各物語がどこかで繋がってくる展開は お得意のパターンです。
今回のは読んだ後、もう一回読み直して、そのつながりを確認しないとよくわからないところもありましたが
楽しくよめました。
読み返しても、はっきりしないところもありましたけど。
このパターンが好きなので5つ。甘めだと思います。
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PK (講談社文庫) 文庫 – 2014/11/14
伊坂 幸太郎
(著)
彼は信じている。時を超えて、勇気は伝染する、と――人は時折、勇気を試される。落下する子供を、間一髪で抱きとめた男。その姿に鼓舞された少年は、年月を経て、今度は自分が試される場面に立つ。勇気と臆病が連鎖し、絡み合って歴史は作られ、小さな決断がドミノを倒すきっかけをつくる。三つの物語を繋ぐものは何か。読み解いた先に、ある世界が浮かび上がる。
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2014/11/14
- 寸法10.5 x 1.2 x 15.1 cm
- ISBN-10406277965X
- ISBN-13978-4062779654
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2014/11/14)
- 発売日 : 2014/11/14
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 272ページ
- ISBN-10 : 406277965X
- ISBN-13 : 978-4062779654
- 寸法 : 10.5 x 1.2 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 423,441位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1971(昭和46)年千葉県生れ。
1995(平成7)年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。
2002年刊行の『ラッシュライフ』が各紙誌で絶賛され、好評を博す。2003年に発表した『重力ピエロ』は、ミステリファン以外の読者からも喝采をもって迎えられ、一気に読者層を広げた。また『重力ピエロ』で、1970年代生れとしては、初の直木賞の候補となる。
2004年『チルドレン』、2005年『グラスホッパー』、2006年『死神の精度』が直木賞候補に。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞受賞。洒脱なユーモアと緻密な構成で読む者を唸らせ、近年稀にみる資質の持ち主として注目を浴びている。
2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年11月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「PK」「超人」「密使」の共通する登場人物の3つの中編から構成されており、それぞれの各章は殺し屋シリーズ「マリアビートル」のように主観が移り変わる。
1本の長編と思って、先入観なく読むとこの3作はドラマの展開スピードや構成のダイナミズムに大きな差があるので戸惑うと思う。
超展開順だと、密使>超人>PK となる。日常性のPKから、SF展開の密使は手触りが違う。
これはあとがきを読むと「PK」と「超人」は別の話として2010年に執筆され、「密使」は2011年3月の震災を挟んで書かれたとある。
最後の「密使」を読むとき、読者の中にスピードと小説のトーンが違う2編を同居させながら、回収できるような出来ないような、答え合わせのような、どれも嘘のような、不思議な体験をすることになる。
この読み進めることで分かっていく部分と、分からなくなっていく部分の蓄積は、「クラウド アトラス」「インセプション」といったワーナー系ダークSFサスペンスと手触りが似ている。
でも、本作では難解ではなく、伊坂幸太郎読者なら他の作品で何度も確認したような、主人公像を感じる。
PKで大臣が語る「人は時折、巨大な何かに、試されるときがある」
超人での本田の逡巡、「これこそ、大きな力が、「今がその時!」と伝えてきたアイズなのではないのか」
密使で青木所長の、「私たちはそうなるように、膨大な、まさに膨大としか言いようがない計算をしました」
