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噂の娘 (講談社文庫 か 10-5) 文庫 – 2004/12/1
金井 美恵子
(著)
鮮やかな記憶の破片 重なるあの日の心情
遠いどこかの街で父親が入院し、母は私と弟を、懇意の美容院に預けて旅立つ。50年代のどこか、夏から秋にかけての数日間を女ばかりが暮らすその家で過ごす私は、漠然とした不安に発熱する。おびただしい噂話、錯綜する記憶、懐かしい物が織りなす重層的な映像(イマージュ)。時間と感覚を縦横に描く繊細にして強靭な長編。
遠いどこかの街で父親が入院し、母は私と弟を、懇意の美容院に預けて旅立つ。50年代のどこか、夏から秋にかけての数日間を女ばかりが暮らすその家で過ごす私は、漠然とした不安に発熱する。おびただしい噂話、錯綜する記憶、懐かしい物が織りなす重層的な映像(イマージュ)。時間と感覚を縦横に描く繊細にして強靭な長編。
- 本の長さ400ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2004/12/1
- ISBN-104062749513
- ISBN-13978-4062749510
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2004/12/1)
- 発売日 : 2004/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 400ページ
- ISBN-10 : 4062749513
- ISBN-13 : 978-4062749510
- Amazon 売れ筋ランキング: - 664,242位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
美しい小説だ。物語その物ではなく語ること自体が美しい小説になっている。静かに語られる数珠繋ぎの語りその物が読んでいる者を酔わせてくれる。
2007年7月23日に日本でレビュー済み
夏になると読みたくなる作品。
懐かしい少女時代の夏の思い出が甦ってくるようです。
父が入院したために知り合いの美容院に弟と一緒に預けられ、そこで夏の暫くの時間を過ごす「私」。
両親と離れて生活をする心細さと 大人の女性ばかりの環境という非日常の感覚が、
とてもリアルに伝わってきます。
まだ私自身、生まれていない時代設定なのに、この作品の中を流れる感覚は
何故だか懐かしく共感できてしまう。
漠然と感じる不安や不機嫌さなどの少女感覚は不変なのでしょうね。
物語の中で「私」が読む少女小説『秘密の花園』がとても良いです。
実際に私が今、少女の年齢だったら背伸びして読んでみたい。
懐かしい少女時代の夏の思い出が甦ってくるようです。
父が入院したために知り合いの美容院に弟と一緒に預けられ、そこで夏の暫くの時間を過ごす「私」。
両親と離れて生活をする心細さと 大人の女性ばかりの環境という非日常の感覚が、
とてもリアルに伝わってきます。
まだ私自身、生まれていない時代設定なのに、この作品の中を流れる感覚は
何故だか懐かしく共感できてしまう。
漠然と感じる不安や不機嫌さなどの少女感覚は不変なのでしょうね。
物語の中で「私」が読む少女小説『秘密の花園』がとても良いです。
実際に私が今、少女の年齢だったら背伸びして読んでみたい。
2011年12月16日に日本でレビュー済み
父親が病気で入院したために、母親が付き添いで看病することになった小学生の「私」は、弟と共に美容室に預けられることになります。その美容室は経営者であるマダム、その母であるあばあちゃん、マダムの3人の娘、そして美容師見習いの2人の娘が暮らす大所帯で女の園なのですが、そこで暮らす数日間のドラマです。
