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鏡の中は日曜日 (講談社文庫 し 68-4) 文庫 – 2005/6/15
殊能 将之
(著)
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梵貝荘(ぼんばいそう)と呼ばれる法螺貝(ほらがい)様の異形の館。マラルメを研究する館の主・瑞門龍司郎(ずいもんりゅうしろう)が主催する「火曜会」の夜、奇妙な殺人事件が発生する。事件は、名探偵の活躍により解決するが、年を経た後、再調査が現代の名探偵・石動戯作に持ち込まれる。時間を超え交錯する謎。まさに完璧な本格ミステリ。続編「樒(しきみ)/榁(むろ)」を同時収録。(講談社文庫)
この傑作、一文字たりとも読み落とすなかれ梵貝荘と呼ばれる館。魔王と称される仏文学者。暗唱されるマラルメの詩。異様な死体。そして稀代の名探偵。隙のない美しさの本格推理小説。続編「樒/榁」収録。
この傑作、一文字たりとも読み落とすなかれ梵貝荘と呼ばれる館。魔王と称される仏文学者。暗唱されるマラルメの詩。異様な死体。そして稀代の名探偵。隙のない美しさの本格推理小説。続編「樒/榁」収録。
- 本の長さ584ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/6/15
- 寸法10.8 x 2.2 x 14.8 cm
- ISBN-104062751194
- ISBN-13978-4062751193
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/6/15)
- 発売日 : 2005/6/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 584ページ
- ISBN-10 : 4062751194
- ISBN-13 : 978-4062751193
- 寸法 : 10.8 x 2.2 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 242,241位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
序盤。アルツハイマーのおじいさんの日常。過去が時々フラッシュバックする。世話をしている「ユキ」「父さん」は本当は何者なのかわからない。石動探偵は、編集者の頼みで14年前の殺人事件の再捜査に乗り出す。殺人事件は鮎井郁介によって「梵貝荘事件」としてして小説化されていたが、何故か未完に終わっていた。水城優臣探偵が解決済の事件である。 中盤。14年前の実際の事件(小説)パートと、現代で石動が関係者に当時の話を聞きにまわるパートに分かれている。フランスの詩に関する蘊蓄が豊富。石動は、水城優臣の推理が間違っていたため、鮎井が小説を完成できなかったという結論に達するが… 終盤。すべてがひっくりかえり、叙述トリックが明らかになる。全ての人が水城優臣を好きになるはず。 「樒」 四国の田舎の寂れた温泉街にやって来た水城と鮎井。崇徳院伝説、天狗伝説などが語られる。小品だが、新たな事件の幕開けを期待させるエンディングが待っている。 「榁」 同じ四国の温泉が舞台。今度は16年後で、以前とはうってかわって栄えている。前回、石動と水城がニアミスしていたことが明かされる。石動だとやっぱり間抜けなラストになる。もっと水城探偵の物語が読みたかった。殊能先生が長生きしてくれていたら、タイトルだけ紹介された小説も書かれていたのだろうか?
2018年5月28日に日本でレビュー済み
異形の館、火曜会の夜、集う人々、稀代の名探偵…ありそうなものがことごとくある。
惹かれたタイトルの意味が結局わからなかったし叙述トリック物にも無理やり感と作者の必死感が出てしまったのがざんねんかな。
惹かれたタイトルの意味が結局わからなかったし叙述トリック物にも無理やり感と作者の必死感が出てしまったのがざんねんかな。
2013年8月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前に一度読んでいた気もしたのですが、内容を忘れていたので再読しました。
文章自体に仕掛けられているトリック自体は何回も前例があるものですが、見せ方がうまいと感じました。
本格の継承者として、今後の作品を量産してほしいものです。
