500字シリーズ
ドキュメント戦争広告代理店
この本は1992年から1995年まで続いたボスニア紛争(ボスニア・ヘルツェゴビナVSセルビア)を題材に、セルビアが世の中で悪者になっていく裏で、ボスニア・ヘルツェゴビナから依頼を受けて印象操作に動いていたアメリカのPR会社目線で書かれているよ。
(旧ユーゴスラビアについては下の方に少し書いておいたけどググるとみんはやで使えるかも?)
宗教対立、民族対立は中東、アフリカ等で今日も絶えず起きているけど日本で生きていると実感が難しい問題の一つだよね。
俺もニュース、本で見聞きはするけど実際に実感があるかと聞かれると多分ない。
戦争は、今のロシアやイラクのようにどこか特定の国が悪者のように報道、記録されることが多いけど、ソクラテスが言うように「誰ひとりとして悪を欲するものはいない」と思うんだ。
何かをするときに、これは悪いことだ→だからやろう!と思う人は確かにいない(少ない)よね。
人が人を傷つける/殺すことを擁護することは絶対にできないけど、みんなそれぞれが自分の正義のために戦っていてそれが逆に根深い問題となっているよ、言わずもがなだけど。
少なくともこの本を読んで旧ユーゴスラビア6カ国の場所は覚えられたし現在も対立が続いていることを認識できたからよかったかな。
文系科目から逃げた男の読書感想文
↓ここからはググった方がよりわかるよ。
旧ユーゴスラビア1943年から1992年まで存続した。
バルカン半島にありイタリアの東、ギリシャの北に位置する。
6つの共和国で構成される社会主義国家である(①スロベニア、②クロアチア、③セルビア、④ボスニア・ヘルツェゴビナ、⑤モンテネグロ、⑥マケドニア)
バルカン半島に沢山の国ができた一つの理由としては民族、宗教が大きな要素を占めているようで、旧ユーゴスラビアには5つの民族(スロベニア人、クロアチア人、セルビア人、マケドニア人、イスラム人)がおり、3つの宗教(カトリック、正教、イスラム教)がある。
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ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫) 文庫 – 2005/6/15
高木 徹
(著)
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- ISBN-104062750961
- ISBN-13978-4062750967
- 出版社講談社
- 発売日2005/6/15
- 言語日本語
- 寸法10.8 x 1.6 x 14.8 cm
- 本の長さ405ページ
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/6/15)
- 発売日 : 2005/6/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 405ページ
- ISBN-10 : 4062750961
- ISBN-13 : 978-4062750967
- 寸法 : 10.8 x 1.6 x 14.8 cm
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2022年7月4日に日本でレビュー済み
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2024年2月28日に日本でレビュー済み
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国家や企業の印象を操作するPR企業についてのドキュメンタリー作品
本書ではルーサーフィン社というアメリカのPR企業が、ボスニア紛争においてボスニアに有利な国際世論を形成していく様が書かれている
所謂、情報操作・プロパガンダ・ネガティブキャンペーンを報酬と引き換えに民間の企業が大真面目にやり、全く倫理を考慮せず手段を厭わないやり方は正にこの世の闇と言えるレベルである
端的に言えば、何も無いところからヘイトを作り出し、対立を煽り、侵略を正当化し、悪事を隠蔽する、といった汚い仕事を金のためにする正に情報の戦争屋と呼んで間違いないだろう
マスコミや情報機関による世論の誘導が少なからず良い方向に使われることもあるだろうが、多くの場合はこのような無意識レベルの印象操作によって戦争やイデオロギーの対立が作られてきたのだろう
マッケンジー将軍に仕掛けられた理不尽極まりない所業や、ヘイトの対象となった相手側の国民の損害などを考えるとかなり胸糞が悪い内容であった
怒りを感じるほど非道なやり方と、実際にそれによって簡単に誘導される世論を見て、こうも簡単に対立・争い・戦争が作り出され、一方で富を得る汚い人間がいる、そういう世の中の成り立ちがわかる一冊である
ウクライナ戦争、ゼレンスキー、西側メディアの論調、ロシアの情報統制などを連想させる部分も多く、今一度何が真実なのかを再考させられた
本書ではルーサーフィン社というアメリカのPR企業が、ボスニア紛争においてボスニアに有利な国際世論を形成していく様が書かれている
所謂、情報操作・プロパガンダ・ネガティブキャンペーンを報酬と引き換えに民間の企業が大真面目にやり、全く倫理を考慮せず手段を厭わないやり方は正にこの世の闇と言えるレベルである
