江戸情緒を残す、巴水の日本らしい美に目を見張ります。
解説のリンボウ先生の文章も、とてもすんなりと読め、情趣を感じます。
江戸から明治へと移ろいゆく、激動の時代にもこのようなアートを
しっかりと創出していたことは、やはり日本の文化力であり
また、素晴らしい伝統であると思います。
江戸が明治になって断絶された、という概念はのちにつくられたものである、
と思わせるし、またそれを為政者が「洗脳した」ということも、実は結果論。
生活者のレベルで、勝ち組・負け組みたいなことはあっても
近代化が比較的スムーズに進んでいったことはまぎれもないのではないでしょうか。
優美な絵を眺めつつ、イデオロギッシュな「史観論」のむなしさを
思わずにはいられません。
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新装版 夕暮れ巴水 林望の日本美憧憬 単行本 – 2014/2/20
ダブルポイント 詳細
- 本の長さ96ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2014/2/20
- 寸法17.5 x 1 x 17.4 cm
- ISBN-104062188546
- ISBN-13978-4062188548
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2014/2/20)
- 発売日 : 2014/2/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 96ページ
- ISBN-10 : 4062188546
- ISBN-13 : 978-4062188548
- 寸法 : 17.5 x 1 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 748,137位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年6月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大正、昭和にかけて新しい浮世絵版画である新版画を確立した川瀬巴水の作品集。83ページのハードバックに40ほどの作品が品良く配列されている。ページの余白を多めに取っており、白い空間が気持ちよい反面、絵自体は小さくなって荒いため、オリジナルの色合い、緻密さ、風合いが失われている嫌いはある。ただ、サイズ相応の美しさはあり、本を開けばそこに巴水の絵があるというのは嬉しい。
川瀬巴水の作品を本格的に楽しむにはより大きな図版を含む美術書を選ぶべきだが、、手軽に手にとって雰囲気を楽しむには向いているだろう。
構成的に開いた本の片面に版画、反対側に林望氏の詩が添えられているが、それをどう評価するかは人によって違うだろう。自分的には巴水の版画自体がすでに完成された美、詩情を繰り出しており、それに文が添えられる理由はなく、実際のところ読んでもいない。
定価は2400円なので、相応な価格の古書が出たら購入を検討すればよい。
本当に巴水の版画を楽しむなら、迷わず渡邊木版美術画舗を訪れて後摺りを手に入れるべきだろう。価格もそんなに高くはない。検討する余地は十分にある。まずはWEBを探してみよう。
川瀬巴水の作品を本格的に楽しむにはより大きな図版を含む美術書を選ぶべきだが、、手軽に手にとって雰囲気を楽しむには向いているだろう。
構成的に開いた本の片面に版画、反対側に林望氏の詩が添えられているが、それをどう評価するかは人によって違うだろう。自分的には巴水の版画自体がすでに完成された美、詩情を繰り出しており、それに文が添えられる理由はなく、実際のところ読んでもいない。
定価は2400円なので、相応な価格の古書が出たら購入を検討すればよい。
本当に巴水の版画を楽しむなら、迷わず渡邊木版美術画舗を訪れて後摺りを手に入れるべきだろう。価格もそんなに高くはない。検討する余地は十分にある。まずはWEBを探してみよう。
2022年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
さらっと読めてしまいました。
偉大な絵師の添え文として、ふさわしくない表現やわけのわからない外国語を使っているのが気になりました。
偉大な絵師の添え文として、ふさわしくない表現やわけのわからない外国語を使っているのが気になりました。
