淡く爽やかな恋愛小説で当たり前の日常がさり気なく書かれているところが現実的でもあり自然で書かれた光景が簡単に目に浮かぶ。特に強烈な出来事があるわけでもないのにすいすいと飽きずに読めてしまうのは島本理生の才能が際立つ所以かと思う。
最近、世の中なんか面白くないなと感じているなら本書を一読してみて頂きたい、平凡な日常が結局、幸せなんだと気付かされる作品だと思うので。
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リトル・バイ・リトル (講談社文庫 し 75-2) 文庫 – 2006/1/1
島本 理生
(著)
第25回野間文芸新人賞受賞作品
わずかずつ、かすかな輪郭を帯びてゆく日々。
あれから私はどれくらい成長したのだろうとふいに疑わしい気持ちになって、その後にゆっくりと不安が押し寄せてきた。あのときよりも、もっとずっと前から時間の止まっている場所が自分の中にあるような気がした。
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、2番目の父――。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第25回野間文芸新人賞受賞作。
わずかずつ、かすかな輪郭を帯びてゆく日々。
あれから私はどれくらい成長したのだろうとふいに疑わしい気持ちになって、その後にゆっくりと不安が押し寄せてきた。あのときよりも、もっとずっと前から時間の止まっている場所が自分の中にあるような気がした。
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、2番目の父――。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第25回野間文芸新人賞受賞作。
- 本の長さ175ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2006/1/1
- ISBN-104062752956
- ISBN-13978-4062752954
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/1/1)
- 発売日 : 2006/1/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 175ページ
- ISBN-10 : 4062752956
- ISBN-13 : 978-4062752954
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,262,031位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年12月30日に日本でレビュー済み
ありきたりの日常と家族がよく描かれていると思いました。作者の島本さんは感性が強いのだと思います。ふとしたことに気づかされたり、家族とは、愛とは何かと考えさせられました。
2011年5月19日に日本でレビュー済み
淡々とした筆致で語られるこの物語は、主人公の家庭環境を考慮してもあまり喜怒哀楽にとんでいる物語のようには思えない。何と言うかその淡々とした筆致からは感情の脆くも希薄な所が伺い知れたように思える。それ故に作中にある様々なイベントがあっても例の如く希薄で、まだ何も描かれていないまっさらな白い紙を連想した。それはまさに初々しい子供の純粋な心でもあり、清廉潔白でもあり、処女的な意味合いもあると思う。
そのまっさらな紙は大人に成るにつれてみんな誰もが色んな気持ちや色や言葉が蓄積されていくもの。それが人を形成する。この物語は少女のほんの一片の話にしか過ぎない。だからまだまだまっさらな白い所がいくらでもあるのだ。そう思った。だからこの作品における多少の物足りなさはその初々しい少女の清廉潔白な心に触れているから思うのかも知れない。リトル・バイ・リトル。少しずつで良い。妙に大人びたふりしなくても良い。全てはこれからなのだから。急がなくて良い。少しずつこのまっさらな白い紙に書き足して行けば何とか成るのだから。人はそれでも良いのだから。そう僕は思った。
なおこの作品は
【第25回(2003年)野間文芸新人賞】受賞作
そのまっさらな紙は大人に成るにつれてみんな誰もが色んな気持ちや色や言葉が蓄積されていくもの。それが人を形成する。この物語は少女のほんの一片の話にしか過ぎない。だからまだまだまっさらな白い所がいくらでもあるのだ。そう思った。だからこの作品における多少の物足りなさはその初々しい少女の清廉潔白な心に触れているから思うのかも知れない。リトル・バイ・リトル。少しずつで良い。妙に大人びたふりしなくても良い。全てはこれからなのだから。急がなくて良い。少しずつこのまっさらな白い紙に書き足して行けば何とか成るのだから。人はそれでも良いのだから。そう僕は思った。
なおこの作品は
【第25回(2003年)野間文芸新人賞】受賞作
2020年7月28日に日本でレビュー済み
若葉のような瑞々しさに溢れた「シルエット」、青葉へと色を濃くする本作「リトル・バイ・リトル」、深い密林へと足を踏み入れたような「ナラタージュ」。筆者の成長は、まるで木々の葉がどんどんと色を濃くするようで、見事だ。
本作は、筆者の作品としては、ヒロインの内面と周囲の人間関係が比較的淡々と綴られている。もちろん、多くの彼女の作品がそうであるように、ヒロインの心には大きなある欠落が存在する。ただ、他の作品と比して、その欠落の描き方は柔らかい。
