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人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1) (講談社選書メチエ) 単行本(ソフトカバー) – 2002/1/10
宇宙、自然、人間存在の本質を問う、はじまりの哲学=神話。神話を司る「感覚の論理」とは?人類分布をするシンデレラ物語に隠された秘密とは?宗教と神話のちがいとは?現実(リアル)の力を再発見する知の冒険。
この一連の講義では、旧石器人類の思考から一神教の成り立ちまで、「超越的なもの」について、およそ人類の考え得たことの全領域を踏破してみることをめざして、神話からはじまってグローバリズムの神学的構造にいたるまで、いたって野放図な足取りで思考が展開された。そこでこのシリーズは「野放図な思考の散策」という意味をこめて、こう名づけられている。――「はじめに カイエ・ソバージュ(Cahier Sauvage)について」より
- 本の長さ216ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2002/1/10
- 寸法12.9 x 1.4 x 18.9 cm
- ISBN-104062582317
- ISBN-13978-4062582315
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商品の説明
商品説明
国家や一神教が発生する以前、はるか旧石器時代の昔から、人は世界や生命について深い思索をめぐらせてきた。その結果生まれた神話こそ、「はじまりの哲学」と呼ぶべき知恵のかたまりであり、これを研究することが人類の原点を知る糸口になるのだ。
本書の大半を費やして分析されるのはシンデレラ伝説である。この物語に似た伝承は世界中に分布しており、実に多くの神話的要素が含まれているという。著者は最も有名なシャルル・ペロー版をグリム版と比較することからはじめ、ポルトガルやロシア、9世紀の中国にまで広がる類似説話を検証、シンデレラが生者と死者を仲介する存在だといった隠れたメッセージを次々にあぶりだしていく。舞踏会のおり片方の靴を落とす、というような一見何気ない点にさえ重要な意味づけがあり、ギリシャ悲劇のオイディプス伝説にまでつながっていくのだ。
こうした神話解読は、それ自体きわめてスリリングな知的体験だが、決して現代と切り離された学問ではない。神話は常に現実とのかかわりによって生まれ、語られてきた。バーチャル文化全盛のいま、著者はアニメーションやCGを駆使して表現される物語群に形骸だけの神話的性格を感じ取り、警鐘を鳴らす。リアルな現実を生きるためにこそ、神話は解き明かされるべきなのだ、と。(大滝浩太郎)
内容(「MARC」データベースより)
著者について
1950年、山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、中央大学教授。宗教学者、思想家。著書に、『チベットのモーツァルト』(せりか書房、サントリー学芸賞)、『森のバロック』(せりか書房、読売文学賞)、『哲学の東北』(青土社、斉藤緑雨賞)、『フィロソフィア・ヤポニカ』(集英社、伊藤整文学賞)など多数ある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2002/1/10)
- 発売日 : 2002/1/10
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 216ページ
- ISBN-10 : 4062582317
- ISBN-13 : 978-4062582315
- 寸法 : 12.9 x 1.4 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 126,786位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、多摩美術大学芸術人類学研究所所長。思想家。著書に『チベットのモーツァルト』(サ ントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)、『哲学の東北』(斎藤緑雨賞)、『フィロソフィア・ヤポニカ』(伊藤整文学賞)など多数ある(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『カイエ・ソバージュ』(ISBN-10:4062159104)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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「神話から解く、人間の集合意識と通俗性。神話と民話との関連性から、言葉が築く精神世界の歴史を辿る」
【サノーさんおすすめ度★★★★★】
・ウノーさん一言コメント
「誰でも知ってるシンデレラの物語が、これほどまで人類史とその思想を伝えている事実に驚きました。人間の意識の不思議さを知る一冊です」
【ウノーさんおすすめ度★★★★★】
・サノーさん、ウノーさん読書会
サノーさん(以下サ):人類史を哲学と思想で辿る『カイエ・ソバージュ』シリーズの、第1巻だ。
ウノーさん(以下ウ):これも講義ものですね。本当に読みやすく、楽しく、こういう講義を生で聞いた学生さんが羨ましくなる内容です。
サ:神話の扱い方から、スタートだな。形而上学における神話、オカルトにおける神話の扱いと、今回のような人類史を紐解く「鍵」としての神話。どれも「言語」で記された物語だが、読み手の解釈、読み手の知識背景により、その存在は変わってくる。
そこに気づき、研究したのが、孤高にして早出の天才「南方熊楠」だな。
ウ:凄いですよね。「粘菌」の研究者だけじゃなく、あの時代に、哲学におけるシンボル、象徴的な隠喩を世界規模で追究してたんですね。現代のように世界中の情報がシームレスに集められる環境ではなかったのに、いち早く神話と民話に隠された人類の共通項に気づいて、それを追究した発想に感服します。