2012年10月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
風景版画集『夕暮れ巴水』(川瀬巴水画、林望詩・文、講談社。出版元品切れだが、amazonで入手可能)を開くと、心に和らぎが訪れる。
昭和初期の日本の風景を描いた川瀬巴水(はすい)の風情ある木版画と、巴水ファンの林望の詩・文が織りなすコラボレーションが堪らない。
暗い前景と橙色の山の遠景の対象が印象的な「塩原おかね路」という画には、「この一見ごく日本的な山道の絵のなかに、わたくしは例えばビアズレーを感じます。この官能的に蛇行する道の姿態のなかに、わたくしは世紀末のヨーロッパを感じます。この渋く調和的な色彩のなかに、わたくしは大都会の倦怠と懐かしい不安を感じます。そして向こうの夕陽に明るく輝く山容のなかに、わたくしはそれらと裏腹な憧れを、そしてこの絵を描いた人の、深い深い孤独と、いじらしいほど至純な魂を感じます。それらが、わたくしがこの人の絵をいつまでも眺めていたい本当の理由です」という文が添えられている。
一人の男が星も疎らな清水寺の舞台から街を見下ろしている、静寂に満ちた「京都清水寺」の画には、「みあかしのなまめかしさや月の春 名誉も富も低く霞める ためいきをつきにきたかと自問して 沈黙に過ぎし時のおしさよ」という連句が寄り添っている。
川端の倉庫の間から漏れてくる光が目を捉える、物音一つしない「夜の新川」の画には、「この光の向こうに何があるか、巴水はなにも語らない。レンブラントやゴヤが光を巧みに描いて、それで何かを語ろうとしたことの意味を、世間の人達はあれこれとおせっかいに忖度し、無性に持て囃しもする。けれども、この暁の蒼い闇のなかに建つ二棟の蔵のはざまから不可思議な白光の射している巴水の絵については、だれもなにも言わない。私の目には、この光と闇は、レンブラントやゴヤのそれよりも、雄弁になにかを物語っているようにながめられる。ただし、それがなにを物語っているのか、巴水はなにも説明しない。宗教や政治や歴史や思想、そんな浅はかなものではなくて、この光には、ただ無為の『時』、一瞬に存在して次の刹那には消え去る『時』のなつかしさが描き取られているのを、だれも気付かないのだろうか、さて・・・・」とある。
雨に降りこめられている旅館の人々が描かれた「宮城県作並温泉」には、「雨には 雨のにおいがあるさ/ 空気の つめたく湿ったにおいだね/ よく降るね もうずっと雨ばかり/ それでもね、朝、雨音に起こされると/ ああ、いいにおいがする、ってね/ つい、ねどこで深呼吸する/ 裏山の木々の梢に とうとうと雨鳴りがして/ もうどこへも行かずにこのまま降りこめられているさ/ どうせなにの役にもたたぬ人生だ/ どれ、ひとつ朝湯にでも浸かって/ 意味もない一日を、・・・・な」という詩が添えられている。
林は巴水について、「川瀬氏の版画は、その技法こそ旧来の浮世絵職人に依拠するところ多かりしかど、その画に横溢するノスタルジアは余人のよく追随するところにあらず。取り分け、暮色に包まれたる閑寂の風景を描かせては古今独歩東西独往、故に吾人私(ひそか)に川瀬氏を呼んで曰く『夕暮れ巴水』と」と評している。
巴水の絵は、いつまで見ていても、そして、何度見ても、本当に飽きがこない不思議な絵なのだ。
昭和初期の日本の風景を描いた川瀬巴水(はすい)の風情ある木版画と、巴水ファンの林望の詩・文が織りなすコラボレーションが堪らない。
暗い前景と橙色の山の遠景の対象が印象的な「塩原おかね路」という画には、「この一見ごく日本的な山道の絵のなかに、わたくしは例えばビアズレーを感じます。この官能的に蛇行する道の姿態のなかに、わたくしは世紀末のヨーロッパを感じます。この渋く調和的な色彩のなかに、わたくしは大都会の倦怠と懐かしい不安を感じます。そして向こうの夕陽に明るく輝く山容のなかに、わたくしはそれらと裏腹な憧れを、そしてこの絵を描いた人の、深い深い孤独と、いじらしいほど至純な魂を感じます。それらが、わたくしがこの人の絵をいつまでも眺めていたい本当の理由です」という文が添えられている。
一人の男が星も疎らな清水寺の舞台から街を見下ろしている、静寂に満ちた「京都清水寺」の画には、「みあかしのなまめかしさや月の春 名誉も富も低く霞める ためいきをつきにきたかと自問して 沈黙に過ぎし時のおしさよ」という連句が寄り添っている。
