核兵器、生物兵器、化学兵器。これらは大量破壊兵器として、各国が大量に保有をしているものの、国際条約により実際に使用されることは限られており、使用が認められれば轟々たる非難を受ける。
なぜこれらの使用が禁じられているのか。それは第一に「相手に不必要なほどに過剰な苦痛を与えるから」だが、それ以上に「実際に使用した際、コントロールが難しい」という点が挙げられる。つまり、使用すれば有効範囲に存在する生物は無差別に害を被る。それは味方も含めてだ。
そして生物兵器、化学兵器は古代から使用されてきた。剣や斧や弓で正々堂々とぶつかり合う戦争の陰で、毒や病原菌や火薬を使用した戦略も取られた。そしてそれらは、時には味方さえも死に追いやったのである。その様と卑劣さに恐れを感じた統治者や政治家は、戦争が終わる度にこれらの使用を禁じたが、その有用性ゆえに、その後もこれらの兵器は何度も使用された。
本書では紀元前から14世紀までの歴史から、生物兵器、化学兵器が使用された記録を選出し掲載している。そして教えてくれる。「歴史は同じ過ちの繰り返しによる罪重ね」なのだと。
歴史や記録は振り返るためにある。そのことを、私も含めて誰もが忘れがちだ。
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驚異の戦争〈古代の生物化学兵器〉 (講談社文庫) 文庫 – 2006/5/16
ギリシア神話の英雄ヘラクレスが使用した恐ろしい毒矢は実在した? 火炎放射器、毒矢、サソリ爆弾など、驚くべきことに古代~中世の戦争でも「生物化学兵器」が使用されていた。その実態と悲惨さを、女性科学史家が膨大な史料と考古学的証拠から解き明かし、現代人に警鐘を鳴らす興味尽きぬ科学読み物。
- 本の長さ395ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2006/5/16
- ISBN-104062754096
- ISBN-13978-4062754095
商品の説明
著者について
科学史および民俗学の研究家。古代の神話や伝説、史実にみられる科学的な実態を追究している。著書に『Fossil Legends of the First Americans』(2005年)、『The First Fossil Hunters:Paleontology in Greek and Roman Times』(2000年)。Natural History誌、Archaeology誌、MHQ:The Quarterly Journal of Military History誌、など有名学術誌に数々の記事を寄稿している。
サウスダコタ州出身。ミネソタ大学で軍事史、ギリシア・ローマ古典時代、初期の科学について学ぶ。現在は、夫と共にモンタナ州とカリフォルニア州の拠点を行き来する生活。カリフォルニアではスタンフォード大学古典および科学史の客員研究員を務めている。
サウスダコタ州出身。ミネソタ大学で軍事史、ギリシア・ローマ古典時代、初期の科学について学ぶ。現在は、夫と共にモンタナ州とカリフォルニア州の拠点を行き来する生活。カリフォルニアではスタンフォード大学古典および科学史の客員研究員を務めている。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2006/5/16)
- 発売日 : 2006/5/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 395ページ
- ISBN-10 : 4062754096
- ISBN-13 : 978-4062754095
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,210,787位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2015年12月15日に日本でレビュー済み
炭疽菌に毒ガス。生物兵器。これらは現代に生まれたわけではない。昔からの進歩した結果である。
誰だって英雄になりたい。真剣勝負で戦い、勝っても負けても、語り継がれるのならば。
だがそれだと、それに続く者が列をなす。それだと戦争はおさまらない。
この本に書かれている兵器は、言わば恐怖である。隣にいた戦友が、のたうちまわり、口から泡を吹き、白目を向いて死ぬ。
赤の他人でも嫌だろう。大量に殺せる事もできる。だが一番は、勇気や闘争心を殺すことなのかもしれない。
誰だって英雄になりたい。真剣勝負で戦い、勝っても負けても、語り継がれるのならば。
だがそれだと、それに続く者が列をなす。それだと戦争はおさまらない。
この本に書かれている兵器は、言わば恐怖である。隣にいた戦友が、のたうちまわり、口から泡を吹き、白目を向いて死ぬ。
