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元禄六花撰 単行本 – 2018/1/19

4.5 5つ星のうち4.5 3個の評価

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元禄の末期は地震に襲われ、宝永と改元され、将軍綱吉が没します。メディア、バブル経済、セックスとカネ……。この時代の諸相と現代とには、おそろしいくらいの共通性が読み取れます。本書は元禄の諸記録に分け入り、まさに終わろうとする平成と時空を往還しながら、いまなお日本人の心性の根底にあるものをあぶり出します。読み出したらやめられない六篇です。


野口武彦氏は前著『花の忠臣蔵』(講談社)でこう喝破しました。
「元禄人に目を据える。と、元禄の死者たちもひたと見返してくる。その眼差しは、同時代だからこそかえってものを見えなくする死角を突き抜けて、現代の迷路をくっきり照らし出すにちがいない」
そして元禄という時代にこだわりつづける野口氏は、本書でさらにこう述べます。
「魅力と禁断の匂いが同時にした。それはたんなる江戸時代の年号のひとつではなくて、『元禄模様』『元禄小袖』『元禄見得』といった派手やかなイメージで彩られた時間の実体である。『花の元禄』と謳われる独特の蠱惑で人をさし招く。が、その花影には暗君・悪政・物欲・暴力といった危険がひしめいている。それは人を引き寄せながら撥ねつける、生のアンビヴァレンツだった。いわば『フグは食いたし、命は惜しし』という俗諺にも似た、ちょっと後ろめたい好奇心が人心をそそるのである」
元禄の末期は地震に襲われ、宝永と改元され、将軍綱吉が没します。メディア、バブル経済、セックスとカネ……。この時代の諸相と現代とには、おそろしいくらいの共通性が読み取れます。本書は元禄の諸記録に分け入り、まさに終わろうとする平成と時空を往還しながら、いまなお日本人の心性の根底にあるものをあぶり出します。読み出したらやめられない六篇です。

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著者について

野口 武彦
野口武彦(のぐち・たけひこ)

1937年東京生まれ。文芸評論家。早稲田大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程中退。神戸大学文学部教授を退官後、著述に専念する。日本文学・日本思想史専攻。1973年、『谷崎潤一郎論』(中央公論社)で亀井勝一郎賞、1980年、『江戸の歴史家─歴史という名の毒』(ちくま学芸文庫)でサントリー学芸賞受賞。1986年、『「源氏物語」を江戸から読む』(講談社学術文庫)で芸術選奨文部大臣賞、1992年、『江戸の兵学思想』(中公文庫)で和辻哲郎文化賞、2003年、『幕末気分』(講談社文庫)で読売文学賞を受賞。著書多数。最近の作品に『慶喜のカリスマ』『忠臣蔵まで』『花の忠臣蔵』(講談社)、『幕末明治 不平士族ものがたり』(草思社)などがある。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2018/1/19)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2018/1/19
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 258ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4062208407
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4062208406
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.8 x 2.4 x 19.3 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 3個の評価

著者について

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野口 武彦
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上位レビュー、対象国: 日本

2019年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
硬いねえ。惜しいねえ。
2019年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
野口武彦氏がひさびさに「群像」11月号に、小説「崩し将棋」を発表されましたので、こちらも再読しました。文献をふんだんに駆使した想像力豊かな小説にうならされます。蒙も啓かれ、体中の血が湧きおこります。そして、あー、今と(も)おんなじなんだなあ、という感慨。楽しめます。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年6月4日に日本でレビュー済み
 著者ご本人があとがきで書かれている通り、フィクションとノンフィクション、物語と随筆の狭間を漂う読み物である。数多くの一次資料に基づいた江戸の風俗に関する小ネタや、各エピソードの歴史背景に関する類推については、流石に元学者だけある情報の質である。(元禄期の歌舞伎役者が体を売る商売でもあったことを、僕は本書により教えられた。)

 カネや肉欲(男色含む)に関する記載が中心であることは、この時代を扱った書物である以上、正解である。ただ、これらを扱うフィクションパート(小説)のデキが今ひとつである点で、星は一つ削らせてもらった。

 それにしても、著者がある時期、キタ新地を飲み歩いていたという最終話で描かれるエピソードは本当なのだろうか。著者がキタ新地に出没していたというあの時代、一学生としてこの方の大変真面目な批評を読んでいた僕は少々意外だった。