川端の倉庫の間から漏れてくる光が目を捉える、物音一つしない「夜の新川」の画には、「この光の向こうに何があるか、巴水はなにも語らない。レンブラントやゴヤが光を巧みに描いて、それで何かを語ろうとしたことの意味を、世間の人達はあれこれとおせっかいに忖度し、無性に持て囃しもする。けれども、この暁の蒼い闇のなかに建つ二棟の蔵のはざまから不可思議な白光の射している巴水の絵については、だれもなにも言わない。私の目には、この光と闇は、レンブラントやゴヤのそれよりも、雄弁になにかを物語っているようにながめられる。ただし、それがなにを物語っているのか、巴水はなにも説明しない。宗教や政治や歴史や思想、そんな浅はかなものではなくて、この光には、ただ無為の『時』、一瞬に存在して次の刹那には消え去る『時』のなつかしさが描き取られているのを、だれも気付かないのだろうか、さて・・・・」とある。
雨に降りこめられている旅館の人々が描かれた「宮城県作並温泉」には、「雨には 雨のにおいがあるさ/ 空気の つめたく湿ったにおいだね/ よく降るね もうずっと雨ばかり/ それでもね、朝、雨音に起こされると/ ああ、いいにおいがする、ってね/ つい、ねどこで深呼吸する/ 裏山の木々の梢に とうとうと雨鳴りがして/ もうどこへも行かずにこのまま降りこめられているさ/ どうせなにの役にもたたぬ人生だ/ どれ、ひとつ朝湯にでも浸かって/ 意味もない一日を、・・・・な」という詩が添えられている。
林は巴水について、「川瀬氏の版画は、その技法こそ旧来の浮世絵職人に依拠するところ多かりしかど、その画に横溢するノスタルジアは余人のよく追随するところにあらず。取り分け、暮色に包まれたる閑寂の風景を描かせては古今独歩東西独往、故に吾人私(ひそか)に川瀬氏を呼んで曰く『夕暮れ巴水』と」と評している。
巴水の絵は、いつまで見ていても、そして、何度見ても、本当に飽きがこない不思議な絵なのだ。
2017年7月6日に日本でレビュー済み
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夕暮れ巴水・林望の美憧憬とは良いタイトルだ、日本の良き風景のひとコマに郷愁が漂う。
2014年3月27日に日本でレビュー済み
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川瀬巴水に関する本でいま入手できるのはこれくらいだ。これも長らく品切れであったが、新装版となって再刊された。実に喜ばしい。
2006年2月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
絵画の中でもひときわその技法が分からないものに版画がある。
中学の授業で作った版画は墨一色であり、色が重ねられたものをどのようにして作るのか?
色の数だけ版画を作るのでしょうが、それにしては素晴らしすぎる。
当方も印刷業界に身を置くもの。
色の重ねには最新技術でもなかなか手強い。
しかし版画を世界中を見たわけではないので、独断になるが日本の版画は世界の中でも群を抜いていると感じる。
その中でも広重クラスは言うに及ばず、その裾野は広い。
広いがために、美術館や古書店を時々まわる位では、この川瀬巴水に出会えなかったような気がする。
人に教えられ手にして描写の精細さ、毛抜き印刷のこだわりに感動。
明日から通勤電車の中で一人ほくそ笑みながら見るつもり。
乗り越さないように気をつけるとともに、いつか本物をみたい。
中学の授業で作った版画は墨一色であり、色が重ねられたものをどのようにして作るのか?
色の数だけ版画を作るのでしょうが、それにしては素晴らしすぎる。
当方も印刷業界に身を置くもの。
色の重ねには最新技術でもなかなか手強い。
しかし版画を世界中を見たわけではないので、独断になるが日本の版画は世界の中でも群を抜いていると感じる。
その中でも広重クラスは言うに及ばず、その裾野は広い。
広いがために、美術館や古書店を時々まわる位では、この川瀬巴水に出会えなかったような気がする。
人に教えられ手にして描写の精細さ、毛抜き印刷のこだわりに感動。
明日から通勤電車の中で一人ほくそ笑みながら見るつもり。
乗り越さないように気をつけるとともに、いつか本物をみたい。
2008年3月24日に日本でレビュー済み
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友人のY氏が、長年探していた本。この版画家の、夕暮れがお気に入りらしい。とにかく、復刊だけはしてくれるな、とのこと。