日本人捕虜達は愚かな戦争を一刻も早く終わらせたかった!
その為に、生きて旅愁の辱めを受けず、と教育された日本兵は、アメリカの車社会の工業力、デパートやシアーズなどのショッピングの便利さ
桁違いの豊かさ、ステーキなどの食事のバラエティさに痺れ、
自ら進んで、軍機密を漏らし、日本の基地の詳細、都市の精密な地図、皇居の図面、果ては天皇の住居まで、取調べ官に喋った。
これでは、勝てる戦争も全く勝てないことになるのは必然( ˙▿˙ )☝
己を知らず、敵を知らずんば、100戦全敗!
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トレイシー 日本兵捕虜秘密尋問所 (講談社文庫) 文庫 – 2012/7/13
中田 整一
(著)
得体の知れない敵国、日本を丸裸にするため、アメリカはすさまじい執念とエネルギーを費やし極秘に捕虜尋問センターを準備した。暗号名はトレイシー。日本人の国民性、心理、戦術、思想、都市の詳細などについて捕虜たちが提供した情報が、やがて日本の命運に大きくかかわってくる。講談社ノンフィクション賞受賞作。(講談社文庫)
アメリカにとって捕虜=「情報」だった
日本兵は、なぜ尋問官にあらゆる情報をしゃべったのか
得体の知れない敵国、日本を丸裸にするため、アメリカはすさまじい執念とエネルギーを費やし極秘に捕虜尋問センターを準備した。暗号名はトレイシー。日本人の国民性、心理、戦術、思想、都市の詳細などについて捕虜たちが提供した情報が、やがて日本の命運に大きくかかわってくる。講談社ノンフィクション賞受賞作。
太平洋戦争期の日本兵は、戦陣訓の「生きて虜囚の辱(はずかしめ)を受けず」の一句に代表されるような考え方で教育される一方、捕虜に関するジュネーブ条約の内容についての教育を受けておらず、捕虜となった際の作法や対処法が身体化されていなかった。
――加藤陽子(東京大学教授)<解説より>
アメリカにとって捕虜=「情報」だった
日本兵は、なぜ尋問官にあらゆる情報をしゃべったのか
得体の知れない敵国、日本を丸裸にするため、アメリカはすさまじい執念とエネルギーを費やし極秘に捕虜尋問センターを準備した。暗号名はトレイシー。日本人の国民性、心理、戦術、思想、都市の詳細などについて捕虜たちが提供した情報が、やがて日本の命運に大きくかかわってくる。講談社ノンフィクション賞受賞作。
太平洋戦争期の日本兵は、戦陣訓の「生きて虜囚の辱(はずかしめ)を受けず」の一句に代表されるような考え方で教育される一方、捕虜に関するジュネーブ条約の内容についての教育を受けておらず、捕虜となった際の作法や対処法が身体化されていなかった。
――加藤陽子(東京大学教授)<解説より>
- 本の長さ464ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2012/7/13
- ISBN-104062773104
- ISBN-13978-4062773102
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2012/7/13)
- 発売日 : 2012/7/13
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 464ページ
- ISBN-10 : 4062773104
- ISBN-13 : 978-4062773102
- Amazon 売れ筋ランキング: - 498,779位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,138位講談社文庫
- - 83,582位ノンフィクション (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年9月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2014年7月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
山崎豊子の「約束の海」の参考図書として
書簡に載ってたので、興味をもって
読みました。
たんなる日本人捕虜の収容所での
話ではなく、
太平洋戦争中の情報収集における
米英諜報最前線部隊の話で
スパイモノが好きな方にはオススメだと
思います。
書簡に載ってたので、興味をもって
読みました。
たんなる日本人捕虜の収容所での
話ではなく、
太平洋戦争中の情報収集における
米英諜報最前線部隊の話で
スパイモノが好きな方にはオススメだと
思います。
2021年2月3日に日本でレビュー済み
「これでは日本が負けて当たり前」
誰でもそう思わざるを得なくなるほど,本書に示されている,米軍側の情報収集が徹底され尽くしていたことが分かる一冊.
まず,冒頭に挙げられた皇居の平面図が,ほぼ正確で驚愕(p.10-18)
他にも要塞情報(p.149-151),果ては伍長の証言によって作成された暗号用タイプライターの形状(p.246-263,311-315)まで筒抜け・丸裸状態.
