20年ほど前だろうか、〝白州次郎ブーム〟というものがあった。私もそれにつられ、彼に関する読み物を何冊か読んだ覚えがある。しかし、それから数年がたつと――白州次郎という人物がどんどんカリスマ化されていくのとは正反対に――、私自身はどんどん冷めていった。と言うのも、「プリンシプルを重視する」という彼ならではのパーソナリティ形成には、(恵まれて)育った環境が大きく影響していると思うようになったからだ。
明治生まれの人間の多くは、小学校を卒業すると丁稚奉公に出され、辛酸をなめるような生活を強いられた。対して、白州は同じ年頃の時期に親のお金で英国留学をし、放蕩三昧の日々を送っている。最も多感な時期に生活をするために他人に頭を下げる必要がなかったのだから、強い性格が形成されるのも当然のように思えるのだ。
そうした自分の考えが間違っているのかを検証するためにこの本を読んでみたが……。「白州次郎の生き方」に関する新たな発見は何ひとつなく、後半になると「生き方」を掘り下げるよりも「キーワード事典」といった趣きになっている。
しかも各章の中には、1929年の世界恐慌のきっかっけになったのは「ブラックマンデー」だったとか、ル・マン24時間レースは「市販車ベースのクルマ」で「ル・マン式スタートによって行われている」といった間違いも多々見られる始末。キーワード事典としてもアテにならないので呆れた……。
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白洲次郎の生き方 (講談社文庫 は 40-2) 文庫 – 2002/5/1
馬場 啓一
(著)
約束を守ること。安易な妥協を許さず自らのプリンシプルに忠実に生きること。それが真っ当な人間の条件である。終戦直後、吉田首相の懐刀としてGHQ相手に辣腕をふるい近代民主国家の礎を築いた男の素顔は、ユーモアとアイロニーに富む魅力あふれるものだった。現代に生き、未来を拓く本当のカッコよさとは!?(講談社文庫)
- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2002/5/1
- ISBN-104062734427
- ISBN-13978-4062734424
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商品の説明
著者について
■馬場啓一(ばばけいいち)
1948年、福岡県生まれ。早稲田大学法学部卒業。CMディレクターを経て、現在、作家・エッセイスト。
著書は『ダンディに技あり』『男の礼儀作法』『酒場正統派宣言』(以上晶文社)、『愛と哀しみのライカ』(講談社文庫)、『テロリストの絆』『凍裂の大地』(以上カッパ・ノベルス)、『和の作法』『池波正太郎が通った味』(以上夏目書房)、『「いき」の作法』(講談社)など多数。
1948年、福岡県生まれ。早稲田大学法学部卒業。CMディレクターを経て、現在、作家・エッセイスト。
著書は『ダンディに技あり』『男の礼儀作法』『酒場正統派宣言』(以上晶文社)、『愛と哀しみのライカ』(講談社文庫)、『テロリストの絆』『凍裂の大地』(以上カッパ・ノベルス)、『和の作法』『池波正太郎が通った味』(以上夏目書房)、『「いき」の作法』(講談社)など多数。
登録情報
- 出版社 : 講談社; 第11版 (2002/5/1)
- 発売日 : 2002/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 223ページ
- ISBN-10 : 4062734427
- ISBN-13 : 978-4062734424
- Amazon 売れ筋ランキング: - 219,487位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2003年10月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
白洲氏の評伝としては面白いが、大量の文献を調べてその結果が纏められている感じ。取材やこのために何か興している感じではない。
