明治期の日本建築界を、職人の世界から見つめ直してみた研究である。
従来は帝大出のエリート建築家にばかり光が当たっていたが、実際につくっていたのは江戸以来の伝統を受け継ぐ大工たちであり、その技術や労働力を無視することはできない。
「西行」と呼ばれる、あちこち渡り歩いて修業を積んだ大工たちが近代洋風建築を日本各地に広める役割を果たしていたなど、とても刺激的な話題だ。
また一方で、職人世界が次第に変化していく過程も描き出されている。江戸の伝統や職人魂みたいなものは急速に変質し、賃金仕事、スピード重視にとってかわられたのだという。そのあたり、過去を賛美するばかりでない姿勢もいい。
請負業者とエリート建築家の出現による変化なども見逃せない話題だ。
伝統的な職人の世界が、西洋建築の導入によって、システムごと書き換えられ、消失していった過程がよくわかる。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
職人たちの西洋建築 (講談社選書メチエ 95) 単行本 – 1997/1/1
初田 亨
(著)
ダブルポイント 詳細
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,602","priceAmount":1602.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,602","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"0UMKxU25zZF6V%2BkgnX7enCVIMzOYouNb2775kGtMlHM3ZU6RMy6IPQNAnXjGG5CMxAO%2FcsoBTNjaKNCWSMsD1aTMCD1A7K3GhQz2MWkEAk4agTYLb7cQX8w2YW5atnsGyenFd0UUfFWhE9BylFzYlinPKqfYDKBDLD4noz46cW4VFzMvzyWJ0Q%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}]}
購入オプションとあわせ買い
幕末の開港地(フロンティア)横浜が、職人たちの「学校」だった。初めて見る「ガラス」、「煉瓦」、「蝶番」を駆使し、人々を瞠目させる、「和洋折衷建築」を全国にうち建てる。やがて来る機械化・効率化の嵐の中でも、高い技術を保ち続けた建築職人たちの近代。
- 本の長さ270ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1997/1/1
- ISBN-104062580950
- ISBN-13978-4062580953
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
幕末の開港地横浜が、職人たちの「学校」だった。新しい素材を駆使し、人々を瞠目させる和洋折衷建築を全国にうち建て、やがて来る機械化・効率化の嵐の中でも高い技術を保ち続けた彼らの苦闘を描く。
著者について
1947年、東京・葛飾生まれ。1969年、工学院大学建築学科卒業。工学博士。現在、工学院大学教授。専攻は日本近代建築史、都市史。
著書に、『東京 都市の明治』(ちくま学芸文庫)、『百貨店の誕生』(三省堂選書)、『カフェーと喫茶店 モダン都市のたまり場』(INAX)、『モダン都市の空間博物学――東京』(彰国社)などがある。
著書に、『東京 都市の明治』(ちくま学芸文庫)、『百貨店の誕生』(三省堂選書)、『カフェーと喫茶店 モダン都市のたまり場』(INAX)、『モダン都市の空間博物学――東京』(彰国社)などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1997/1/1)
- 発売日 : 1997/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 270ページ
- ISBN-10 : 4062580950
- ISBN-13 : 978-4062580953
- Amazon 売れ筋ランキング: - 751,981位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
3グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2004年9月29日に日本でレビュー済み
建築の世界でいつも注目を浴びるのは、建築家や設計者の人達だが、本書は、余り注目されることのない職人に光をあてたものだ。 「和洋折衷」という言葉がある。日本風なものと西洋風なものとをほど良く取りいれるというようなことだ。餡パンみたいなものを思い浮かべたら良い(多分)。
で、幕末から明治初期にかけて、日本では和洋折衷様式の建築物が作られていた。 和洋折衷式の建築物は、「西洋建築の知識に乏しい職人達が、見よう見まねで作ったもの」といったように定義されていたようである。そのためだろうか、当時の建築物は、これまで評価も低かったらしい。
著者である初田氏は、この評価と正面から対決する。 和洋折衷の建築物は、「やむをえず和風と洋風が混在したもの」ではなく、「当時の職人達が、意図的に洋風を和風建築の中に取り込んだ独創的なものである」…初田氏はこう主張し、豊富な資料をもとに、今までの一般的な和洋折衷様式の評価を覆していく。
ほかにもこの本には、明治期あたりまでは、その腕を磨くために「西行」と呼ばれる渡り職人が多数いた、という事実や職人世界の隠語があったという事実など、興味深い話題が多く盛り込まれている。 資料や図版を見るだけでも、なかなか面白い本だ。
で、幕末から明治初期にかけて、日本では和洋折衷様式の建築物が作られていた。 和洋折衷式の建築物は、「西洋建築の知識に乏しい職人達が、見よう見まねで作ったもの」といったように定義されていたようである。そのためだろうか、当時の建築物は、これまで評価も低かったらしい。
著者である初田氏は、この評価と正面から対決する。 和洋折衷の建築物は、「やむをえず和風と洋風が混在したもの」ではなく、「当時の職人達が、意図的に洋風を和風建築の中に取り込んだ独創的なものである」…初田氏はこう主張し、豊富な資料をもとに、今までの一般的な和洋折衷様式の評価を覆していく。
ほかにもこの本には、明治期あたりまでは、その腕を磨くために「西行」と呼ばれる渡り職人が多数いた、という事実や職人世界の隠語があったという事実など、興味深い話題が多く盛り込まれている。 資料や図版を見るだけでも、なかなか面白い本だ。