▼
そのために準備されたのが,まず施設(p.21-26, 55-56)
情報収集対象とした捕虜は2000人以上(p.30-31)
ドイツ兵捕虜の情報収集を行っていた,英国のMI19へアルブライト海軍少佐を派遣して,そのノウハウを学び(p.39-49),
リフェルダッファー中佐(p.43,120-123)の指揮する新組織OP-16-Zの下に,チャールズ・スピンクス少佐(p.49-50)などの日本語専門家を揃え(p.243),
日本語に通じた者が少なければ,特別講座を開くと共に,民間人からも広く登用し(p.58-64),
JDCなる秘密会議を開き(p.168),
memobox recorderを用いて盗聴設備まで整え(p.44-51)
「サクラ」を送り込み(p.116-120),
得られた情報をチェックするための工程表があり(p.141-143),
陸海軍の縄張り意識を克服するため,組織内容まで工夫(p.51-53)
(それでも,前線部隊がその情報収集のため,捕虜を手放したがらず,「トレイシー」に閑古鳥が鳴いていて(p.120),ニミッツの介入で事態が解決した(p.122),などというエピソードはある)
本書では,ある尋問官の日課を紹介している(p.64-68)が,さながら日本教育⇒尋問業務⇒日本教育⇒尋問業務といった感じ.
その上,ベルリンの日本大使館の書類を奪取する作戦まで立てられるが,ソ連軍の進攻が早く,こちらは中止(p.176-179)
その代わり,大島大使一行や,小島秀雄少将を連行してきて,私語を盗聴(p.268-285,288-311)
戦後も巣鴨プリズンにおいて行われた盗聴(p.372-373)
その上,イラク戦争に際しても,「トレイシー」が研究され,参考にされるという徹底ぶり(p.374-375)
▼
さらには心理学まで動員.
だいたいにおいて日本兵捕虜は,米本土に連れてこられた時点で,その豊かさを目の当たりにして既に動揺(p.69-70)
入国審査書類を装った「登録書」(p.71-72)
収集情報のリクエスト(p.73-74) ハーヴィー指示書(p.143)
捕虜になった日本兵の心理(p.79-81,98-100,107-115)
尋問官長・ウッダード海軍大尉(p.85-87,356-359)
盗聴器の仕組み(p.89)
日系人からの歓迎(p.92-93)
「飛龍」からの脱出・漂流(p.93-96)
日記の扱い(p.104-106)
「情報交換」まで行っての懐柔(p.126-132)
入院体験で感銘を受ける捕虜たち(p.135-136)
JTG(p.139-141)
スケッチの描かせ方(p.154-165)
(余談ながら,日系人米軍兵士にも道義心の葛藤があったようで,日系人部隊が対日戦線ではなく欧州戦線に送られたのは,日本兵と戦いたくないという心理が働いたためとのこと(p.172-176))
▼
対する日本陸軍が,英米情報収集の部署を立ち上げたのは,開戦から半年後(p.33)だったというから,大差がついていたのは工業力や物量だけでなかったことが明白.
▼
心理戦はさらに,日本向け謀略放送という形でも(p.226-244)
放送原稿をチェックする審査委員会(p.239)
さらにまた,戦後統治でもGHQ神道指令に関し,活用される心理分析(p.360-369)
▼
情けないのが情報将校のはずの,沖野という日本海軍大佐(p.182-211,311-317)
情報の大切さを知っているはずなのに,心理的動揺も手伝ってか,様々な情報を喋りまくる.
米側から「よくしゃべる男」と評されるほど(p.208-210)
呂号潜水艦の通信兵のほうは,そうだということを隠し抜いている(p.113)だけに,いっそう情けなさが引き立つ.
いかに日本が情報軽視だったかが,この一件からも明白.
後に言い訳本を出しているあたり,武人というより今日の無責任官僚に通じるような印象も.
ワン・ウーの尋問(p.186)
デキス・キルドイルによる心理戦(p.194-197)
エドワード・ピアス大佐(p.196-197)
捕虜についての認識の違いに慨嘆する沖野(p.211)
佐藤大尉も喋りまくり(p.212-213)
「打ち首」問題に興味津々の米軍(p.214-220)
突然の獄舎移送(p.220-224)
Uボート(p.264-265)
▼
終章は日本兵捕虜が射殺された一件(p.320-355)
これに対する報道姿勢の違いから,戦後も決して情報の価値が見なおされたわけではない日本の姿が浮き彫りに.
