事件も一筋縄ではいかないツイストが
効いていて読み応え十分。
放射性物質によるテロということで
緊迫感があるし、
なおかつ事件に食いついたら離れない
ボッシュらしさも存分に出ていた。
本当に面白かったです。
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死角 オーバールック (講談社文庫 こ 59-15) 単行本 – 2010/12/15
ロス殲滅か!?大都市にテロの恐怖が迫る 深夜の展望台で男の射殺体が見つかり、テロリストが関与している可能性が浮上。FBIのテロ捜査網と殺人犯を追うボッシュが火花を散らす!人気シリーズ最新作。
- 本の長さ404ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2010/12/15
- ISBN-10406276850X
- ISBN-13978-4062768504
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2010/12/15)
- 発売日 : 2010/12/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 404ページ
- ISBN-10 : 406276850X
- ISBN-13 : 978-4062768504
- Amazon 売れ筋ランキング: - 390,260位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
相変わらずのクオリティの高さ。
本作は他のボッシュ作品と比べると量的には半分程度のページ数であったことから、番外的なものなのかとあまり期待せず読み始めたのですが、いやいや、面白いじゃないですか。
逆に、短いからこそのストーリー展開がテンポよく、ハラハラ感がより味わえます。
やはり、ボッシュシリーズにハズレなしです。
内容的には、ボッシュシリーズとしては前作にあたる『エコーパーク』から半年後に発生した事件ということで、『エコーパーク』同様、FBI捜査官レイチェル・ウォリングが登場します。
本作の面白いところは、テロ事件ととらえ国家安全保障の問題として奪われた放射性物質を見つけることを最優先と考えるFBIと、あくまで殺人事件捜査として犯人をみつけることを最優先と考えるボッシュとの対比でしょうね。
国全体の視点で物事を考えるFBIが、政府に悪影響を与えるテロを防ぐため(もしくはテロの脅威が国民の感心を政府に対する不満から逸らすことができると考えるがため)、放射性物質の発見を最優先することは理解できますし、一方、被害者の代弁者たる市警のボッシュが「もしおれたちが展望台で死んで倒れている男のことを忘れるなら、ほかのあらゆることを忘れてしまうだろう」「殺人犯を見つければセシウムも見つかる」と考えるボッシュの立場も理解できます。
この二つの立場の対立が物語を面白くしています。
この対立構造を物語の柱に置くマイクル・コナリー、やはり巧いです。
ボッシュは言う。
「おれたちはみんな渦に巻き込まれて排水口から消えていくんだ。なかにはその運命が近づいてくるのに気づく者もいれば、渦を巻く暗流につかまえられて、暗闇の中に永遠に引きずり込まれるまでなんの手がかりも持たない者もいる。大切なのは、それに抗うことだ。常に蹴とばし続ける。常に暗流と戦い続けることだ」
暗流と戦い続けるボッシュの今後の活躍が楽しみです(次のボッシュ作品『ナインドラゴンズ』を読むのが楽しみになってきました。まだまだ読んでいない作品がありますので、しばらくボッシュ世界に浸れそうです)。
本作は他のボッシュ作品と比べると量的には半分程度のページ数であったことから、番外的なものなのかとあまり期待せず読み始めたのですが、いやいや、面白いじゃないですか。
逆に、短いからこそのストーリー展開がテンポよく、ハラハラ感がより味わえます。
やはり、ボッシュシリーズにハズレなしです。
内容的には、ボッシュシリーズとしては前作にあたる『エコーパーク』から半年後に発生した事件ということで、『エコーパーク』同様、FBI捜査官レイチェル・ウォリングが登場します。
本作の面白いところは、テロ事件ととらえ国家安全保障の問題として奪われた放射性物質を見つけることを最優先と考えるFBIと、あくまで殺人事件捜査として犯人をみつけることを最優先と考えるボッシュとの対比でしょうね。
