筆者は、プライバシー権という視点から監視システムを切って捨てるような単純な主張はしない。
共同体の崩壊・都市化・ネットの普及などを背景として、ある程度監視システムが必要となっていることを肯定する。
しかし同時に、監視システムには限界があることも指摘する。
問題はこのような「監視システムの限界」が、現状の監視システムをより”強化”する方向に働くことにある。
「あらゆる予兆を蓋然性でしかとらえることができないからこそ、監視体制は強化の一途をたどるのである。」(p.153)
このような監視システムの際限なき拡大により、プライバシー侵害被害が防犯効果を上回る日が来るのかもしれない。
どの範囲で監視システムを許容するのか、治安とプライバシーを両天秤にかけた緻密な比較考量を、国民それぞれが考えなければならない時期が来ていることを思い知らされた一冊だ。
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監視カメラ社会: もうプライバシーは存在しない (講談社+α新書 192-1C) 単行本 – 2004/2/1
江下 雅之
(著)
- 本の長さ204ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2004/2/1
- ISBN-104062722429
- ISBN-13978-4062722421
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2004/2/1)
- 発売日 : 2004/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 204ページ
- ISBN-10 : 4062722429
- ISBN-13 : 978-4062722421
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,276,284位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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現在、明治大学情報コミュニケーション学部に所属。メディア史、社会ネットワーク、ポップカルチャーなどを中心に研究や執筆を進めている。趣味である古書収集や70年代マンガ、Apple Macintoshに関する著書も何点か出している。近況や執筆状況などはtwitterでつぶやいているので、そちらを参照していただきたい。
https://twitter.com/massa27
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トップレビュー
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2004年9月22日に日本でレビュー済み
相互に信じあえる社会というのは、精神的にも楽であるし、社会
的なコストもかからない。
しかし、現実はテロや戦争など国家レベルから、自治体や会社を
はじめさ取り巻く集団がみな相互不信であり、必要悪として「監視」
ということのニーズが高まっている。
本書は、有名なエシュロンをはじめインターネット、市街の監視
カメラなど具体的な監視システムの実情を紹介している。サブタイ
トルどおり「もうプライバシーは存在しない」というのが実感であ
る。
的なコストもかからない。
しかし、現実はテロや戦争など国家レベルから、自治体や会社を
はじめさ取り巻く集団がみな相互不信であり、必要悪として「監視」
ということのニーズが高まっている。
本書は、有名なエシュロンをはじめインターネット、市街の監視
カメラなど具体的な監視システムの実情を紹介している。サブタイ
トルどおり「もうプライバシーは存在しない」というのが実感であ
る。
2005年9月24日に日本でレビュー済み
タイトルは「監視カメラ」となっていますが、内容はそれ以外にも世界的通信傍受システムや企業でのメールの監視など、我々の身の周りに存在する「監視」システム全体を取り上げており、我々の日常生活がいかに他人に知らないうちに(また堂々と)見られているかを教えてくれます。
単にこれらをプライバシーに対する脅威とみなす単純な構図でとらえるのではなく、それによって得られる安全との兼ね合いも論じて大変考えさせられる内容です。
テクノロジーの進化によって記録できる映像や音声も飛躍的に増え、
今後ますます監視される情報量は増えると思われます。
著者にはぜひこの続編を何年か後に書いていただきたいと思います。
単にこれらをプライバシーに対する脅威とみなす単純な構図でとらえるのではなく、それによって得られる安全との兼ね合いも論じて大変考えさせられる内容です。
テクノロジーの進化によって記録できる映像や音声も飛躍的に増え、
今後ますます監視される情報量は増えると思われます。
著者にはぜひこの続編を何年か後に書いていただきたいと思います。
2004年7月28日に日本でレビュー済み
私自身、街角や道路に監視カメラが増えてきていることに嫌な気分を感じると同時に、防犯上監視カメラが必要な場面にも何度か遭遇しています。
この本は、監視カメラ社会のメリット・デメリットや、監視社会に至る経緯などを扱っています。単に監視カメラの問題ではなく、その背後にある監視システムについて多く触れていて、中でもアメリカの「エシュロン」「Carnivore」といった通信監視システムの説明に多くのページを割いています。カメラだけではなく、むしろ通信の盗聴などを含めた監視システムを取り上げることこそこの本の主題だったのではないかと思えるほどです。
この本は明確な結論こそ出していませんが、カメラが増え続ける現代に、どのようにしてプライバシーの保護をしていくのか、考えさせられると思います。この手の話に詳しくない人には参考になると思います。
この本は、監視カメラ社会のメリット・デメリットや、監視社会に至る経緯などを扱っています。単に監視カメラの問題ではなく、その背後にある監視システムについて多く触れていて、中でもアメリカの「エシュロン」「Carnivore」といった通信監視システムの説明に多くのページを割いています。カメラだけではなく、むしろ通信の盗聴などを含めた監視システムを取り上げることこそこの本の主題だったのではないかと思えるほどです。
この本は明確な結論こそ出していませんが、カメラが増え続ける現代に、どのようにしてプライバシーの保護をしていくのか、考えさせられると思います。この手の話に詳しくない人には参考になると思います。