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ギリシア正教 東方の智 (講談社選書メチエ) 単行本(ソフトカバー) – 2012/2/10
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2012/2/10
- ISBN-104062585251
- ISBN-13978-4062585255
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2012/2/10)
- 発売日 : 2012/2/10
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 272ページ
- ISBN-10 : 4062585251
- ISBN-13 : 978-4062585255
- Amazon 売れ筋ランキング: - 416,876位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
久松英二(ひさまつ・えいじ)
1957年長崎県生まれ。1982年南山大学文学部神学科卒業。1985年南山大学大学院文学研究科神学専攻博士前期課程修了(神学修士)。1993年ウィーン大学大学院神学専攻博士課程修了(Dr. Theol.: 神学博士)。南山大学、神戸海星女子学院大学で教鞭をとり、現在、龍谷大学国際学部教授。専門分野は東方教会神秘主義思想、比較宗教思想。
著訳書(単著):Gregorios Sinaites als Lehrer des Gebetes(Münsteraner Theologische Abhandlungen 34), Oros-Verlag、『祈りの心身技法―14世紀ビザンツのアトス静寂主義』(京都大学学術出版会・キリスト教史学会学術奨励賞)、『ギリシア正教 東方の智』(講談社選書メチエ)、ルードルフ・オットー『聖なるもの』(岩波文庫)、『古代ギリシア教父の霊性ー東方キリスト教修道制と神秘思想の成立』(教文館)
編著:
『多文化時代の宗教論入門』(ミネルヴァ書房)
著訳書(共著):ジャン・ミゲル・ガリグ、フィリオクェ問題 ― 今日に至る状況に関するローマ・カトリックの見解(ルーカス・フィッシャー編「神の霊・キリストの霊 ― 「フィリオクェ」論争についてのエキュメニカルな省察<Lukas Vischer, Spirit of God, Spirit of Christ. Ecumenical Reflections on the Filioque Controversy、Geneva 1981>(一麦出版社・1998年10月)p. 190~209,『宗教と宗教の<あいだ>』(風媒社)、『キリスト教修道制―周縁性と社会性の狭間で』(Sophia University Press)、『中世と近世のあいだ ─ 14世紀におけるスコラ学と神秘思想』(知泉書館)、Prayer and Spirituality in the Early Church, vol. 4: The Spiritual Life(St. Pauls Publications)、ユスティノス「ユダヤ人トリュフォンとの対話」『中世思想原典集成1・初期ギリシア教父』(平凡社)、カイサレイアのエウセビオス「福音の論証」『中世思想原典集成1・初期ギリシア教父』(平凡社)、アタナシオス「イエス・キリストの受難および裁きの恐怖について」小高毅編『古代教会の説教』(教文館)、'Rudolf Ottos Rezeption in Japan', in: Lauster, Jörg / Schüz, Peter / Barth, Roderich / Danz, Christian (ed.), "Rudolf Otto: Theologie - Religionsphilosophie - Religionsgeschichte" Berlin: Walter De Gruyter Inc, 2013 (Nov.), 605-614. 『信徒使徒職に関する教令』第二バチカン公会議文書公式訳改訂特別委員会監訳『第二バチカン公会議公文書改訂公式訳』(カトリック中央協議会 2013年10月)419~461頁(本文)、786~790頁(解説)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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しかし、一般に流布している東方正教会関連の概説書とは赴きを異にしている。
