作品自体は結構、面白いです。
正直「まぁ、書店の軒先に出てるのって、そこそこのアタリしかないしね」
なんて不遜な心持ちで手に取ったのですが、ついつい、一気読みしてしまいました。
犯罪に足を踏み出してしまう女の心情についての描写は、
桐野夏生の「OUT」をどことなく感じさせるような、
「ああ、こうなってしまうこともありえるのかもしれない」と思えるところもあり、
(※桐野夏生のが数十段上ではあると思いますが…)
一晩明けずには読もうと思える作品でした。
終わり方も、多少の荒削りな描写を差し引いても、
「こうくるか!」という感じで、
むしろ心地よい突き落としで、良い感じです。
しかしながら…。
なぜこんなことを書かなければならないのかと思いつつ、
今後読む方の参考になれば、と思い敢て書かせてもらいますが、
解説が史上最悪です(文庫版に限るのかもしれませんが)。
「こうくるか!」と終わった直後に始まるために、
思わず読み続けてしまうまう構成になっているのですが、
うっかり読んだ瞬間、あまりの文章の拙さに愕然として、
くだらない思い出話の羅列に「だからなに?」と突っ込みたくなり、
心地よさがびっくりするほどの吹っ飛び方をして、
ものの見事に作品を台無しにしてくれます。
なぜこんなくだらない解説者を選んでしまったのか…。。。
解説によって作品を台無しにされる、なんて生まれて初めての経験でした。
これさえなければ☆4つはつけられたのですが…。
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転落 (講談社文庫 な 78-1) 文庫 – 2009/4/15
永嶋 恵美
(著)
落ちていく速度は転げるように早い――
ホームレスになってしまった「ボク」は、食料を探していた神社で、小学生の麻由から弁当を手渡される。巧妙な「餌付け」の結果生まれた共犯関係は、運命を加速度的に転落へと向かわせる。見せ掛けの善意に隠された嫉妬・嘲笑・打算が醜くこぼれ落ちるとき、人は自分を守れるのか!?驚愕の心理サスペンス。
ホームレスになってしまった「ボク」は、食料を探していた神社で、小学生の麻由から弁当を手渡される。巧妙な「餌付け」の結果生まれた共犯関係は、運命を加速度的に転落へと向かわせる。見せ掛けの善意に隠された嫉妬・嘲笑・打算が醜くこぼれ落ちるとき、人は自分を守れるのか!?驚愕の心理サスペンス。
- 本の長さ338ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2009/4/15
- ISBN-104062763354
- ISBN-13978-4062763356
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2009/4/15)
- 発売日 : 2009/4/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 338ページ
- ISBN-10 : 4062763354
- ISBN-13 : 978-4062763356
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,432,012位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年11月6日に日本でレビュー済み
ラストの衝撃というのを履き違えているとしか思えない。何かしら意図を持ってあのような最後にしたとすると、読者のうちどれくらいがそれを汲み取れるか…
少女との関連性も全く見えてこない、最後まで読んでも納得することも出来ない。
文章そのものもイマイチ感情移入しにくい上、キーになりそうな物が登場するもどれも中途半端、、
少女との関連性も全く見えてこない、最後まで読んでも納得することも出来ない。
文章そのものもイマイチ感情移入しにくい上、キーになりそうな物が登場するもどれも中途半端、、
2014年11月6日に日本でレビュー済み
主人公は何故ホームレスなのか?過去に何があったのか?律子という女性は誰なのか?
