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風の歌を聴け (講談社文庫) 文庫 – 2004/9/15

5つ星のうち4.1 2,167個の評価

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村上春樹のデビュー作
1970年夏、あの日の風は、ものうく、ほろ苦く通りすぎていった。僕たちの夢は、もう戻りはしない――。群像新人賞を受賞したデビュー作

1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2004/9/15)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2004/9/15
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 168ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4062748703
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4062748704
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.8 x 0.7 x 14.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    5つ星のうち4.1 2,167個の評価

著者について

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村上 春樹
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1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。

1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。

カスタマーレビュー

星5つ中4.1つ
2,167グローバルレーティング

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お客様のご意見

お客様はこの小説について、以下のような評価をしています: 作品の瑞々しさが気に入ったという声が多くあります。村上春樹の傑作として挙げられています。ストーリーは面白く楽しめたと好評です。独創的な手法に溢れる小説で、情景が手に取るようにわかり、作家の意気込みを感じられたという声があります。読みやすさも評価されており、爽やかに読み通せたという意見もあります。また、語りかけてくる言葉や表現力も高く評価されています。

お客様の投稿に基づきAIで生成されたものです。カスタマーレビューは、お客様自身による感想や意見であり、Amazon.co.jpの見解を示すものではありません。

22人のお客様が「表現」について述べています。18肯定的4否定的

お客様はこの小説の瑞々しさを高く評価しています。村上春樹でいちばん好きな作品だと感じています。美しい文章と情景描写が上手く、文体が美しく、村上春樹のクラシックとして挙げられています。また、主人公の青春小説や情景描写が上手く、様々なことを考えることができるさわやかな作品だと感じているようです。

"...少し何かが起きて、ふわっと流れ去り、また何かが起きて流れる。雲のように浮遊感がある。それと昭和の香りが漂っている。懐かしい感じだ。心の中の何か石のようなものが、長らくそこにあったものが、少し動いた。" もっと読む

"...はじめて読んだ時は、斬新な感動であった。年を経て読んでも、若い時代のほろ苦さ、二度と出会うことのない人達の思い出、喪失感と切なさ、これらを見事に描いていると思う。文章は荒削りで完成されたものではないが、ハッとさせる村上ワールドは健在である。..." もっと読む

"比喩を多用した文体に苦手意識があったが、これは爽やかに読み通せた。この作品の瑞々しさが気に入った。入門書みたいなものかもしれない。" もっと読む

"...それまで小説を書いたこともなかったのに、新人賞に応募していきなり受賞してしまうという、才能を感じさせる作品。 本人は不完全な初期の作品として、あまりよく思ってはいないようだけれども、これが実質素人が初めて書いた小説かと思うと驚きを隠せない。..." もっと読む

19人のお客様が「ストーリー」について述べています。15肯定的4否定的

お客様はこの小説について、内容が面白く楽しめたと評価しています。斬新な感動があり、独創的な手法に溢れる小説だと感じています。村上節を楽しめる人向けで、情景が手に取るようにわかり、作家の意気込みを感じられたという声もあります。また、文学史に残る一冊であり、懐かしい一冊だと感じているようです。

"しばらく間をおいて、3回目の通読である。はじめて読んだ時は、斬新な感動であった。年を経て読んでも、若い時代のほろ苦さ、二度と出会うことのない人達の思い出、喪失感と切なさ、これらを見事に描いていると思う。文章は荒削りで完成されたものではないが、ハッとさせる村上ワールドは健在である。..." もっと読む

"村上節を楽しめる人向け。読んでて眠くなったので睡眠導入剤としては優秀か。" もっと読む

"本書をきっかけにして村上春樹の小説を乱読し始めた。 本書を読むまでは村上春樹を敬遠していた。だが、読み始めてびっくり。文才がすごい。 読ませる力って大事。簡潔で明瞭で、誘惑的。次のページが気になる仕掛けになっている。 これは人気作家にもなるわ、と納得。..." もっと読む