ただ、いろいろな白洲本を見た人ならお薦め。初めての人には退屈かも。
ただ、いろいろな白洲本を見た人ならお薦め。初めての人には退屈かも。
2005年8月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
白洲次郎の趣味嗜好のうわっつらだけこすり、豆知識をくくりつけただけの本。生き様が知りたいなら、別にちゃんとした本がある。この本を読めば、飲み屋で3分ごまかすのにひつような知識は手に入れられます。所詮そのレベルの話しか書かれていません。
2006年11月5日に日本でレビュー済み
NHKの「そのとき歴史は動いた」にて白洲次郎の話題を取り扱っていたとき、
興味を持ち、彼の人生について探求したくなり、初めて手にとったのがこの書
だった。
はっきり言ってしまえば、金返せと嚇怒したくなる本で、
白洲次郎の生き方なんて題名をつける意図が全く分からない。
白洲次郎が生きた英国の文化紹介であって、
そのバックグラウンドを持つ白洲がどのような人物像であったかに、
焦点が定まっていない。
車や酒などの当時の嗜好品の紹介はあたかも著者の趣味に思え、
白洲の数多い決断の場やエピソードにおける主義思考が、
英国文化とどのように結びつき、戦後の日本に影響していったかなど、
この本を取った人の好奇心を満たす話はあまり無い。
逆に言えば、白洲次郎のエピソードを数多く読み、
白洲次郎の人間像の輪郭がはっきりしていて、
戦後復興期の世情を十分に把握している人にとっては真新しく、
この本を読むことにより白洲の日常を想像し微笑ましく思うかもしれないが、
そんな人はほとんど皆無であろう。
「馬場啓一の好む英国文化」
そんなところだろう。
興味を持ち、彼の人生について探求したくなり、初めて手にとったのがこの書
だった。
はっきり言ってしまえば、金返せと嚇怒したくなる本で、
白洲次郎の生き方なんて題名をつける意図が全く分からない。
白洲次郎が生きた英国の文化紹介であって、
そのバックグラウンドを持つ白洲がどのような人物像であったかに、
焦点が定まっていない。
車や酒などの当時の嗜好品の紹介はあたかも著者の趣味に思え、
白洲の数多い決断の場やエピソードにおける主義思考が、
英国文化とどのように結びつき、戦後の日本に影響していったかなど、
この本を取った人の好奇心を満たす話はあまり無い。
逆に言えば、白洲次郎のエピソードを数多く読み、
白洲次郎の人間像の輪郭がはっきりしていて、
戦後復興期の世情を十分に把握している人にとっては真新しく、
この本を読むことにより白洲の日常を想像し微笑ましく思うかもしれないが、
そんな人はほとんど皆無であろう。
「馬場啓一の好む英国文化」
そんなところだろう。
2013年8月21日に日本でレビュー済み
この本を読んで感じるのは
1.著者は白洲次郎本人とまったく知己がない。
2.白洲次郎に関する話は、そのほとんど全てが他の書籍から引用したと思われる。
3.白洲次郎の話に著者の想像をたくさんつけているので、白洲次郎本人をはっきりイメージできない。
なんのために、この本を書いたのか理解に苦しみます。
単に白洲次郎に興味を持つ人が多いので、売れるとでも思ったのでしょうか。
こんな内容なので、文章以外の写真資料は皆無です。
1.著者は白洲次郎本人とまったく知己がない。
2.白洲次郎に関する話は、そのほとんど全てが他の書籍から引用したと思われる。
3.白洲次郎の話に著者の想像をたくさんつけているので、白洲次郎本人をはっきりイメージできない。
なんのために、この本を書いたのか理解に苦しみます。
単に白洲次郎に興味を持つ人が多いので、売れるとでも思ったのでしょうか。
こんな内容なので、文章以外の写真資料は皆無です。
2009年2月14日に日本でレビュー済み
本文を読み始めて、すぐに「しまった」と思った。p.15の5行目から7行目に以下のような記述がある。
「白洲次郎は明治三十五(一九〇二)年二月十七日に生まれた。父親は文平、母は芳子という。次郎とは通常二男に付ける名前である。では長男がいたのか。兄である白洲家の長男がどういう人物であったか、資料ではうかがえなかった。」