多くの謎を抱えて始まり、徐々に真相が明らかになるストーリー。
うーん…何だろう、読みにくい。主観的な心理描写が凄まじく、ぬるぬると絡みつく感じ。真相が明らかになってもどこかすっきりしなかった。伏線が消化不良とか筋がもやもやとかではなくて、登場人物がぬるぬるした性質を持った人々で、気持ち悪い。
多くの謎を抱えて始まり、徐々に真相が明らかになるストーリー。
うーん…何だろう、読みにくい。主観的な心理描写が凄まじく、ぬるぬると絡みつく感じ。真相が明らかになってもどこかすっきりしなかった。伏線が消化不良とか筋がもやもやとかではなくて、登場人物がぬるぬるした性質を持った人々で、気持ち悪い。
2004年7月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現代社会にひそむ陰をすくいとるのが巧みな著者の新作は、はっきり言って怖い。その怖さは、読んでいる最中には背骨を震わせ、読み終えてからはボディブローのように効いてくる。
あっと驚かされる仕掛け。著者の深い人間観察が結実した描写。
主人公を取り巻く人々の何気ない会話や、罪の意識のなさに、ついつい普段の自分が重なる。自分だって、「善意の隣人を装った加害者」なのだ、といやでも気づかされる。
猛暑のこの夏。きりりと冷えたビールとこの本があれば、暑気払いできること請け合いだ。
あっと驚かされる仕掛け。著者の深い人間観察が結実した描写。
主人公を取り巻く人々の何気ない会話や、罪の意識のなさに、ついつい普段の自分が重なる。自分だって、「善意の隣人を装った加害者」なのだ、といやでも気づかされる。
猛暑のこの夏。きりりと冷えたビールとこの本があれば、暑気払いできること請け合いだ。
2004年8月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
3章構成で、それぞれ、語り手が異なる。1章の語り手はホームレス。小学生の女の子と仲良くなって、しかしだんだんおかしな感じになっていく。行動にも微妙に不可解なところがあって「何で」と思っているうちに2章にいくと、全然違う話に。「なんだなんだ?」と思うが、実は1章ときちんとつながっていることが明かされる。
勘違いしたのは著者のトリックに見事にだまされたからで、思わず膝を打ってしまった。
そのトリックが、単なる小手技でなく、登場人物の内面を語るうえで必要だったことが分かり、二重に感心。
ラストでトリックを説明しておしまい、というパタンが多いと思うのだが、この本ではこの大技を全体の三分の一ぐらいで明かしている。すばらしい!
で、2章は別の語り手なのだが、この人の行動にも不可解な点があり、後半で思いがけない謎解きが行なわれる。
というわけで、ページをめくらせる力が強い。
ホームレスにしても2章の語り手にしても、タイトルどおり転落するのだが、それは周囲の視線のせい(と、大雑把にくくってはよくないが)。その周囲の怖さを、職場の会話や田舎の描写を通してきっちり描いている。
面白い1冊であります。
勘違いしたのは著者のトリックに見事にだまされたからで、思わず膝を打ってしまった。
そのトリックが、単なる小手技でなく、登場人物の内面を語るうえで必要だったことが分かり、二重に感心。
ラストでトリックを説明しておしまい、というパタンが多いと思うのだが、この本ではこの大技を全体の三分の一ぐらいで明かしている。すばらしい!