"...この小説、全編を貫く大事件はない。少し何かが起きて、ふわっと流れ去り、また何かが起きて流れる。雲のように浮遊感がある。それと昭和の香りが漂っている。懐かしい感じだ。心の中の何か石のようなものが、長らくそこにあったものが、少し動いた。" もっと読む

15人のお客様が「読みやすさ」について述べています。15肯定的0否定的

お客様はこの小説の読みやすさを高く評価しています。爽やかに読み通せたという声や、村上春樹の瑞々しさが気に入ったという意見があります。また、読ませる力が高く評価されており、読むと眠くなるほど魅力的だと感じています。村上節を楽しめる人向けで、睡眠導入剤としても優秀だと感じているようです。

"比喩を多用した文体に苦手意識があったが、これは爽やかに読み通せた。この作品の瑞々しさが気に入った。入門書みたいなものかもしれない。" もっと読む

"30代のごろ夢中で読んだ本をキンドルで読み直していますが読みやすくて助かります。" もっと読む

"村上節を楽しめる人向け。読んでて眠くなったので睡眠導入剤としては優秀か。" もっと読む

"村上春樹の作品は、どぎついセックス描写があることが、しばしばあるが、この作品は、その点、爽やかに書かれている。" もっと読む

13人のお客様が「文章」について述べています。10肯定的3否定的

お客様はこの小説について、以下のような評価をしています: 文章が個性的で、作家の意気込みを感じられ、本当に選ばれた言葉だと感じています。また、語りかけてくるものがあり、非常にシャープな語り口だと考えているようです。一方で、物語は後に感動や反発をもたらさないという指摘もあります。

"30年近くぶりに読んだ。 当時はなんとなく文体がかっこつけてるなあというにおいを感じていたのだけど、今読むとそれは本当に選ばれた言葉なんだなということがわかる。これは年の功なのだろうか。 鼠くんを思い出した。そうだこんなんだったなあ。..." もっと読む

"...あとは冷えたワインにジャズと洒落た小道具、無意味な性描写、気の利いた比喩形容でクールな?世界観を演出するのがお約束。凝った形容は海外でウケるみたいね。 ストーリーは抽象的で軽く味気ない。けどこれも虚無感、刹那感の演出か。これらの技法が巧妙でかつては斬新だったのかな。..." もっと読む

"...「真実しかしゃべらないとしたら真実の価値な ど失くなってしまうかもしれない」 非常にシャープな語り口、言葉をよく知ってる作家である。" もっと読む

"完璧な文章などといったものは存在しない。 完璧な絶望が存在しないようにね。 これほど引き込まれる出だしに出会ったことはない。 村上春樹氏の処女作「風の歌を聴け」の第一文だ。..." もっと読む

4人のお客様が「心地よさ」について述べています。4肯定的0否定的

お客様はこの小説の心地よさを高く評価しています。総会で心地よい気持ちになれると感じており、野球のページから息がぴったりになるという声もあります。また、1979年の読み返した際の興奮も報告されています。

"なんだかよくわからないのですが、心地よいのです。 自分でも小説が書けそうな気がしてしまうのはなぜだろう。" もっと読む

"...なんだかよくわからないけど読み進んでいるうちに気付くとほろ酔い気分になっている。そう、ほろ酔いだ。頭がボーッとしちゃってる。 不思議な感覚だ。ハッキリ言って(私は鼠じゃないが、このフレーズはよく使う)大したことは書いてないのに、酔っぱらう。確かに雰囲気小説とは言い得て妙かもしれない。..." もっと読む

"...最初読んだ時は、こんなものかな、と思いましたが、何度読み返しても、色褪せません。昨日は1979年のを読み返しました。野球のページからで、息もぴったり。今回も最後まで読めませんでした。一生かけてでも、全部、読み返す所存です。" もっと読む