別の場所、別の時代でバラバラな境遇の登場人物が、大きな流れの中で使命を主体的に感じ、そしてそれぞれが、良いと思える方向になるよう思い悩み、勇気づけを探している。
読み終わると爽快さを感じた。
細かな時間軸の理解を考え始めると、本作の大柄なテーマが損なわれるような気がするので軽い気持ちで読むことをお勧めします。
1本の長編と思って、先入観なく読むとこの3作はドラマの展開スピードや構成のダイナミズムに大きな差があるので戸惑うと思う。
超展開順だと、密使>超人>PK となる。日常性のPKから、SF展開の密使は手触りが違う。
これはあとがきを読むと「PK」と「超人」は別の話として2010年に執筆され、「密使」は2011年3月の震災を挟んで書かれたとある。
最後の「密使」を読むとき、読者の中にスピードと小説のトーンが違う2編を同居させながら、回収できるような出来ないような、答え合わせのような、どれも嘘のような、不思議な体験をすることになる。
この読み進めることで分かっていく部分と、分からなくなっていく部分の蓄積は、「クラウド アトラス」「インセプション」といったワーナー系ダークSFサスペンスと手触りが似ている。
でも、本作では難解ではなく、伊坂幸太郎読者なら他の作品で何度も確認したような、主人公像を感じる。
PKで大臣が語る「人は時折、巨大な何かに、試されるときがある」
超人での本田の逡巡、「これこそ、大きな力が、「今がその時!」と伝えてきたアイズなのではないのか」
密使で青木所長の、「私たちはそうなるように、膨大な、まさに膨大としか言いようがない計算をしました」
別の場所、別の時代でバラバラな境遇の登場人物が、大きな流れの中で使命を主体的に感じ、そしてそれぞれが、良いと思える方向になるよう思い悩み、勇気づけを探している。
読み終わると爽快さを感じた。
細かな時間軸の理解を考え始めると、本作の大柄なテーマが損なわれるような気がするので軽い気持ちで読むことをお勧めします。
2024年1月19日に日本でレビュー済み
一風変わった伊坂作品。新境地、といっても過言ではないかもしれません。
・・・
先ず構成は三部構成になっているのですが、第一部『PK』、第二部『超人』、第三部『密使』とあり、それぞれ別個の世界として構成されています。
第一部は、その名の通り、ワールドカップ出場をかけた日本の代表戦でのPK時のちょっとした選手の会話がテーマ。当時の会話がどうしても気になる某議員とその周辺の話。
第二部は、将来の悪事を察知出来て、その悪事が起こる前に『処理』してきた本田青年の話。なお一部で出てくる議員は、議員一年生の時にこの本田青年がマンションから落下するところを助けたという連関があります。
第三部は、握手をするとその相手から6秒時間を盗める『僕』と、世界の平和のためにひょっとしたら犠牲になるかもしれない『私』の独白の応酬。
・・・
伊坂作品の特徴として、時間の設定が明示されておらず、読中はもやもやするも、次第にこの繋がりが分かってくるという事があります。
例えば『アヒルと鴨のコインロッカー』でもそうでしたが、複数のストーリーが並行していると思ったら、実は過去と現在の話が交互に語られていた、みたいな。
本作でもそのような重層的構成を味わう楽しさがあります。詳細は是非読んで味わっていただきたく笑
一部、二部、三部のクロスオーバーは、読んでいる最中に徐々に分かってくると思います。
・・・
また、痛快だけに留まらない「余韻」「余白」も楽しむことができると思います。
これは『魔王』や『モダンタイムス』などで顕著ですが、不穏な雰囲気、その雰囲気に吞まれゆく世間、そして決してハッピーエンドとは言いかねる陰鬱さ。ある意味イヤミスというか、晴れ晴れとしない結末。
それは、一種不完全さやいびつさに美を見出すような気持ちかもしれません。
・・・
あと、一つ驚きましたが、今回は仙台が舞台ではありません。
何と三軒茶屋とか二子玉川とか東京の街が登場します。ちなみに30年前、高校生の時、二子玉川のマックでバイトしていました!まあ、どっちでもいいですね。
・・・
ということで、新年に読んでもやっぱり面白い伊坂作品でありました。
初期のエンタメ路線から比べると、徐々に苦味のエッセンスを感じる作品に変化しつつある気がします。それでもやはり面白い。今年も伊坂作品を読んでまいります。
・・・
先ず構成は三部構成になっているのですが、第一部『PK』、第二部『超人』、第三部『密使』とあり、それぞれ別個の世界として構成されています。
第一部は、その名の通り、ワールドカップ出場をかけた日本の代表戦でのPK時のちょっとした選手の会話がテーマ。当時の会話がどうしても気になる某議員とその周辺の話。
