言葉の巧み、構成の妙。イメージを伝えるにあたって、これほど、わかりやすく、簡潔で美しい文章を他に知らない。あっさりと読め、素直に楽しめる。文章の中に複雑さや仰々しさは要らないという、書き手の信条が、小説のどこを採っても、はっきり貫かれている。
圧倒的な権力に翻弄される主人公の恐れ、怒り、諦めにもにた冷静さが、ひしひしと伝わってくる。主人公も、もうこれでギリギリ駄目かと思われる時の切迫感が、簡明な文体の中から豊かなイメージとなって溢れ出てくる。思わず知らず引き込まれ、読み終わって嘆息する。
久生十蘭の作品を始めて、手にして、30年ほど経つが、これほど読ませる作家はやはり、居ない。どの作品も、読後にすがすがしさが残る。
今見ると、残念なことに十蘭の作品は、どれも手に入りにくい。今、検索できるもの他にも、終戦直後に自信を失いかけた日本人を、一人の少女の口を借りて励ました作品「だいこん」などなど、今時の日本人にピッタリ来ると思うものも結構、多い。
是非、一読を薦めたい。クダクダとした説明に貧弱なイメージ、加えて粗末な中身の「小説」に、うんざりしている向きにお勧めする。どれをとっても、秀逸。
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真説・鉄仮面 (文庫コレクション大衆文学館 ひ 3-1) 文庫 – 1997/5/1
久生 十蘭
(著)
1666年、白馬に乗った王室の公用使が、新雪をついてアルマソン村の宏壮な城館(やかた)に到着した。これが、貴公子マッチョリ殿の数奇な運命の発端となろうとは!?
仏王ルイ14世の双生児(ふたご)の兄弟、本来なら、華麗な宮殿に住み、優雅な日々を約束されたはずなのに……。その誕生にまつわる秘密とは?
ボアゴべ、デュマなどであまりにも有名な鉄仮面伝説に、久生十蘭独自の史観と、一流の切口で迫る真実!
仏王ルイ14世の双生児(ふたご)の兄弟、本来なら、華麗な宮殿に住み、優雅な日々を約束されたはずなのに……。その誕生にまつわる秘密とは?
ボアゴべ、デュマなどであまりにも有名な鉄仮面伝説に、久生十蘭独自の史観と、一流の切口で迫る真実!
- 本の長さ299ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1997/5/1
- ISBN-104062620790
- ISBN-13978-4062620796
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商品の説明
著者について
明治35年(1902)、北海道生まれ。本名阿部正雄。函館新聞社に勤務のかたわら演劇活動に傾倒。昭和4年(1929)演劇研究のため渡仏、パリの国立工芸学校を卒業、帰国後は新築地劇団で舞台監督を務めた。このころから「新青年」に作品発表、以後、筆名で探偵小説などを多作。26年、歴史小説『鈴木主水』で直木賞受賞。30年には世界短編小説コンクールで『母子像』が第一席に入賞し、敗戦後で沈滞気味の大衆文学界に活力を吹きこんだ。昭和32年食道癌により没。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1997/5/1)
- 発売日 : 1997/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 299ページ
- ISBN-10 : 4062620790
- ISBN-13 : 978-4062620796
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,243,565位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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