いやはや、すごい小説だった。
「最悪」のことである。
奥田英朗2作目が、これだったというから恐れ入る。
「アマルフィ」にがっかりした後だから、余計にそう感じるもかもしれない。
主な登場人物は3人。
零細工場の経営に四苦八苦するおやじ。
高卒で銀行に勤めるOL。
そして、チンピラにもなれない若者。
この3人の日常、その中の心の動きに、まず引き込まれる。
そうそう、こうなんだよな、と登場人物に自己投影してしまう。
この一見関係ない3人の群像物語が、ある時点から急速に絡み始めて、そこからはジェットコースターのようにストーリが転がり始める。
それが、またすごい。
もう読み出したら止まらないのである。
こんな、すごい小説を、書かれてから10年も読んでなかった、などという自分が信じられない。
昨年、「サウスバウンド」を読むまで、奥田英朗には興味すらなかった。
そして、今年「オリンピックの身代金」を読んでしまってから、後は一気。
今では、未読の小説は「ウランバーナの森」と「マドンナ」「家日和」の3作のみである。
仕方がないので、入手できるだけのエッセイ集も4冊買ってしまった。
と、興奮もさめやらない中で書いているのだが、「最悪」の前に読んだ3冊も面白かった。
「真夜中のマーチ」は青春ピカレスクロマン。
考えようによっては、これも「最悪」よりは軽いタッチの群像劇。
どんでん返しに次ぐどんでん返しで、どう決着するかは読み終わるまで分からないというところも、「最悪」や「邪魔」と同じ。
ただ、それはこの作家の面白さの源泉だから、似ている、と済ませてしまっては失礼だろうとも思う。
「東京物語」は、奥田英朗自身がモデルといえるような若者が、名古屋から東京に出てきて浪人し、大学に入り、中退して広告制作会社に入り・・・、という自伝的小説である。
大きな事件は何も起こらないのだけれど、時代の空気と、そこに生きる人の息遣いや心の動きが、瑞々しく描かれている。
「ララピポ」は変な小説である。
毒がある。
やはり、群像劇の形式をとるのだけれど、ひとつの事件に収斂されるのではない。
社会的にはいかにも変な登場人物が、おかしな事件を引き起こしていくのだが、そのおかしな事件に引き込まれていく人間の、社会とのギャップ(つまり変人ぶり)を、変人の側から描いていて、そこがまた面白い。
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最悪 (講談社文庫) 文庫 – 2002/9/13
奥田 英朗
(著)
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不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢(あつれき)や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化! (講談社文庫)
お先まっ暗、出口なし それでも続く人生か
小さなつまずきが地獄の入り口。転がりおちる男女の行きつく先は?
不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢(あつれき)や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。
無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。
比類なき犯罪小説、待望の文庫化!
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不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢(あつれき)や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。
無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。
比類なき犯罪小説、待望の文庫化!
- 本の長さ656ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2002/9/13
- 寸法10.8 x 2.7 x 14.8 cm
- ISBN-104062735342
- ISBN-13978-4062735346
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商品の説明
著者について
■奥田英朗(おくだひでお)
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て1997年『ウランバーナの森』(講談社文庫)でデビュー。第2作目の本書が話題となりロングセラーに。『邪魔』(講談社)で第4回大藪春彦賞を受賞。著書は他に『東京物語』(集英社)、『イン・ザ・プール』(文藝春秋)がある。
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て1997年『ウランバーナの森』(講談社文庫)でデビュー。第2作目の本書が話題となりロングセラーに。『邪魔』(講談社)で第4回大藪春彦賞を受賞。著書は他に『東京物語』(集英社)、『イン・ザ・プール』(文藝春秋)がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2002/9/13)
- 発売日 : 2002/9/13
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 656ページ
- ISBN-10 : 4062735342
- ISBN-13 : 978-4062735346
- 寸法 : 10.8 x 2.7 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 25,733位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1959年、岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て作家活動に入る。2002年『邪魔』で大藪春彦賞、04年『空中ブランコ』で直木賞、07年『家日和』で柴田錬三郎賞、09年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 無理 (ISBN-13: 978-4163285801 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年7月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
登場人物達が細かく、わかりやすく表現されていて事柄にホント黒く重いキモチになる。
そのドロっとした中での個々の戸惑いやココロの葛藤が面白い
そのドロっとした中での個々の戸惑いやココロの葛藤が面白い
2016年1月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読後はなんとか持ち直しましたが、
中盤以降は読み心地があまり良くなかったです。
いや、正直にいうと、悪かった。。。