第二部は、将来の悪事を察知出来て、その悪事が起こる前に『処理』してきた本田青年の話。なお一部で出てくる議員は、議員一年生の時にこの本田青年がマンションから落下するところを助けたという連関があります。
第三部は、握手をするとその相手から6秒時間を盗める『僕』と、世界の平和のためにひょっとしたら犠牲になるかもしれない『私』の独白の応酬。
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伊坂作品の特徴として、時間の設定が明示されておらず、読中はもやもやするも、次第にこの繋がりが分かってくるという事があります。
例えば『アヒルと鴨のコインロッカー』でもそうでしたが、複数のストーリーが並行していると思ったら、実は過去と現在の話が交互に語られていた、みたいな。
本作でもそのような重層的構成を味わう楽しさがあります。詳細は是非読んで味わっていただきたく笑
一部、二部、三部のクロスオーバーは、読んでいる最中に徐々に分かってくると思います。
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また、痛快だけに留まらない「余韻」「余白」も楽しむことができると思います。
これは『魔王』や『モダンタイムス』などで顕著ですが、不穏な雰囲気、その雰囲気に吞まれゆく世間、そして決してハッピーエンドとは言いかねる陰鬱さ。ある意味イヤミスというか、晴れ晴れとしない結末。
それは、一種不完全さやいびつさに美を見出すような気持ちかもしれません。
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あと、一つ驚きましたが、今回は仙台が舞台ではありません。
何と三軒茶屋とか二子玉川とか東京の街が登場します。ちなみに30年前、高校生の時、二子玉川のマックでバイトしていました!まあ、どっちでもいいですね。
・・・
ということで、新年に読んでもやっぱり面白い伊坂作品でありました。
初期のエンタメ路線から比べると、徐々に苦味のエッセンスを感じる作品に変化しつつある気がします。それでもやはり面白い。今年も伊坂作品を読んでまいります。
2012年12月13日に日本でレビュー済み
この本を通り一遍に読んだ評価としては、「☆☆☆」という評価が妥当なのかもしれません。
3つの話は別々の話でありながら、それぞれにつながりがあるようです。
でも、そのつながりが明確に文中に表現されていない為に、3つの話をひとつの話として読む事が難しくなっています。
「あとがき」を読むと、「PK」と「超人」がまずあって、その後で「密使」を書き、単行本化にあったて少しだけ「3つの話」に繋がりを持たせたという印象を持ってしまいます。
「繋がりが楽しめる形」と作者から言われても、3つの話のつながりは不完全な印象で、個人的にはぜんぜん楽しむことができませんでした。
で、「どう考えて読んだら、この3つの話のつながりが楽しめるのか」を、じっくりと考えてみました。
以下はネタばれを含みますので、まだ未読の方は、まず本書を読んでからご覧いただきたいと思います。
まず「密使」の話が最初にあって、それを補う話として「PK」と「超人」があるのではないかと考えました。
また、この3つの話は、バラバラの話でもなく、パラレルワールド的な話でもなく、ひとつの時間軸上で完結している、ひとつの話ではないかと仮定して考えてみました。
するとどうなるのか・・・順番に説明してみます。
'1.「密使」には、「ゴキブリを過去へ送る話」と「ゴキブリを盗む話」の2つの話が書かれている。
'2.「密使」の中で、ゴキブリは盗まれてしまったので、「ゴキブリが送られた過去」は、この世界には存在しない事になる。
'3.「PK」と「超人」の違いは、小説家の浮気が妻に、「ばれた」か「ばれなかったか」という事。
'4.「ばれた」か「ばれなかったか」には、ゴキブリの出現が関係している。
'5.「超人」は、小説家の家にゴキブリが出現しない為、「浮気がばれている世界」の話である。
'6.「PK」は、小説家の家にゴキブリが出現した為、「浮気がばれなかった世界」の話である。
'7.ゆえに、「超人」は現実の話であり、「PK」は現実にはなかった話であると考えることができる。
'8.「PK」が現実の話ではなく、パラレルワールド的な話でもないとすると、あとはどういう選択肢があるのかを考えました。
'9.「PK」は、「密使」の青木技師長が担当している、「コンピュータによるシュミレーション」の中の話と、考えることができるのではないでしょうか?