"...相変わらずストーリーは明確ではなく、つかみどころのない小説であるが、なぜか不思議と総会で心地よい気持ちになれる。 そして一番感じたことが、現在日本の小説界を代表する作家である伊坂幸太郎が彼の影響を多大に受けているであろうと言うこと。..." もっと読む

3人のお客様が「懐かしさ」について述べています。3肯定的0否定的

お客様はこの作品について、懐かしい感じと懐かしさを感じているようです。村上春樹のクラシックとして評価されており、村上春樹のすべてが詰まっていると考えています。

"これぞ村上春樹のクラシック、村上春樹のすべてが詰まってます。" もっと読む

"懐かしい一冊です。 私の中では、一番、村上春樹を感じる一冊かな。" もっと読む

"懐かしい感じ..." もっと読む

これは帽子?ボアに飲みこまれた象でしょ!のメタファー小説!!
星5つ中5つ
これは帽子?ボアに飲みこまれた象でしょ!のメタファー小説!!
※ネタバレあります。 本作を読んだのは21世紀に入って、30歳前後のこと。ストーリー設定の季節と合わせて真夏の8月、エアコンつけずに家で読む。それまでに読んでいたハルキ作品は「ノルウェイの森」と短編を幾つかのみ。 1回目。 冒頭の『完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。』は「どんな窮地・死地にも救い・希望はある」の逆説的な作者流言い換えで、上手いな面白そうだなと惹きつけられたけど、いざ本編(2章~)が始まったら...どうしよう、オモシロくない。情景描写があっさりしてて変に凝ってないのは好感が持てるけど、文体と断片(章)のリズムがいまいち合わない。そもそも主人公の性格としゃべり方がなんかイラッとする。こんなアンニュイで芝居がかった(と感じた)話し方するヤツ1970年前後ならおるんか?今なら女にモテんやろ~などと思いつつ数時間でサラ~ッと読了。ひと夏の青春なんてまあこんなもんかもなあ、みんな心に痛みを抱えながらも出さないだけだしなあ、そこの心情を描くのはハルキっぽいかも、まあ処女作だし、その時代の空気感や音楽・金言などは少しは学べたし良しとしよう、という感じだった。 しかし、何か引っかかるものがある。いや待て待て。主人公のこんな性格・話っぷりは「ノルウェイの森」でも同じ。それになんと言っても村上春樹だ。深い何かがあるのに自分が読み込めてないだけかもしれないと思い直す。1ページ目の「例えば象(象徴)について何かが書けたとしても、象使いについては何も書けないかもしれない。」のくだりだって多分、「星の王子さま」へのオマージュだ。帽子を描いていると見せかけて、ボアに飲み込まれた象を隠している、というヒントの気がした。ネームバリューに半ばわざと騙されてみて、すぐにもう1度読み返す。 2回目。 主人公の性格・セリフに慣れてきた(笑)1回目ほどにはムカつかない。そこで気付く。この主人公はわざと加点方式の性格設定にされているのではないかと。主人公に共感・感情移入してストーリーを楽しんでしまうと、ああオモシロかったで終わってしまい、2回目を読もうとはあまりならない。読んだとしても、物語のアラや主人公に共感できない部分が増えてくる、減点方式の読み方になる、感動もどうしたって初めてよりは薄くなる、のが人間の真理。でも出だしの印象が悪いと後は上がるだけ、イヤなヤツがやさしいとこ見せると意外といいヤツだなという心理が働くように、そうなるように作者が仕掛けた主人公の話し方なんじゃないだろうか?そこで読み手をふるいにかけてる可能性はないか?と考えてみる。1章に「必要なものは感性ではなく『ものさし』」と書いてあるし、物語・主人公と距離を取り、イヤなやつだとか感情的にならずに、冷静かつ分析的に読み進めようという気持ちになる。 たぶん合ってると思った。4本指の女が最初は主人公を激しく嫌悪していたのに途中から好意を持ち出すのもヒントだと思う。読者もそうリードするための。そして、これは現実の女性にも当てはまる、あるあるリアリティ。