国全体の視点で物事を考えるFBIが、政府に悪影響を与えるテロを防ぐため(もしくはテロの脅威が国民の感心を政府に対する不満から逸らすことができると考えるがため)、放射性物質の発見を最優先することは理解できますし、一方、被害者の代弁者たる市警のボッシュが「もしおれたちが展望台で死んで倒れている男のことを忘れるなら、ほかのあらゆることを忘れてしまうだろう」「殺人犯を見つければセシウムも見つかる」と考えるボッシュの立場も理解できます。
この二つの立場の対立が物語を面白くしています。
この対立構造を物語の柱に置くマイクル・コナリー、やはり巧いです。
ボッシュは言う。
「おれたちはみんな渦に巻き込まれて排水口から消えていくんだ。なかにはその運命が近づいてくるのに気づく者もいれば、渦を巻く暗流につかまえられて、暗闇の中に永遠に引きずり込まれるまでなんの手がかりも持たない者もいる。大切なのは、それに抗うことだ。常に蹴とばし続ける。常に暗流と戦い続けることだ」
暗流と戦い続けるボッシュの今後の活躍が楽しみです(次のボッシュ作品『ナインドラゴンズ』を読むのが楽しみになってきました。まだまだ読んでいない作品がありますので、しばらくボッシュ世界に浸れそうです)。
2020年10月3日に日本でレビュー済み
比較的厳しい意見が多いが、“さすがのコナリー”で私は期待を裏切られることはなかった。
まずタイトルから犯人の予想はつくが、内容の展開に不満はなくおもしろい。
比較的ページ数が少ないので、冗長な箇所も少ない。
ボッシュはどんなに周囲に邪険に扱われても、最終的には見事な彼の推理力が勝利を収めるのだ。ここが痛快!
レイチェルはここでは凡人。生意気なだけで、学んだ知識や得た情報の中でしか考えることができない。
FBIとロス市警の軋轢が描かれているが、どちらかというとFBIが上から目線なようで、それはレイチェルにも言える。
新たにペアになった20歳以上後輩のイギーはボッシュと上手くいかない。とうとうイギーがキレて「あんたはパートナーを望んでいない。使い走りがほしいんだ。自分のすることになにも疑問を抱いたりしない人間を」と言うがこれはもっともだと思う。実際ボッシュのような同僚がいたらたまらないだろう。
しかしここでは『ボッシュ』。凡人のイギー君には到底かなわない域に達している人間なのだよ、ということ。
本作では放射能によるテロの恐れがひとつのテーマになっているが、具体的な放射能の恐ろしさとして、最近では1999年の東海村JCO臨界事故や、2006年のロシア人元スパイが緑茶に放射性物質(ポロニウム210)を混入されて殺害された事件・事故を思い浮かべた。
まずタイトルから犯人の予想はつくが、内容の展開に不満はなくおもしろい。
比較的ページ数が少ないので、冗長な箇所も少ない。
ボッシュはどんなに周囲に邪険に扱われても、最終的には見事な彼の推理力が勝利を収めるのだ。ここが痛快!
レイチェルはここでは凡人。生意気なだけで、学んだ知識や得た情報の中でしか考えることができない。
FBIとロス市警の軋轢が描かれているが、どちらかというとFBIが上から目線なようで、それはレイチェルにも言える。
新たにペアになった20歳以上後輩のイギーはボッシュと上手くいかない。とうとうイギーがキレて「あんたはパートナーを望んでいない。使い走りがほしいんだ。自分のすることになにも疑問を抱いたりしない人間を」と言うがこれはもっともだと思う。実際ボッシュのような同僚がいたらたまらないだろう。
しかしここでは『ボッシュ』。凡人のイギー君には到底かなわない域に達している人間なのだよ、ということ。
本作では放射能によるテロの恐れがひとつのテーマになっているが、具体的な放射能の恐ろしさとして、最近では1999年の東海村JCO臨界事故や、2006年のロシア人元スパイが緑茶に放射性物質(ポロニウム210)を混入されて殺害された事件・事故を思い浮かべた。
2012年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2007年発表、2010年邦訳の本作品は、<ハリー・ボッシュシリーズ>の第13作目。
前2作が、迷宮入りした事件を連続して扱ったためか、未解決事件班から、殺人事件特捜班に異動となり、「発生したばかりの殺人事件」を扱う。
