かんでは沈み込む独特の
ロマン派的な過剰な主意性、運命感みたいなものが、作品
の通奏低音としてうまくかもし出されていると思います。
月夜の「幻想曲」というのは、あまりにハマりすぎな感も
ありますが、ルナティック=狂気という実に古典的な意匠が
用いられていて、まさにロマン派へのオマージュといって
いいと思います。
他のレビューアの方も書いていらっしゃいますが、上手に
映画化するといい作品になるように思います。
シューマンについての薀蓄もうなづくところが多く、
下手な解説書を読むより有益かもしれません。
ホフマンをはじめとする物語に触発されて作曲したことで有名な
シューマン。本書は逆にシューマンの曲に触発されて書かれた物語。
ロマン派風の幻想性を纏うのもうなづけます。
「幻想曲」のほかにも、「交響的練習曲」「森の情景」などが
重要なシーンとからめて、ちりばめられていますが、
個人的には「クライスレリアーナ」がアイテムとして
用いられていなかったので、つかってほしかったなぁと
少々残念でした。
読んだのは電車の中がもっぱらでしたが、間ずっとウォー
クマンでシューマンを聞きながら読んでいました。
2020年3月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
難しい漢字や言葉を使いすぎ、さらに言い回し方もしつこくて、文章の流れが素直に見えず、情景が浮かばない。
本当に文章の上手な人は、やさしい漢字や言葉使いで、その情景が誰でもすぐに浮かび、その小説の中に引きずり込まれていくものです。プロの作家は、プライドが高いのか、難しく書くことが自分のレベル高さを表していると勘違いしている。困ったものだ。
本当に文章の上手な人は、やさしい漢字や言葉使いで、その情景が誰でもすぐに浮かび、その小説の中に引きずり込まれていくものです。プロの作家は、プライドが高いのか、難しく書くことが自分のレベル高さを表していると勘違いしている。困ったものだ。
2013年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ミステリに幻想・狂気・特殊能力(オカルトですね)を持ち込むと、
なんでもアリになっちゃって、面白くない。
いかようにも物語がつくれちゃう。
その手口があまりにも鮮やかだったり、幻想性に歴史的な奥行きや普遍性があると、それはそれですぐれた作品に仕上がることもある。奥泉氏の過去のミステリには、そういう作品があった。
しかし本作は、そうならなかった。残念。
物語の半ばまで、延々とシューマン論が繰り広げられ、クラシックファンであってもなくても、もういいよと、ちょっと辟易とするのではないだろうか。しかもいつもの奥泉氏の作品の小気味いい美文調と異なって、この装飾過多の文章は読み進んでいくうちにうんざりしてくる。
それもこれも、最後の最後まで読めば、それなりに納得できる理由がある。
過剰なまでのシューマンへの惑溺、文体の持つ作りモノめいた装飾性、ボーイズラブみたいな男の子同士の関係、そうしたことにはちゃんと根拠があるのである。なるほどと納得がいっても、
真相を知るまでは読者は我慢して長い文章を読み進まなければならない。このへんのところが、むつかしいなぁ、とつくづく思う。
物語の中盤でやっとこさ殺人事件が起こって、その謎に引きずられて読み進めるようになってくるのだが、前半の延々と続くシューマン論のところどころにも、思わせぶりな伏線をもっと張ってくれていたら、読みやすかっただろうにと思ってしまう。
天才を自らの内奥にに引きずり込もうとした凡なる人の物語、です。
余談ですが、
本作はキンドルで読みました。
紙の本って、読んでる間、物語全体が具体的な重さと大きさでもって自分の手中に納まっている
という安心感があるのですが、
電子書籍にはそれがありませんね。
次のページが天からすいっと降りてくる感じで、なんだか落ち着きが悪い。
読んだ部分をちょっとぺらぺらめくって確かめてみる、ということも紙の本より数段めんどう。
いろいろメリットも大きいのはわかりますし、老眼にはありがたい機能もついていますが、
まだ慣れません。
なんでもアリになっちゃって、面白くない。
いかようにも物語がつくれちゃう。
その手口があまりにも鮮やかだったり、幻想性に歴史的な奥行きや普遍性があると、それはそれですぐれた作品に仕上がることもある。奥泉氏の過去のミステリには、そういう作品があった。
しかし本作は、そうならなかった。残念。
物語の半ばまで、延々とシューマン論が繰り広げられ、クラシックファンであってもなくても、もういいよと、ちょっと辟易とするのではないだろうか。しかもいつもの奥泉氏の作品の小気味いい美文調と異なって、この装飾過多の文章は読み進んでいくうちにうんざりしてくる。
それもこれも、最後の最後まで読めば、それなりに納得できる理由がある。
過剰なまでのシューマンへの惑溺、文体の持つ作りモノめいた装飾性、ボーイズラブみたいな男の子同士の関係、そうしたことにはちゃんと根拠があるのである。なるほどと納得がいっても、
真相を知るまでは読者は我慢して長い文章を読み進まなければならない。このへんのところが、むつかしいなぁ、とつくづく思う。
物語の中盤でやっとこさ殺人事件が起こって、その謎に引きずられて読み進めるようになってくるのだが、前半の延々と続くシューマン論のところどころにも、思わせぶりな伏線をもっと張ってくれていたら、読みやすかっただろうにと思ってしまう。
天才を自らの内奥にに引きずり込もうとした凡なる人の物語、です。
余談ですが、
本作はキンドルで読みました。
紙の本って、読んでる間、物語全体が具体的な重さと大きさでもって自分の手中に納まっている
という安心感があるのですが、
電子書籍にはそれがありませんね。
次のページが天からすいっと降りてくる感じで、なんだか落ち着きが悪い。
読んだ部分をちょっとぺらぺらめくって確かめてみる、ということも紙の本より数段めんどう。
いろいろメリットも大きいのはわかりますし、老眼にはありがたい機能もついていますが、
まだ慣れません。