まるで星の王子さまの故郷の星B612在住のトゲが4つある花のように、機嫌悪かったのにそんなこと忘れたかのようにゴキゲンになったり、イニシアティブを取るためなのか何なのか、恋愛関係の出だしにおいてツンデレ的になんか怒ってるけど、ある時を境に急にフレンドリーかつラブラブ感出してくる女性パターンは、個人的には何度か経験した(笑)この主人公に○イパーの疑いをかけている設定なのも、最低まで落としといて後は上げるだけのテクニック。4本指の女は読者にも主人公を下げ→上げにするための役割も担ってる、などとストーリーと一定の距離を保ちつつ2回目も数時間で読了。 そこで、後半部分の34章のある箇所が妙に気になり始める。過去に付き合ってた彼女に『嘘つき!』と言われ、それを受けて『僕はひとつしか嘘をつかなかった』という章終わりの一文。同章の冒頭の嘘に対する考察なども相まって、直感的にこの章終わりの断言はヒントだと思った。この物語の中には人間関係におけるやさしい嘘や、自分を正当化しているかもしれない嘘など、数々の嘘が散りばめられている。その中に決定的に嘘だと断言できる嘘がひとつだけある=僕はひとつしか嘘をつかなかった=探せ!という意味じゃないだろうか、という考えに私は囚われ、興奮し始める。村上春樹からの挑戦に自分は気付いたんじゃないだろうかと。 3回目。 すぐさま今度は飛ばし読みで、嘘だと断言できる箇所を探し始める。主人公はやっぱりヤッたんじゃないだろうか、本当は葉書を読んだんじゃないだろうか、とすると主人公は女が手術をする予定なのを知っていた?、相手はもしかして鼠だったのか?鼠の相談てそれか?、いやいや単にバーで会った女の年齢を若くリップサービスしたことかもしれん、単に34章の交際相手と結婚する気なんかなかったことに直接かかってるだけかもしれんなどとウダウダ嘘を探しまくった。そもそも考え過ぎか?決定的に嘘だと断言できる箇所など本当はないのかも、ハルキの意図はそこにないのかも、いやいやこの書き方は経験かつ直感では絶対にウソを探せ!だ。それは信じたけど、こういう時はひと晩眠って間を置いたら、翌日閃いたりするので、探すのを一旦やめて持ち越すことにした。 4回目。 翌朝から今度は本に書き込みをしつつ、ラストから一行ずつ逆に読んで、読み解こうと試みる(私は気にいった本ならよくこうやる)。わからない。どれだけ考えてもどこが決定的な嘘か見えてこない。どこも嘘に見える。もうすっかりハルキワールドの虜である。降参。しょうがないからネット検索してみることにした。すると...デレク・ハートフィールド!!おまえが嘘か~い(笑)架空の作家かよ!ったく研究者や引用まで用意しやがって!やられた!たしかに決定的な嘘だ。たしかに作者としての僕は、本作でひとつしか嘘をついていない(他のウソは僕=主人公かと)。これ現代ならともかく、ネットが普及してなかった20世紀には、見抜ける読者ほとんどいなかったんじゃないですかねえ。アメリカ文学に詳しい研究者や文学者でもそんな作家いないと断言できたかどうか。本屋や図書館でハートを探す人がいっぱいいたっていう逸話もなんかわかる。ったく人を喰った話だ。本作は『ウォーリーを探せ』だと思った。嘘を探させるのが作者の意図だ。本作は二重構造になっている。ひと粒で二度楽しめる。エッシャーのだまし絵のようなことを小説で表現している。オシャレな文体や音楽、アフォリズムなどは修飾にすぎない!読者が「ハートフィールド=架空作家」という情報を事前に知っているか否か、『僕はひとつしか嘘をつかなかった』のくだりで嘘を探す気になる性格かどうかで、本作の面白さは格段に違ってくる!これが村上春樹かあ~、こ~ゆ~ことするヤツなのかあ~、と騙されたことや主人公に対する嫌悪感などとっくになくなり、虚を衝かれた私の心のガードはすっかり外れてしまった。すこぶる爽快・痛快な気持ちだった。 5回目 「はじめの一歩」風に言えば、視覚外・意識の外から打たれたパンチによって、ガードの外れた素のままであろう私は、なんとなくパラパラとまた本作を飛ばし読む(言わば力の抜けた1番自然体な状態=これがたぶん最も大事。嘘を見破ってやろうという我欲がない=もうウソはないだろうと無意識に思い込んだ、無我の境地に近い)。そこでまた気付いた。後半32章のハートフィールドのくだりの部分だ。