筋書きなど比較的どうでも良く、実際に読んでみないと分からない面白さがあり、描写と人物とで魅せるドラマなんですが、言い回しの上手さ、細かなディティールの見事さ、メロドラマともいえそうな現実と虚構を交えた金井ワールドとしか言い表し難い世界が繰り広げられます。言葉を追うことで考えさせられ、思考してしまうことを予め充分理解した上での構成なのだろうと思わせる、緻密な文章の積み重ねと、視点を子供の「私」に置き、しかもその「私」が1950年代ごろを振り返った、という設定なので、どこかしら不明瞭な部分を残しつつも、しかし「記憶」という時の流れを経たことでより鮮明になる部分を絶妙の表現を用いていて良いです。私のように文章が長くなってしまう、という病気にも感染しますし。
とにかく、情景が、心情が非常に浮かび易く、しかもそのブレが読み手が誰であっても少なくなる文章の上手さと、『思考する』というあるいは『読む』という行為と『思い出す』という行為に共通する木漏れ日のような揺れ動き不鮮明な感じ、焦点を合わせる意識がないと不明瞭な、思い出すという行為が同居している文章と構成にやられます。この構成からして本当に上手いです、小さな頃の「私」を通して過去を思い出させている、という設定が素晴らしい効果をあげていると思います。しかも、語られる世界が1950年代であり、女だけの世界であることでの余計に閉じた世界が、もっとファンタジックになる可能性が高いにも関わらず、細かな描写の丁寧な積み重ねと、作者の小説内世界への『愛』を感じさせるのでファンタジックではなく、『小説というリアル』を感じます。
狭い世界の僅か数日の出来事を振り返るだけなのですが、それだけのことの中にこんなにも刺激的で、豊かな世界があることに驚かされます。
話題も、映画、音楽、芸能、洋服、美容、生活、文化、そして噂という女子の為の女子の作品なんでしょうけれど、男の私からすれば、だからなんなのか?という世界でもありますけれど、しかし、その世界の緻密さ、その時々の感情の細かな揺らめきのようなものを繊細に、そして時にここまでも!というくらい深く心の中の曲がりくねった底まで見透すような描写は、少し怖く感じさせる部分もあります。思うに、女性のその場に共感するチカラ、いわゆる「噂」という不確定なモノに対しての想像のヒロガリの大きさと同居するディティールの細かさまでも、文章で再現(どうしても表現という言葉よりも、臨場感持った再現という形容がより近いように個人的には感じられました)されていて、そこも驚愕します。
文系女子の方にオススメ致します。
筋書きなど比較的どうでも良く、実際に読んでみないと分からない面白さがあり、描写と人物とで魅せるドラマなんですが、言い回しの上手さ、細かなディティールの見事さ、メロドラマともいえそうな現実と虚構を交えた金井ワールドとしか言い表し難い世界が繰り広げられます。言葉を追うことで考えさせられ、思考してしまうことを予め充分理解した上での構成なのだろうと思わせる、緻密な文章の積み重ねと、視点を子供の「私」に置き、しかもその「私」が1950年代ごろを振り返った、という設定なので、どこかしら不明瞭な部分を残しつつも、しかし「記憶」という時の流れを経たことでより鮮明になる部分を絶妙の表現を用いていて良いです。私のように文章が長くなってしまう、という病気にも感染しますし。
とにかく、情景が、心情が非常に浮かび易く、しかもそのブレが読み手が誰であっても少なくなる文章の上手さと、『思考する』というあるいは『読む』という行為と『思い出す』という行為に共通する木漏れ日のような揺れ動き不鮮明な感じ、焦点を合わせる意識がないと不明瞭な、思い出すという行為が同居している文章と構成にやられます。この構成からして本当に上手いです、小さな頃の「私」を通して過去を思い出させている、という設定が素晴らしい効果をあげていると思います。しかも、語られる世界が1950年代であり、女だけの世界であることでの余計に閉じた世界が、もっとファンタジックになる可能性が高いにも関わらず、細かな描写の丁寧な積み重ねと、作者の小説内世界への『愛』を感じさせるのでファンタジックではなく、『小説というリアル』を感じます。
狭い世界の僅か数日の出来事を振り返るだけなのですが、それだけのことの中にこんなにも刺激的で、豊かな世界があることに驚かされます。
