第二巻までで尾張統一がじっくりと描かれたので、ここから遂に天下統一に乗り出していく姿が描かれます。ただし、ここからは逆に駆け足になっていて、拾われていない事件も多いです。
重要な要素としては第一に秀吉の本格的な登場ということがあるでしょう。既に前巻から姿をあらわしてはいましたが、本巻から活躍が始まります。蜂須賀小六あたりも、そう感じている描写がありますが、ある点では信長を凌ぐほどの天才として描かれます。もちろん本作では信長も天才です。原作者・コミカライズ作者ともに同じ「徳川家康」において、家康は一個の巨人として描かれつつも、超人的天才ではなかったのに対し、信長や秀吉は一般的なイメージ通り超人であり天才として扱われていました。こちらの作品でも、信長・秀吉は超人ですが、家康は優等生くらいの扱いで、そのあたりは一貫しています。なお、漫画化に伴って横山先生の絵がついたためですが、秀吉に対しては信長が人間的な表情を見せることがあり、「理解できない超人」でありつづけた原作とは少しだけ印象が異なります。
そして、当時の通説どおり、桶狭間の奇襲があり、禁裏への献身があり、秀吉の墨俣一夜城のエピソードがあります。どれも現在では異論が出ているものですが、桶狭間や墨俣で勝ったのは事実でありますし、尊皇の意識からじゃないとしても天皇を利用したのも事実ですから、やはり超人です。
ただ、まだ朝倉や武田、本願寺などの敵は多く、状況は落ち着きません。落ち着かない状況の一つとして松永久秀の離反がありますが、松永も、卑劣な小物ではなく、それはそれで非凡な怪物とされているのは興味深いです。
また、明智光秀も登場。これも史実では結構クセモノで怪物的な才人だったようですが、通説通り、常識的な秀才として描かれ、本作においては最初から信長と噛み合っていません。既に結末がうかがわれる状態です。
古い通説に従っていることと(コミカライズ時期が古いし、原作は更に古いのだから仕方ありません)、このあたりから駆け足になってしまう(これも原作通り)のは残念ですが、超人たちの活躍は楽しいです。
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織田信長(3) (講談社漫画文庫) 文庫 – 1996/7/12
戦国末期の革命児・信長の波瀾万丈の生涯。知恵者・藤吉郎を起用した信長は桶狭間で義元を討ち、戦乱で死臭漂う京で山科言継卿と面会。稲葉山城の降落後、才士・光秀を通じ足利義昭に接近し、上洛の道を。
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1996/7/12
- ISBN-104062602350
- ISBN-13978-4062602358
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商品の説明
著者について
【山岡荘八】
1907〜1978。新潟県生まれ。14歳で上京の後、長谷川伸に師事。昭和13年懸賞小説に入選し文壇デビュー。昭和25年から新聞に『徳川家康』連載開始。18年がかりで完成したこの大河小説は「経営のトラの巻」としても幅広い読者を獲得、3000万部突破という戦後最大のベストセラーになる。他に『伊達政宗』『小説太平洋戦争』など。
【横山光輝】
1934〜。神戸市生まれ。昭和29年『音無しの剣』でデビュー。31年から『鉄人28号』の連載を開始、一大ブームとなる。その後も『バビル2世』『伊賀の影丸』など数多くの傑作を手掛け、近年は『水滸伝』『三国志』などの中国歴史ものや、小社刊の『織田信長』『豊臣秀吉』などの山岡作品のコミックス化で幅広く支持されている。
1907〜1978。新潟県生まれ。14歳で上京の後、長谷川伸に師事。昭和13年懸賞小説に入選し文壇デビュー。昭和25年から新聞に『徳川家康』連載開始。18年がかりで完成したこの大河小説は「経営のトラの巻」としても幅広い読者を獲得、3000万部突破という戦後最大のベストセラーになる。他に『伊達政宗』『小説太平洋戦争』など。
【横山光輝】
1934〜。神戸市生まれ。昭和29年『音無しの剣』でデビュー。31年から『鉄人28号』の連載を開始、一大ブームとなる。その後も『バビル2世』『伊賀の影丸』など数多くの傑作を手掛け、近年は『水滸伝』『三国志』などの中国歴史ものや、小社刊の『織田信長』『豊臣秀吉』などの山岡作品のコミックス化で幅広く支持されている。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1996/7/12)
- 発売日 : 1996/7/12
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 318ページ
- ISBN-10 : 4062602350
- ISBN-13 : 978-4062602358
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,490,861位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1934年(昭和9年)6月18日、兵庫県神戸市須磨区生まれ。銀行員、映画興行会社などを経て、55年「音無しの剣」でデビュー。56年「鉄人28号」 の連載を開始、大人気となる。2001年1月に完結した「殷周伝説」が遺作となった。91年「三国志」で漫画家協会賞優秀賞、04年「全作品」で文部科学 大臣賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『横山光輝「三国志」大研究』(ISBN-10:4267018502)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
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2014年4月8日に日本でレビュー済み
桶狭間に勝つ、天皇を巻き込む、朝倉家を利用する
いよいよ信長も、桶狭間へ!これに秀吉の貢献が相当あった、そういう描き方でしたね。部下あっての信長、革新的なやり方はそうした部下たちのものでもまたあった――。こういう解釈は、不自然ではないと思います。落ちぶれた天皇も天敵朝倉家も、まんまとそうした意見を汲んだ上で天下布武にと利用してるし。いよいよ次で最終巻、本能寺の変に期待です。
いよいよ信長も、桶狭間へ!これに秀吉の貢献が相当あった、そういう描き方でしたね。部下あっての信長、革新的なやり方はそうした部下たちのものでもまたあった――。こういう解釈は、不自然ではないと思います。落ちぶれた天皇も天敵朝倉家も、まんまとそうした意見を汲んだ上で天下布武にと利用してるし。いよいよ次で最終巻、本能寺の変に期待です。
2012年8月14日に日本でレビュー済み
織田信長とはどんな人物であったのでしょうか。
歴史上の人物でも、最も気になる人ではないかと思います。
第3巻は、美濃攻めから次期将軍足利義輝を率いての上洛あたりまでが描かれます。
山岡荘八さんは恐らく『信長公記』をベースにしているのでしょうけれども、これは豊臣秀吉が作らせた史書です。
第3巻では秀吉をはじめ、滝川一益、明智光秀など織田家臣団が顔を出し始めますが、秀吉が信長以上の大人物のように描かれているのがその影響ではないかと思われます。
信長も、気持ちの良い若武者として描かれておりその人物像には惹かれるのですが、本当はどんな人であったのだろうと思いながら読み進めています。
歴史上の人物でも、最も気になる人ではないかと思います。
第3巻は、美濃攻めから次期将軍足利義輝を率いての上洛あたりまでが描かれます。
山岡荘八さんは恐らく『信長公記』をベースにしているのでしょうけれども、これは豊臣秀吉が作らせた史書です。
第3巻では秀吉をはじめ、滝川一益、明智光秀など織田家臣団が顔を出し始めますが、秀吉が信長以上の大人物のように描かれているのがその影響ではないかと思われます。
信長も、気持ちの良い若武者として描かれておりその人物像には惹かれるのですが、本当はどんな人であったのだろうと思いながら読み進めています。