白洲次郎には5歳年上の兄、尚蔵と3歳年上の姉、枝子がいた、次郎の後に2歳年下の妹、福子、9歳年下の妹、三子もできた。この著者はなぜ簡単に調べられることも確かめずに、いい加減なことを書くのだろう。
p17の白洲次郎の祖父、退蔵に関する記述も大いに疑問だ。
p17の6行目から7行目にこうある。
「余談だが、退蔵は慶応義塾を興した福沢諭吉と近く、福沢はしばしば退蔵に借金を申し込んだという。」
『福翁自伝』(福沢諭吉著)を読めばわかるが、福沢諭吉が何よりも嫌っていたもののひとつが借金だった。金がなければ使わないことを身上とし、また、決して借金しないことに誇りを持っていた。金銭哲学について、わざわざページを割いて長々と語っているほどなのである。福沢が「しばしば退蔵に借金を申し込んだ」ということはありえないと思う。
わずか3ページで、読む気をなくした。それでも、第3章「酒の嗜み」を読んだが、ほとんどが著者のウイスキーに関する薀蓄で、白洲次郎についてのことはほんのちょっと。
とにかく、この本はひどいな。
「白洲次郎は明治三十五(一九〇二)年二月十七日に生まれた。父親は文平、母は芳子という。次郎とは通常二男に付ける名前である。では長男がいたのか。兄である白洲家の長男がどういう人物であったか、資料ではうかがえなかった。」
白洲次郎には5歳年上の兄、尚蔵と3歳年上の姉、枝子がいた、次郎の後に2歳年下の妹、福子、9歳年下の妹、三子もできた。この著者はなぜ簡単に調べられることも確かめずに、いい加減なことを書くのだろう。
p17の白洲次郎の祖父、退蔵に関する記述も大いに疑問だ。
p17の6行目から7行目にこうある。
「余談だが、退蔵は慶応義塾を興した福沢諭吉と近く、福沢はしばしば退蔵に借金を申し込んだという。」
『福翁自伝』(福沢諭吉著)を読めばわかるが、福沢諭吉が何よりも嫌っていたもののひとつが借金だった。金がなければ使わないことを身上とし、また、決して借金しないことに誇りを持っていた。金銭哲学について、わざわざページを割いて長々と語っているほどなのである。福沢が「しばしば退蔵に借金を申し込んだ」ということはありえないと思う。
わずか3ページで、読む気をなくした。それでも、第3章「酒の嗜み」を読んだが、ほとんどが著者のウイスキーに関する薀蓄で、白洲次郎についてのことはほんのちょっと。
とにかく、この本はひどいな。
2006年6月5日に日本でレビュー済み
正味、一割ぐらいしか白洲次郎のことは書いてません。
関係ありそうなこともほとんどが著者の想像です。
最後に関係者に会う必要もなかったとか書いているが、
勝手な想像でここまで引っ張るとは恐れ入りました。
馬場啓一ファンなら(いるのか?)読んでみては。
関係ありそうなこともほとんどが著者の想像です。
最後に関係者に会う必要もなかったとか書いているが、
勝手な想像でここまで引っ張るとは恐れ入りました。
馬場啓一ファンなら(いるのか?)読んでみては。
2007年2月1日に日本でレビュー済み
白洲次郎さんの名前につられて買ってしまった。ここのレビューを先に読んでおけばと悔やまれる。とにかく白洲さんの名前を騙った詐欺本である。文庫本で8刷までいっているが、この本に満足した人は両手の指でも余るだろう。
何と言っても、白洲さんのことが全然語られておらず、「〜だったに違いない」といった推論で彼の趣味や彼が生きた時代背景を語っている。それが全く説得力もなく共感もできず、単に著者の知識自慢を聞かされている不快感しか残らない。
それにしても、ここまでレビューの内容が重なる本もあまりないだろう。
読む価値ゼロ。星の数もゼロにしたい本だ。
何と言っても、白洲さんのことが全然語られておらず、「〜だったに違いない」といった推論で彼の趣味や彼が生きた時代背景を語っている。それが全く説得力もなく共感もできず、単に著者の知識自慢を聞かされている不快感しか残らない。
それにしても、ここまでレビューの内容が重なる本もあまりないだろう。
読む価値ゼロ。星の数もゼロにしたい本だ。