個人的な陰陽師にたいするイメージが、この作品でまた覆りました。
ちなみに、個人的な陰陽師イメージの変遷
夢枕獏『陰陽師』→荒俣宏『帝都物語』→京極夏彦『姑獲鳥の夏』→『QED 式の密室』
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QED 式の密室 (講談社文庫) 文庫 – 2005/3/15
高田 崇史
(著)
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式神(しきがみ)による殺人?歴史の闇に挑む崇(タタル)
「陰陽師の末裔」弓削(ゆげ)家の当主、清隆が密室で変死体となって発見された。事件は自殺として処理されたが、30年を経て、孫の弓削和哉は「目に見えない式神による殺人」説を主張する。彼の相談を受けた桑原崇(くわばらたかし)は事件を解決に導くと同時に「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体を解き明かす。 好調第5弾!
「陰陽師の末裔」弓削(ゆげ)家の当主、清隆が密室で変死体となって発見された。事件は自殺として処理されたが、30年を経て、孫の弓削和哉は「目に見えない式神による殺人」説を主張する。彼の相談を受けた桑原崇(くわばらたかし)は事件を解決に導くと同時に「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体を解き明かす。 好調第5弾!
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/3/15
- 寸法10.8 x 0.9 x 14.8 cm
- ISBN-104062750260
- ISBN-13978-4062750264
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/3/15)
- 発売日 : 2005/3/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 240ページ
- ISBN-10 : 4062750260
- ISBN-13 : 978-4062750264
- 寸法 : 10.8 x 0.9 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 412,996位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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昭和33年東京都生まれ。明治薬科大学卒。『QED 百人一首の呪』(講談社ノベルス)で、第9回メフィスト賞を受賞しデビュー(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『鬼神伝』(ISBN-10:4061827359)が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年11月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
殺人事件の謎解きに絡めて
日本の歴史の蘊蓄を熱く語るシリーズ第五弾。
前の東照宮と次の竹取物語のつなぎとして扱われたか、
本としてかなり薄く、そのぶん内容がコンパクトになっています。
事件の謎が最も無理のない作品でもあり、
歴史で語られる”人とみなされなかった存在”についての蘊蓄も
無理がなく感じました。
日本の歴史の蘊蓄を熱く語るシリーズ第五弾。
前の東照宮と次の竹取物語のつなぎとして扱われたか、
本としてかなり薄く、そのぶん内容がコンパクトになっています。
事件の謎が最も無理のない作品でもあり、
歴史で語られる”人とみなされなかった存在”についての蘊蓄も
無理がなく感じました。
2017年7月6日に日本でレビュー済み
オーディブルで聞きました。
謎解きでは漢字と その読みがポイントになる場合が多いのに、オーディオブックでは全く意味不明になってしまいます。
純粋にオーディブル側の選択ミス、企画会議で もう少し考えるなり、脚注を配布するなりして頂きたいものです。