端的に言えば、何も無いところからヘイトを作り出し、対立を煽り、侵略を正当化し、悪事を隠蔽する、といった汚い仕事を金のためにする正に情報の戦争屋と呼んで間違いないだろう
マスコミや情報機関による世論の誘導が少なからず良い方向に使われることもあるだろうが、多くの場合はこのような無意識レベルの印象操作によって戦争やイデオロギーの対立が作られてきたのだろう
マッケンジー将軍に仕掛けられた理不尽極まりない所業や、ヘイトの対象となった相手側の国民の損害などを考えるとかなり胸糞が悪い内容であった
怒りを感じるほど非道なやり方と、実際にそれによって簡単に誘導される世論を見て、こうも簡単に対立・争い・戦争が作り出され、一方で富を得る汚い人間がいる、そういう世の中の成り立ちがわかる一冊である
ウクライナ戦争、ゼレンスキー、西側メディアの論調、ロシアの情報統制などを連想させる部分も多く、今一度何が真実なのかを再考させられた
2022年11月2日に日本でレビュー済み
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ウクライナ侵攻の今、プロパガンダについて学びたく購入しました。読みやすくサラッと読めますが内容はエグいと思います。猜疑心をもちながら情報を認知する癖が必要だと実感しました。
2022年4月14日に日本でレビュー済み
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「本当のPRとはこのようなことをいうのか?」と驚嘆しました。日本政府もよく勉強してほしいと思いますが、無理なんでしょうね。ロシアのウクライナ侵攻を見る目が変わりました。筆者の取材力にも驚きます。通常の企業活動におけるPRについても、こういう助っ人がいるのでしょうね。
2022年3月20日に日本でレビュー済み
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ビジネスとして、世論を作り出す会社があることに衝撃を受けました。緊迫する世界情勢の中で、この本を読むと世界の解像度が上がります。読み応えのある一冊です。
2024年2月12日に日本でレビュー済み
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タイトルには「情報操作」とある。操作というのが、白から黒を作り出したり、白を黒にもっていったりする意味であれば、ルーダー・フィン社は操作をしていない。これは筆者自身のテキストに従ってそうなのだ。情報のある点を強調したり、そこへの注目を促し、善玉と悪玉を際立たせる。いたって普通の外交戦略であり、筆者自身、日本に欠けていると見なす要素であろう。しかし、テキストの内容からして、セルビア人の行為を肯定すべき内容はない。にもかかわらず、筆者の結論は、当事者すべてに責任があるという腰砕けの抽象論に終わってしまう。ではクロアチア人やモスレム人にどのような責任があったのか、筆者は明らかにしていない。リアリズムに徹していたジャーナリストが、最後にとってつけたような「正論」をくっつけた点は、私には少々失笑を誘うものだった。
2022年1月9日に日本でレビュー済み
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この本は、国際政治を大学で学んだものとして、今まで読んだ国際政治に関するドキュメンタリーの中でも最も記憶に残る一冊でした。
2016年のトランプ勝利とその後のアメリカの分断は、この本で書かれているような情報戦をソーシャルメディアを駆使して行った結果で、その背後にはロシアの影が見え隠れすると思っている。ボスニアは広告代理店を使い、ロシアはFBを始めとしたソーシャルメディアを使った。その違いだけで、世論を有利に誘導し、政治の流れを変える手法は何も変わらない。Qアノンもロシアの広報戦の一手にすぎず、すでに分断された世論に様々な陰謀をフィードし、アメリカの世論が後戻りできないところまで分断していく。まさにロシアが望むようにアメリカの民主主義を中から破壊していく。トランプは自身のエゴのために悪魔に魂を売り大統領の地位を獲得したが、結果自国の将来をロシアに売り渡した売国奴として歴史に名前を刻むことになるだろうと思う。誰かがこれを解明し、本当は何が起こったのかを理解し、多くのトランプ支持者が自分がそれに加担していたのだ、という事実を認識する日は来るのか。
2016年のトランプ勝利とその後のアメリカの分断は、この本で書かれているような情報戦をソーシャルメディアを駆使して行った結果で、その背後にはロシアの影が見え隠れすると思っている。ボスニアは広告代理店を使い、ロシアはFBを始めとしたソーシャルメディアを使った。その違いだけで、世論を有利に誘導し、政治の流れを変える手法は何も変わらない。Qアノンもロシアの広報戦の一手にすぎず、すでに分断された世論に様々な陰謀をフィードし、アメリカの世論が後戻りできないところまで分断していく。まさにロシアが望むようにアメリカの民主主義を中から破壊していく。トランプは自身のエゴのために悪魔に魂を売り大統領の地位を獲得したが、結果自国の将来をロシアに売り渡した売国奴として歴史に名前を刻むことになるだろうと思う。誰かがこれを解明し、本当は何が起こったのかを理解し、多くのトランプ支持者が自分がそれに加担していたのだ、という事実を認識する日は来るのか。
2020年4月10日に日本でレビュー済み
