イタリア某所の某カルトワイナリーでとってもラディカルなワインを造っていたものです。
本書は非常に素晴らしいです。著者の清水氏は科学的な裏付けをもとに、明快にワインを語っています。ソムリエやワインエキスパートたちが用いる「ワイン語」は、業界内で情報を共有するのには役立ちますが、感覚を一般的な(最大公約数的なともいえますが)言葉に置き換えているゆえ、ともすると記号化しやすいものです(現実にそうなっています)。本書のような知識があれば、もっともっとワインを深く語ることができるだけでなく、飲み手のレベルアップに応じて造り手のレベルも上がるのですが、本書で示されたようなまっとうなワイン評論(とあえて言わせてください)の立場は、飲み手レベルは言うには及ばず、ワインジャーナリズムや生産者レベルでも日本にはまだ存在していないと言い切ってもいいくらいの状況です。そんな状況の中、ワインへの個人的な、しかし科学的な参照点を、翻訳ではなく母国語たる日本語で示してくれた著者に敬意を表したいです。ワインを深く知りたい方々にとっては必読の一冊でしょう。
ただ、これは著者に対するメタ的な形式論ではありますが、さすがガイゼンハイム出身というべきか、ちょっと科学還元主義すぎやしないかなあという印象も持ちました。分かりやすい例で言えば、亜硫酸添加についての考え方です。清水氏の意見は一般論では正論ですが、じゃあ例外(というには多すぎますが)はどう評価するのでしょうか。さらに熟成についてのくだりも、多少物理的、化学的熟成に軸足が固定されすぎではないかとも感じました。自然に作られたワインにおいては、特にその初期においては、熟成プロセスのかなりの部分が生物学的に説明されるべきだと私は考えますが、それをサイエンスの枠組みで説明するまでには至っていないというのが現状です。最新の生物学的な研究結果を含め、そのあたりをもう少し踏み込んで書いていただきたかったです。
私が働いていたワイナリーでは、「究極のすっぴん美人」を生むために毎日畑で作業しています。そしてその美人には、自然のホメオスタシスが宿るのです。そのゴールのために、どう科学の知識を援用するのかが、時代性やイデオロギーを問わず、意気あるワイナリーの永遠のテーマであると思います。
本書の読者諸氏は、きっと業界関係者か、熱意のある飲み手の方々でしょう。できるなら、この本を読みながらパトリック・マシューズの「ほんとうのワイン」やジェイミー・グッドの「ワインの科学」、あるいは大橋さんの「自然派ワイン」も一緒に読まれることをお勧めします(できれば懐が許す範囲で、それらの本に出てくるワインを一通り飲みながら)。そしてできるなら旧世界の伝統的なワイナリーを訪問し、1週間でもいいから働いてみることをお勧めします。ソムリエ試験の知識をベースとしない、自分だけの本物のワイン地図を作ることができますよ。
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ワインの科学―「私のワイン」のさがし方 (ブルーバックス) 新書 – 1999/1/20
清水 健一
(著)
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ソムリエも知らないワインの素顔あなたのワインがもっと美味になる、科学が明かす、楽しいワインの新知識あなたのワインの常識は、間違っている! ワインがもっと美味しくなる意外な新知識から、ワイン熟成の秘密まで、ワインのことがすべてわかる楽しい話題が満載です。ワインのベテランはもちろん、ビギナーにも面白い、科学が明かすワインの素顔。これであなたの最高のワインが、みつかります!