それも、夜中に眠っているところを上司からの呼び出されての出動である。
事件の被害者は、医学物理士で、放射性物質を扱う仕事をしていたことから、危険物を扱ったテロが今後発生する危険性が想定され、FBIが介入。
――このFBIとロス市警との軋轢という構図は、これまでのシリーズでも度々、というかほとんどの作品で取り上げられてきたシチュエーションといえます。
今回、題材となった放射性物質が「セシウム」ということで、期せずして日本人にとっては、その恐怖が身に染みる内容となっています。
もちろん、本書の執筆は、2006年なので、日本の原発事故を念頭に置いて書かれているわけではないのですが、ウランやプルトニウムという放射性物質を出してこないところが、よく取材されている証拠といえるかも。
ただ、いつものような「複雑に二転三転する物語」でなく、すっきりしすぎているところが、シリーズを読み続けてきた自分にとっては物足りなさを感じてしまいました。
これは、本作品が当初、毎週日曜掲載の新聞連載であり、字数制限を課せられていたためか。
(その後、単行本化で、大幅に加筆修正しているとのことだが、そこは、巻末解説に詳しいので、そちらをご覧ください。)
本作品は、前作「エコー・パーク」の余波が随所にみられるのが特徴で、ラストの台詞にも関わってきます。
新聞連載時には、誰でも物語に入り込めるようなものになっていたと思いますが、単行本化により、シリーズ愛好家向けの意味合いの強い作品に書き換えられていると推測しています。
このため、ハリー・ボッシュシリーズの初読が本書、というのは、あまりオススメできないと考えています。
前2作が、迷宮入りした事件を連続して扱ったためか、未解決事件班から、殺人事件特捜班に異動となり、「発生したばかりの殺人事件」を扱う。
それも、夜中に眠っているところを上司からの呼び出されての出動である。
事件の被害者は、医学物理士で、放射性物質を扱う仕事をしていたことから、危険物を扱ったテロが今後発生する危険性が想定され、FBIが介入。
――このFBIとロス市警との軋轢という構図は、これまでのシリーズでも度々、というかほとんどの作品で取り上げられてきたシチュエーションといえます。
今回、題材となった放射性物質が「セシウム」ということで、期せずして日本人にとっては、その恐怖が身に染みる内容となっています。
もちろん、本書の執筆は、2006年なので、日本の原発事故を念頭に置いて書かれているわけではないのですが、ウランやプルトニウムという放射性物質を出してこないところが、よく取材されている証拠といえるかも。
ただ、いつものような「複雑に二転三転する物語」でなく、すっきりしすぎているところが、シリーズを読み続けてきた自分にとっては物足りなさを感じてしまいました。
これは、本作品が当初、毎週日曜掲載の新聞連載であり、字数制限を課せられていたためか。
(その後、単行本化で、大幅に加筆修正しているとのことだが、そこは、巻末解説に詳しいので、そちらをご覧ください。)
本作品は、前作「エコー・パーク」の余波が随所にみられるのが特徴で、ラストの台詞にも関わってきます。
新聞連載時には、誰でも物語に入り込めるようなものになっていたと思いますが、単行本化により、シリーズ愛好家向けの意味合いの強い作品に書き換えられていると推測しています。
このため、ハリー・ボッシュシリーズの初読が本書、というのは、あまりオススメできないと考えています。
2011年1月7日に日本でレビュー済み
マイクル・コナリーは,文句なく,間違いなく,外れがない!!面白い!!
って思いたいじゃないですか!次から次へ,やっぱり期待しているわけですよ。
ファンの人たち,そうですよね!
だから,『死角』は,ちょっと残念です。
短いから物足りないのではなく,中身が薄めなところが,物足りないです。
だから,前出の方のコメントに,とても共感します。
面白くないわけではないのですが,そうですね・・・
敢えて言うなら,フルコース料理の間に出てくるちっこいシャーベット
みたいな感じ。
次はものすごいお肉料理が出てくることに期待しています。
・・・こってり上下分冊で,
首までどっぷりつかっるようなのを読ませて下さい。
新しいパートナー,イグナシオ君との絡みには,今後期待したいと思います。
って思いたいじゃないですか!次から次へ,やっぱり期待しているわけですよ。
ファンの人たち,そうですよね!