彼の作品ということに作中ではなっている『火星の井戸』の一部分、ここの井戸の中を彷徨う描写はおそらく「産道」の比喩だろうな、とは初見で思っていた。それだけじゃなかった。私は不意に猛烈な恐怖に襲われた。真夏なのに鳥肌が立った。何かがわかった・伝わってきた気がした。その怖さの正体を初めて言葉で理解し始めた。もしかして、私は母の胎内から産まれて、初めて外に出た瞬間、怖かったのか???その恐怖で産声の泣き声を上げたのか??まるで星の王子さまのラストシーンを彷彿させるような、火星の荒野で太陽と風しかいない描写に飲み込まれて、覚えているはずのない、その感情の絶対的な孤独を思い出した気がした。この箇所を書いた時の作者にシンクロした気がした。おそらくはテクニカル的にわざとガードの外された私に、直感的かつまっさらな素直さで、文章の言霊が入ってくる。産道の比喩?今まで嘘の箇所を探して彷徨ってたのは産みの苦しみ?産まれ落ちたら風しか話し相手がいない孤独?『母体から切り離されて産まれ落ちた時に赤ん坊は孤独のさみしさ・怖さで泣く説』はたしかに何かで聞いたことはあった。その予備知識も手伝ってるとは思うけど...もしかしてハルキはここの文章で産まれた瞬間の絶望的な孤独を読者に再体験させようとしている?風の歌を聴けって産まれた時の怖さをもう1度感じろって意味?産まれ直し?この「火星の井戸」のくだりはよく読めば、「細かいところは忘れてしまったが、大まかな筋だけをここに記す。」とはっきりヒントが書いてある。引用じゃなくて筋を思い出して書いた設定、つまりハルキの創作物である。見落としていた。タイトルはボブ・ディランへのオマージュでよいにしても、タイトルに掛かる重要なテーマの部分がハートからの借り物であるはずがない。ネットなんて必要なかった。本文にハートフィールド=嘘だとわかるようにちゃんと書いてある。嘘を探させ、その疑似体験的産みの苦しみの先に嘘だとわかる箇所を発見させ、しかもそこを掘れば何か(テーマ)が隠されている。本作は三重構造だ。私は村上春樹が怖い、とも感じた。全身で。産道の比喩や産まれた時の孤独を表現しようとする作家は他にもいるかもしれない。しかしもし、その孤独の怖さを読者に再体験させるためにわざと嘘を探させ、遠回りさせ、苦労の先に嘘だと気付いた時に心のガードを外させるのも計算だったとしたら?それをさせるための手順や連想言葉、テクニカルタームがものさし的に作中で並び変えられ、お経やある種の呪文のように読者をある精神状態に導くように配置されているとしたら?だから断片章を並べ変えた?そんなこと考えつくやついるか?私はそれまで考えたこともなかった。未知の恐怖だ。人間は知らないものに恐怖を覚える。もしかして作者への怖さを産まれた時の怖さを思い出させるためのフックに使ってるんじゃあるまいな。吊り橋効果で恋愛感情を持たせるかのように。中原中也が覚えているはずのない自身の幼児の頃の記憶にまで作品モチーフを求め始めたのは危険、というような趣旨の考察を何かで読んだ覚えがある。春樹はそれすら越えて産まれた時の感情まで表現しようとした、しかもそれとは簡単に読者にたどりつけないように。以上のようなことが脳内でグチャグチャにはげしく混じりあい、私はしばらく呆然としてしまった。私は村上春樹が怖い。 ここまでは私の考えすぎかもしれない。でも、作者が嘘まみれの中に1つだけ「嘘の白状=本当」を仕込み、その本当をカモフラージュにして、更にその下に何かを埋め込んだのは間違いないと思う。言わばこれも加点方式、嘘まみれの作品と見せかけて真実を仕込む、その真実は読者それぞれで違うものだから、真実を見つけたその読者にとってそれは絶対に嘘にはならない。これは作品として、時代を超えて読み継がれるために、恐ろしく考え抜かれた手段だと思う。作者は最初から本作を名作にする気マンマン!ギリシャ人が書いたものと同等と思ってるはず。 私には風の歌が聴こえた気がした。風と作者に「君は何を学んだ?」と問われて、私は「この世に産まれ落ちた時の絶望的な恐怖を思い出した。そして、その恐怖をもう1度感じ、言葉で理解し、表現できたので、今までよりはずいぶん孤独が怖くなくなった」と答える。そう錯覚できた。