サ:ピタゴラス教のルールも、面白い。伝承された「象徴」が、いかに重要な意味を持ち、大切に扱われていたか、確認することができる。
ウ:「燕石」と「かぐや姫の物語」は、読んでいてワクワクしました。もともと、伝承されてきたものが、月日の中で変遷していった実例です。
それぞれが意味するところも、他の物語や本を読むうえで、身につけておきたい基礎知識です。知っている、読んだことがあるからこそ、わかるニュアンスが、無数に存在します。
サ:神話があって、それを伝える人がいて、それを聞いた人が、違う場所でそれを語る、それを気が遠くなるほど繰り返してきたのが、人類の歴史なんだ。
ウ:そこで、別な物語とくっついたり、離れたり、大きな事件や出来事と混じっていって、もとの神話から派生していくんですね。
まさに、壮大な「伝言ゲーム」です。
サ:その「伝言ゲーム」で、変わらなかった本質、変わらなかった象徴を辿ると、人類史が浮かび上がる。
ウ:『シンデレラ』の様々なバージョンは、如実に人間の本性、人間の本質と、その変遷を語っているのですね。
サ:「カマド」が、あの世とこの世の境界線だとは知らなかったな。そして、その重要なシンボルも、他の要素が優先されると、物語から姿を消すわけだ。
ウ:シンデレラの靴が片方だったことと、冥府を行きかう神話の神との結びつきは、時空を超えた人間の思考を感じました。
サ:宗教との結びつきも、驚きの発想だ。言葉で表せるもの、表せないものの本質を考える時、神話の変遷、民話の伝承に解を求めるのは、有効なフローだと思う。
ウ:なにより、面白いです。地域、国ごとに違うシンデレラは、そこに至るためのプロセスがあり、そのプロセスに人々の大切な想いが込められていること、それを知るのは、世界を知ることだと思います。
サ:インディアンが優しいロマンチストだったなんて、誰も教えてくれないからな。
【了】
講義録なので、とてもわかりやすい。
神話には哲学的思考の最も偉大なものが含まれているとする。本書では構造主義的な考え方で神話を分析していく。
構造主義というものを知らない人でも、わかりやすく書かれている。
日本の物語としては、コノハナサクヤ姫の物語や、かぐや姫の竹取物語などが登場する。最も多くの紙幅が割かれているのはシンデレラの物語である。
現代の論理とは異なる、神話を司る「感覚論理」がどういうものなのか、一読の価値があると思う。
そうした思考の方法論を学ぶためには、二つの方法があると感じています。ひとつは、神話に学ぶという方法。そのための導入としては、この本は本当に入りやすい。神話に働いている「理性」は、ロジカルシンキングで扱われる「理性」とは異質です。ひとことでいうなら、前者は複雑な関係性を「圧縮」する思考。後者は、複雑な関係性を排除して「単純化」する思考。複雑系が注目される時代になって、前者の「複雑系をいかに圧縮して扱いやすくするのか」という方法論が、どんどん重要になっていくように思います。
神話においては、「時間」と「空間」と「関係性」が短いストーリーへと圧縮されます。そしてそれは、本質的なものであるために、空間を超えて語り継がれていく。その例としてシンデレラをあげます。ビジネスの視点でいけば、これはブランディングの話と裏表の話でもあります。
もうひとつ、右脳思考の方法論を取り出すための分野は、脳科学の世界。茂木健一郎さんの著書などを合わせて読むと、何かが見えてくるように感じます。
論理の展開がスムーズではなく
投げっぱなしの感覚が否めず、
いまいち本の中に溶け込めず楽しめなかった。
しかし、読み進めて行くうちに
この本が読者をどこに連れて行くのか興味を抱きはじめ
最後にはすっかり神話的思考に惹かれていた。
前半がかったるいので☆3つ。
かったる過ぎて、危うく挫折した。
河合隼雄と中沢新一の「仏教が好き」「ブッダの夢」を読みなおしたらやっぱりオモロイ。
それならばと難波のジュンク堂書店に出かけて
中沢新一と内田樹の「日本の文脈」を買って読んだらまたオモロイ
それでこの本を読んだら、いきなり、
「どんな領域のことであれ、人間ははじめにしか本当に偉大なものは創造しないものです」
という言葉が飛び込んできた。
それってオレだけが知ってることかと思ってたよ
あ、でも処女作に作家のすべてが含まれているって言葉もあるか
わりと普通の言い回しなんやな
で、まあ、このひと、中沢くんは、晩年の吉本隆明によると本気のひとなんだそうなんやが、実際のところはどうなんだか
仮に本人が本気やとしても「作品」はあかんかもしれんし
ま、この本は神話についての講義本らしい
けどまあ神話の本ゆうのもいっぱい出回ってるわけやしなあ
ま、ボチボチハローワークにいかなあかんなあゆうてますねん
カイエ・ソバージュ(野放図な思考の散策)シリーズ第一巻。
本巻では主としてシンデレラ伝説を題材に採り、
神話の隠された論理性について語られてゆく。
神話と云えば一見、虚構の物語かと思いがちだが
神話は現実と幻想の間に立つ仲介者で、
人が幻想の世界へ埋没することに警鐘を鳴らし
現実との対応を絶対に失わないよう作用しているのだという。
私たちの心は現実世界の豊穣さを五感を通じて受け入れようとする反面、
心の中の完全にバーチャルな領域に飲み込まれたい、
とも思っているのだという。人間がそこにあまりに深く踏み込むと
人間は宇宙の中でもバランスを失う。
現代の私たちは簡単にそのバランスを失うリスクに晒されている。
具体性の世界の豊かさを再確認させられる「内容のある」神話を
私たちが学ぶことの意義は大いにあるのだ。
人はなぜ,古来からこんなにも「死」にこだわるのか。なぜ,現代は「死」を覆い隠そうとするのか。日々の仕事に追いまくられている頭で考えてみた。
「死」を意識しない日常に生命の瑞々しさはない。日常の雑事に疲れた頭をリフレッシュするのに本書が明らかにする内容は,ミステリーの謎解きをしているように新鮮で興奮させられる。
だからといって,神話を解読することにより社会的に成功するための人生訓を導き出せるものではない。高度な精神性を発揮しているミクマク・インディアンの神話はそれを物語っている。人間は,生物としての自分と社会的存在としての自分の矛盾を考察することより,徹底して社会的存在として振舞うことが成功する近道なのかもしれない。
ただ,精神的に破綻しないためにも神話は現代社会にも通用する。神話は矛盾を抱える人間を許容する。