グレッグ・ルッカの、“世界最強のハードボイルド”という惹句が付けられた、プロのボディーガード(パーソナル・セキュリティ・エージェント)、<アティカス・コディアック>シリーズの第5弾。本書から訳出が古沢嘉通から飯干京子にかわり、そして下巻・第二部より、『哀国者』『回帰者』と続くこのシリーズの後期三部作が始まる。
前作『耽溺者−ジャンキー−』の事件終結直後の2月からその年の秋に至るまでの物語である。
上巻・第一部:仲間とセキュリティ会社を設立した‘わたし’ことアティカスは、当初こそ倒産の危機に瀕したものの、英国の公爵令嬢で子どもの人権擁護唱道者の警護の成功と、彼らのことが書かれた本がベストセラーになったことで、メディアの注目を集め、業績がはねあがる。そんな折、再びくだんの令嬢の再度の訪米滞在に際しての警護を依頼される。しかし、CIAに呼び出された‘わたし’は、『暗殺者−キラー−』で‘わたし’を翻弄した凄腕の女暗殺者“ドラマ”の存在を告げられる。万全を期した警護の隙を突いて“ドラマ”に令嬢を誘拐されてしまった‘わたし’は、彼女を無事取り戻すため、相手の指示に従って動くしかなかった。
下巻・第二部:“ドラマ”の真の目的は、令嬢暗殺ではなく、‘わたし’だった。下巻31ページ・3行目を読んだ時、あまりの驚きに私は本を落としそうになった。また別の暗殺者“オクスフォード”から新たな警護対象者を守るための‘わたし’は<変身>するのだが、まんまと襲撃されてしまう。
下巻・第三部:“オクスフォード”の動きを封じるため、‘わたし’はロンドン、ジュネーブ、ウィーンと駆け回る。そして、彼との最後の対決が・・・。
上巻は従来の流れのボディーガード小説だが、下巻は組織の謀略を根底にした、既存の4作品を「捨て去った」と言ってもよいほど文字通り「逸脱」した新たな小説世界が展開される。
本書は読者に「この先どうなってしまうのだろう」という危惧と期待を抱かせる、シリーズの大きなターニング・ポイントとなる一作である。
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逸脱者 下 (講談社文庫 る 2-6) 文庫 – 2006/1/1
“殺人者”を守られるべきか、否か。 主人公のアティカスはもちろん、子供の人権擁護にすべてをなげうつ公爵令嬢など、魅力溢れるキャラクターが続々登場。シリーズ中もっとも衝撃的なラストは必読!
- 本の長さ395ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2006/1/1
- ISBN-104062753103
- ISBN-13978-4062753104
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/1/1)
- 発売日 : 2006/1/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 395ページ
- ISBN-10 : 4062753103
- ISBN-13 : 978-4062753104
- Amazon 売れ筋ランキング: - 955,824位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2011年3月7日に日本でレビュー済み
2009年2月21日に日本でレビュー済み
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プロのボディーガード、アティカス・シリーズ第4弾。過去のシリーズのどれも抜群のデキで今回も十分期待したが…。
期待を裏切らない内容! 上下2冊を一気読みした。アティカスらのボディーガード会社の経営も順調、大物女優の警護などの仕事も入ってくるようになった矢先、過去の警護で熾烈に対峙したプロの暗殺者が再び動き出す気配をみせてきた。ガードを固めるアティカスらだが、ストーリーは意外な展開へ…。
魅力的な登場人物たち、しっかりした細部の描写、まちがいなく後世に残るシリーズものとなるだろう。訳文がもう少し硬いほうが雰囲気がでていいのだが。それが残念。