第一に一般に流布している東方正教会に関する概説書は、総じて正教会に所属している人から見た、正教会の自己理解を出発点に自分達の信仰理解を啓蒙する目的で書かれているものがほとんどであるが、本書は正教会に所属していない東方正教会を研究する学者による東方正教会の歴史の概説書となっていることである。
第二に著者がローマ・カトリック(つまり西方教会)の信者であることから、主に、西方教会の信仰理解をベースに、東方正教会の信仰理解との差異を浮き彫りにする形を取っていることである。
従って、本書のあとがきで著者自身も述べているように本書の説明する東方正教会の信仰理解は正教会信徒には違和感がでる可能性は否定できない。明らかに西方教会の教義理解になじんでいる人向けの概説書である。
それでも、本書の存在価値は非常に高いと思う。
著者が正教会に所属していないことは、ある程度、外から見ると正教会の教義理解がどのように見えるかという示唆を与えてくれる。
一方で著者が西方教会の信徒でもあることから、正教会の信仰理解に対する見方があまりにも学術的・論理的な部分にのみに傾倒しないため、西方教会の教義理解になじんだ人間には自分の認識に引き寄せて考察をしやすくなっている。
もちろん、本書は講談社メチエという一般向けの本であって学術書ではないため、教義理解に関する考察に割けるページは限られており、かなり考察対象となる焦点を絞って、説明している。
その意味で汎用的な概説書とは言えないが、三位一体(正教会では至聖三者)やキリストの十字架上の死の理解、マリア理解など中心的な教義理解について、必要な説明がなされている。
前から「そうなのかな?」程度に思っていたことが、きちんと説明されていて非常に参考になった。
そして著者が本書で最も伝えたかったことは(割いているページは多くないが)、西方教会と東方正教会を分裂させている最も根本的な問題が、いわゆる聖霊発出の問題(フィリオクェ問題)であることは知られているが、その問題に対する西方教会(主にローマ・カトリック)と東方正教会の認識に大きな違いがあるということだろう。
東方正教会側が問題にしているのは、西方教会が考えるような三位一体論の教説に関する教義理解の差異にあるのではなく、公会議で決定したキリスト教の基本信条であるニケア・コンスタンティノープル信条の条文そのものを同一の文章で共有できないことなのだということを著者は力説している。
著者の望む形が今後、実現するかどうかは何とも言えない所だが、ここには学者というよりは信仰者としての熱意が伝わってくる。
ただし、フィリオクェ問題にそれほど興味が無い方でも、この本は西方教会の教義理解になじんだ人には多くの示唆を与えてくれる本である(実際、フィリオクェ問題に割かれているページはそんなに多くはない)。
東方正教会に興味がある人には一読の価値があると思う。
なお、この本の著者久松氏は一応カトリック信者で"正教会の外から正教を見て"書いているが、先に挙げたティモシー・ウェア師は西方教会の伝統厚いイギリスに生まれ、成人後に東方教会=正教会に改宗した人で世界的にも権威ある正教会を代表する学者&論客。ギリシャやロシア等の正教圏生まれでも無く、正教徒の家庭育ちでも無い点では本書の著者と重なり、また高橋神父などの著作がイマイチ苦手な方、正教会の外から正教にアプローチしたい方に格好の著書を出している。特に"正教会入門"の原著である"The Orthodox Church"は1963年にロンドンで出版されたもので、本書の著者久松氏が恐らくかなり参考にし、本書はその一種の(不完全で安易過ぎるにしろ)ダイジェスト版に見える感すらある。
本著者は『 祈りの心身技法―十四世紀ビザンツのアトス静寂主義 』や訳書ルドルフ・オットー『 聖なるもの 』があるので、この道〔神学・宗教学〕の著者として間違いないと感じる。
本書には「正教会とカトリック,プロテスタントの違いは何なの?」といった素朴な疑問への回答になりそうな話しも明快に著述されていて、これから東西キリスト教を横断的に知りたいと考えている人にはうってつけの本になるかもしれない。
特になるほどと思ったのが《フィリオクェの問題》。私自身「フィリオクェ」という用語の意味が始め分からなかった。「西方教会が全世界キリスト教会議〔コンスタンティノポリス全地公会議〕で信条文を勝手に変えてしまった」というものらしい。東西キリスト教の大分裂〔大シスマ〕の契機になったといわれている問題だそうだ。
東方正教会 信条 ⇒「聖霊、父より出で…」
西方教会 信条 ⇒「聖霊は、父“と子”から出て…」
全教会会議で条文を改変することは禁止されていたにも関わらず西方教会が「子から」も聖霊が出ると改変してしまったのだそうだ。東西教会の相違点は様々あるが、イエス・キリストの死をめぐる解釈も全く異なり、信仰態度にも違いがあるようだ。また、ヘシュカズム〔静寂主義〕については簡潔にまとめられていて参考になります。