話題も、映画、音楽、芸能、洋服、美容、生活、文化、そして噂という女子の為の女子の作品なんでしょうけれど、男の私からすれば、だからなんなのか?という世界でもありますけれど、しかし、その世界の緻密さ、その時々の感情の細かな揺らめきのようなものを繊細に、そして時にここまでも!というくらい深く心の中の曲がりくねった底まで見透すような描写は、少し怖く感じさせる部分もあります。思うに、女性のその場に共感するチカラ、いわゆる「噂」という不確定なモノに対しての想像のヒロガリの大きさと同居するディティールの細かさまでも、文章で再現(どうしても表現という言葉よりも、臨場感持った再現という形容がより近いように個人的には感じられました)されていて、そこも驚愕します。
文系女子の方にオススメ致します。
2002年4月21日に日本でレビュー済み
舞台は昭和20年代中頃の、とある地方都市。テレビはまだなく、映画が娯楽の王様だった頃の話である。小学生の女の子とその弟が、母の知り合いのモナミ美容院に預けられる、暑い夏のごく短い期間の、長い長い話。美容院の三姉妹ほか登場人物達が揃いも揃って喋る、喋る。ページからそんなにぎやかな声が聞こえてくる。ともかく饒舌。ともかくワンセンテンスが長い。
作者は、さまざまなシーンを、言葉で映像のように目まぐるしく書き綴る。商品名、店名など名詞の氾濫。だが、読むにつれ、その商店街の全貌がおぼろげながら見え出してくる。
主人公の女の子が目を真ん丸に見開いて、耳なんかもダンボのように大きくなって大人の会話を聞いている。母親のこと、父親のこと、祖父母のことから東西の映画スターや近所のゴシップ。お姉さんたちのお化粧道具や流行のヘアスタイルやファッションをじっと観察しているのだろう。
少女は愛読しているバーネットの『秘密の花園』のように、日常生活の中に隠されていることを探り、謎に巻き込まれることに悦に入っているようだ。
しかし、単なるノスタルジックな物語で終わっていないところに、作者の言葉を紡ぎ出す行為の年季みたいなものを感じる。昔、新潮文庫で読んだ処女作『愛の生活』以来の文学少女のスピリチュアリティ、健在といったとこだろうか。書かずにはいられなかった作品なのだろう、勝手な推測だが。
昔の日本映画、今なら『冬冬の夏休み』や『童年往時』などといったホウ・シャオエン監督あたりの映画と妙にシンクロしている。
最初は読むのが辛かった文体も、じきに苦にならなくなり、少女と同じように耳を大きくして読んでいた。テキストを読む快楽を、たっぷりと味わせてくれる。みずみずしい読後感が残った。過ぎ去った子どもの頃の夏の日が蜃気楼のようにゆらゆらと甦る。
作者は、さまざまなシーンを、言葉で映像のように目まぐるしく書き綴る。商品名、店名など名詞の氾濫。だが、読むにつれ、その商店街の全貌がおぼろげながら見え出してくる。
主人公の女の子が目を真ん丸に見開いて、耳なんかもダンボのように大きくなって大人の会話を聞いている。母親のこと、父親のこと、祖父母のことから東西の映画スターや近所のゴシップ。お姉さんたちのお化粧道具や流行のヘアスタイルやファッションをじっと観察しているのだろう。
少女は愛読しているバーネットの『秘密の花園』のように、日常生活の中に隠されていることを探り、謎に巻き込まれることに悦に入っているようだ。
しかし、単なるノスタルジックな物語で終わっていないところに、作者の言葉を紡ぎ出す行為の年季みたいなものを感じる。昔、新潮文庫で読んだ処女作『愛の生活』以来の文学少女のスピリチュアリティ、健在といったとこだろうか。書かずにはいられなかった作品なのだろう、勝手な推測だが。
昔の日本映画、今なら『冬冬の夏休み』や『童年往時』などといったホウ・シャオエン監督あたりの映画と妙にシンクロしている。
最初は読むのが辛かった文体も、じきに苦にならなくなり、少女と同じように耳を大きくして読んでいた。テキストを読む快楽を、たっぷりと味わせてくれる。みずみずしい読後感が残った。過ぎ去った子どもの頃の夏の日が蜃気楼のようにゆらゆらと甦る。