お届け先を選択
Kindleアプリのロゴ画像

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません

ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。

携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。

KindleアプリをダウンロードするためのQRコード

何か問題が発生しました。後で再度リクエストしてください。

ワイルド・スワン 上 (講談社文庫 ち 4-1) 文庫 – 1998/2/1

4.1 5つ星のうち4.1 68個の評価

商品の説明

著者について

【ユン・チアン】
1952年、中華人民共和国四川省宜賓市生まれ。14歳でしばらく紅衛兵を経験したあと、農村に下放されて農民として働き、「はだしの医者」、機械工場の鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、のちに講師となる。1978年にイギリスへ留学。1982年言語学の博士号を取得。現在ロンドンに在住。
【土屋京子】
1956年愛知県生まれ。東京大学教養学部卒業。英字誌編集者を経て、現在に至る。訳書に『EQ〜こころの知能指数』『地球を救うかんたんな50の方法』『沈まない太陽』『エンド・オブ・サマー』『大接戦』(いずれも講談社)など。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (1998/2/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1998/2/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 316ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4062637723
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4062637725
  • カスタマーレビュー:
    4.1 5つ星のうち4.1 68個の評価

著者について

著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
ユン・チアン
Brief content visible, double tap to read full content.
Full content visible, double tap to read brief content.

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう

カスタマーレビュー

星5つ中4.1つ
5つのうち4.1つ
68グローバルレーティング

この商品をレビュー

他のお客様にも意見を伝えましょう

上位レビュー、対象国: 日本

2012年6月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 一つの国の歴史は、社会に起きた重大事件を追うばかりでなく、
そこに生きた個人の経験を追体験するのでなくては
生きた歴史を理解したことにはならない。
本書は、中国に生きた3代の女性の人生を描くことによって
清末から文化大革命までの中国の歴史を見事に描いている。

 共産主義の恐怖の体制を描いた作品としては
すでに
収容所群島 1―1918-1956文学的考察 (新潮文庫 ソ 2-7) が知られている。
だが、それは収容所に限局したものだった。
収容所の外ではどうであったのか、国民はどのように反応したのか、
そうした点の描写が不十分だった。
『ワイルド・スワン』は、恐怖の体制下で人間性を失わず
生き抜こうとした家族を描くことで、
『収容所群島』を上回る読者の共感を呼ぶ作品となっている。
『収容所群島』がすでに古典としての地位を確立しているように
本書もまた長く世界で読み継がれることになるだろう。

 著者は、文化大革命を誰も食い止めることができなかったのは
なぜなのかと自問しながら、ついに答えを見つけることができなかった。

 著者は、西洋では「魔女狩り」が行なわれないことに驚くが、
西洋でも「魔女狩り」は数百年にわたって行なわれ続けたのである。

 すでにトゥキュディデスは、ペロポンネソス戦争中に
ギリシアのあちこちで、中国の文化大革命と似通った紛争が起こったことを、
その有名な
歴史〈1〉 (西洋古典叢書) に書き記している。
とくにケルキュラの内乱を描いた第3巻82章のあたりは
『ワイルド・スワン』に描かれる文化大革命の様相とうりふたつである。

 武力のみが尊重される社会では、文化大革命のような紛争が起こるのは必然である。
争う党派のいずれにも属さないとか紛争の仲裁に努めたりする人間は、
スパイの嫌疑をかけられる。
奸計をもって他者を陥れる人間は讃嘆され、
人民を扇動して破壊に誘う者も尊敬される。
卑劣な奸智が成功の条件であり、理知的に劣った者のほうが勝者となる。

 文化大革命が、中国の文化的なもの、伝統的なもののうちで
真にすぐれたものをことごとく破壊し、
中国の古い迷信や因習や、およそ唾棄すべきものを
ことごとく復活させるにいたったのも怪しむに足りない。