この本、PR会社のルーター・フィン社がどのようにセルビアを悪者にしていったかの過程に焦点を絞っており、その点については興味深い。しかし、セルビア人が悪者にされたのは単にPR会社の活動のせいだけではなく、もう一段上の階層の地政学的な理由もあるが、その点についての考察が何もないのは残念。
19世紀以降のバルカン半島を取り巻く地政学状況を振り返ると、その理由は容易に理解できる。19世紀、ロシア帝国は南下政策で、当時オスマン帝国領域のバルカン半島に進出するため、バルカン在住のスラブ民族で正教徒であるセルビア人、モンテネグロ人、ブルガリア人等の民族運動を煽った。さらに、オスマン帝国に迫害されている正教徒を保護する名目で度々バルカン半島に介入している。
ロシア帝国の南下政策はオスマン帝国、そしてロシア帝国の膨張を恐れる英仏との摩擦を生み、やがて1853年~のクリミア戦争につながり、ロシア帝国の南下は阻まれた。ここまでの流れを見ると、セルビア人という民族集団はロシア帝国の南下政策と密接に関わっていたことが分かる。
その後、オーストリア・ハンガリー帝国とセルビアの間で戦争が起こり、「同じスラブ民族セルビアを助けろー!」とのスローガンの下、ロシア帝国も参戦、第一次世界大戦の一つの要因となった。ここでも、ロシア帝国とセルビア人との密接な関係が見て取れる。
その後、第二次大戦終結後に成立したユーゴスラビア社会主義連邦共和国は、独裁者チトーとスターリンとの関係悪化により、共産圏ながらソ連とは距離を置く独自の路線をとり、ソ連も基本的には民族主義に否定的であるため、ロシア人ーセルビア人の密接な関係は一旦途切れた。
1980年の独裁者チトーの死後、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国は求心力を失って諸民族の民族運動が勃興し、1991~1992年にかけて解体し、諸民族の共和国に分裂していった。
ソ連も1991年のソ連崩壊により、継承国であるロシア連邦をはじめとした各構成国に分裂した。
ここで、民族主義を否定する共産主義の終焉、ロシア・東欧における民族国家の登場により、ロシアーセルビアの伝統的な関係が復活する可能性が出てきた。
旧・ユーゴ連邦構成国の民族集団の中でセルビア人は最大の勢力であり、連邦解体後はセルビアがバルカンの地域大国として台頭する可能性が高かった。ここでロシアーセルビアの伝統的な関係が復活すると、ロシア連邦はバルカン⇒地中海進出の橋頭堡を手にすることになる。
歴史的にロシアの南下、地中海進出を封じ込めてきた欧米にとって、ロシア連邦の地中海進出につながるセルビアの台頭など許容できるわけがない。
欧米には、元々セルビア人を悪者にする動機が存在するのである。
欧米メディアが当時セルビア人を一方的悪者にするのに対し、ロシアのメディアは一貫してセルビアを擁護し続けた。ロシアーセルビアの関係を見なければ、ユーゴ紛争の実態は理解できない。
19世紀以降のバルカン半島を取り巻く地政学状況を振り返ると、その理由は容易に理解できる。19世紀、ロシア帝国は南下政策で、当時オスマン帝国領域のバルカン半島に進出するため、バルカン在住のスラブ民族で正教徒であるセルビア人、モンテネグロ人、ブルガリア人等の民族運動を煽った。さらに、オスマン帝国に迫害されている正教徒を保護する名目で度々バルカン半島に介入している。
ロシア帝国の南下政策はオスマン帝国、そしてロシア帝国の膨張を恐れる英仏との摩擦を生み、やがて1853年~のクリミア戦争につながり、ロシア帝国の南下は阻まれた。ここまでの流れを見ると、セルビア人という民族集団はロシア帝国の南下政策と密接に関わっていたことが分かる。
その後、オーストリア・ハンガリー帝国とセルビアの間で戦争が起こり、「同じスラブ民族セルビアを助けろー!」とのスローガンの下、ロシア帝国も参戦、第一次世界大戦の一つの要因となった。ここでも、ロシア帝国とセルビア人との密接な関係が見て取れる。
その後、第二次大戦終結後に成立したユーゴスラビア社会主義連邦共和国は、独裁者チトーとスターリンとの関係悪化により、共産圏ながらソ連とは距離を置く独自の路線をとり、ソ連も基本的には民族主義に否定的であるため、ロシア人ーセルビア人の密接な関係は一旦途切れた。
1980年の独裁者チトーの死後、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国は求心力を失って諸民族の民族運動が勃興し、1991~1992年にかけて解体し、諸民族の共和国に分裂していった。
ソ連も1991年のソ連崩壊により、継承国であるロシア連邦をはじめとした各構成国に分裂した。
ここで、民族主義を否定する共産主義の終焉、ロシア・東欧における民族国家の登場により、ロシアーセルビアの伝統的な関係が復活する可能性が出てきた。
旧・ユーゴ連邦構成国の民族集団の中でセルビア人は最大の勢力であり、連邦解体後はセルビアがバルカンの地域大国として台頭する可能性が高かった。ここでロシアーセルビアの伝統的な関係が復活すると、ロシア連邦はバルカン⇒地中海進出の橋頭堡を手にすることになる。
歴史的にロシアの南下、地中海進出を封じ込めてきた欧米にとって、ロシア連邦の地中海進出につながるセルビアの台頭など許容できるわけがない。
欧米には、元々セルビア人を悪者にする動機が存在するのである。
欧米メディアが当時セルビア人を一方的悪者にするのに対し、ロシアのメディアは一貫してセルビアを擁護し続けた。ロシアーセルビアの関係を見なければ、ユーゴ紛争の実態は理解できない。