次回は、「ハサミ男」を凌ぐ傑作を期待しています。
文章自体に仕掛けられているトリック自体は何回も前例があるものですが、見せ方がうまいと感じました。
本格の継承者として、今後の作品を量産してほしいものです。
次回は、「ハサミ男」を凌ぐ傑作を期待しています。
2022年11月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
XXトリックの大傑作。
素晴らしい構成と、五重、六重のミスディレクション。
真実が明かされる時、読者はきりもみ状態となる。
ミステリに取り憑かれた者と、図らずもミステリに関わった者の人生。
人間が描けていないと揶揄された新本格への愛溢れる作品。
併録作品は表題作の後に味わうべし。
素晴らしい構成と、五重、六重のミスディレクション。
真実が明かされる時、読者はきりもみ状態となる。
ミステリに取り憑かれた者と、図らずもミステリに関わった者の人生。
人間が描けていないと揶揄された新本格への愛溢れる作品。
併録作品は表題作の後に味わうべし。
2015年2月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
トリックがバレバレだとか、ハサミ男みたいとか、どっか1つ分かったからといって、全てが霧消してしまう作品ではない(と思う)。
初読で”殺された弁護士”のフランス語での踏韻を見破った上でなきゃ「簡単な謎だ」なんて言って欲しくない。
すべては構成の中に、この作品の妙がある。というのも、作品世界の中での「現実」が、かなりわかりにくいからなのだ。
叙述モノによくあるパターン的に、過去場面と現代が交互に出てくるが、
過去の話は、鮎井の作「梵貝荘事件」を追う形になっている。つまり、作中作だ。
だから現代編が「現実」なのだろうかと思いきや、ところがどっこいこっちも作中作。
現代の鮎井が、ある復讐の為に紡いでいる物語なのだ。
故に、天文学的な偶然(恐らくタクシー運転手の言葉?)が恣意的に起きる。
そして石動が一度死ぬことになる。ここでは場所の誤認(現代の梵貝荘or水城の実家)誘導があり、
”ぼく”の勘違いがある。名刺のせいで、叩きのめしたのを石動と間違ったまま、”ぼく”の意識は消失する。
などと書いてみましたが、まだすんなり筋が通ってない部分もありまして・・・
特に、ぼくが倒した相手、ユキなら一目で鮎井と分かるはずなのに、なぜ一旦は石動と確認されてしまったのか?
実際はこの場にユキはいなかったのであろうか?(自分的に1番の謎)
親子揃ってでなんで痴呆になってんだ?ってツッコミもありましょうが、”遺伝的に”ということで、説明はつくかも。
ただ、どちらにもユキと呼ばれる人物が身近にいるのと、発症時期が重なってるのが出来すぎかな?という感じですかね。
とにかく、物語中の「現実」で確かなのは、石動が憧れの水城探偵より色紙にサインをもらうというラストシーン。
(ハサミ男もそうだったけど、なんとも言えないほっこりした間(ま)が、これまたなんとも言えない読後感をもたらす)
色紙は、”見知らぬ男がショルダーバッグから出す真四角の平べったいもの”として、ぼくにもちゃんと知覚されている。
これだけは確かにあったことだと言える。
ついでだけど、物語中、時間軸的に一番「新」なのが、一章の終わり。
サイン後の後日譚、且つ真のラストシーン。
初読で”殺された弁護士”のフランス語での踏韻を見破った上でなきゃ「簡単な謎だ」なんて言って欲しくない。
すべては構成の中に、この作品の妙がある。というのも、作品世界の中での「現実」が、かなりわかりにくいからなのだ。
叙述モノによくあるパターン的に、過去場面と現代が交互に出てくるが、
過去の話は、鮎井の作「梵貝荘事件」を追う形になっている。つまり、作中作だ。
だから現代編が「現実」なのだろうかと思いきや、ところがどっこいこっちも作中作。
現代の鮎井が、ある復讐の為に紡いでいる物語なのだ。
故に、天文学的な偶然(恐らくタクシー運転手の言葉?)が恣意的に起きる。
そして石動が一度死ぬことになる。ここでは場所の誤認(現代の梵貝荘or水城の実家)誘導があり、
”ぼく”の勘違いがある。名刺のせいで、叩きのめしたのを石動と間違ったまま、”ぼく”の意識は消失する。
などと書いてみましたが、まだすんなり筋が通ってない部分もありまして・・・
特に、ぼくが倒した相手、ユキなら一目で鮎井と分かるはずなのに、なぜ一旦は石動と確認されてしまったのか?