 トゥキュディデスが「かかる事件は、人間の本性が同一である限り
起こるものであり、また将来も起こるであろう」と言った通りである。

 近代国家では、人権侵害があった場合には、「武闘」によって
解決するのでなく、公正な裁判によって解決が図られる。
だが、これも、国民全体に法を尊重し判決に従う精神が
しみ込んでいなければ、判決に不満な側は
「不当判決」と騒ぎ立てることになり、騒擾をおさめる役には立たない。
結局騒擾は武力によって鎮圧するしかないことになる。

 英米のエリートは、必ずトゥキュディデスの『歴史』や
ローマ帝国衰亡史 全10巻セット (ちくま学芸文庫) を学ぶという。
これらの歴史書は、嗜虐的な残忍性がわれわれすべての人間の心に潜む悪であることを示している。
人間は、その最内奥において、悪なのである。
このことを意識するにいたらなければ、世界中どこでも、
トゥキュディデスが言うように、文化大革命のような事件は、
起こるものであり、また将来も起こるのである。
日本でも、専門偏重教育を改めて、一般教養を重視するべきだと
信ずる次第である。

 最後に、訳文について苦言を呈したい。
本書の原著は英文である。
それは、著者が世界中のできるだけ多くの人に読んでもらうには、
中国語よりも英語で書いた方が翻訳される機会が
多いだろうと思ったからだそうである。

 だが、本書を読めば、著者の中国の古典に関する
深い教養がうかがわれる。
ところが、訳者は英文学者らしく、
漢文の素養が不足しているように感じられた。

 だいたい、中国人の人名や地名を英語から音訳した
カタカナ表記にしたのでは、漢文に慣れ親しんだ日本人には
読みにくくて仕方がない。

 また、各章につけられたタイトルも、著者は明らかに古文風につけている。
言語は単に意味が通じればいいというものではない。
「価値及び技術を離れて言語は成立せず、価値及び技術こそ言語の生命である」
国語学原論〈上〉 (岩波文庫)

「道の辺の木槿(むくげ)は馬に食はれけり」を
「道端のもくげは馬に食べられた」としたのでは、
芭蕉の名句が小学生の作文になってしまう。

 もう少し漢文風の翻訳にしないと、せっかく著者苦心の章題がだいなしである。

 本書は、鎖国状態の中国の内実を世界に知らせる役目を果たしたが、
中国人自身、国全体の状況について完全に情報不足の状態に置かれている。
本書が中国本国でも公刊される日が来ることを願わずにいられない。
14人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2024年1月4日に日本でレビュー済み
本書では日本軍については全く良くは書かれていないので
民族感情的には面白くないかもしれない

がそれはおいといて、戦後から毛沢東の文化大革命までの歴史
(教科書に載ってはいるが実態がよくわからなかった)が解像度が上がり良く分かるようになる

情報統制された国ではラジオ一つで国民同士で殺し合わせることすらできる
正義も倫理も道徳も曖昧で、周囲は全て敵になりうる
そんな狂気の混乱で生き抜いた3代に渡る人生の集大成ともいえる作品

筆者が人を見るとき、思想や言動ではなく、残虐だったり意地悪な行動を取るかどうかで判断するようになった、というのはその混沌の渦中にいた人間ならではの視点で胸に迫るものがあった

汚職を何よりも嫌い、公平のために人生を捧げた清廉潔白な筆者の父親の名誉が回復されることを願う
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
送料を入れれば、新品を買うのとたいして違わないが、それでも本屋に行く手間や本の良い状態を考えれば、十分納得の出来る値段である。本の内容は、大変興味ある内容であった。
2014年9月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ワイルドスワンは著者の祖母、母親、著者の人生について書かれている。
上巻である本書は、著者の祖母の生まれから始まり、母親の革命運動、著者が誕生まで書かれている。
それらの話しを通して、当時の中国の生活、政治、社会、が描かれている。
日本ロシアの侵略、内戦の繰り返し、役人の腐敗、悪しき習慣、貧富の差。
それは、へたな中国の歴史書を読むより、勉強になる。

