とても面白いお話でした。
オオカミが好きで、大口真神に関する本を探していたところ出会った1冊でしたが、1ページ目から謎が沢山の不思議な世界に惹き込まれ、あっという間に読み終わりました。
これは児童書なのでしょうか?
児童書と言うには、小学生には少し怖いような、難しいお話なような気がしました。
世界観も、私の生まれた土地には狼信仰が無く馴染みが無いため、子供には難しいような気がしましたが、今も狼信仰根付く土地の方なら分かるお話なのでしょうか。
私もこうして、大口真神を身近に育ってみたかったなと思います。
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ふたつの月の物語 単行本 – 2012/10/24
富安 陽子
(著)
養護施設で育った美月と、育ての親を亡くしたばかりの月明は、中学二年生の夏休み、津田節子という富豪の別荘に、養子候補として招かれる。悲しみのにおいに満ちた別荘で、ふたりは手を取りあい、津田節子の思惑を探っていく。十四年前、ダムの底に沈んだ村、その村で行われていた魂呼びの神事、そして大口真神の存在。さまざまな謎を追ううちに、ふたりは、思いもかけない出生の秘密にたどりつく…。
■あらすじ■
養護施設で育った美月と、育ての親を亡くしたばかりの月明は、中学二年生の夏休み、津田節子という富豪の別荘に、養子候補として招かれる。悲しみのにおいに満ちた別荘で、ふたりは手を取りあい、津田節子の思惑を探っていく。十四年前、ダムの底に沈んだ村、その村で行われていた魂呼びの神事、そして大口真神の存在。さまざまな謎を追ううちに、ふたりは、思いもかけない出生の秘密にたどりつく…。
■あらすじ■
養護施設で育った美月と、育ての親を亡くしたばかりの月明は、中学二年生の夏休み、津田節子という富豪の別荘に、養子候補として招かれる。悲しみのにおいに満ちた別荘で、ふたりは手を取りあい、津田節子の思惑を探っていく。十四年前、ダムの底に沈んだ村、その村で行われていた魂呼びの神事、そして大口真神の存在。さまざまな謎を追ううちに、ふたりは、思いもかけない出生の秘密にたどりつく…。
- 本の長さ290ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2012/10/24
- 寸法14 x 2 x 19.5 cm
- ISBN-10406217880X
- ISBN-13978-4062178808
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商品の説明
著者について
富安 陽子
富安陽子(とみやすようこ)…東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。25歳でデビューし、1989年『クヌギ林のザワザワ荘』で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズで新美南吉児童文学賞、2000年『空へつづく神話』でサンケイ児童出版文化賞を受賞。『やまんば山のモッコたち』はIBBYオナーリスト2002文学作品に選出。2011年、『盆まねき』で第49回野間児童文芸賞、第59回産経児童出版文化賞フジレテレビ賞を受賞。
富安陽子(とみやすようこ)…東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。25歳でデビューし、1989年『クヌギ林のザワザワ荘』で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズで新美南吉児童文学賞、2000年『空へつづく神話』でサンケイ児童出版文化賞を受賞。『やまんば山のモッコたち』はIBBYオナーリスト2002文学作品に選出。2011年、『盆まねき』で第49回野間児童文芸賞、第59回産経児童出版文化賞フジレテレビ賞を受賞。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2012/10/24)
- 発売日 : 2012/10/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 290ページ
- ISBN-10 : 406217880X
