(上下巻を通じて)
髙村薫の名前も作品群も、以前から知っていたが敢えて手にすることを避けてきた。「この著者にはまるとまずいかも」という予感があったからだが、今回一読し、その予感通りだった。30年前にこのような作品を書いていたとは驚いた。
文庫本上・下2冊、活字だらけで行間のスペースも殆どないが読みやすい。特に下巻の中盤以降、展開が早くなると、あっと言う間に数十ページを読んでいることに気付く。
この小説、取っ付きにくいかもしれないがpage turnerである。種々のエピソードがちりばめられ、それぞれの描写も細かく、遅々としてストーリ―が進まないようでいながら、徐々にそれらが結びつき、話の展開に巻き込まれ夢中で読むうちにエンディングに。まるでジョン・ル・カレの作品を読んでいるようだ。
本庁と所轄署・幹部と現場・刑事同士・所轄署間-多くの軋轢、思惑や縄張り意識がストレートに交錯する中、事件解決にひた走る合田。重苦しい雰囲気の中、徐々に事件の全容が明らかになるー作者の筆力に感服した。
オリジナル作品で直木賞受賞である。いわんや、受賞後十年近く経って全面改稿された本作だが、相当綿密な作業が行われたのだろう。ここまで書き込める日本の作家はそう多くないと思う。
一方、ミステリーとしての謎解きはこれで良いか?という点は残る。「マークス」については読み進めるうちにおよその答えが浮かぶと思うが、霞が関や桜田門は長い間真実を隠蔽し続けてきたのか、犯行に及んだ直接の動機は何であったのか―大トロかマスクメロンか、それとも・・・
エンディングの描写は衝撃的と言えなくもないが、ここに至る犯人の「暗い山」の部分は、行間から読み取らねばならない。この点、いささか不満は残る。
しかし、総じて国内ミステリーとしては高いレベルの作品であることは間違いない。
数日、夜更かしした甲斐はあった。
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マークスの山(下) (講談社文庫) 文庫 – 2003/1/25
高村 薫
(著)
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全面改稿!!
第109回直木賞受賞作
新しいマークスには泣かされる
合田雄一郎にも泣かされる
殺人犯を特定できない警察をあざ笑うかのように、次々と人を殺し続けるマークス。捜査情報を共有できない刑事たちが苛立つ一方、事件は地検にも及ぶ。事件を解くカギは、マークスが握る秘密にあった。凶暴で狡知に長ける殺人鬼にたどり着いた合田刑事が見たものは……。リアルな筆致で描く警察小説の最高峰。
第109回直木賞受賞作
新しいマークスには泣かされる
合田雄一郎にも泣かされる
殺人犯を特定できない警察をあざ笑うかのように、次々と人を殺し続けるマークス。捜査情報を共有できない刑事たちが苛立つ一方、事件は地検にも及ぶ。事件を解くカギは、マークスが握る秘密にあった。凶暴で狡知に長ける殺人鬼にたどり着いた合田刑事が見たものは……。リアルな筆致で描く警察小説の最高峰。
- 本の長さ360ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2003/1/25
- 寸法10.8 x 1.4 x 14.8 cm
- ISBN-104062734923
- ISBN-13978-4062734929
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2003/1/25)
- 発売日 : 2003/1/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 360ページ
- ISBN-10 : 4062734923
- ISBN-13 : 978-4062734929
- 寸法 : 10.8 x 1.4 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 771,038位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1953(昭和28)年、大阪市生れ。
1990(平成2)年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞を受賞。1993年『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。同年『マークスの山』で直木賞を受賞する。1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞を受賞。2006年『新リア王』で親鸞賞を受賞。2010年『太陽を曳く馬』で読売文学賞を受賞する。他の著作に『神の火』『照柿』『晴子情歌』などがある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年11月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
素晴らしい内容に引き込まれるが、著者の今までの作品通り、内容が細かくて登場人物が区別しにくいのが難点である。
登場人物の数も多くて一人一人の個性が豊かなのだが。登場人物の一覧があればよい。
しかし、今回も楽しませていただきました。
登場人物の数も多くて一人一人の個性が豊かなのだが。登場人物の一覧があればよい。
しかし、今回も楽しませていただきました。
2014年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一挙に読み終わった。最後の遺書で全部わかるというのはアガサ・クリスティの「10人のインディアン」クイーンの「Yの悲劇」に似ている.
