(ネタバレ?)
主人公ロレンスがこの上なく病んでいるので感情移入して読むのが大変でした。
思春期の彼の心に植え付けられた精神の闇はは鰐―クロコダイル―をの姿を象徴して描かれます。
本書では思春期の男女の複雑な心や登場人物の複雑な思考が描かれています。
ロレンスとコレットはブルジョワそして貧民と、身分は異なりましたが
フランス革命が起きた混乱の時代の中
子供らしく過ごすこともできず
あの中で生き抜くとしたら何が悪くて何が良いのか
判断の難しい境遇でした。
ロレンスは亡くなった母を侮辱し淫売に成り下がったコレットを憎みます。
コレットもまた、ロレンスとプーヴェに置き去りにされ餓死寸前にされたことからひどくロレンスを憎みます。
ですがナント脱出前の商会のくだりで、
相容れない二人が身体の関係(か、それに近い物)があったことが示唆されてます。
ほぼ家族と家庭教師だけとの交流しかなかったロレンスにとって
年齢の近い女性との交流は今までなく、
はじめての情欲の相手がコレットでした。
コレットもまた“女”を武器に権力者に媚びていたコレットも
兄と近い年齢のロレンスには
愛玩具として使われていることをわかりながら
他の男達との打算的な関係とはまた違う特別な感情をもっていたと思います。
Ⅱ巻で彼女がプーヴェの思惑により殺されかけた
事をしったロレンスが、後に心の内側で飼い慣らした鰐―クロコダイル―を解放させ、
後々、ロレンスが彼女の犯行に加担したのも
以前の『開かせていただき光栄です』より人間的な理由かなと思います。
あちらの方がエンターテイメントや娯楽に適した本ですが、
同じミステリーの部類でもこの『クロコダイル路地』は仕掛けの質よりも
読者がどっぷり様々な感情と思考の渦に浸らされる重厚な内容でした。
最後の結末で、ある意味二人はやっと自由を得たのかもしれません
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥1,100¥1,100 税込
発送元: Amazon 販売者: quickshop 横浜店
¥1,100¥1,100 税込
発送元: Amazon
販売者: quickshop 横浜店
¥66¥66 税込
配送料 ¥350 6月8日-9日にお届け
発送元: 古本倶楽部【午前9時までのご注文は当日発送】【通常24時間以内発送】 販売者: 古本倶楽部【午前9時までのご注文は当日発送】【通常24時間以内発送】
¥66¥66 税込
配送料 ¥350 6月8日-9日にお届け
発送元: 古本倶楽部【午前9時までのご注文は当日発送】【通常24時間以内発送】
販売者: 古本倶楽部【午前9時までのご注文は当日発送】【通常24時間以内発送】
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
クロコダイル路地2 単行本 – 2016/4/20
皆川 博子
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,100","priceAmount":1100.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,100","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"eNtIPpmJogP70ymKlmKDFV4XDGL8jcuBh6ELHBsM5918NuCULAZoFrvlczWIq4VLbk0AT7FoiWS2fIbjCekCiyVuaAon8XXYu3oYQv76Z0j3YrvK%2BIrlj60SOUSRVaZzewbhWpki9qbWfqmjjUkItLjjGd1sfozZ8SggQ8NSX4CdfQLscehe5p54NcLn2lZv","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥66","priceAmount":66.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"66","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"eNtIPpmJogP70ymKlmKDFV4XDGL8jcuBbQoOj0ZAynOYdGgj9Pcz4lK8Ic6rGSTZBgi3cIf0UKslPVP7%2F3mi0lvnVH18vg7E%2FFE9u3JJYmFcPwgfcDhk%2B%2BnEQTJ19ihC%2BNpqXMBCIqdwwV8WTM%2BqZfdR1PWfXhJlYw7cq%2F%2ByExgKXKbOpiToXl020m%2BbJ25P","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
「法廷で裁かれるのは〈犯罪〉だ。神が裁くのは、〈罪〉だ」革命は終わった。ローラン、ピエール、コレットは、イギリス・ロンドンへ。革命期に負った「傷」への代償としての「復讐」を試みる。「革命という名の下になされた不条理に、私は何もなし得ない。ゆえに、個が個になした犯罪の是非を糺す資格も、私は持たない。私は、法がいうところの犯罪者になるつもりだ」下巻は産業革命期のロンドンを舞台にしたイギリス編。
「法廷で裁かれるのは〈犯罪〉だ。神が裁くのは、〈罪〉だ」
革命は終わった。
登場人物たちは、フランスを脱出してイギリス・ロンドンへ。ローラン、ピエール、コレットは、革命期に負った「傷」への代償としての「復讐」を試みる。
「革命という名の下になされた不条理に、私は何もなし得ない。ゆえに、個が個になした犯罪の是非を糺す資格も、私は持たない。私は、法がいうところの犯罪者になるつもりだ」
私は、殺人を犯す。それは罪なのか?