謎解きでは漢字と その読みがポイントになる場合が多いのに、オーディオブックでは全く意味不明になってしまいます。
純粋にオーディブル側の選択ミス、企画会議で もう少し考えるなり、脚注を配布するなりして頂きたいものです。
2008年12月16日に日本でレビュー済み
QEDシリーズ第5弾です。
文庫版で220ページ程と本シリーズの他作品と比べてかなり薄いですが、内容はかなり濃い目。
現代の事件の謎と、「呪」「怨」が絡む歴史的な謎を同時に解くのがこのシリーズの特徴ですが、タイトルの『式の密室』が示す通り、現代の殺人事件は密室殺人、歴史的な謎の方は「式」=「式神」、つまり陰陽師が使役する霊的存在に関する謎がメインです。
個人的にこのシリーズはとっくに推理小説・ミステリーとしては読んでいませんが、相変わらず歴史の話は面白くて、中途半端に安部清明の伝説やエピソード(例えば式神を使って蛙を殺したとか、一条戻橋の下に式神を隠していたとか)を知っている人にとってはかなりショッキングな内容でしょう。
薄い割に最もOEDっぽく、陰陽師に興味がある人は間違いなく一読の価値有りです。
文庫版で220ページ程と本シリーズの他作品と比べてかなり薄いですが、内容はかなり濃い目。
現代の事件の謎と、「呪」「怨」が絡む歴史的な謎を同時に解くのがこのシリーズの特徴ですが、タイトルの『式の密室』が示す通り、現代の殺人事件は密室殺人、歴史的な謎の方は「式」=「式神」、つまり陰陽師が使役する霊的存在に関する謎がメインです。
個人的にこのシリーズはとっくに推理小説・ミステリーとしては読んでいませんが、相変わらず歴史の話は面白くて、中途半端に安部清明の伝説やエピソード(例えば式神を使って蛙を殺したとか、一条戻橋の下に式神を隠していたとか)を知っている人にとってはかなりショッキングな内容でしょう。
薄い割に最もOEDっぽく、陰陽師に興味がある人は間違いなく一読の価値有りです。
2012年10月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何人かの作家が競作した「密室本」シリーズの一冊だそうで、そのためかすこし本が薄いです。
しかし高田流ともいうべき、古代史の底流に流れる謎と、現代の殺人事件の融合という作風は変わらず、今回も陰陽道の祖、晴明と式神にまつわる衝撃的な事実が読者を直撃、その末裔にあたる現代の陰陽道の旧家の殺人事件としてずしりとしたインパクトがあります。
桑原崇(タタル)と小松崎の学生時代の事件ということになっており、ふたりは、陰陽道の家の血をひく弓削という学生から、昔の祖父の密室殺人の謎を聞かされます。迷宮入りしてしまった事件で、そのあとで祖母も自殺、いまは、当時のお手伝いさんの恋人しか生存していません。「式」という目に見えない神を使役していた晴明のように、事件には人智を越えた何らかの力がかかわっていたのではないか?
タタルは弓削を補佐するようにして、この謎を解いてゆきます。
安倍晴明の時代がどんなものであったのか、彼の超常的な逸話の本当の意味は何だったのか。
タタルがその博覧強記と大胆な仮説で、歴史に埋もれた事実を掘り起こし、まったく新しい展望を開いてくれるQEDシリーズですが、今回も目から鱗が落ちました。同時に、ミステリアスな「式」が別の意味で、もっとミステリアスに感じられてきました。
必要な部分だけがコンパクトに濃縮されていて不足はないのですが、いつものように、奈々や外嶋、タタルたちの日常的なのんびりしたエピソードの「遊び」「ゆるみ」の部分があったほうが座りがよいような気もします。
ともあれ「式神」「狐」「稲荷」についてのこれまでの印象がすっかり覆される快感に浸れます。
しかし高田流ともいうべき、古代史の底流に流れる謎と、現代の殺人事件の融合という作風は変わらず、今回も陰陽道の祖、晴明と式神にまつわる衝撃的な事実が読者を直撃、その末裔にあたる現代の陰陽道の旧家の殺人事件としてずしりとしたインパクトがあります。
桑原崇(タタル)と小松崎の学生時代の事件ということになっており、ふたりは、陰陽道の家の血をひく弓削という学生から、昔の祖父の密室殺人の謎を聞かされます。迷宮入りしてしまった事件で、そのあとで祖母も自殺、いまは、当時のお手伝いさんの恋人しか生存していません。「式」という目に見えない神を使役していた晴明のように、事件には人智を越えた何らかの力がかかわっていたのではないか?
