ここ何日かで、それは十数冊を超えた。現在、別の場所にあって手にできない。仕方なくだが、何か悔しい。新品のハードカバーで、ほとんど持っているのに。そして全部もちろん読了済みなのに。
妙なもので、同業者連中に彼の作品を好きだという者がいたためしがない。私は内心、スラムダンクの流川楓のように、どアホウが、と思っていた。彼らは、今思えば、私のように小心で気弱で、臆病でいつも何かにビクついていて、流血や殴り合いなど、膝が笑ってしまって動けなくなる…というタイプではなかったのかもしれない。
彼の作品を何がきっかけで読み始めたか、は忘れたが、初めての一冊を読了した時、全身が傷だらけになったような、それでいて気持ちは困難な何かをやり遂げた後のような、何とも爽快そのものだったことを覚えている。実は密かに自慢していることがある。彼の何の文章か対談か?で読みかじったのだが、何と私と、ハードボイルドとは何かという、つまりハードボイルド観が同じだったのだ。これでさらに数百倍親しみを覚えた(馴れ馴れしいですネ(^-^;。お詫びします。が、ほんとです。)それが何か、はここでは触れないが、ほとんどをハードカバーで読んだので、鬱陶しい後書き・解説の類は読む必要がなかった。助かった。
ところが今回、この文庫の作品解説の香山二三郎さんという方の文章を読んで、さらに我が意を得たり、というのかにんまりしてしまったことが二つある。
その一。ブラディ・ドールシリーズの主人公、川中良一。香山さん曰く、『のモデルとして著者は石原裕次郎の名前を挙げていた』というのだ!実は私は、初めてこのシリーズを読んだ時、イメージとしてぼんやり頭に浮かんだのが石原裕次郎だったのだ^^。その後何度読んでもそのイメージは変わらなかった。そして昨日の今日このことを知った。熱海はじめ、全国の大変な目にあってらっしゃる方々には気が引けるが、・・・もう祝杯を挙げたい気分だ^^!!
その二。北方健三さんのエピソードのくだり。『著者は秋田、青森の日本海岸を走るJR五能線がお気に入りで』あるそうな^^。実は私も五能線、特に雪に包まれた冬の日本海の侘しい夜の風景の中を走るこのローカル線が大好きなのだ^^。イヤー、解説にもこういう楽しい内容の文章があったんだ^^。
ということで、遠回しな自慢ばかりになってしまった気がするが、この文章は紛れもない事実の集積です(^-^;。次は何読もうかな^^。
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真夏の葬列 (講談社文庫) 文庫 – 2005/11/15
愚かさすら、いとおしい青春ハードボイルド女が死んだ。赤いバラの花束で、霊柩車に乗せられた彼女を迎えた。親友の彼女だった。自殺の原因を作った奴を殺してしまった親友と二人、女の故郷の海を目指す。
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/11/15
- ISBN-104062752417
- ISBN-13978-4062752411
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商品の説明
著者について
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/11/15)
- 発売日 : 2005/11/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 336ページ
- ISBN-10 : 4062752417
- ISBN-13 : 978-4062752411
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,097,810位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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昭和22(1947)年、佐賀県唐津市生れ。47年中央大学法学部卒。58年「眠りなき夜」で第1回日本冒険小説協会大賞、第4回吉川英治文学新人賞、平 成3年「破軍の星」で第4回柴田錬三郎賞、16年「楊家将」で第38回吉川英治文学賞、18年「水滸伝」で第9回司馬遼太郎賞、19年「独り群せず」で第 1回舟橋聖一文学賞、22年第13回日本ミステリー文学大賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 独り群せず (ISBN-13: 978-4167419110 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2021年6月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公の守(まもる)は、かつて好きだった美知(みち)が自殺してしまい、
その美知と付き合っていた友人の冬生(ふゆお)とともに、
美知の死の真相を探っていくうちに美知の妹である佐知(さち)をはじめ、
いろいろな連中が妨害してきて、戦って逃げて逃げて逃げまくるという物語。
この佐知って、ホントムカついたわ。
けっこう面白かったけど、
守は素人にしてはそこそこ強いんだけど、
喧嘩にからっきし弱い冬生が中盤以降、主役交代といわんばかりに
活躍しだすのが、いろんな意味で凄かった(それも物理的にではなく精神的に守を圧倒しだす)。
ラストは、北方氏お得意のちょっと悲しい、それでいて美しい終幕。
男は斯くありたい、そう思えるエンディング。
終盤の70ページほどは、文句なしに面白いです。
その美知と付き合っていた友人の冬生(ふゆお)とともに、
美知の死の真相を探っていくうちに美知の妹である佐知(さち)をはじめ、
いろいろな連中が妨害してきて、戦って逃げて逃げて逃げまくるという物語。
この佐知って、ホントムカついたわ。
けっこう面白かったけど、
守は素人にしてはそこそこ強いんだけど、
喧嘩にからっきし弱い冬生が中盤以降、主役交代といわんばかりに
活躍しだすのが、いろんな意味で凄かった(それも物理的にではなく精神的に守を圧倒しだす)。
ラストは、北方氏お得意のちょっと悲しい、それでいて美しい終幕。
男は斯くありたい、そう思えるエンディング。
終盤の70ページほどは、文句なしに面白いです。
2013年7月1日に日本でレビュー済み
やはり本というのは、「いつ、読んだか」が重要なんだという事を噛みしめた作品。
時期が違えば何も残さずに通り過ぎていったかもしれない。
私には、刺さった。 どういう形かは解らないが、確実に刻まれた。
北方先生はそういう本を書く。
時期が違えば何も残さずに通り過ぎていったかもしれない。
私には、刺さった。 どういう形かは解らないが、確実に刻まれた。
北方先生はそういう本を書く。
2005年6月13日に日本でレビュー済み
歯切れのよいスピード感に乗って、あっと言う間に読んでしまいました。好みでなかったハードボイルドもこの歳(著者より若干若い)になって読んでみると、(男だけでなく)人間の持っているどうしようもないもの、「こだわり」の表れ方/表し方が理解できるような気がしてきました。今年になって、身近な人の突然の死が二度もあり、死者との今までの無意識の関係を見直すという私自身の儀式を終えたこともあってか、主人公の死者への弔いに対する「こだわり」もすんなりと受け入れることができました。