で、2章は別の語り手なのだが、この人の行動にも不可解な点があり、後半で思いがけない謎解きが行なわれる。
というわけで、ページをめくらせる力が強い。
ホームレスにしても2章の語り手にしても、タイトルどおり転落するのだが、それは周囲の視線のせい(と、大雑把にくくってはよくないが)。その周囲の怖さを、職場の会話や田舎の描写を通してきっちり描いている。
面白い1冊であります。
2010年2月22日に日本でレビュー済み
「転落」というほどの思いは正直受けなかった。
「転落」という意味で言えば、桐野夏生の「OUT」の本が断然上。
また、追い詰められてゆくさまで言えば、奥田英朗の「最悪」のほうが断然面白い。
素人の私が言うのもなんだが、
「すべてが作者の脳内でのこと」という感じがぬぐえなかった。
自分で自分を追い込んでゆくさまに、妥当性がなく、
「まぁこう思うやろな」というところまで「私」に共感できなかった。
同じような心理サスペンスなら、
沼田まほかるの「九月が永遠に続けば」をおすすめする。
「転落」という意味で言えば、桐野夏生の「OUT」の本が断然上。
また、追い詰められてゆくさまで言えば、奥田英朗の「最悪」のほうが断然面白い。
素人の私が言うのもなんだが、
「すべてが作者の脳内でのこと」という感じがぬぐえなかった。
自分で自分を追い込んでゆくさまに、妥当性がなく、
「まぁこう思うやろな」というところまで「私」に共感できなかった。
同じような心理サスペンスなら、
沼田まほかるの「九月が永遠に続けば」をおすすめする。
2011年1月24日に日本でレビュー済み
私もキャッチコピーに惹かれて購入しました。しかしながら、本作品は叙述トリックとしてルール違反ではないかと思います。ネタバレを避けるために、以下わかりにくい表現になってしまいますが、ミステリーに詳しい方がおられましたら、解説していただけると幸いです。
「ボク」は「母の友人」と公園で待ち合わせをしている際に、「殺されても(包丁を持ってきたとしても)おかしくない」と言っています。これは読者をミスリードするためだと思いますが、(最後に明らかになる)「ボクの母」と「母の友人」の関係からすると、どうしてこのような描写ができるのか理解できません。
「ボク」が「母の友人」宅に匿われる章ですが、最後に「ボク」は押し入れから「母の友人」を襲うことになりますが、その争いの中で交わす言葉から「ボク」は「母の友人」との関係を認識していることが明らかです。とすれば、やはり最初の章で「ボク」という描写をするのは反則だと思います(最初の章は「ボク」の視点で描かれているのですから)。
「ボク」は「母の友人」と公園で待ち合わせをしている際に、「殺されても(包丁を持ってきたとしても)おかしくない」と言っています。これは読者をミスリードするためだと思いますが、(最後に明らかになる)「ボクの母」と「母の友人」の関係からすると、どうしてこのような描写ができるのか理解できません。
「ボク」が「母の友人」宅に匿われる章ですが、最後に「ボク」は押し入れから「母の友人」を襲うことになりますが、その争いの中で交わす言葉から「ボク」は「母の友人」との関係を認識していることが明らかです。とすれば、やはり最初の章で「ボク」という描写をするのは反則だと思います(最初の章は「ボク」の視点で描かれているのですから)。
2009年11月22日に日本でレビュー済み
まず、ラストの衝撃とあるが、たいした衝撃ではなく肩透かしであった。
何が起こる?と思い、読み進めていったら、 唐突に終わり、期待した衝撃も全くなし。
全て予想の範囲を越える事はない。
第一章のトリックは割と面白いものではあるが、 裏表紙や帯で煽るほど、少女との「共犯関係」はたいした事はない。
たいそうな犯罪のように匂わせているが、 単なる子供のいたずらレベル。
こんな事で転落って言ってしまうの?
そして、一番よくないのは、あちこち微妙に消化不良な部分が多い。
それぞれの行動に対する理由付けが甘いせいだと思う。
つまり、その行動を取る意味がわからない、となる。
そして、何でそうなるの!?という部分も。。。
例えば、体力のない弱った病気の人間が、素早く襲って来る!とか…;
全てに納得がいかない… この一言に尽きる。
冗長な文章も、読んでいて疲れた。
何が起こる?と思い、読み進めていったら、 唐突に終わり、期待した衝撃も全くなし。
全て予想の範囲を越える事はない。
第一章のトリックは割と面白いものではあるが、 裏表紙や帯で煽るほど、少女との「共犯関係」はたいした事はない。
たいそうな犯罪のように匂わせているが、 単なる子供のいたずらレベル。
こんな事で転落って言ってしまうの?
そして、一番よくないのは、あちこち微妙に消化不良な部分が多い。
それぞれの行動に対する理由付けが甘いせいだと思う。
つまり、その行動を取る意味がわからない、となる。
そして、何でそうなるの!?という部分も。。。
例えば、体力のない弱った病気の人間が、素早く襲って来る!とか…;
全てに納得がいかない… この一言に尽きる。
冗長な文章も、読んでいて疲れた。