実際はこの場にユキはいなかったのであろうか?(自分的に1番の謎)
親子揃ってでなんで痴呆になってんだ?ってツッコミもありましょうが、”遺伝的に”ということで、説明はつくかも。
ただ、どちらにもユキと呼ばれる人物が身近にいるのと、発症時期が重なってるのが出来すぎかな?という感じですかね。
とにかく、物語中の「現実」で確かなのは、石動が憧れの水城探偵より色紙にサインをもらうというラストシーン。
(ハサミ男もそうだったけど、なんとも言えないほっこりした間(ま)が、これまたなんとも言えない読後感をもたらす)
色紙は、”見知らぬ男がショルダーバッグから出す真四角の平べったいもの”として、ぼくにもちゃんと知覚されている。
これだけは確かにあったことだと言える。
ついでだけど、物語中、時間軸的に一番「新」なのが、一章の終わり。
サイン後の後日譚、且つ真のラストシーン。
2015年10月11日に日本でレビュー済み
ハサミ男が面白かったため同じ作者というとこで手に取りました。
すらすら読みやすい文章はハサミ男と同じなので物語にスッと入り込めます。ですが内容はハサミ男と比較するとやや構造が難解なので「どういうこと?だってさっきは…」と戸惑うことが多くなるかも。
ストーリーは現在・過去・作中作と三つの時間軸がそれぞれ交代に進行していき、しかも視点がコロコロ変わるためまともに推理しようとすると情報の整理にかなり苦労するはず。
しかもそれに加えて叙述トリックとミスリードがふんだんに使われるため、個人的にはどんでん返しがきてもすぐには驚けず「えーっと…つまりどういうことになるんだろう?」とどんでん返しを理解するまでに時間がかかる始末でした。
殺人事件も起こるのですが、この小説の核はそこではないのでこの殺人事件もすごくあっさり解決されます。凝ったトリックもありません。殺人事件が主軸となってのミステリーだと思っていたのでやや拍子抜け。どう殺したか?ではなく、フーダニットに力を入れてる作品なのでそういう作品を求めている方にはおすすめ。
一番残念だったのはハサミ男で仕掛けられたトリックと本作のトリックが一部完全にかぶっているところでしょうか。
ですが物語が二転三転する部分は素直に面白いので、間を取って☆3。
すらすら読みやすい文章はハサミ男と同じなので物語にスッと入り込めます。ですが内容はハサミ男と比較するとやや構造が難解なので「どういうこと?だってさっきは…」と戸惑うことが多くなるかも。
ストーリーは現在・過去・作中作と三つの時間軸がそれぞれ交代に進行していき、しかも視点がコロコロ変わるためまともに推理しようとすると情報の整理にかなり苦労するはず。
しかもそれに加えて叙述トリックとミスリードがふんだんに使われるため、個人的にはどんでん返しがきてもすぐには驚けず「えーっと…つまりどういうことになるんだろう?」とどんでん返しを理解するまでに時間がかかる始末でした。
殺人事件も起こるのですが、この小説の核はそこではないのでこの殺人事件もすごくあっさり解決されます。凝ったトリックもありません。殺人事件が主軸となってのミステリーだと思っていたのでやや拍子抜け。どう殺したか?ではなく、フーダニットに力を入れてる作品なのでそういう作品を求めている方にはおすすめ。
一番残念だったのはハサミ男で仕掛けられたトリックと本作のトリックが一部完全にかぶっているところでしょうか。
ですが物語が二転三転する部分は素直に面白いので、間を取って☆3。
2016年3月10日に日本でレビュー済み
名探偵石動戯作が殺された.
1つの事件を追う現在と過去の2つの捜査の行方は?
1つの殺人事件の真相を追う現在進行形の捜査,作中作となる過去の解決編,
そしてその間に認知症者のモノローグが挿入されるという,やや凝った構成となっている.
過去の解決編は古典的で衒学的,現在の結末は叙述トリック,そしてもう1つのトリックと
なかなか盛り沢山であるが,
それをさして複雑に感じさせずに最後まで読ませる構成力や筆力はなかなかのものである.
リアリティの欠如やフェアネスに関して疑問を持つ読者もいるだろうが,
読み手に真相への関心を維持させつつ結末まで読ませる,という点では,水準以上のミステリーと言える.
1つの事件を追う現在と過去の2つの捜査の行方は?
1つの殺人事件の真相を追う現在進行形の捜査,作中作となる過去の解決編,
そしてその間に認知症者のモノローグが挿入されるという,やや凝った構成となっている.
過去の解決編は古典的で衒学的,現在の結末は叙述トリック,そしてもう1つのトリックと
なかなか盛り沢山であるが,
それをさして複雑に感じさせずに最後まで読ませる構成力や筆力はなかなかのものである.
リアリティの欠如やフェアネスに関して疑問を持つ読者もいるだろうが,
読み手に真相への関心を維持させつつ結末まで読ませる,という点では,水準以上のミステリーと言える.
2015年10月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ミステリのトリックは踏襲が当たり前。
そこに加える捻りや必然性、推理のロジックが面白味にシフトする。
テーマがあれば尚のこと良い。
この作品は作家自身の誤謬性、クイーン後期問題や、
ミステリの文脈における「名探偵」の誤謬や人生を扱ったメタ小説。
そこがトリックの必然性であり眼目。
そこに加える捻りや必然性、推理のロジックが面白味にシフトする。
テーマがあれば尚のこと良い。
この作品は作家自身の誤謬性、クイーン後期問題や、
ミステリの文脈における「名探偵」の誤謬や人生を扱ったメタ小説。
そこがトリックの必然性であり眼目。