期待を裏切らない内容! 上下2冊を一気読みした。アティカスらのボディーガード会社の経営も順調、大物女優の警護などの仕事も入ってくるようになった矢先、過去の警護で熾烈に対峙したプロの暗殺者が再び動き出す気配をみせてきた。ガードを固めるアティカスらだが、ストーリーは意外な展開へ…。
魅力的な登場人物たち、しっかりした細部の描写、まちがいなく後世に残るシリーズものとなるだろう。訳文がもう少し硬いほうが雰囲気がでていいのだが。それが残念。
2009年10月19日に日本でレビュー済み
想像を絶する展開で寝る間を惜しんで読んでしまいました。
この逸脱者がシリーズの分岐点になるのは間違いないやろうけど、アティカスがこれから向う場所が全く予想出来ないです。
ボディーガードという枠ではおさまらないけど、どんな状況下でもクライアントを守りぬくアティカスがみたいものです。
アティカスだけではなくシリーズを通してアティカスを支えてきた登場人物にも変化が必要になってきますね。
【哀国者】がどういう展開になるのか楽しみでもあるけど不安でもあります。
なんか行き着く処まで行き着いたって感じがした本作でした。
この逸脱者がシリーズの分岐点になるのは間違いないやろうけど、アティカスがこれから向う場所が全く予想出来ないです。
ボディーガードという枠ではおさまらないけど、どんな状況下でもクライアントを守りぬくアティカスがみたいものです。
アティカスだけではなくシリーズを通してアティカスを支えてきた登場人物にも変化が必要になってきますね。
【哀国者】がどういう展開になるのか楽しみでもあるけど不安でもあります。
なんか行き着く処まで行き着いたって感じがした本作でした。
2007年11月8日に日本でレビュー済み
原書では一冊のところ翻訳版では2冊に分かれての出版。読んでみて納得、分けて正解だと思う(懐には痛いが)。
ネタバレになるので詳しくは書けないが、この本はアティカスにとっても読者にとっても大きな転機になる。
ボディガード(アティカス流にいえばパーソナルセキュリティエージェント)の地道な仕事が描かれてきたシリーズは人間ドラマとしても面白い。
続きが気になること間違いなし。それと「逸脱者」は他の4作を読み終わってから読んだほうか楽しめると思う。
ネタバレになるので詳しくは書けないが、この本はアティカスにとっても読者にとっても大きな転機になる。
ボディガード(アティカス流にいえばパーソナルセキュリティエージェント)の地道な仕事が描かれてきたシリーズは人間ドラマとしても面白い。
続きが気になること間違いなし。それと「逸脱者」は他の4作を読み終わってから読んだほうか楽しめると思う。
2006年2月28日に日本でレビュー済み
グレッグ・ルッカ、うまくなった!これまではマーロウやスペンサー、リンカーン・ライムなどの手のひらの中を右往左往しながらも、輝きを放っていたのだが、今回は見事にその「ぶれ」が止まり、拡散していた光が、ぴたりと焦点を合わせてきた。レーザー・ビームだ。
プロのボディガード、アティカスが主人公のシリーズ5作目。ボディガードはたとえ撃たれることがわかっていても、警護対象者の盾にならなければ収入はおろか、名誉も失う。彼らは、仕事がなくなるのは仕方ないとしても、その不名誉を背負って生き永らえるのを潔しとしない。
今回はその高い矜持を逆手に取った発想の転換が、いちばんの読ませどころだ。読者によってはそれが不自然に感じられるかもしれないが、少なくとも僕はハマった。ウマい。
しかし、ちょいと都合良すぎるんじゃないの?というところもあるし、今回、大切な人たちを失いすぎたんじゃないの?という感もなきにしもあらず。でも何度も言うけど、よく書けている。次回がとても楽しみ。
プロのボディガード、アティカスが主人公のシリーズ5作目。ボディガードはたとえ撃たれることがわかっていても、警護対象者の盾にならなければ収入はおろか、名誉も失う。彼らは、仕事がなくなるのは仕方ないとしても、その不名誉を背負って生き永らえるのを潔しとしない。
今回はその高い矜持を逆手に取った発想の転換が、いちばんの読ませどころだ。読者によってはそれが不自然に感じられるかもしれないが、少なくとも僕はハマった。ウマい。
しかし、ちょいと都合良すぎるんじゃないの?というところもあるし、今回、大切な人たちを失いすぎたんじゃないの?という感もなきにしもあらず。でも何度も言うけど、よく書けている。次回がとても楽しみ。