過酷さを増す戦況の中で、かつては汚れ無かった人々の心に黒い影が差し込む。
己の手は汚れ、眼差しは曇り、理想は打ち砕かれる。無力な自分に憤り力を渇望する主人公に、表題の言葉が投げかけられる。例え戦争が終結し長い闇が開けても、今度はかつての被害者達が加害者へと変わる。戦犯達に残忍なリンチを処す同胞達を見て、主人公は本当の光はまだ差し込んでいないことを知る。
あまりにも無慈悲な現実にどう抗うのか。それを模索する一方で、ナチスの将校は『自ら模索することを放棄し隷従することしかできない被害者を装う民衆を、力によって統率するのは支配者の義務であり正義だ』と反論する。この下りはおそらく、著名なゲーム『タクティクスオウガ』の二人のランスロットというエピソードに多大な影響を与えています。
こう書くととても重苦しい作品だと感じるかも知れません。しかし作者のタッチはとても軽やかで暖かく、時にはユーモアも交えて描いているので、そのテーマに反して読むのは決して苦痛にはなりません。それはまるで過酷な戦場の中にも『石の花』を見いだそうとした、作者の信念を象徴しているのかのようでした。
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石の花 5 解放編 (講談社漫画文庫 さ 3-5) 文庫 – 1996/8/1
坂口 尚
(著)
この本は平和への提案です。戦争巨編完結!戦争の中の殺人という現実に納得できずに闘い続ける少年クリロ。終戦。ユ-ゴ解放。少年は、昔『石の花』を見た鍾乳洞へ向かう。そこにはきっと答えがある。
- 本の長さ282ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1996/8/1
- ISBN-104062602598
- ISBN-13978-4062602594
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商品の説明
著者について
1946年 東京生まれ。
1963年 虫プロ入社 アニメ「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」で動画 原画 演出などを担当。
1968年 フリーとなりコマーシャルフィルム製作などに携わる。
1969年 雑誌漫画を描きはじめる。以後『12色物語』シリーズをはじめとする多くの短編、『石の花』『VERSION』『あっかんべェ一休』の長編3部作を発表。
1995年 逝去。
1963年 虫プロ入社 アニメ「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」で動画 原画 演出などを担当。
1968年 フリーとなりコマーシャルフィルム製作などに携わる。
1969年 雑誌漫画を描きはじめる。以後『12色物語』シリーズをはじめとする多くの短編、『石の花』『VERSION』『あっかんべェ一休』の長編3部作を発表。
1995年 逝去。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1996/8/1)
- 発売日 : 1996/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 282ページ
- ISBN-10 : 4062602598
- ISBN-13 : 978-4062602594
- Amazon 売れ筋ランキング: - 773,138位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年5月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年2月18日に日本でレビュー済み
筆者は、よく本作品をつくり上げたと思ひますが、最後は煮詰めないで勝利が来て割り切れない儘終りにしてしまひました。「石の花」の後を継ぐ作品が出てもいい感じの終り方だったと感じました。
クリオの義兄イヴァンは二重スパイの形で最期は愛される人の許で世を去り、金塊の秘密は明かされず、チトーの戦ひのポイントは描かず、フィ-はどのやうに生き残ったかも不明で、独軍のマイスナー大佐がどうなったかも分かりませんでした。すべて時間の流れの中で淘汰されたのだ無理矢理納得させようとした感じがありました。
戦争をする意味と理由を哲学的に問ひ掛けて作品を閉ぢるしか筆者は取るべき方法がなかったのかも知れません。絶対悪を描かず淡々と並立させながら時間をかけて考へよとの意図なのか。「石の花」といふ物を見る心に文化の豊かさがあると筆者は訴へたかったのでありませうか。兎に角、筆者には御疲れ樣と言ひたいです。
クリオの義兄イヴァンは二重スパイの形で最期は愛される人の許で世を去り、金塊の秘密は明かされず、チトーの戦ひのポイントは描かず、フィ-はどのやうに生き残ったかも不明で、独軍のマイスナー大佐がどうなったかも分かりませんでした。すべて時間の流れの中で淘汰されたのだ無理矢理納得させようとした感じがありました。
戦争をする意味と理由を哲学的に問ひ掛けて作品を閉ぢるしか筆者は取るべき方法がなかったのかも知れません。絶対悪を描かず淡々と並立させながら時間をかけて考へよとの意図なのか。「石の花」といふ物を見る心に文化の豊かさがあると筆者は訴へたかったのでありませうか。兎に角、筆者には御疲れ樣と言ひたいです。
2002年8月24日に日本でレビュー済み
漫画だけにしておくのは惜しいし、日本語だけというのも惜しい。
正義とは。信頼とは。人間の弱さ強さ。
戦争が終わって勝者と敗者が決まってもそれは物事の一面的な見方でしかない。もし逆の結果なら、同じ人間がまるで違う生活を歩む。
なぜ戦争となるのか。
幸せになりたいから?正しいルールがほしいから?
では、正しいと言うことは何なのか、絶対的なものなのか相対的なものなのか。相対的であれば間違いがあって正しいことが存在するのか。
お勧めです。巻末の資料一覧も興味のある方にはためになると思います。
正義とは。信頼とは。人間の弱さ強さ。
戦争が終わって勝者と敗者が決まってもそれは物事の一面的な見方でしかない。もし逆の結果なら、同じ人間がまるで違う生活を歩む。
なぜ戦争となるのか。
幸せになりたいから?正しいルールがほしいから?
では、正しいと言うことは何なのか、絶対的なものなのか相対的なものなのか。相対的であれば間違いがあって正しいことが存在するのか。
お勧めです。巻末の資料一覧も興味のある方にはためになると思います。
2003年2月2日に日本でレビュー済み
おもしろかったが、43年後半から一気に45年にまで話がとんでしまって、ドイツ軍が壊滅し、パルチザンが全土を制圧する過程が描かれていない。
冒頭の「石の花」の伏線がようやくラストになって解決された。著者が描きたかったのはこれだと思うが、他にも知りたいことはたくさんある。
W.ギュームはどうなったのか、隠匿された金塊の行方は、大佐の最後は?
冒頭の「石の花」の伏線がようやくラストになって解決された。著者が描きたかったのはこれだと思うが、他にも知りたいことはたくさんある。
W.ギュームはどうなったのか、隠匿された金塊の行方は、大佐の最後は?