▼
総索引が無いのは残念.
また,日本人著者が書く,この手のものにありがちな無意味な飾文が,この本にも多く,少々イラつかされるが,我慢できる範囲内.
買え.
【関心率90.02%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】
誰でもそう思わざるを得なくなるほど,本書に示されている,米軍側の情報収集が徹底され尽くしていたことが分かる一冊.
まず,冒頭に挙げられた皇居の平面図が,ほぼ正確で驚愕(p.10-18)
他にも要塞情報(p.149-151),果ては伍長の証言によって作成された暗号用タイプライターの形状(p.246-263,311-315)まで筒抜け・丸裸状態.
▼
そのために準備されたのが,まず施設(p.21-26, 55-56)
情報収集対象とした捕虜は2000人以上(p.30-31)
ドイツ兵捕虜の情報収集を行っていた,英国のMI19へアルブライト海軍少佐を派遣して,そのノウハウを学び(p.39-49),
リフェルダッファー中佐(p.43,120-123)の指揮する新組織OP-16-Zの下に,チャールズ・スピンクス少佐(p.49-50)などの日本語専門家を揃え(p.243),
日本語に通じた者が少なければ,特別講座を開くと共に,民間人からも広く登用し(p.58-64),
JDCなる秘密会議を開き(p.168),
memobox recorderを用いて盗聴設備まで整え(p.44-51)
「サクラ」を送り込み(p.116-120),
得られた情報をチェックするための工程表があり(p.141-143),
陸海軍の縄張り意識を克服するため,組織内容まで工夫(p.51-53)
(それでも,前線部隊がその情報収集のため,捕虜を手放したがらず,「トレイシー」に閑古鳥が鳴いていて(p.120),ニミッツの介入で事態が解決した(p.122),などというエピソードはある)
本書では,ある尋問官の日課を紹介している(p.64-68)が,さながら日本教育⇒尋問業務⇒日本教育⇒尋問業務といった感じ.
その上,ベルリンの日本大使館の書類を奪取する作戦まで立てられるが,ソ連軍の進攻が早く,こちらは中止(p.176-179)
その代わり,大島大使一行や,小島秀雄少将を連行してきて,私語を盗聴(p.268-285,288-311)
戦後も巣鴨プリズンにおいて行われた盗聴(p.372-373)
その上,イラク戦争に際しても,「トレイシー」が研究され,参考にされるという徹底ぶり(p.374-375)
▼
さらには心理学まで動員.
だいたいにおいて日本兵捕虜は,米本土に連れてこられた時点で,その豊かさを目の当たりにして既に動揺(p.69-70)
入国審査書類を装った「登録書」(p.71-72)
収集情報のリクエスト(p.73-74) ハーヴィー指示書(p.143)
捕虜になった日本兵の心理(p.79-81,98-100,107-115)
尋問官長・ウッダード海軍大尉(p.85-87,356-359)
盗聴器の仕組み(p.89)
日系人からの歓迎(p.92-93)
「飛龍」からの脱出・漂流(p.93-96)
日記の扱い(p.104-106)
「情報交換」まで行っての懐柔(p.126-132)
入院体験で感銘を受ける捕虜たち(p.135-136)
JTG(p.139-141)
スケッチの描かせ方(p.154-165)
(余談ながら,日系人米軍兵士にも道義心の葛藤があったようで,日系人部隊が対日戦線ではなく欧州戦線に送られたのは,日本兵と戦いたくないという心理が働いたためとのこと(p.172-176))
▼
対する日本陸軍が,英米情報収集の部署を立ち上げたのは,開戦から半年後(p.33)だったというから,大差がついていたのは工業力や物量だけでなかったことが明白.
▼
心理戦はさらに,日本向け謀略放送という形でも(p.226-244)
放送原稿をチェックする審査委員会(p.239)
さらにまた,戦後統治でもGHQ神道指令に関し,活用される心理分析(p.360-369)
▼
情けないのが情報将校のはずの,沖野という日本海軍大佐(p.182-211,311-317)
情報の大切さを知っているはずなのに,心理的動揺も手伝ってか,様々な情報を喋りまくる.
米側から「よくしゃべる男」と評されるほど(p.208-210)
呂号潜水艦の通信兵のほうは,そうだということを隠し抜いている(p.113)だけに,いっそう情けなさが引き立つ.