この仮定をもとにして、「PK」と「超人」について考えてみます。
「PK」
この話の中にはSF的な描写はほとんどないので、一見現実的な世界のように感じますが、よく読むと理解に苦しむ矛盾点や疑問点が多数存在していることに気が付きます。
しかし、「PK」の世界は、「コンピュータによるシュミレーション」上の話だと仮定するならば、それらの矛盾点や疑問点も、「架空のシュミレーション上の世界だから」ということで、納得してしまえるように思えます。
なかでも、主義や信念を変えさせようとする人物や組織には、コンピュータを制御している側の意思を感じます。
もしかしたら、秘書官も制御側の人物なのかもしれません。
性格が機械的ですし、突然次郎君的存在になってしまうなんて、他に説明のしようがありませんから。
「超人」
この話の中では、タイトルにもあるように、世の中の過ちを特殊能力を使って正そうとする超人たちが活躍しています。
本田や青い服の男の能力は、「時間スリ」の三上の能力同様に、個人に発現した超能力なのかもしれません。
三島の「時間スリ」能力を物語上肯定するならば、本田や青い服の男の超能力も同様に肯定する必要があります。
「超人」は、超能力描写が多いせいで非現実的世界のように感じてしまいますが、「PK」「超人」「密使」をひとつの物語として考えた場合、実はこちらこそが本当の現実世界であるといえます。
ゆえに、作者がこの本のメインタイトルを「PK」とした訳は、「PK=超能力」的な意味を含ませており、「この話は超能力を肯定した世界の話ですよ」という意図もあるのかもしれません。
「あとがき」
この作品には、単行本にはめずらしく「あとがき」があります。
「あとがき」には、「PK」「超人」「密使」の書きはじめから掲載経緯などが説明されていますが、ここに最大のトリックがあるように感じました。
「PK」と「超人」がまずあって、その後で「密使」を書き、単行本化にあったて少しだけ「3つの話」に繋がりを持たせたという印象を持ってしまいます。
絶対にそんなことはありません。作者は最初から1つのお話として考えており、後で3つの話に分けているはずです。(たぶん)
また、「あとがき」にはそれを解明のヒントまであります。
「SFアンソロジー」と「繋がりが楽しめる形」という言葉です。
この「あとがき」の言葉がなければ、この作品に対してここまで考えてることはありませんでした。
この作品は、「SF小説」として、「1つの繋がった話」として、読む必要があるのではないでしょうか。
そういう意味では、この「あとがき」も作品の一部であり、作者が「繋がりが楽しめる形」といっている部分こそ、この「あとがき」そのものなのかもしれません。
個人的には、この作品に2012年度の「SF大賞」を差し上げたいと思います。
それほどにこの「PK」は、よく考えられた素晴らしい作品だと感じました。
何度読んでも、その設定の奥深さに感心させられます。
この本を通り一遍に読んだ評価としては、「☆☆☆」という評価が妥当なのかもしれません。
3つの話は別々の話でありながら、それぞれにつながりがあるようです。
でも、そのつながりが明確に文中に表現されていない為に、3つの話をひとつの話として読む事が難しくなっています。
「あとがき」を読むと、「PK」と「超人」がまずあって、その後で「密使」を書き、単行本化にあったて少しだけ「3つの話」に繋がりを持たせたという印象を持ってしまいます。
「繋がりが楽しめる形」と作者から言われても、3つの話のつながりは不完全な印象で、個人的にはぜんぜん楽しむことができませんでした。
で、「どう考えて読んだら、この3つの話のつながりが楽しめるのか」を、じっくりと考えてみました。
以下はネタばれを含みますので、まだ未読の方は、まず本書を読んでからご覧いただきたいと思います。
まず「密使」の話が最初にあって、それを補う話として「PK」と「超人」があるのではないかと考えました。