他の作品で描かれる、ヒロインのこのような心的不全感とでもいうべきものの薄さ(あくまで比較としてである)という点においては、「よだかの片想い」よりも、より明確かもしれない。
島本作品は苦手だという方にも、本作は良いかもしれない。
本作は、筆者の作品としては、ヒロインの内面と周囲の人間関係が比較的淡々と綴られている。もちろん、多くの彼女の作品がそうであるように、ヒロインの心には大きなある欠落が存在する。ただ、他の作品と比して、その欠落の描き方は柔らかい。
他の作品で描かれる、ヒロインのこのような心的不全感とでもいうべきものの薄さ(あくまで比較としてである)という点においては、「よだかの片想い」よりも、より明確かもしれない。
島本作品は苦手だという方にも、本作は良いかもしれない。
2014年6月22日に日本でレビュー済み
淡々としているというよりも、ト書きと会話がバラバラと並んだような、そっけなくてリズムが悪い文章だなと思った。
主人公と周りとの関係も同様で、ひたすら表面的に思えてしまう。それなのに流れ去るような単純な会話のやりとりの中に時々難しい単語が紛れ込んで、ご飯の中に小石が混じっていたような違和感が感じる事があった。
ただ、原田宗典の解説まで読み終わって感じたのは、「実際はこんなものだよな」ということだ。日常の行動のそれぞれを深く考えているわけでもないし、まして他者の考えていることはわからない。他者との関係の中では、単純な応答が断続的に積み重なっていくしかないではないか。それがタイトルにもつながる。そんな日常の積み重なりの中に、よく見ていくと悲しみや喜びが埋まっている。それが現実だ。
もっと読んでみたい作家になった。
主人公と周りとの関係も同様で、ひたすら表面的に思えてしまう。それなのに流れ去るような単純な会話のやりとりの中に時々難しい単語が紛れ込んで、ご飯の中に小石が混じっていたような違和感が感じる事があった。
ただ、原田宗典の解説まで読み終わって感じたのは、「実際はこんなものだよな」ということだ。日常の行動のそれぞれを深く考えているわけでもないし、まして他者の考えていることはわからない。他者との関係の中では、単純な応答が断続的に積み重なっていくしかないではないか。それがタイトルにもつながる。そんな日常の積み重なりの中に、よく見ていくと悲しみや喜びが埋まっている。それが現実だ。
もっと読んでみたい作家になった。
2011年7月12日に日本でレビュー済み
島本さんの作品を読むのは初めて。離婚して家を出て行き、しばらく顔も会わせていない父の子ふみ、母と異父妹のゆうちゃんとの三人暮らしに、ふみのボーイフレンドの周、習字の先生の柳さんらがからみ、小さな失敗や楽しみ、おだやかな恋の物語がつづられていく。
読んで思ったのは、作品全体が「文学」の垢にまみれていないところ。まるで子どもの頃以来、好きな本はときどきあったけれど、本が好きでたくさん読んで、自分の作品は先人の影響をこう受けてこうあらねばと書いた、というのではまったくないんですよというように感じられるところ。作者が本など読んでいないだろう、というのではまったくなくて、本が好きでも、それはこの世界に生きる楽しさの中の大切なひとつにすぎないと、作者が感じていると「思わせる」作風で、それはやはり新しい才能なのだと思う。
オジさん読者には、ちょっとうらやましい、まぶしい世界です。
読んで思ったのは、作品全体が「文学」の垢にまみれていないところ。まるで子どもの頃以来、好きな本はときどきあったけれど、本が好きでたくさん読んで、自分の作品は先人の影響をこう受けてこうあらねばと書いた、というのではまったくないんですよというように感じられるところ。作者が本など読んでいないだろう、というのではまったくなくて、本が好きでも、それはこの世界に生きる楽しさの中の大切なひとつにすぎないと、作者が感じていると「思わせる」作風で、それはやはり新しい才能なのだと思う。
オジさん読者には、ちょっとうらやましい、まぶしい世界です。
2019年1月3日に日本でレビュー済み
普段、こういう恋愛小説は読まないのだが、ファンである女優の松井玲奈さんが解説を書いていたので興味を持って手に取ってみた。
あまり期待していなかったのだが、思わぬ良い出会いとなった。
何が良いのか上手く言葉にする事はできないが、凄く心が温かくなる小説だった。
特に大きな事件が起こるわけでもなく、どこにでもいそうな普通の主人公の女の子が家族や恋人と過ごす日常を淡々と描いてるだけなのだが、それが良い。
いつもはミステリーなどを中心にした読書ライフをおくっているのだが、こういうタイプの小説もあるんだと新鮮な気持ちになれた。
松井玲奈さんが解説を書いていなければ読むことはなかった小説だったので、とても得した気分になれた。
本との出会いって不思議ですね。
あまり期待していなかったのだが、思わぬ良い出会いとなった。
何が良いのか上手く言葉にする事はできないが、凄く心が温かくなる小説だった。
特に大きな事件が起こるわけでもなく、どこにでもいそうな普通の主人公の女の子が家族や恋人と過ごす日常を淡々と描いてるだけなのだが、それが良い。
いつもはミステリーなどを中心にした読書ライフをおくっているのだが、こういうタイプの小説もあるんだと新鮮な気持ちになれた。
松井玲奈さんが解説を書いていなければ読むことはなかった小説だったので、とても得した気分になれた。
本との出会いって不思議ですね。