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九年前の祈り 単行本 – 2014/12/16
小野 正嗣
(著)
「握っていなければならぬ貴重な手がふと離れてしまうとき、あたりにたちこめるとりとめのない時間は、甘美な苛酷さへとまがまがしく変容する。その一瞬に立ちあった者の心の乱れは、容易にはおさまるまい。『九年前の祈り』は傑作である。」─蓮實重彦氏
「彼女が水辺で、異次元に生きているかのようにも思われる息子と、突然に手をつなぐ。その電撃的な清冽さによって、この小説は尊い。」──朝日新聞・片山杜秀氏
「『現代』と『神話』の同居しているところに作品の愉悦がある」──毎日新聞・田中和生氏
「最も力のある作品」「悲しみに折れない人間の手応えが伝わってくる」──東京新聞・沼野充義氏
「すべてのものを飲み込んでしまうおおらかなたゆたいの中で、小さな粒を、一つのメルヘンとも呼べる澄んだ真珠に育て上げた。」──読売新聞・待田晋哉氏
など、各紙文芸時評で絶賛された傑作!
三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。希敏の父、カナダ人のフレデリックは希敏が一歳になる頃、美しい顔立ちだけを息子に残し、母子の前から姿を消してしまったのだ。何かのスイッチが入ると引きちぎられたミミズのようにのたうちまわり大騒ぎする息子を持て余しながら、さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。
九年の時を経て重なり合う二人の女性の思い。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。
「彼女が水辺で、異次元に生きているかのようにも思われる息子と、突然に手をつなぐ。その電撃的な清冽さによって、この小説は尊い。」──朝日新聞・片山杜秀氏
「『現代』と『神話』の同居しているところに作品の愉悦がある」──毎日新聞・田中和生氏
「最も力のある作品」「悲しみに折れない人間の手応えが伝わってくる」──東京新聞・沼野充義氏
「すべてのものを飲み込んでしまうおおらかなたゆたいの中で、小さな粒を、一つのメルヘンとも呼べる澄んだ真珠に育て上げた。」──読売新聞・待田晋哉氏
など、各紙文芸時評で絶賛された傑作!
三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。希敏の父、カナダ人のフレデリックは希敏が一歳になる頃、美しい顔立ちだけを息子に残し、母子の前から姿を消してしまったのだ。何かのスイッチが入ると引きちぎられたミミズのようにのたうちまわり大騒ぎする息子を持て余しながら、さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。
九年の時を経て重なり合う二人の女性の思い。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。
- 本の長さ226ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2014/12/16
- ISBN-104062192926
- ISBN-13978-4062192927
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商品の説明
著者について
小野 正嗣
大分県蒲江町(現佐伯市)出身。東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得退学。マリーズ・コンデを論じた博士論文でパリ第8大学Ph.D。
1996年、新潮学生小説コンクールでデビュー。2001年、「水に埋もれる墓」で第12回朝日新人文学賞受賞。2002年、『にぎやかな湾に背負われた船』で第15回三島由紀夫賞受賞。同年、第一回東京大学総長賞受賞。2003年、「水死人の帰還」で第128回芥川龍之介賞候補。2008年、「マイクロバス」で第139回芥川龍之介賞候補。2013年、「獅子渡り鼻」で第148回芥川龍之介賞候補。同年、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞し、『獅子渡り鼻』で第35回野間文芸新人賞候補。
2006年に東京大学教養学部助手、2007年に明治学院大学文学部専任講師に就任(現代フランス語圏文学)。2013年准教授。2014年立教大学文学部文学科文芸・思想専修准教授。その他の著作に『森のはずれで』『線路と川と母のまじわるところ』『浦からマグノリアの庭へ』『夜よりも大きい』など多数。本作『九年前の祈り』で第152回芥川賞受賞。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2014/12/16)
- 発売日 : 2014/12/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 226ページ
- ISBN-10 : 4062192926
- ISBN-13 : 978-4062192927
- Amazon 売れ筋ランキング: - 175,121位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 49,456位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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小野 正嗣(おの・まさつぐ)
大分県蒲江町(現佐伯市)出身。東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得退学。マリーズ・コンデを論じた博士論文でパリ第8大学Ph.D。
1996年、新潮学生小説コンクールでデビュー。2001年、「水に埋もれる墓」で第12回朝日新人文学賞受賞。2002年、『にぎやかな湾に背負われた船』で第15回三島由紀夫賞受賞。同年、第一回東京大学総長賞受賞。2003年、「水死人の帰還」で第128回芥川龍之介賞候補。2008年、「マイクロバス」で第139回芥川龍之介賞候補。2013年、「獅子渡り鼻」で第148回芥川龍之介賞候補。同年、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞し、『獅子渡り鼻』で第35回野間文芸新人賞候補。