警察ものでは「笑う警官」とか。
・・・(確かに似ている。犯罪にならない犯罪などのくだりや、文書を元に行ってきた犯罪。あくまで中心が警察。そして殺人者)
この本はラストにかけての盛り上がりがすばらしい。
ああ、全部複線があったのだとわかった。最初の岩田の殺人もわかった。
ただ少し欲張りすぎたかな。何回か読み返して「人名を覚える」のが大変だった。
できたら構成人物の名を最初に列挙してくれたら嬉しい。
しかし凄い。ひさびさに「どん!」とくる本にあたった。
重厚な文、見事な構成。いうまでも無い。昔のリビエラを撃てではこの重厚な文が難解すぎたが、今度はすんなりと
解った。
直木賞にふさわしい。そして女性が書いたのだろうかというくらいの重厚さと構成力。世の推理作家、宮部みゆきと高村薫に頼ってはいけませんぜ・・・
しかしこれは「純文学」だと思う。
うかうかしていると男性推理作家、宮部みゆきさんと高村薫さんに負けますよ・・・
警察ものでは「笑う警官」とか。
・・・(確かに似ている。犯罪にならない犯罪などのくだりや、文書を元に行ってきた犯罪。あくまで中心が警察。そして殺人者)
この本はラストにかけての盛り上がりがすばらしい。
ああ、全部複線があったのだとわかった。最初の岩田の殺人もわかった。
ただ少し欲張りすぎたかな。何回か読み返して「人名を覚える」のが大変だった。
できたら構成人物の名を最初に列挙してくれたら嬉しい。
しかし凄い。ひさびさに「どん!」とくる本にあたった。
重厚な文、見事な構成。いうまでも無い。昔のリビエラを撃てではこの重厚な文が難解すぎたが、今度はすんなりと
解った。
直木賞にふさわしい。そして女性が書いたのだろうかというくらいの重厚さと構成力。世の推理作家、宮部みゆきと高村薫に頼ってはいけませんぜ・・・
しかしこれは「純文学」だと思う。
うかうかしていると男性推理作家、宮部みゆきさんと高村薫さんに負けますよ・・・
2015年10月24日に日本でレビュー済み
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WOWOWをみて購入この原作にてドラマ有り、映画がかわいそうな感じなかなかページが進まない、良くかみしめながら読まなければ良さわ
わからなうのではないだろうか、読み流しの人には、不向きな本で、トムクランシー並だと思う彼の本も何度か読み直すと凄い描写だと感じる。
わからなうのではないだろうか、読み流しの人には、不向きな本で、トムクランシー並だと思う彼の本も何度か読み直すと凄い描写だと感じる。
2022年12月5日に日本でレビュー済み
①傑作であることは間違いない。山岳ミステリーであるが、学生運動や大学理事、事件の揉み消し等政治的社会的内容が盛り込まれている。
②圧巻のラスト、犯罪者の不幸な生い立ちと精神疾患、健忘症、犯人と暮らす看護婦、人生の不幸と犯罪の理由。考えさせられることが詰まった小説である。警察の人間関係を描くのも、上手い。
お勧めの一冊だ。
②圧巻のラスト、犯罪者の不幸な生い立ちと精神疾患、健忘症、犯人と暮らす看護婦、人生の不幸と犯罪の理由。考えさせられることが詰まった小説である。警察の人間関係を描くのも、上手い。
お勧めの一冊だ。