いかに日本が情報軽視だったかが,この一件からも明白.
後に言い訳本を出しているあたり,武人というより今日の無責任官僚に通じるような印象も.
ワン・ウーの尋問(p.186)
デキス・キルドイルによる心理戦(p.194-197)
エドワード・ピアス大佐(p.196-197)
捕虜についての認識の違いに慨嘆する沖野(p.211)
佐藤大尉も喋りまくり(p.212-213)
「打ち首」問題に興味津々の米軍(p.214-220)
突然の獄舎移送(p.220-224)
Uボート(p.264-265)
▼
終章は日本兵捕虜が射殺された一件(p.320-355)
これに対する報道姿勢の違いから,戦後も決して情報の価値が見なおされたわけではない日本の姿が浮き彫りに.
▼
総索引が無いのは残念.
また,日本人著者が書く,この手のものにありがちな無意味な飾文が,この本にも多く,少々イラつかされるが,我慢できる範囲内.
買え.
【関心率90.02%:全ページ中,手元に残したいページがどれだけあるかの割合.当方の価値観基準】
2010年8月5日に日本でレビュー済み
「米国の日本兵尋問施設に関する一連の資料との遭遇をきっかけに話は思いがけない方向に展開していく」という書出しだが、最後まで「思いがけない展開」はあまりなく、米国は諜報戦術に日本より遥かに長けていたという、どちらかといえば想定の範囲のことが臨場感をもって確認できるという感じだ。
知らなかったことが多く書かれており、ノンフィクションとしての価値は十分に認められるのだけれども、気になる点も多い。
まず、盗聴というジュネーブ条約違反について。「盗聴があったという新事実」は記述されているが、当時および現在における条約違反への評価が曖昧。日本はさておき、米国側には葛藤や批判、反省等様々な評価があってしかるべきだが肯定も否定も全く記載がない。
次に、引用の多さ。米国での情報公開をきっかけとはいっているが、「生ける屍の記」をはじめとして、結構多くの邦書を引用している。巻末の参考文献は邦書が27に対して、米国の資料は3点。資料は「数」だけではないと思うが、もう少し、米国サイドのリサーチがあってもいいのではないだろうか?
取材に一番力が入っているのは「フィッツシモンズ陸軍病院の真実」だが、真実を突き詰めようとした米国人は「調査委員会は真実を究明しようとしたのではなく、日本の反論を避けるために説得ができるような文書を書いた」と評価しているのだ。真相が究明されたような結び方になっているが、ちっとも溜飲は下がらない。
知らなかったことが多く書かれており、ノンフィクションとしての価値は十分に認められるのだけれども、気になる点も多い。
まず、盗聴というジュネーブ条約違反について。「盗聴があったという新事実」は記述されているが、当時および現在における条約違反への評価が曖昧。日本はさておき、米国側には葛藤や批判、反省等様々な評価があってしかるべきだが肯定も否定も全く記載がない。
次に、引用の多さ。米国での情報公開をきっかけとはいっているが、「生ける屍の記」をはじめとして、結構多くの邦書を引用している。巻末の参考文献は邦書が27に対して、米国の資料は3点。資料は「数」だけではないと思うが、もう少し、米国サイドのリサーチがあってもいいのではないだろうか?