だから,『死角』は,ちょっと残念です。
短いから物足りないのではなく,中身が薄めなところが,物足りないです。
だから,前出の方のコメントに,とても共感します。
面白くないわけではないのですが,そうですね・・・
敢えて言うなら,フルコース料理の間に出てくるちっこいシャーベット
みたいな感じ。
次はものすごいお肉料理が出てくることに期待しています。
・・・こってり上下分冊で,
首までどっぷりつかっるようなのを読ませて下さい。
新しいパートナー,イグナシオ君との絡みには,今後期待したいと思います。
2015年1月10日に日本でレビュー済み
深夜にかかってきた上司からの電話がボッシュに命じたのは、マルホランドの展望台でまるで処刑のように無残に殺されていた男について捜査することだった。男は勤務先の病院から治療用の放射性物質を持ち出しており、どうやら放射性物質の入手をもくろむテロリストに利用され殺されたらしい。あくまでも1つの殺人事件として真相を追及しようとするボッシュは、放射性物質の確保を最優先に考えるFBIと衝突する。「どんな人間でも価値がある。さもなければ、だれも価値がない。」という台詞を久しく口にしなくなったボッシュだが、その行動をみれば、彼の信念は今も変わっていないことがわかる。
己の信じる道をゆく刑事ボッシュの軌跡を追うこのシリーズは、その重厚さが新規読者に参入を躊躇させるのが玉にきずだが、本作は場面転換の早さと勧善懲悪という点が希少でありながら、いつものように二転三転する展開を楽しめる。いわばボッシュシリーズのエッセンスを凝縮したような作品であり、初心者にも読みやすい。シリーズ前作を知らなくても問題なく読み通せるので、ぜひボッシュを知らない人に読んでほしい。
己の信じる道をゆく刑事ボッシュの軌跡を追うこのシリーズは、その重厚さが新規読者に参入を躊躇させるのが玉にきずだが、本作は場面転換の早さと勧善懲悪という点が希少でありながら、いつものように二転三転する展開を楽しめる。いわばボッシュシリーズのエッセンスを凝縮したような作品であり、初心者にも読みやすい。シリーズ前作を知らなくても問題なく読み通せるので、ぜひボッシュを知らない人に読んでほしい。
2015年2月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マイクル・コナリーの作品にしては珍しく1冊完結でしたが、おもしろく読むことが出来ました。
2012年1月25日に日本でレビュー済み
いつものマイクル・コナリーのハリー・ボッシュものとは、ちょっと違ったサスペンス小説。いつもは、もっとダークでハードボイルドな警察小説だけど、今回は、なんだかTVドラマ「24」みたい。
「24」自体は好きだし、サスペンス小説もキライではないんだけど、どうも今回は、自分好みではあまりない。放射能テロ事件っぽい話で、スピーディな展開は、コナリーのストーリー・テラーぶりを遺憾なく発揮してるとも言えるんだけど、逆にそのせいか、重厚さというか、深さというか、以前のハリー・ボッシュシリーズに見られた、人間の業の深さとか悲しさがあまり描かれていない。
ジェイムズ・エルロイとか、このマイクル・コナリーは、そういったところが好きなんだけどなぁ。
ネタバレになってしまうのであまり書けないけど、結末の付け方もあまりにも安易。というかヒネリがない。やはり、ミステリというかサスペンス小説なんだよなぁ。でも、面白かったけどね。
「24」自体は好きだし、サスペンス小説もキライではないんだけど、どうも今回は、自分好みではあまりない。放射能テロ事件っぽい話で、スピーディな展開は、コナリーのストーリー・テラーぶりを遺憾なく発揮してるとも言えるんだけど、逆にそのせいか、重厚さというか、深さというか、以前のハリー・ボッシュシリーズに見られた、人間の業の深さとか悲しさがあまり描かれていない。
ジェイムズ・エルロイとか、このマイクル・コナリーは、そういったところが好きなんだけどなぁ。
ネタバレになってしまうのであまり書けないけど、結末の付け方もあまりにも安易。というかヒネリがない。やはり、ミステリというかサスペンス小説なんだよなぁ。でも、面白かったけどね。