また、この3つの話は、バラバラの話でもなく、パラレルワールド的な話でもなく、ひとつの時間軸上で完結している、ひとつの話ではないかと仮定して考えてみました。
するとどうなるのか・・・順番に説明してみます。
'1.「密使」には、「ゴキブリを過去へ送る話」と「ゴキブリを盗む話」の2つの話が書かれている。
'2.「密使」の中で、ゴキブリは盗まれてしまったので、「ゴキブリが送られた過去」は、この世界には存在しない事になる。
'3.「PK」と「超人」の違いは、小説家の浮気が妻に、「ばれた」か「ばれなかったか」という事。
'4.「ばれた」か「ばれなかったか」には、ゴキブリの出現が関係している。
'5.「超人」は、小説家の家にゴキブリが出現しない為、「浮気がばれている世界」の話である。
'6.「PK」は、小説家の家にゴキブリが出現した為、「浮気がばれなかった世界」の話である。
'7.ゆえに、「超人」は現実の話であり、「PK」は現実にはなかった話であると考えることができる。
'8.「PK」が現実の話ではなく、パラレルワールド的な話でもないとすると、あとはどういう選択肢があるのかを考えました。
'9.「PK」は、「密使」の青木技師長が担当している、「コンピュータによるシュミレーション」の中の話と、考えることができるのではないでしょうか?
この仮定をもとにして、「PK」と「超人」について考えてみます。
「PK」
この話の中にはSF的な描写はほとんどないので、一見現実的な世界のように感じますが、よく読むと理解に苦しむ矛盾点や疑問点が多数存在していることに気が付きます。
しかし、「PK」の世界は、「コンピュータによるシュミレーション」上の話だと仮定するならば、それらの矛盾点や疑問点も、「架空のシュミレーション上の世界だから」ということで、納得してしまえるように思えます。
なかでも、主義や信念を変えさせようとする人物や組織には、コンピュータを制御している側の意思を感じます。
もしかしたら、秘書官も制御側の人物なのかもしれません。
性格が機械的ですし、突然次郎君的存在になってしまうなんて、他に説明のしようがありませんから。
「超人」
この話の中では、タイトルにもあるように、世の中の過ちを特殊能力を使って正そうとする超人たちが活躍しています。
本田や青い服の男の能力は、「時間スリ」の三上の能力同様に、個人に発現した超能力なのかもしれません。
三島の「時間スリ」能力を物語上肯定するならば、本田や青い服の男の超能力も同様に肯定する必要があります。
「超人」は、超能力描写が多いせいで非現実的世界のように感じてしまいますが、「PK」「超人」「密使」をひとつの物語として考えた場合、実はこちらこそが本当の現実世界であるといえます。
ゆえに、作者がこの本のメインタイトルを「PK」とした訳は、「PK=超能力」的な意味を含ませており、「この話は超能力を肯定した世界の話ですよ」という意図もあるのかもしれません。
「あとがき」
この作品には、単行本にはめずらしく「あとがき」があります。
「あとがき」には、「PK」「超人」「密使」の書きはじめから掲載経緯などが説明されていますが、ここに最大のトリックがあるように感じました。
「PK」と「超人」がまずあって、その後で「密使」を書き、単行本化にあったて少しだけ「3つの話」に繋がりを持たせたという印象を持ってしまいます。
絶対にそんなことはありません。作者は最初から1つのお話として考えており、後で3つの話に分けているはずです。(たぶん)
また、「あとがき」にはそれを解明のヒントまであります。
「SFアンソロジー」と「繋がりが楽しめる形」という言葉です。
この「あとがき」の言葉がなければ、この作品に対してここまで考えてることはありませんでした。
この作品は、「SF小説」として、「1つの繋がった話」として、読む必要があるのではないでしょうか。
そういう意味では、この「あとがき」も作品の一部であり、作者が「繋がりが楽しめる形」といっている部分こそ、この「あとがき」そのものなのかもしれません。
個人的には、この作品に2012年度の「SF大賞」を差し上げたいと思います。