そして読者ごとに、その学んだ答えは違うんだと思う。 1章に「必要なものは感性ではなく、ものさしだ。」と書いてあるけど、ひっかけだと思う。文章や人生・人や物語との距離を確認するものさしも必要だけど、最初と最後はやっぱり感性だと私は思う。ウォーリーを探せどころじゃなかった。さながらゴール・D・ロジャー、「この世の全てをそこに置いてきた!探せ!」のように感じられた。アルケミストのように宝物はスタート地点にあった。私は2日間に渡って本作を思う存分に楽しんだ。スピード命の現代で、じっくり何度も読もうとする人はなかなかいないのかもしれない。でも名作と呼ばれる作品には隠された何かがあることって多いと思う。しかも本作は2作目以降にもつながっていくので、四重構造以上になっている。1度読んだだけで判断するのはもったいない。逆から読んでみたり、声に出して朗読してみたりすると、物語の意外な姿が現れるって名作には割とある(ex.山崎ナオコーラの「人のセックスを笑うな」とか。これ、主人公が実は恋人と友人に裏切られ、笑われている可能性が、作品中であちこち示唆されている。だのに大抵の読者は気付いていない。インスタグラムでの縦読みとか、悪意を仄めかし続けて相手の精神を病ますモラハラなどにも通じる技)。 追記(2021/08/26) 他にも予備知識として、谷川俊太郎の「二十億光年の孤独」は何度か読んだことがあった(卒アルに載ってる笑)。風の歌を聴いたのには、たぶんこれも心のどこかで作用していると思う。また本作を読み返してみて、風の歌をもう1度聴こうとしたけど...やっぱり初めて再体験した気分になった、あの時の感動はもう感じられない。あの境地・錯覚にはもう降りられない。自分なりの答えをもう知ってしまったから。再読してみたらやっぱりオモシロイし、それなりに気分が良くなったり、孤独や死を感じたりはする。細部でなら新たな気付きもある。昔の夏を想い出す。でも作者が本作で書いている通り「、みんないつ果てるともない甘い夏の夢だった。そしてある年の夏(いつだっただろう?)、夢は二度と戻って来なかった。」にもなってしまった。何人もの読者が言ってる通り、気の抜けたビールめいたものも感じる。何かが足りないのだ、自分の中に。それでもいいさ、たった1度だけでもあの感覚を思い出し、それを言葉で記憶することができたんだから。 (更に追記) 本作でネットを使わず誰にも訊ねずに、ハートフィールドが架空の作家だと気付き、それを断言できる証拠がある32章(火星の井戸)にたどり着き、そこを堀り進んで自分だけの風の歌を聴いた人がうらやましい。私とはまた違った心象風景が見える人なのかもしれない。「嘘だと言ってくれないか(鼠)?」・「本当のことを聞きたい(女)?」・「そういったお名前ではどうも電話帳には載っておりません(交換手)」→そういったお名前では、というところが良い(僕)などなど、これらはハートフィールド=嘘に気付け、という伏線なんでしょうね(笑)純文学も中には、推理小説に近いものもあると思う。犯人(テーマ)に到達するためのヒントが散りばめられている。純文学がズルイのは、必ずしも犯人がわからなくてもよいところ。まあ研究論文なんかも結果が弱くても、途中まで証明できた過程をまとめて、続きは次回に持ち越しってことで発表するって聞いたことあるけど。 人間は母親の胎内にいる時に羊水の対流は感じても、外界の空気(風)を感じることはできないはず。産まれ落ちて初めて、外の風に触れることができると思う。ハルキが龍の「コインロッカー・ベイビーズ」を絶賛しているのは、産まれた瞬間の孤独さえ越えて、母体の中でずっと聞いていた母親の心臓の鼓動にまで遡り、そのビートで物語が駆動しているからじゃないだろうか。小説で大切なのはリズムです。本作は章が並び変えられてるのもあって、リズムほぼないけど(笑)! (2021/12/06)追記 ある人にヒントをもらった。初期の短編「踊る小人」に出てくる「象工場」が何のメタファー(象意)かを。ということは、本作の「例えば象について何かが書けたとしても、象使いについては何も書けないかもしれない。」のくだりも、星の王子さまへのオマージュの他にメタファーがあることになる。デレク・ハートフィールドもただの架空作家ではないことになる。読みがまだまだ甘かった。反省。一生読書で遊べそう。