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- 本の長さ238ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1999/1/20
- 寸法11.4 x 1.2 x 17.4 cm
- ISBN-104062572400
- ISBN-13978-4062572408
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商品の説明
著者について
1948年東京生まれ。1976年東京大学農学系大学院博士課程修了。同年協和醗酵工業(株)入社、東京研究所勤務。1981〜1984年ドイツ・ガイゼンハイムワイン研究所客員研究員。1986年よりサントネージュワイン(株)研究所所長。現在、協和醗酵工業(株)酒類営業部。ワインへの造詣はもちろんのこと、ありとあらゆる酒類に対して深い関心と知識を持ち、同時に愛好家でもある。ドラムの腕はプロ級。農学博士、技術士。1991年、日本醸造協会技術賞受賞。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1999/1/20)
- 発売日 : 1999/1/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 238ページ
- ISBN-10 : 4062572400
- ISBN-13 : 978-4062572408
- 寸法 : 11.4 x 1.2 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 183,393位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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トップレビュー
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2011年7月20日に日本でレビュー済み
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2019年6月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
嗜好品としてのワインを科学的根拠に基づいて解説している点は他の書籍ではあまり見られない新鮮さがあります。面白い内容かと問われれば、さしてそうでもない。と言うのもワイン談義でうんちくを語るための知識を集めているわけではなく、日常的にたしなむワインを食品としての側面から科学的に分析しようという試みが主な内容であるためだ。私的にはそれが嬉しい。
2015年11月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一杯飲みながら、夜な夜な呼んでいくつもりです。思いこみもあるようなので、正しい情報をゲットしていかれそうです。
2015年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一応、ソムリエ協会の会員ですが、あまり資格をお持ちの方でも、科学的に正確に説明できる方は少ないと日々感じます。私自身、醸造発酵学を学生時代に教わりましたが、ワインだけではなかったので、本当に勉強になりました。(発行年が若干古いので、データは少し古いものはありますが)資格をお持ちで、実際に職業とされている方には、私は必読書だと思います。
2010年12月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ひさしぶりに貪るように読みました。
自分でいうのもなんですが、ワインについてはそれなりに知ってる方だとは思うのですが、
(ソムリエ試験関係の知識には疎いw)
そんな僕でも「へぇ〜」と思うことがいろいろ出てきました。
ワインに関するいろんな事柄について
科学的な見地からわかりやすく説明してれ、胸にストンッと落ちてきます。
1999年発行ですから、それなりに年季が入った一冊ですが
今でも十分に通用する内容ですし、知識の整理にも良いかと思います。
自分でいうのもなんですが、ワインについてはそれなりに知ってる方だとは思うのですが、
(ソムリエ試験関係の知識には疎いw)
そんな僕でも「へぇ〜」と思うことがいろいろ出てきました。
ワインに関するいろんな事柄について
科学的な見地からわかりやすく説明してれ、胸にストンッと落ちてきます。
1999年発行ですから、それなりに年季が入った一冊ですが
今でも十分に通用する内容ですし、知識の整理にも良いかと思います。
2015年1月24日に日本でレビュー済み
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著者は、発酵技術の研究者として、メーカーに勤務され、ドイツのカイゼンハイム研究所で客員研究員もされていた方です。理系向きの内容になっていると思います。
特徴的なことは、ワインを作るための多くの技術において、何をどうするかといった一般的な解説書に書かれていることに留まらず、こういう操作をすることによって、こういう物質がワインに混入し、また、こういう物質が別のこういう物質に変化して、結果的に味がこういう風に変わると、操作と味の因果関係を具体的に示している点です。そうした物質名には、化学の専門家でなければ理解不可能な物もありますが、それでも考え方が整理されますので、ワインの勉強という点においても
ただの暗記 → 理解
と一歩進めることが可能になっています。ワインに関するうんちくが好きな方、特に理系の方にはお勧めの書です。
特徴的なことは、ワインを作るための多くの技術において、何をどうするかといった一般的な解説書に書かれていることに留まらず、こういう操作をすることによって、こういう物質がワインに混入し、また、こういう物質が別のこういう物質に変化して、結果的に味がこういう風に変わると、操作と味の因果関係を具体的に示している点です。そうした物質名には、化学の専門家でなければ理解不可能な物もありますが、それでも考え方が整理されますので、ワインの勉強という点においても
ただの暗記 → 理解
と一歩進めることが可能になっています。ワインに関するうんちくが好きな方、特に理系の方にはお勧めの書です。
2018年4月28日に日本でレビュー済み
ワインについて、その性質や製造法から楽しみ方まで科学的アプローチから説明されており、様々な「間違った常識」を正しています。私も亜硫酸添加を誤解していましたが、ビールのホップと一緒だと考えると分かりやすいですね。ワインに敷居の高さを感じてる人は「おわりに」を読むだけでも価値ありです。
2014年12月10日に日本でレビュー済み
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科学的な角度からワインについて学ぶことが出来る。
義務教育があれば理解出来るが、もっとちゃんと勉強したくなる、かも。
義務教育があれば理解出来るが、もっとちゃんと勉強したくなる、かも。