タタルは弓削を補佐するようにして、この謎を解いてゆきます。
安倍晴明の時代がどんなものであったのか、彼の超常的な逸話の本当の意味は何だったのか。
タタルがその博覧強記と大胆な仮説で、歴史に埋もれた事実を掘り起こし、まったく新しい展望を開いてくれるQEDシリーズですが、今回も目から鱗が落ちました。同時に、ミステリアスな「式」が別の意味で、もっとミステリアスに感じられてきました。
必要な部分だけがコンパクトに濃縮されていて不足はないのですが、いつものように、奈々や外嶋、タタルたちの日常的なのんびりしたエピソードの「遊び」「ゆるみ」の部分があったほうが座りがよいような気もします。
ともあれ「式神」「狐」「稲荷」についてのこれまでの印象がすっかり覆される快感に浸れます。
2002年9月15日に日本でレビュー済み
密室の中で式神に殺された(?)、過去の殺人事件の謎を解く。
殺人事件そのものより、安部晴明とは、どんな人だったのか、彼に係わる伝説を、謎とみたて、解いていくことが中心になってます。
本のボリュームが少ないこともあり、殺人事件のほうは、少しあっけなかったです。
殺人事件そのものより、安部晴明とは、どんな人だったのか、彼に係わる伝説を、謎とみたて、解いていくことが中心になってます。
本のボリュームが少ないこともあり、殺人事件のほうは、少しあっけなかったです。
2006年9月13日に日本でレビュー済み
これまでの作品に比べて薄いのですが…それもそのはず、この話はこの後の作品「竹取伝説」の前説なんですよ。
タタルさんと熊つ崎さんが学生時代のお話。二人の出会いのきっかけに…これまた殺人事件が絡んでいた…という。
「式」といえば「式神」…陰陽道=安倍晴明ですよね?
この本では安倍晴明と「式神」の謎に迫っています。一見荒唐無稽とも言える安倍晴明の誕生譚(彼の母は狐だというのが定説です)、彼が自在に操っていたその特殊能力や、式神の正体は果たして……。
短いながら、目から鱗が落ちまくりました。ええ、ポロポロと。わかってみれば何てことはないのですが…灯台下暗しというか、盲点というか、コロンブスの卵というか…。
まあ、ご一読くださいませ。
タタルさんと熊つ崎さんが学生時代のお話。二人の出会いのきっかけに…これまた殺人事件が絡んでいた…という。
「式」といえば「式神」…陰陽道=安倍晴明ですよね?
この本では安倍晴明と「式神」の謎に迫っています。一見荒唐無稽とも言える安倍晴明の誕生譚(彼の母は狐だというのが定説です)、彼が自在に操っていたその特殊能力や、式神の正体は果たして……。
短いながら、目から鱗が落ちまくりました。ええ、ポロポロと。わかってみれば何てことはないのですが…灯台下暗しというか、盲点というか、コロンブスの卵というか…。
まあ、ご一読くださいませ。
2022年6月8日に日本でレビュー済み
密室殺人事件が、陰陽道の式神に関わっているというものだが、実質は歴史の真相を明かすという歴史小説だ。
タタラなど豊かな資源があると問答無用で奪い取った大和朝廷。貴族たちにとって五位以上でない者は人でなく、その下に庶民がいて、貴族たちの横暴に立ち向かい敗れ去り、鬼、土蜘蛛、河童、狐、河原者がいて、そしてかれらとの境界線上に陰陽師がいた。貴族には見えず、安倍晴明たちが使役していた人々が式神だった。安倍晴明の母親が狐だったので、かれら裏の人々とのネットワークを得ることができたのだ。狐と関係がある稲荷神社は「丹(い)なり」なので、タタラと関係がある。鬼(隠)、狐、河原者などの漂泊の民ら被差別民への差別を助長したのは、朝廷に唯々諾々と従った庶民の咎なのであるというの指摘は痛いものではないだろうか。戦時中やコロナ禍での同調圧力は、まさしくこれなのだ。
タタラなど豊かな資源があると問答無用で奪い取った大和朝廷。貴族たちにとって五位以上でない者は人でなく、その下に庶民がいて、貴族たちの横暴に立ち向かい敗れ去り、鬼、土蜘蛛、河童、狐、河原者がいて、そしてかれらとの境界線上に陰陽師がいた。貴族には見えず、安倍晴明たちが使役していた人々が式神だった。安倍晴明の母親が狐だったので、かれら裏の人々とのネットワークを得ることができたのだ。狐と関係がある稲荷神社は「丹(い)なり」なので、タタラと関係がある。鬼(隠)、狐、河原者などの漂泊の民ら被差別民への差別を助長したのは、朝廷に唯々諾々と従った庶民の咎なのであるというの指摘は痛いものではないだろうか。戦時中やコロナ禍での同調圧力は、まさしくこれなのだ。