それほどにこの「PK」は、よく考えられた素晴らしい作品だと感じました。
何度読んでも、その設定の奥深さに感心させられます。
2012年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今回は読むのに時間をかけました。
さまざまな視点人物が描かれ、しかも時間軸が異なるので、
気軽に、というよりはじっくり読みました。
構成的には「フィッシュストーリー」のように、つながりを
楽しむ作品になっています。
「魔王」や「あるキング」寄りの哲学性も感じました。
そこは多少好みが分かれるかもしれません。
ミステリというよりはSFなので、オチがどうというよりは、
作りこまれたディティールの完成度が高く、そこが楽しめました。
全体としては、また新たな伊坂さんに出会えた感がして、
読んでよかったです。
さまざまな視点人物が描かれ、しかも時間軸が異なるので、
気軽に、というよりはじっくり読みました。
構成的には「フィッシュストーリー」のように、つながりを
楽しむ作品になっています。
「魔王」や「あるキング」寄りの哲学性も感じました。
そこは多少好みが分かれるかもしれません。
ミステリというよりはSFなので、オチがどうというよりは、
作りこまれたディティールの完成度が高く、そこが楽しめました。
全体としては、また新たな伊坂さんに出会えた感がして、
読んでよかったです。
2014年12月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自分の読解力の無さをさらすようですが、今回読んだ「PK」は、
貼られた伏線がほとんど回収されていない。
と思う。
作者の小説を読んでいて、楽しみにしている事の1つに
後半一気に、上手に、丁寧に、伏線を拾っていく様を
描いてくれるところです。
それが、今回は奥が深すぎて、私には良くわかりませんでした。
それぞれ独立した面白いストーリーを無理やりつなげたようで、
もったいない気がしてなりません。
レビューしておいて何ですが、
あくまでも読解力の無い私の見解です。
なので、
きっと、自分では気が付かない何かがあるはずです。
それが知りたい。「誰かぁ説明してくれぇ」って思うが、
・
わたしはこれからも、伊坂幸太郎のファンである事には
変わらない。
貼られた伏線がほとんど回収されていない。
と思う。
作者の小説を読んでいて、楽しみにしている事の1つに
後半一気に、上手に、丁寧に、伏線を拾っていく様を
描いてくれるところです。
それが、今回は奥が深すぎて、私には良くわかりませんでした。
それぞれ独立した面白いストーリーを無理やりつなげたようで、
もったいない気がしてなりません。
レビューしておいて何ですが、
あくまでも読解力の無い私の見解です。
なので、
きっと、自分では気が付かない何かがあるはずです。
それが知りたい。「誰かぁ説明してくれぇ」って思うが、
・
わたしはこれからも、伊坂幸太郎のファンである事には
変わらない。
2014年12月5日に日本でレビュー済み
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テーマが前面に出過ぎていること、無理矢理のキャラクターの関連性、構成面の技巧に走りすぎ、全てが相まって物語の面白さが半減していた。途中で飽きてしまい、著者の作品にしては初めて読み通すのが辛い作品でした。
贅沢な感想かもしれませんが、短編にしては詰め込みすぎているのか。
贅沢な感想かもしれませんが、短編にしては詰め込みすぎているのか。
2014年12月19日に日本でレビュー済み
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伊坂幸太郎は大好きな作家さんなのですが、文庫本以外は買わないと決めているので発売が待ち遠しかった。
本当は長編が好きなので、次回作にも期待しています。
本当は長編が好きなので、次回作にも期待しています。