2006年に東京大学教養学部助手、2007年に明治学院大学文学部専任講師に就任(現代フランス語圏文学)。2013年准教授。2014年立教大学文学部文学科文芸・思想専修准教授。その他の著作に『森のはずれで』『線路と川と母のまじわるところ』『浦からマグノリアの庭へ』『夜よりも大きい』など多数。本作『九年前の祈り』で第152回芥川賞受賞。
イメージ付きのレビュー
5 星
整理しながら読むのが良い。
放送大学の講義で気になっていたですが、芥川賞作家だったのですね。大変面白く読ませていただきました。なお章が変わるごと、場所は同じ大分なのですが、主人公もストーリも変わるため整理しながら読まないと途中から混乱してしまいました。登場人物を図で整理しました。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年5月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
頼まれて購入。本が好きなので、よく読んでいて、もう半分くらい読んだそうだ。読みやすいそうです。
2020年9月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
初め読んだときには、正直言ってよく分からない感じでした。2回目にメモを取りながら呼んで、理解できるようになり、心に触れる作品であると思いました。シングルマザーのさなえとみっちゃん姉(ねえ)との心の交流が良かったと思います。
2020年10月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「九年前の祈り」「ウミガメの夜」「お見舞い」「悪の花」の4編からなる。どれも関連する内容の話で、ただし、異なる登場人物の三人称の視点から描かれている。
登場人物たちの悩み・悲しみに溢れていて、楽しい点・くすっとする点は何もない。障害を持っていたり、重病だったりするからだろうか。読んでいて辛いし、希望があるのかどうかも、はっきりしない。
なぜか、石牟礼道子の『苦海浄土』を思い出した。九州という土地柄のせいか。
登場人物たちの悩み・悲しみに溢れていて、楽しい点・くすっとする点は何もない。障害を持っていたり、重病だったりするからだろうか。読んでいて辛いし、希望があるのかどうかも、はっきりしない。
なぜか、石牟礼道子の『苦海浄土』を思い出した。九州という土地柄のせいか。
2021年9月1日に日本でレビュー済み
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テレビでの筆者のコメントがいつも深く晴れやかなので、どういう本を書くのだろうと気になった
地方の小さなコミュニティの鬱滞した空気が嫌というほど伝わってきて逃げ出ていきたい思いの反面、
そんな中にふと安心というか共感できる人物の存在やその立ち振る舞いにじわりと涙が出た
でも私には難しくて重たい小説だった
地方の小さなコミュニティの鬱滞した空気が嫌というほど伝わってきて逃げ出ていきたい思いの反面、
そんな中にふと安心というか共感できる人物の存在やその立ち振る舞いにじわりと涙が出た
でも私には難しくて重たい小説だった
2015年3月19日に日本でレビュー済み
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舞台となった大分県佐伯市は豊後水道の出口。アジがたくさん獲れます。小さなアジをおいしく食べるには南蛮漬けが一番。甘く酸っぱくほろ苦く、ぱりっとしていて柔らかく、時間とともに熟成していく。南蛮渡来の古い料理ですが、地域にしっかりと根付いています。
この小説が描いているのは、女性二人の小さな日常です。二人は障害を持つ息子の母でもある。漁師町とあって人々の言葉はあけすけですが、決して悪意はなく、逆に暖かいとも言える。オブラートに包まない方言のやりとりの中で、若い母親が運命を抱きしめて成長していく。そんな風に読みました。
南蛮漬けではないですが、作品には西洋哲学に対する深い理解が感じられました。それを九州の漁村に暮らす女性の生き方にしみこませて、生きることの意味を描き出しています。方言の多用は読者へのハードルではありますが、「敬語が存在しない」浜の風土を語るためには欠かせないと感じました。
「分かろうとする人には、分かってもらえる」。そんな深味を持った小説です。
この小説が描いているのは、女性二人の小さな日常です。二人は障害を持つ息子の母でもある。漁師町とあって人々の言葉はあけすけですが、決して悪意はなく、逆に暖かいとも言える。オブラートに包まない方言のやりとりの中で、若い母親が運命を抱きしめて成長していく。そんな風に読みました。
南蛮漬けではないですが、作品には西洋哲学に対する深い理解が感じられました。それを九州の漁村に暮らす女性の生き方にしみこませて、生きることの意味を描き出しています。方言の多用は読者へのハードルではありますが、「敬語が存在しない」浜の風土を語るためには欠かせないと感じました。
「分かろうとする人には、分かってもらえる」。そんな深味を持った小説です。
2015年2月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何故、芥川賞か理解できない。
登場人物の描写が難解。
母の愛?わからない。
登場人物の描写が難解。
母の愛?わからない。
2015年10月10日に日本でレビュー済み
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文章のあり方が、読みにくいように感じました。本の題名と内容が今ひとつつかめない感じでした。私だけかもしれませんが・・・。
2016年7月17日に日本でレビュー済み
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姉に贈りましたら気に入って読んでくれたようです 祈りとか言語に弱い 作者の経歴で関心ありありになりました ありがとうございました