あの「バートンズ」も登場!下巻は産業革命期のロンドンを舞台にしたイギリス編。
「法廷で裁かれるのは〈犯罪〉だ。神が裁くのは、〈罪〉だ」
革命は終わった。
登場人物たちは、フランスを脱出してイギリス・ロンドンへ。ローラン、ピエール、コレットは、革命期に負った「傷」への代償としての「復讐」を試みる。
「革命という名の下になされた不条理に、私は何もなし得ない。ゆえに、個が個になした犯罪の是非を糺す資格も、私は持たない。私は、法がいうところの犯罪者になるつもりだ」
私は、殺人を犯す。それは罪なのか?
あの「バートンズ」も登場!下巻は産業革命期のロンドンを舞台にしたイギリス編。
- 本の長さ384ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2016/4/20
- ISBN-104062200090
- ISBN-13978-4062200097
商品の説明
著者について
皆川 博子
皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。
皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2016/4/20)
- 発売日 : 2016/4/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 384ページ
- ISBN-10 : 4062200090
- ISBN-13 : 978-4062200097
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,316,730位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 329,304位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年7月4日に日本でレビュー済み
2016年11月7日に日本でレビュー済み
「1」から9年後の続編で、舞台はほぼロンドン。あのダニエル・バートン先生のかつての弟子達(今では初老)や<バートン博物館>も登場するという、「1」と比べ、読者にはお馴染みの設定となっている。「1」で私が表象として拘った「鰐」とは、<バートン博物館>に陳列されている「鰐」の剥製でもある。同様に、私の理解を越えていた作者が意図する「鰐」の形而上学的意味とは、「現実と生(死)とが<形>作る"人の道"を踏み外した畸形(あるいは<無>)」であるらしい。それにしても、「2」では、作者の猟奇趣味からして、生首の蝋人形を作る医者(トゥララン)とコレットが活躍(?)するとの予感があったが、二人が夫婦になっている(しかも、コレットの腕前の方が上)とは驚いた。コレットはロンドンに「蝋人形」館を一時的に開設するが、これは作中でも言及される<マダム・タッソー>から作者が発想したものだろう。「鰐」(畸形(あるいは<無>))と「蝋人形」館との組合せとは、如何にも作者らしい猟奇趣味である。
物語の主な内容は「1」に端を発する"恨み"の籠った幾重もの復讐譚及びそれに伴う登場人物達の人間模様である。登場人物中に、何名の「鰐」が存在するのか、驚く程凄まじい。これが人間の性であるとの作者の主張であろうか。一番獰猛な「鰐」が最後に仕掛ける演出はこの「鰐」が狂人の証しなのか、聖人の証しなのか......。「1」(「フランス革命」の"実態"の写実的描写とも取れる)とは別の意味で、物語に惹き付けられた。また、全編を通して、<時>が人間を変化(成長あるいは堕落)させると主張している様でもある。
「2」ではある種のミステリ的技巧も使われているが、これは作者にしてはさほどトリッキーではない。これまた全編を通して繰り返される「聖書」中の文言、
「運命が運び、連れ戻すところに、われわれは従おう」
が本作の主旋律という事であろうか。作者の力量を改めて感じさせる力作である。
物語の主な内容は「1」に端を発する"恨み"の籠った幾重もの復讐譚及びそれに伴う登場人物達の人間模様である。登場人物中に、何名の「鰐」が存在するのか、驚く程凄まじい。これが人間の性であるとの作者の主張であろうか。一番獰猛な「鰐」が最後に仕掛ける演出はこの「鰐」が狂人の証しなのか、聖人の証しなのか......。「1」(「フランス革命」の"実態"の写実的描写とも取れる)とは別の意味で、物語に惹き付けられた。また、全編を通して、<時>が人間を変化(成長あるいは堕落)させると主張している様でもある。
「2」ではある種のミステリ的技巧も使われているが、これは作者にしてはさほどトリッキーではない。これまた全編を通して繰り返される「聖書」中の文言、
「運命が運び、連れ戻すところに、われわれは従おう」
が本作の主旋律という事であろうか。作者の力量を改めて感じさせる力作である。