取材に一番力が入っているのは「フィッツシモンズ陸軍病院の真実」だが、真実を突き詰めようとした米国人は「調査委員会は真実を究明しようとしたのではなく、日本の反論を避けるために説得ができるような文書を書いた」と評価しているのだ。真相が究明されたような結び方になっているが、ちっとも溜飲は下がらない。
2015年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
類似のものは幾らか読んでいたが
ここまで詳しいものは無かった
事実を積み上げれば 意味するものが見えてくる
ここまで詳しいものは無かった
事実を積み上げれば 意味するものが見えてくる
2010年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
NHKラジオ深夜便で著者の中田整一氏が本書「トレイシー」を出版するまでの経緯を語っておられましたので、非常に興味を抱き、購入しました。
太平洋戦争の是非は問いませんが、完敗した理由が良くわかりました。 トレイシー 日本兵捕虜秘密尋問所
太平洋戦争の是非は問いませんが、完敗した理由が良くわかりました。 トレイシー 日本兵捕虜秘密尋問所
2010年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
正確な情報を得るためには、手段を選ばずあらゆる事をやるアメリカという国の恐ろしさを実感させられた。また、過去の国家機密を厳重に保管維持しながらも、時期が経つと、国の責任として一般人に公開する姿勢にもまた驚嘆させられる。日本はお人好しの島国で、外国との交渉力は格段に劣っているのではないだろうか。著者の最後の言葉には打ちのめさせられる。「情報に重きをおかず、それを軽視した日本は、国会における情報共有もままならなかった。太平洋戦争における情報戦でも、日本はアメリカに完敗した。今につづく情報力の較差は、何も遠い昔に限った話ではない。」
2010年10月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日米開戦当時、日本語を使えるアメリカ人と英語を使える日本人の比率はなんと1:10万だったと本書にはある。しかし「日本が硫黄島、沖縄とつづく苦しい戦いに追い詰められていたとき、連合国では日本語を話す語学兵をふやすことに全力を注いでいた」という。その結果、米国陸海軍あわせた日本語要員数1945年1月に約2700人、その5カ月後には約4800名に達した。そのほか、日本人の社会、文化、宗教などに通じた専門家の知を結集し、対日諜報戦を制したのである。
敵を深く知りその長所も短所をも操りながら情報を引き出す執念は、「戦争とは、相手国が最も大切だと思っている社会の基本秩序に変容をせまるものである」というルソーの言葉を思い出させる。この言葉を知ったのは、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子著)においてであるが、これは端的にいえば、戦勝国は敗戦国の憲法を書きかえることで戦争の目的を遂げるということである。戦争に勝つための諜報戦、勝ったあとの戦後処理のために、それまで未知の世界であった異国の文化や言語に、世界でもっとも通じた専門家を驚くべき短期間で育てるアメリカの姿勢に、「勝利」から地続きの「統治・支配」への執念を感じた。日本が植民地を得たとき、戦争を戦ったとき、これほどの「統治・支配」への冷徹かつ徹底した執念が存在しただろうか。
昨今、日本企業の一部で社内公用語を英語にするところが出てきた。一民間企業が社内で何語を使うかは自由だが、言語の目的は「伝達」することだけではない。情報の「収集・分析・戦略立案」に重きを置いた場合、果たして日本人だけの会議を英語でやったりすることにどれほどの意味があるのだろうか。情報から戦略を組み立てる、ということであれば、外国語で書かれた文書を正確に理解し、ネット空間にあふれる断片的情報を取捨選択し、社内の大多数にとっての第一言語(日本にある日本企業の場合はいまは日本語であろう)で、とるべき戦略を明快に説明できる言語力こそものを言う。情報というものに対する「構え」の日米差は、いまだに存在し続けているように思われる。
日米戦争を「諜報戦」という独特の切り口で描いた秀逸なノンフィクション。
敵を深く知りその長所も短所をも操りながら情報を引き出す執念は、「戦争とは、相手国が最も大切だと思っている社会の基本秩序に変容をせまるものである」というルソーの言葉を思い出させる。この言葉を知ったのは、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤陽子著)においてであるが、これは端的にいえば、戦勝国は敗戦国の憲法を書きかえることで戦争の目的を遂げるということである。戦争に勝つための諜報戦、勝ったあとの戦後処理のために、それまで未知の世界であった異国の文化や言語に、世界でもっとも通じた専門家を驚くべき短期間で育てるアメリカの姿勢に、「勝利」から地続きの「統治・支配」への執念を感じた。日本が植民地を得たとき、戦争を戦ったとき、これほどの「統治・支配」への冷徹かつ徹底した執念が存在しただろうか。
昨今、日本企業の一部で社内公用語を英語にするところが出てきた。一民間企業が社内で何語を使うかは自由だが、言語の目的は「伝達」することだけではない。情報の「収集・分析・戦略立案」に重きを置いた場合、果たして日本人だけの会議を英語でやったりすることにどれほどの意味があるのだろうか。情報から戦略を組み立てる、ということであれば、外国語で書かれた文書を正確に理解し、ネット空間にあふれる断片的情報を取捨選択し、社内の大多数にとっての第一言語(日本にある日本企業の場合はいまは日本語であろう)で、とるべき戦略を明快に説明できる言語力こそものを言う。情報というものに対する「構え」の日米差は、いまだに存在し続けているように思われる。
日米戦争を「諜報戦」という独特の切り口で描いた秀逸なノンフィクション。