「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」の姉妹編。ホスピスに入った女性(クウィーニー)が、自分に会うために徒歩の旅を続けるハロルドに向けて綴った長い長いラブレター。ハロルドの旅と平行して、彼女の秘密と、彼への贖罪が徐々に立ち現れる。
ハロルドが彼女の待つホスピスに向かって旅する間、彼女もホスピスで、24年間の愛と償いの人生をたどる旅をした。彼女が手紙を書き終えることができて、本当に良かったと思う。計り知れないほどの愛と罪の意識を抱えて20年間生きたということ。人生の終わりに、その全てを告白すると決めて手紙に託せたこと。その内容が最終的にハロルドに伝わったかどうかは、大きな問題ではないのだろう。愛し、苦しみ、それを手紙という形で昇華できたのだから。
それぞれの登場人物が抱える苦しみと、彼女の目を通して見る世界の美しさに何度も心打たれた。彼女の物語に立ち会うことができて、本当に良かったと思う。
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ハロルド・フライを待ちながら クウィーニー・ヘネシーの愛の歌 単行本 – 2016/5/17
レイチェル・ジョイス
(著),
亀井 よし子
(翻訳)
ハロルド・フライがイギリスの端から端まで歩いて会いにくると知ったクウィーニー・ヘネシーはショックを受ける。手紙には、もう何日も生きられないと書いたはず。動揺するクウィーニーに、ホスピスのシスターがもう一度彼に手紙を書くことを勧める。ただし今回はハロルドにすべてを打ち明けねばならない。キングズブリッジを逃げ出して20年、その間ずっと隠しつづけてきた秘密を打ち明けることが過去を償うことになる・・・・・
- 本の長さ450ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2016/5/17
- 寸法13.2 x 2.9 x 18.7 cm
- ISBN-104062196875
- ISBN-13978-4062196871
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商品の説明
著者について
レイチェル・ジョイス
イギリス生まれ。前作『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』が2012年に刊行されるやいなやブッカー賞候補にノミネート。同年National Book Awardsにより「今年もっとも期待される新人」のい選ばれ、以降世界36ヵ国で刊行される。
イギリス生まれ。前作『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』が2012年に刊行されるやいなやブッカー賞候補にノミネート。同年National Book Awardsにより「今年もっとも期待される新人」のい選ばれ、以降世界36ヵ国で刊行される。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2016/5/17)
- 発売日 : 2016/5/17
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 450ページ
- ISBN-10 : 4062196875
- ISBN-13 : 978-4062196871
- 寸法 : 13.2 x 2.9 x 18.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 398,517位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2016年8月24日に日本でレビュー済み
何かを待ちながら、歩くような速度ですすむ時間が、こんなにもすてきなことだとは。
主人公の「わたし」(クウィーニー・ヘネシー)が鉛筆で速記のメモを書き、それをフランス名前のシスター・メアリー・アンコヌーがタイプで打って、あなた(ハロルド・フライ)宛てに手紙を仕上げるというかたちでこの小説の作業は始まる。
わたしとシスターの共同作業は、作家と編集者の間の関係のようだ。
こうして、クウィーニーが人生最後の十二週間に書きためたメモ書きは長編小説のような長い手紙となった。
それなのに、小説の最後では、女子修道院長は「わたし」の死んだ後にフライに手紙を送り、その中に「手書きの」ほとんど判読不可能な手書きメモ「のみ」が同封される。
タイプ打ちのメモがあるというのに。院長は、シスター・メアリー・アンコヌーという名前の修道女は、このホスピスで働いたことは一度もない、ときっぱりと否定している。
これは、院長の配慮だ。もしも、タイプ打ちのメモが同封されていたら、ハロルド夫妻がそれを読んで、どう感じるかに配慮した大人の対応だと思うからだ。院長は「真実がどうであれ、同じ結末(死)を共有するのだから」とそっと手紙に書き添えるだけで。
本書を読み終えて、ほっとした。
こんなにも詳細な、ドラマのような生き生きとした真実の愛を、ハロルドの妻が鮮明なタイプ活字で読んだとしたら、一気に読んだ後、火を点けて燃やして、夫には見せないと思う。くやしくて。
本書を一気に読み終えてしまった一読者でさえも、そう思ったほど、ときに真実は、人によっては残酷な物語となるからだ。
著者レイチェル・ジョイスがいなければ、この物語は人の目に触れることなく、墓場に埋葬されたことだろう。
主人公の「わたし」(クウィーニー・ヘネシー)が鉛筆で速記のメモを書き、それをフランス名前のシスター・メアリー・アンコヌーがタイプで打って、あなた(ハロルド・フライ)宛てに手紙を仕上げるというかたちでこの小説の作業は始まる。
わたしとシスターの共同作業は、作家と編集者の間の関係のようだ。
こうして、クウィーニーが人生最後の十二週間に書きためたメモ書きは長編小説のような長い手紙となった。
それなのに、小説の最後では、女子修道院長は「わたし」の死んだ後にフライに手紙を送り、その中に「手書きの」ほとんど判読不可能な手書きメモ「のみ」が同封される。
タイプ打ちのメモがあるというのに。院長は、シスター・メアリー・アンコヌーという名前の修道女は、このホスピスで働いたことは一度もない、ときっぱりと否定している。
これは、院長の配慮だ。もしも、タイプ打ちのメモが同封されていたら、ハロルド夫妻がそれを読んで、どう感じるかに配慮した大人の対応だと思うからだ。院長は「真実がどうであれ、同じ結末(死)を共有するのだから」とそっと手紙に書き添えるだけで。
本書を読み終えて、ほっとした。
こんなにも詳細な、ドラマのような生き生きとした真実の愛を、ハロルドの妻が鮮明なタイプ活字で読んだとしたら、一気に読んだ後、火を点けて燃やして、夫には見せないと思う。くやしくて。
本書を一気に読み終えてしまった一読者でさえも、そう思ったほど、ときに真実は、人によっては残酷な物語となるからだ。
著者レイチェル・ジョイスがいなければ、この物語は人の目に触れることなく、墓場に埋葬されたことだろう。