赤の他人でも嫌だろう。大量に殺せる事もできる。だが一番は、勇気や闘争心を殺すことなのかもしれない。
2006年8月16日に日本でレビュー済み
サブタイトルには「古代の生物化学兵器」とありますが、
実際には毒矢、疫病誘発(井戸に毒を入れたり)、ギリシャの火(火炎放射器)など、
近世以前のダークな戦闘方法を列挙しています。
三国志で華陀が関羽に刺さった毒矢を治療する話まで出ていて
拾い上げている文献はかなり幅広くて興味深いですが、
恣意的な解釈が入りすぎていて、トンデモ本的な飛躍もところどころあります。
つまり、各種伝説や聖書などから特定の部分を抜き出し「合理的解釈」を推し進めて、
「じつはXXXの奇跡は古代の細菌兵器だったのだ」とか
「英雄XXXの弓は毒矢だったのだ」みたいな叙述が多いです。
実際には毒矢、疫病誘発(井戸に毒を入れたり)、ギリシャの火(火炎放射器)など、
近世以前のダークな戦闘方法を列挙しています。
三国志で華陀が関羽に刺さった毒矢を治療する話まで出ていて
拾い上げている文献はかなり幅広くて興味深いですが、
恣意的な解釈が入りすぎていて、トンデモ本的な飛躍もところどころあります。
つまり、各種伝説や聖書などから特定の部分を抜き出し「合理的解釈」を推し進めて、
「じつはXXXの奇跡は古代の細菌兵器だったのだ」とか
「英雄XXXの弓は毒矢だったのだ」みたいな叙述が多いです。
2010年1月10日に日本でレビュー済み
Adrienne Mayorの『Greek Fire, Poison Arrows, and Scorpion Bombs: Biological and Chemical Warfare in the Ancient World』(2003年)の翻訳。
著者は科学史・民俗学についての、著述家と研究者の中間の存在のような人らしい。
本書は、古代ギリシャを中心に、古今東西の生物・化学兵器についての記録を収集したもの。矢に毒を塗ったり、飲み水に毒を混ぜたり、病原菌を敵陣に送り込んだり、蜂の巣を敵の進路に並べておいたりといった事例が、次々と紹介されていく。
しかし、扇情的だったり羅列的だったりするわけではなく、きちんと系統だって並べられ、現代の知識も動員されているので、理解しやすい。
訳者には、もうちょっと頑張ってほしかった。あまりに仕事がおざなりだ。
著者は科学史・民俗学についての、著述家と研究者の中間の存在のような人らしい。
本書は、古代ギリシャを中心に、古今東西の生物・化学兵器についての記録を収集したもの。矢に毒を塗ったり、飲み水に毒を混ぜたり、病原菌を敵陣に送り込んだり、蜂の巣を敵の進路に並べておいたりといった事例が、次々と紹介されていく。
しかし、扇情的だったり羅列的だったりするわけではなく、きちんと系統だって並べられ、現代の知識も動員されているので、理解しやすい。
訳者には、もうちょっと頑張ってほしかった。あまりに仕事がおざなりだ。
2006年12月8日に日本でレビュー済み
意外なものが戦争の道具として使われていたのですね。
まさか私達が日常的に食べている品物の中にも、有ったとは知りませんでした。
もっとも薬と毒薬は表裏一体ですからね。
ただ他の方もお書きですが、読みにくい日本語の訳ですね。
明らかに誤訳というか誤った知識で記載されている部分が散見されました。
まさか私達が日常的に食べている品物の中にも、有ったとは知りませんでした。
もっとも薬と毒薬は表裏一体ですからね。
ただ他の方もお書きですが、読みにくい日本語の訳ですね。
明らかに誤訳というか誤った知識で記載されている部分が散見されました。
2006年11月8日に日本でレビュー済み
現在の生物化学兵器に相当するものは古代から使用されていた、という内容の著作です。なかなか興味深い内容であり、おもしろく読めます。
神話などの記述の解釈については強引な点もあるように感じますが著者の立場から見れば、そういうものなのでしょう。読者が自分で割り引いて読めば良いことです。
残念なのが訳者に大きな問題がある点です。本書で扱っているジャンルに知識が無いことによる不適当な訳語、直訳調で読みにくい文章までは何とか我慢が出来ます。しかし、日本語として成り立っていない文章や会話のような口調の文章が散見されることには苛立たされます。
訳者には日本語の勉強をやり直してもらいたいものです。
神話などの記述の解釈については強引な点もあるように感じますが著者の立場から見れば、そういうものなのでしょう。読者が自分で割り引いて読めば良いことです。
残念なのが訳者に大きな問題がある点です。本書で扱っているジャンルに知識が無いことによる不適当な訳語、直訳調で読みにくい文章までは何とか我慢が出来ます。しかし、日本語として成り立っていない文章や会話のような口調の文章が散見されることには苛立たされます。
訳者には日本語の勉強をやり直してもらいたいものです。