誤解のないように付け加えますが、
先が気になるという意味で、
ページをめくる手をなかなか止められないし、
閉じた本を開きたくなる本ではあります。
ただし、この本を読むためには体力が必要でした。
例えば本書が初めての読書になる人(少ないでしょうけど)、
息抜き、楽しみ、娯楽として読書をしたい人、
私生活や仕事でストレスがやや溜まっている人などには、
本書は読むべきタイミングが今でないと、言わせてください。
単行本は二段組みでやや分厚い部類になります。
文庫が出ているようなので、
本書が気になる方には文庫をすすめます。
万人にはすすめられないこと、
読中の読み心地がお世辞にも「心地よい」と言えないことから
まことに僭越ながら★の数は三つとさせていただきました。
繰り返しますが、
本の内容にひきつけられる、という意味で、
本書は間違いなく魅力的な一冊です。
その点に疑いの余地は一切ありません。
中盤以降は読み心地があまり良くなかったです。
いや、正直にいうと、悪かった。。。
誤解のないように付け加えますが、
先が気になるという意味で、
ページをめくる手をなかなか止められないし、
閉じた本を開きたくなる本ではあります。
ただし、この本を読むためには体力が必要でした。
例えば本書が初めての読書になる人(少ないでしょうけど)、
息抜き、楽しみ、娯楽として読書をしたい人、
私生活や仕事でストレスがやや溜まっている人などには、
本書は読むべきタイミングが今でないと、言わせてください。
単行本は二段組みでやや分厚い部類になります。
文庫が出ているようなので、
本書が気になる方には文庫をすすめます。
万人にはすすめられないこと、
読中の読み心地がお世辞にも「心地よい」と言えないことから
まことに僭越ながら★の数は三つとさせていただきました。
繰り返しますが、
本の内容にひきつけられる、という意味で、
本書は間違いなく魅力的な一冊です。
その点に疑いの余地は一切ありません。
2023年4月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
3人の最悪な状況が描かれていますが、私だったらどうしようかと考えながら読んだ。
特に鉄工所の経営者に関しての描写が面白く、本人に非がないのに気づけば深みにはまり、考える時間すら与えられないまま問題が山積し追い詰められていく様がどうしようもなく、誰でも陥りそうな状況にも思え、怖いなぁと思った。
3人が合流してしてからは微妙な展開に思えたが、追い詰められた3人が集まったのだからなげやりな展開になるのも仕方なしか。
追ってきたヤクザも最悪だったのだなとちょっとおかしくなった。
最後は最悪にならず救いのある結末でよかった。
特に鉄工所の経営者に関しての描写が面白く、本人に非がないのに気づけば深みにはまり、考える時間すら与えられないまま問題が山積し追い詰められていく様がどうしようもなく、誰でも陥りそうな状況にも思え、怖いなぁと思った。
3人が合流してしてからは微妙な展開に思えたが、追い詰められた3人が集まったのだからなげやりな展開になるのも仕方なしか。
追ってきたヤクザも最悪だったのだなとちょっとおかしくなった。
最後は最悪にならず救いのある結末でよかった。
2019年11月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
それぞれの不幸な人生が交錯して、やがて大きな物語に発展していく作品。
それぞれの不幸な人生がいつのまにか1つになって終わりかと思ったら、それ以上に発展していって気付いたら一気読みしていました。
最終的にどうなっていくのかハラハラしていたけど、うん、なるようになったのかな?
それぞれが納得しているようならいいか笑
それぞれの不幸な人生がいつのまにか1つになって終わりかと思ったら、それ以上に発展していって気付いたら一気読みしていました。
最終的にどうなっていくのかハラハラしていたけど、うん、なるようになったのかな?
それぞれが納得しているようならいいか笑
2022年12月19日に日本でレビュー済み
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読み終えるまで時間はかかったが楽しかった。
久しぶりにどくしょに夢中になりました
久しぶりにどくしょに夢中になりました
2011年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
イン・ザ・プールで大いに受け、この作家の他の本も…と
評価の高かったこの本をチョイス。
小さな鉄工所を営む社長川谷。
銀行員のみどり。
毎日をつまらなく過ごすプータローの和也。
読み始めは、この3人のあまりにも普通な日常が淡々と語られる。
でも、その分リアルに感じられて どんどんと3人の人間そのものが
自分の脳内で、映像化されてしまう程長々と続く。
これが後半、3人が出会ったとたんに 急速に加速して
緊迫感に変わってくる。
このへんが、やたらと巧い。
3人を取り巻く環境や職場、家族、友人…そういうものが伏線として
ちゃんとあったからこそ、最後のシーンが生きてくるのだ。
登場人物達へ、いつのまにか感情移入しているせいで
じわりじわりと追い詰められて行く、その部分を読み進む内に
読むこと自体が辛くなってくる。
皆、ごく普通の人たちだからこその転落劇。
後書きにもあるように、こういう「群像劇」スタイルの作品は
全く違う人たちの話が個別に進み
出会い頭に、それこそ衝突するかのごとく ストーリーが流れ走って行く様が、面白い。
そういう意味では、この「最悪」は充分に面白かった。
確かに「最悪」ではあったけど、救いようのない終わり方ではなかったので後味も悪くない。
650ページもあるのに退屈させられなかった。
次の「邪魔」も、早速読みたくなるほどに。
評価の高かったこの本をチョイス。
小さな鉄工所を営む社長川谷。
銀行員のみどり。
毎日をつまらなく過ごすプータローの和也。
読み始めは、この3人のあまりにも普通な日常が淡々と語られる。
でも、その分リアルに感じられて どんどんと3人の人間そのものが
自分の脳内で、映像化されてしまう程長々と続く。
これが後半、3人が出会ったとたんに 急速に加速して
緊迫感に変わってくる。
このへんが、やたらと巧い。
3人を取り巻く環境や職場、家族、友人…そういうものが伏線として
ちゃんとあったからこそ、最後のシーンが生きてくるのだ。
登場人物達へ、いつのまにか感情移入しているせいで
じわりじわりと追い詰められて行く、その部分を読み進む内に
読むこと自体が辛くなってくる。
皆、ごく普通の人たちだからこその転落劇。
後書きにもあるように、こういう「群像劇」スタイルの作品は
全く違う人たちの話が個別に進み
出会い頭に、それこそ衝突するかのごとく ストーリーが流れ走って行く様が、面白い。
そういう意味では、この「最悪」は充分に面白かった。
確かに「最悪」ではあったけど、救いようのない終わり方ではなかったので後味も悪くない。
650ページもあるのに退屈させられなかった。
次の「邪魔」も、早速読みたくなるほどに。
2019年5月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
もう少しスピードが欲しかった。面白さも半減です。