毛沢東率いる共産党が、蒋介石の国民党を破り、中国が幕を開けた。
共産党が政権を握ったのである。
続きが非常に楽しみである。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
講談社文庫のワイルドスワンは2007年発行で上、中、下の全3巻。各巻に白黒の登場人物の実際の写真があるため、読みながら人物のイメージを思い浮かべることができて、重宝である。しかし、時に、写真の人物がどうなったかが、写真のページに書かれてあるので、本文を読む興味を削がれる可能性があるので注意。本書は、筆者と、その祖母、母の体験談であり、祖母と母の部分は、(下巻によると)母が、筆者がイギリスに移り住んでから、母が中国より訪れて来た時に口頭で伝えた話がベースになっている。本書は、祖母、母、筆者が、それぞれ主人公になる部分で、内容の深さ、面白さが異なり、三部構成と言える。
母が娘である著者に語った話であるので、母の部分が最も面白く、次いで、祖母の順で、筆者の部分はやや短い期間がやや冗漫に感じられるので、本当の意味での優れた語り手は、著者の母なのではと感じられる。内容が実話なので、説得力はあるが、特に、著者本人の部分は、読み手からすると、歴史的に重さを感じさせない事象が多い。こうした意味ではノーベル賞作家の莫言が書いた必ずしも史実ではないフィクション小説の方が、時代を象徴するストーリーになっているということができる。本書が扱う時代背景は、日本の支配と中国内線、大飢饉、文化大革命であるが、この時代の一般大衆の苦闘は、莫言の小説の「赤いコーリャン」「豊乳超臀」「転生夢現」でよく描かれており、小説としても面白く、本書より勧めたい。
本書は、三世代にわたる中国の一家庭の実話が語られるものであるが、その合間に、歴史的・政治的背景も挿入されているので、通読すると、中国の近現代史の流れをつかむことができる。本書出版の折には、中国の近現代史は世界には知られていない部分が多かったので、それを紹介する意味でも価値のあった小説。本書は、毛沢東がすべての悪の根源であると結論しているが、必ずしも正しくない。毛沢東の役割が明らかでない部分まで、悪人と断定するのは、感情的であり、歴史書としての価値は疑問。著者は、本書発行の10年後に、独自の調査を経て、毛沢東の歴史的意味を問う本を書いているが、その本ですら、歴史家には賛否両論のあるものである。まして、歴史家として専門的な調査もなしに書かれた本書の毛沢東をはじめとする歴史上の人物の断定的な評価には誤りを含む可能性があるということも念頭に、本書はあくまで、中国現代史の興味を高める入門書的ものとしての位置づけとして読みたい。
本書は、中国共産党の高級幹部を父に持つ家庭の話が中心であり、中国一般大衆の体験とは異なる。祖母の話は、1909年からで、纏足が文化としてあったころの生い立ちから、軍閥や国民党が権力を握っていた時代、日本の侵略、国共合作あたりまでが描かれる。軍閥の正式な妻ではない妾という立場にあった祖母の体験を通して、当時の中国の一夫多妻的な家族関係や、国民党らの政治下の中国の国民の苦闘、それを上回る日本軍がおこなった蛮行(村落を焼き払い、強制労働をさせたp119上、中国人を惨殺する映画を中国の女学生に恐怖を植え付けるために見せたp129上、女学校の運動会でも日本人の子を優遇し中国人の子を差別p133上)、などが語られユニークな民の歴史書といってよい内容。たとえば、1938年の日本の占領下の満州では日本語が公用語で、授業は日本人の先生が行ったことp115が記載.女性の立場は低く、「どうぞ、犬か猫に生まれ変わらせて下さい。どうぞ、女にだけは生まれませんように」と曾祖母は仏に拝んだp124上.
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文化大革命、それは文化、歴史、あらゆる感情を否定して、中国史上最も国を大混乱に陥れた政策であった。この本では、リアルな国民生活が描かれていて、人はここまでできるのかと、倫理観を疑った。生活レベルは世界でも最低レベルまで下がったのだと思う。
しかし、この本は私をもっと中国を好きにさせた。文化大革命後の中国人の努力、強い精神力そして、未来を見いだそうとする強い思いが中国を世界第二位の国にしたことにとても感服した。著者に感謝したい。ありがとう。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート