定年を前に警察を辞めた元警部は、都会を離れ、独り海沿いの静かな村でゆったりとした時を過ごしていた。時折、別れた妻との間にできた16歳になる一人娘が訪ねてきたりする。ふっとした寂しさの間隙をぬって、元部下から或る連絡が成される。
当時少年だった連続少女殺人事件の片割れが、14年ぶりに仮釈放されたと――。その事件の関連のなかで一人だけ行方不明の少女がいて、結局、発見されなかったのだが、自分も捜査に関わっていたので、もう一度その事件を辿ろうと思いたったのだ。
一方、仮釈放された片割れは保護観察の収容施設から逃亡する。
元警部と片割れが交互に描かれ、事件は意想外の展開をしながら終局に至る。
ざっとこういう粗筋になるが、登場人物が少なく、しかも丁寧に描かれているので読みやすい。ただこのゆったり感(テンポがのろい)はイラチの人間にはしんどいかも知れないが、中盤にさしかかる頃から、或る出来事をきっかけに、それまで透明感のあった主人公に血と肉が入り、俄然人間臭さが出てくる。
後半はハラハラさせ、何とか・・・・と願いたくなる。着地は静かな余韻のなかで終わり、味わい深い。さすが、英国ミステリ。
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血と肉を分けた者 (講談社文庫) 文庫 – 2006/5/16
抑圧された生活の果てに16歳の少女を殺した少年が、13年ぶりに仮釈放された。彼を逮捕した元警部のエルダーは、事件当時に失踪し、今も見つかっていない少女の捜査を再開。だが感受性の強い少年は新生活に馴染めず、また姿を消してしまった。あまりに厳しい社会の現実と脆(もろ)すぎる家族の絆。CWA賞受賞作。
- 本の長さ606ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2006/5/16
- ISBN-10406275407X
- ISBN-13978-4062754071
商品の説明
著者について
チャーリー・レズニック警部シリーズ(全10作)で世界的に有名に。『ロンリー・ハート』は「20世紀のベストクライムノヴェル100」(タイムズ紙)と賞された。テレビの分野などでも多彩な活動を展開。'98年にはグレアム・グリーンの『情事の終わり』をラジオドラマ用に脚色し、ソニー・ラジオ賞を受けた。本作でCWA賞(英国推理作家協会賞)のシルバー・ダガー賞を受賞、改めてその実力が認められたことになる。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/5/16)
- 発売日 : 2006/5/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 606ページ
- ISBN-10 : 406275407X
- ISBN-13 : 978-4062754071
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,962,363位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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