- ISBN-13 : 978-4062178808
- 寸法 : 14 x 2 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 541,057位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年3月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
二人の里子、わけのわからない四つの条件を持ってくる里親、特別な物を持っている双子たち。話は突然双子たちがある村のことを思い出し、数々の手がかりを探しながら、自分たちの正体、里親の津田節子さんと彼女たちの両親のことを探しに出る旅のことです。この本は中高生むきの本で、大人でも最後まで楽しく読める作品です。ホラーではなくサスペンス系であり、とてもはらはらどきどきする内容でした。
お話のテーマがとても珍しく、まさか会ったことも無い双子が特別な力を持ち、それでダムの下に沈んでしまった謎の村に関係のある人の魂を生き返らせるとはとても予想外でした。主人公も普通の女の子ではなく、感がとてもよく、夜にきく目も持ち珍しいキャラクターたちだと思います。少女たちは特別な能力意外に、名前も月に関係していました。これが津田節子さんがそのふたりにつきつけた一つの条件。条件はすべてで四つあり、みごとにすべて当てはまるのが美月と月明でした。思いもつかないできごとが次々と起こり、最後まで予想のつかない本でした。
(以下この本を読んだ中学生男子の意見)
手に取り、最初のページを試し読みするはずだったのが、気づいたら一章読んでしまいました。ぐいぐい本の内容に引き込まれ、すべてを忘れて読めるような本です。養護施設で暮らしていた美月と親をなくしたばかりの月明、ダムに沈んだ村、その村で行われていた魂呼びの儀式、そして大口神。
お話のテーマがとても珍しく、まさか会ったことも無い双子が特別な力を持ち、それでダムの下に沈んでしまった謎の村に関係のある人の魂を生き返らせるとはとても予想外でした。主人公も普通の女の子ではなく、感がとてもよく、夜にきく目も持ち珍しいキャラクターたちだと思います。少女たちは特別な能力意外に、名前も月に関係していました。これが津田節子さんがそのふたりにつきつけた一つの条件。条件はすべてで四つあり、みごとにすべて当てはまるのが美月と月明でした。思いもつかないできごとが次々と起こり、最後まで予想のつかない本でした。
(以下この本を読んだ中学生男子の意見)
手に取り、最初のページを試し読みするはずだったのが、気づいたら一章読んでしまいました。ぐいぐい本の内容に引き込まれ、すべてを忘れて読めるような本です。養護施設で暮らしていた美月と親をなくしたばかりの月明、ダムに沈んだ村、その村で行われていた魂呼びの儀式、そして大口神。
2020年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とてもきれいでした
2023年1月30日に日本でレビュー済み
序盤からミステリアスな展開で引き込まれました。富豪の津田節子が、里子を選ぶ条件として持ち出した四つの項目が列記されているところ(単行本の12~13頁にかけて)で、「おっ! これは面白そうだぞ」と。
主人公となるふたりの少女のキャラ設定にも魅力を感じました。
記憶力にすぐれ、人の感情を匂いとして感じることのできる美月(みづき)。他人と関わるのが苦手で、生真面目な性格の少女。
片や、行動力にすぐれ、危機的な状況に陥ると、時空を超えて〈跳ぶ〉能力を持った月明(あかり)。ややお調子者のところがあるとは言え、明るく、素直な性格の少女。
夜目(よめ)が利いて、闇の中では青く光る瞳を持つという共通点のあるふたりが、徐々に心を通わせ合っていく辺りの描写も、良かったです。
「時を超える物語」としては、フィリパ・ピアスの名作『トムは真夜中の庭で』ほどではないにせよ、その妙味に通じるミステリアスな面白さがありましたね。
また、単行本の中、章の初めに描かれている夜空の月が、話が進むに連れて変化していく装画(酒井駒子さんの絵)の趣向も、気が利いていて良かったです。
主人公となるふたりの少女のキャラ設定にも魅力を感じました。
記憶力にすぐれ、人の感情を匂いとして感じることのできる美月(みづき)。他人と関わるのが苦手で、生真面目な性格の少女。
片や、行動力にすぐれ、危機的な状況に陥ると、時空を超えて〈跳ぶ〉能力を持った月明(あかり)。ややお調子者のところがあるとは言え、明るく、素直な性格の少女。
夜目(よめ)が利いて、闇の中では青く光る瞳を持つという共通点のあるふたりが、徐々に心を通わせ合っていく辺りの描写も、良かったです。
「時を超える物語」としては、フィリパ・ピアスの名作『トムは真夜中の庭で』ほどではないにせよ、その妙味に通じるミステリアスな面白さがありましたね。
また、単行本の中、章の初めに描かれている夜空の月が、話が進むに連れて変化していく装画(酒井駒子さんの絵)の趣向も、気が利いていて良かったです。
2012年11月26日に日本でレビュー済み
ダムに沈んだ村
その土地に根付いていた狼信仰
秘密を持った二人の孤児と光る目・・・
これだけで読んでみたいと思うのに足る内容でした。
こんな村に住んだことはないはず、こんな経験はしたことがないはず
なのにこの物語を読んでノスタルジーを刺激されるのは、
日本のそこら中に田舎の村があり、神社があり、ダムがあり、山が有り、闇があり、信仰があるからでしょう
情景が思い描きやすく、物語の中に入り込めます。
はじめてこの作者の本を読みましたが、書き方が上手いです。
けしてホラーではないのに、びくっとさせられる部分が何度もあり、夜中に読んでいると背筋がぞわぞわしました。
この得体の知れなさへの恐怖感、ぜひ少年少女に味わってほしいですね。
子供のころ、出会いたかったと思わせるものでした。
酒井駒子さんの表紙も物語に合っていて素晴らしいです。
字も大きめで、高学年くらいから読むのにベストなフォントでしょう
大人が読んでもこの大きさならすぐ慣れます。何より内容が面白く、児童書であることも忘れてしまうかもしれません。
テーマとしては自然の摂理、死と生への向き合い方といったところでしょうか
主人公達は不思議な力を持っていますが、わざとらしい台詞がないのに好感を持ちます。
少年時に読めたら、実際の思い出のように心に残っただろうと思います。
良質の児童書だと思いました。
地方信仰の妖しさと謎の魅力は、こんな話が読みたかった!と思わせるものです。
神事の祝詞などもリアリティがあって本格的ですし
外国に日本の児童書を紹介する機会があればこの本を選びたいですね。
その土地に根付いていた狼信仰
秘密を持った二人の孤児と光る目・・・
これだけで読んでみたいと思うのに足る内容でした。
こんな村に住んだことはないはず、こんな経験はしたことがないはず
なのにこの物語を読んでノスタルジーを刺激されるのは、
日本のそこら中に田舎の村があり、神社があり、ダムがあり、山が有り、闇があり、信仰があるからでしょう
情景が思い描きやすく、物語の中に入り込めます。
はじめてこの作者の本を読みましたが、書き方が上手いです。
けしてホラーではないのに、びくっとさせられる部分が何度もあり、夜中に読んでいると背筋がぞわぞわしました。
この得体の知れなさへの恐怖感、ぜひ少年少女に味わってほしいですね。
子供のころ、出会いたかったと思わせるものでした。
酒井駒子さんの表紙も物語に合っていて素晴らしいです。
字も大きめで、高学年くらいから読むのにベストなフォントでしょう
大人が読んでもこの大きさならすぐ慣れます。何より内容が面白く、児童書であることも忘れてしまうかもしれません。
テーマとしては自然の摂理、死と生への向き合い方といったところでしょうか
主人公達は不思議な力を持っていますが、わざとらしい台詞がないのに好感を持ちます。
少年時に読めたら、実際の思い出のように心に残っただろうと思います。
良質の児童書だと思いました。
地方信仰の妖しさと謎の魅力は、こんな話が読みたかった!と思わせるものです。
神事の祝詞などもリアリティがあって本格的ですし
外国に日本の児童書を紹介する機会があればこの本を選びたいですね。
2015年12月29日に日本でレビュー済み
カバーが取られていて、児童書だとは知らずに読みましたが
大人でも充分楽しめる内容でした。
代々続く、日本古来の不思議な祭事に関連した
不思議な物語。。。でも本当にこういうことが起こるんじゃないかと思える
リアリティもあり、引き込まれました。
自分にとって、この物語の主人公はふたりの少女でなく津田さんでした。