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2025年1月13日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    ハートフィールドが実在しないと分かった時は心底驚きました。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2025年3月23日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    高橋源一郎さんがこの小説が出た時に、やられた!と思ったという記事をどこかで読んだことがある。何についてそう思ったは書いてなかった(はず)。ラジオのDJが突然挿入される辺りは、高橋さんの作品にもあったと思うが、そうした見える形式ではなく、小説に含まれるエッセンスについてのコメントだろうと推測する。この小説、全編を貫く大事件はない。少し何かが起きて、ふわっと流れ去り、また何かが起きて流れる。雲のように浮遊感がある。それと昭和の香りが漂っている。懐かしい感じだ。心の中の何か石のようなものが、長らくそこにあったものが、少し動いた。
  • 2025年4月10日に日本でレビュー済み
    村上春樹作品を初めて読みました。
    テンポがよく短編のため、あっという間に読み終えました。
    帰省した大学生のひと夏の話でしたが、特に出色とは感じませんでした。
  • 2024年10月18日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    子供が読書感想文を忘れていて、慌てて買った本。
    短くてすごく助かったらしいです…
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2024年8月12日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    すごく気になって、即買いにも
    対応してくれる、ありがたい!
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2024年7月5日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    こちらの原作もクールですね
    言ってることの自己矛盾を知りつつ、英語とのギャップが無い

    商品も丁寧な配達でした
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2024年3月18日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    正に僕らが生きた時代、場所がここにある。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2025年2月18日に日本でレビュー済み
    ★3.2/累計2216冊目/2025年15冊目/2月4冊目/『風の歌を聴け』(講談社文庫/講談社)/村上 春樹/P.168/2004年/381円+税 #読書 #読書2025 #読了 #読了2025
    ん〜、よく分からなかった。自叙伝なのか、空想なのか?アートのように何か「良さ」を感じるタイミングも見つけられなかった。読者に何を伝えたかったんだろう?ーー「何かを持っている奴はいつか失くすんじゃないかってびくついているし、何も持っていない奴は永遠に何も持ってないんじゃないかと心配してる。みんな同じさ。だから早くそれに気づいた人間がほんの少しでも強くなろうって努力すべきなんだ。フリをするだけでもいい。そうだろ?強い人間なんでどこにもいやしない。強いふりのできる人間がいるだけさ」p121
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート