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物語ること、生きること 単行本 – 2013/10/16
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大好きなことを仕事に出来たら、どんなにいいだろう。
みなさんの中にも、そんな憧れを抱いている人がきっといると思います。
私も、そんなひとりでした。
子どもの頃から、たくさんの物語を夢中で読んできました。いつかこんな物語を、自分でも描けるようになりたい。どうしたらそれが出来るようになるのかもわからないまま、手探りで道を探していたのです。(本文「はじめに」より)
物語は、いずこから生まれるのか。『獣の奏者』、「守り人」シリーズなど、ベストセラーを生みつづける作家・上橋菜穂子が、原体験となった祖母の昔話から、自作の誕生秘話までを語る。読むことの喜び、書くことの喜び、そして生きることの喜びを教えてくれる一冊。
「国際アンデルセン賞」は1956年に創設された児童文学の本の分野で最も歴史と権威のある国際的な賞です。2年に一度、子どもの本の世界に最も貢献した作家1名と画家1名に送られます。選考水準の高さから、児童文学のノーベル賞と称されています。作家賞の受賞は1994年のまど・みちおさん以来の快挙です!
- 本の長さ194ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2013/10/16
- 寸法13.6 x 2.1 x 19.6 cm
- ISBN-104062185687
- ISBN-13978-4062185684
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商品の説明
著者について
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2013/10/16)
- 発売日 : 2013/10/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 194ページ
- ISBN-10 : 4062185687
- ISBN-13 : 978-4062185684
- 寸法 : 13.6 x 2.1 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 528,855位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 46,070位文芸作品
- - 90,707位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
上橋菜穂子
1962年、東京都生まれ。作家。
川村学園女子大学教授。専攻は文化人類学で、オーストラリアの先住民アボリジニを研究。
著書に、『精霊の木』、『月の森に、カミよ眠れ』(日本児童文学者協会新人賞)、『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞、全米図書館協会バチェルダー賞)、『闇の守り人』(日本児童文学者協会賞、バチェルダー賞オナー)、『夢の守り人』(『精霊の守り人』『闇の守り人』と3作合わせて路傍の石文学賞)、『虚空の旅人』(『精霊の守り人』『闇の守り人』『夢の守り人』『虚空の旅人』と4作合わせて巌谷小波文芸賞)、『神の守り人』(小学館児童出版文化賞、児童福祉文化賞、JBBYオナーリスト)、『蒼路の旅人』、『天と地の守り人』、『狐笛のかなた』(野間児童文芸賞)、『獣の奏者』などがある。
『精霊の守り人』『獣の奏者』はアニメ化され、テレビ放送された。また、世界中で翻訳出版が進んでおり、『精霊の守り人』は、2008年にアメリカで出版された翻訳児童文学の中で最も優れた作品に与えられるバチェルダー賞を受賞。『獣の奏者』も、フランス、ドイツ、スウェーデン、韓国、タイ、台湾など多くの国々で読まれている。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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迷わず購入しました。
以前から、上橋さんの本は、文化人類学を学ぶ上橋さんにしか書けない本だと思っていましたが、今回やっぱりその通りだと思いました。
本を書くためには取材や調査が大切で、書きたいという気持ちだけでは書けない、と思わされました。
上橋さんは、経験がなくても想像力があれば書けると言ってくれていますが、やっぱり経験は必要だと思います。
自分が動かなければ、本は書けないのだと改めて思いました。
ファンタジーなのだけれど、現実世界で問題になっていることを連想させるのはなぜだろう。その答えがこの本を読んで少しだけ分かったような気がします。
壮大な世界を描いている背景には、日常のちょっとした思い出や出来事が深く関わっている事を知りました。
経験したこと、体験したこと、感じた事。まさに、上橋菜穂子さんが生きてきた事を物語で綴っているからなのだと思いました。
ちなみにこの本は、図書館の予約で並んで、手に入れた(まだ次に読みたい人がいるので、急いで返さなくてはならない)。案外さくっと読めるので、表現に関心がある人、書きたいのに形にできないという悩みを持った人は、「書きたい」という自分の渇望に改めてイエスと言うためにも、手にするとよいと思う。
書きたいたくさんのことを形にできず悩んでいた彼女に道をひらいたのは、女学校の教師の「描写を生々しくすることを心がけてごらん」というアドバイスだそうだ。「(戦いのシーンで)吐く息や流れる血がどんな匂いがするのか、そんなことを一生懸命考えて書いた、、、」。本を通じて人は世界と出会う。だから、その世界に向けて、読み手の嗅覚を開くという行為は、世界が出会う誘いになるのかもしれない。
(これを書きながら思ったのは、人は往々にして、ステレオタイプによって言葉から受け取る世界が膠着しがちなのであり、どんなに知られていると思われる事柄についても、書き手は「挑戦し続けなくてはならない」ということではないだろうか)
上橋さんは、つらいことに出会ったときにもが「いずれ作家としてこの経験が役に立つ」と考えるのだという。愛犬が死んだときにも、その匂い、周りの人がどうしているか、といったことをデッサンするように記憶に留めようとしている。
これは、流行りの言葉でいうところの「マインドフルネス」というのになるだろうか。
世界は再生産されたがるのは、死と再生こそが宇宙の秩序であるから。
そして、人が存在する意味は、その流れを自らに通過させることで、大いなる音楽を完成させるためではないか、という風に、書きながらふと思った。これは、波を待つサーファーの気持ちに似ている。
(大波が自らを飲み込もうとするその瞬間、私という存在がとてもよく見えてくる。私は、サーフィンのそんなところが好きだ)
「物語を書くということは、そのひと言では言えなかったことを、うまく言葉にできなくて、捨ててしまったことを、全部、ひとつひとつ広い集めて、本当に伝えたかったのはこういうことなのだと、伝えることなのだと思います」
この言葉から「救済」あるいは「癒し」のようなものを、私は感じた。
「物語にしないと、とても伝えきれないものを、人は、それぞれに抱えている。だからこそ、神話のむかしからたくさんの物語が語られてきたと思うのです」
「物語は、見えなかった点と点を結ぶ線を、想像する力をくれます」「想像力というのは、ありもしないことを、ただ空想することとは、少し違う気がします」「こうあってほしいと願うことがあって、どうやったらそうなるのだろうと、自分なりに線を引いてみること。その線がまちがっているかどうかは、きっと、現実が教えてくれるでしょう」
上橋さんの言葉から、たくさんの希望、自分を肯定する勇気をいただいた。
なぜだかわからないけれど、書きたいというひと。こじれたようでありながら懸命に生を掴もうとしているひと。そんなすべての人に。
その中で、どういう風に物語をつくる者が物語を描けばいいか、そのヒントがたくさんあると思います。
私個人、創作をしているのですが、この一冊に多くの創作者が救われるのでは、と一筋の光のようなものを見た気がしました。
大衆により受ける作品を書くのか。それも大切だけど、描くなら好きな作品を力強く描きたい、そのためにはどう描ききればいいのか、それを教えてくれると思います。