津田さんが何としてでも会いたかった人の元へ行く場面は
何度も何度も読み返してしまいました。
自分が何としてでも会いたい人のことを思い浮かべながら。。。
大人が読むとそういう読み方になるのかもしれません。
津田さんの気持ちを思うと、本当にハッピーエンドだと思います。
大人でも充分楽しめる内容でした。
代々続く、日本古来の不思議な祭事に関連した
不思議な物語。。。でも本当にこういうことが起こるんじゃないかと思える
リアリティもあり、引き込まれました。
自分にとって、この物語の主人公はふたりの少女でなく津田さんでした。
津田さんが何としてでも会いたかった人の元へ行く場面は
何度も何度も読み返してしまいました。
自分が何としてでも会いたい人のことを思い浮かべながら。。。
大人が読むとそういう読み方になるのかもしれません。
津田さんの気持ちを思うと、本当にハッピーエンドだと思います。
2013年2月10日に日本でレビュー済み
読者がヤングアダルトでなければ星5つです。
数々の素晴らしい児童書を出版なさっている富安さんの新しいヤングアダルト(中高生向け)です。
大人が読んでも1ページ目からグイグイと引き込まれるミステリーで一気読みしつしまう類のお話ですが、児童書であることを考えると何点か気になる事があります。
以下ネタバレがあります。
まず、登場人物が利己的な理由で魂を蘇らせる儀式(死んでしまった人を生き返らせたい)をしたいがために、それに必要な人を半ば強制的に集めてしまうこと。その結果、その儀式は執り行わなくなった。または、執り行えなくなったのならば良いのですが、最終的に執り行ってしまうのです。魂を蘇らせるという方法ではなく自分が過去に行き生き返らせたかった者とのわだかまりを解消して、一緒に死ぬという方法をとるのですが。
儀式は執り行われ、ラストも夫人の目的を(途中で目的は変えることになりますが)達成させるのですから、読者にとっては大サービスです。最後のおまけ的な章も思っていた通りのその後が描かれ、読後感も良いのですが、成人した大人であれば、自ら死を選ぶ登場人物がいようと、利己的な理由で神事を執り行おうとする登場人物がいようといいと思うのですが、まだ、心が不安定な…というか、心が不安定になる中高生にだからこそ、この本を与える側に注意が必要だと感じました。
親御さんや先生の方で先に一読し、自分の子どもにこの本を与えても、変に誤読しない確信がもててから読ませるのがいいと思います。
お話を読みながら、新興宗教の勧誘や自殺などが増えている現代のことがチラリと頭をよぎり、これを中高生に読ませても大丈夫だろうか…と思ってしまうほど、昔から土着の神々を描いてきた富安さんの作品はすばらしく物語にスーッと引き込まれ、自分があたかもそこにいるかのような臨場感を感じるのです。だからこそ、不安に感じました。逆に心が不安定な時期を乗り越えた普通の大人が読む分には、児童向けとはいえ(児童向けだからこそ)サービス満点のミステリーです。
例えば大人向けの小説は、魂呼びをする様子や、した結果が早く読みたくて読みすすめても、その儀式は執り行われないことになった…等、不意打ちで楽しみを奪われることもしばしばありますが、このお話は中高生向けなので、お楽しみをはぐらかす事なくきっちり見せてくれます。
また、会話文の量がかなり多い(ほとんど会話文です)ので、表紙や、文字の大きさや本の厚さで腰が引けている子も読みやすいと思います。
内容、楽しさ、結末、どれを取っても星5つですが、ヤングアダルト向けかを考えると、すこし不安もありましたので、☆を2つ減らしました。読者がヤングアダルトでなければ☆5つです。
あ、あと、表紙ですが、個人的な好みから言えば、富安さんだけは、この人の絵を使ってほしくなかったというのが正直な感想です。
富安さんの新しい本だと思い、ワクワクしながら手にとってがっかりしました。富安さんも、とうとうこの人の絵を使ってしまうのかと。富安さんのお話は土着の神様を扱ったり、日本の自然豊かな懐かしい風景にどっぷり浸かれ、それが癒しになっていたのです。挿し絵からも日本らしさが伝わり心地のよいご本ばかりなのですが、この表紙の画家さんは、どちらかというと、日本なのに、外国や日本以外の雰囲気を感じさせたり、未来なのか過去なのかわからないなんともいえない不思議さがあり、更に、現代っぽい洗練されている感じというのでしょうか、オシャレな感じというのでしょうか、そのような絵なので、富安さんの作品ではあまり見たくなかったです。絵が作品に与える影響はかなり大きいので登場人物を表紙に描く際には、流行りではなくて、作風を考えて起用してほしいと思いました。この画家さんの神秘的な雰囲気が今回お話のミステリの雰囲気にマッチしていると感じる人は居ると思いますが、昔からの富安さんのご本を読んでいる読者としては、今回の表紙は日本らしさが半減で残念です。
数々の素晴らしい児童書を出版なさっている富安さんの新しいヤングアダルト(中高生向け)です。
大人が読んでも1ページ目からグイグイと引き込まれるミステリーで一気読みしつしまう類のお話ですが、児童書であることを考えると何点か気になる事があります。
以下ネタバレがあります。
まず、登場人物が利己的な理由で魂を蘇らせる儀式(死んでしまった人を生き返らせたい)をしたいがために、それに必要な人を半ば強制的に集めてしまうこと。その結果、その儀式は執り行わなくなった。または、執り行えなくなったのならば良いのですが、最終的に執り行ってしまうのです。魂を蘇らせるという方法ではなく自分が過去に行き生き返らせたかった者とのわだかまりを解消して、一緒に死ぬという方法をとるのですが。
儀式は執り行われ、ラストも夫人の目的を(途中で目的は変えることになりますが)達成させるのですから、読者にとっては大サービスです。最後のおまけ的な章も思っていた通りのその後が描かれ、読後感も良いのですが、成人した大人であれば、自ら死を選ぶ登場人物がいようと、利己的な理由で神事を執り行おうとする登場人物がいようといいと思うのですが、まだ、心が不安定な…というか、心が不安定になる中高生にだからこそ、この本を与える側に注意が必要だと感じました。
親御さんや先生の方で先に一読し、自分の子どもにこの本を与えても、変に誤読しない確信がもててから読ませるのがいいと思います。
お話を読みながら、新興宗教の勧誘や自殺などが増えている現代のことがチラリと頭をよぎり、これを中高生に読ませても大丈夫だろうか…と思ってしまうほど、昔から土着の神々を描いてきた富安さんの作品はすばらしく物語にスーッと引き込まれ、自分があたかもそこにいるかのような臨場感を感じるのです。だからこそ、不安に感じました。逆に心が不安定な時期を乗り越えた普通の大人が読む分には、児童向けとはいえ(児童向けだからこそ)サービス満点のミステリーです。
例えば大人向けの小説は、魂呼びをする様子や、した結果が早く読みたくて読みすすめても、その儀式は執り行われないことになった…等、不意打ちで楽しみを奪われることもしばしばありますが、このお話は中高生向けなので、お楽しみをはぐらかす事なくきっちり見せてくれます。
また、会話文の量がかなり多い(ほとんど会話文です)ので、表紙や、文字の大きさや本の厚さで腰が引けている子も読みやすいと思います。
内容、楽しさ、結末、どれを取っても星5つですが、ヤングアダルト向けかを考えると、すこし不安もありましたので、☆を2つ減らしました。読者がヤングアダルトでなければ☆5つです。
あ、あと、表紙ですが、個人的な好みから言えば、富安さんだけは、この人の絵を使ってほしくなかったというのが正直な感想です。
富安さんの新しい本だと思い、ワクワクしながら手にとってがっかりしました。富安さんも、とうとうこの人の絵を使ってしまうのかと。富安さんのお話は土着の神様を扱ったり、日本の自然豊かな懐かしい風景にどっぷり浸かれ、それが癒しになっていたのです。挿し絵からも日本らしさが伝わり心地のよいご本ばかりなのですが、この表紙の画家さんは、どちらかというと、日本なのに、外国や日本以外の雰囲気を感じさせたり、未来なのか過去なのかわからないなんともいえない不思議さがあり、更に、現代っぽい洗練されている感じというのでしょうか、オシャレな感じというのでしょうか、そのような絵なので、富安さんの作品ではあまり見たくなかったです。絵が作品に与える影響はかなり大きいので登場人物を表紙に描く際には、流行りではなくて、作風を考えて起用してほしいと思いました。この画家さんの神秘的な雰囲気が今回お話のミステリの雰囲気にマッチしていると感じる人は居ると思いますが、昔からの富安さんのご本を読んでいる読者としては、今回の表紙は日本らしさが半減で残念です。