2007年に出版された東浩紀氏の評論集。購入してしばらく積ん読状態だったのだが、改めて読んでみた。収録されている評論自体、1990年代後半のものもあり、ちょっと古いかと思ったが、いやいや、今でも面白い。
収録されている評論は、3編。
・「情報自由論 2002-2003」
・「サイバースペースはなせそう呼ばれるか 1997-2000」
・「情報社会を理解するためのキーワード20 2006」
実は、ちょうどこの前、河出文庫から『サイバースペースはなぜそう呼ばれるか+ 東浩紀アーカイブス2』が出たのを知り、買ってしまってから、こちらをアセって読んだのだ。
その「サイバースペースはなせそう呼ばれるか 1997-2000」を期待して読んだんだけど、実はちょっと期待と違った。第1回、第2回ぐらいの、マクルーハン、ギブスン、ディックぐらいは興味深く読めたんだけど、フロイトが出てからは、ちょっと難しくてついていけなかった。結局、どうして「サイバースペースはなぜそう呼ばれるか」は分からなかった。
むしろ「情報自由論」は良かった。ちょうどコリイ・ドクトロウの『リトル・ブラザー』を読んでいることもあり、また、私自身、この論文が書かれた当時、個人情報保護や住基ネット関係の仕事をしていたので、関心もあったので、興味深く読めた。とくに『リトル・ブラザー』を読むに当たっては、この評論のハッカー文化批判的な箇所を読むことで、副読本的な使い方ができたように思う。いろいろ考えさせられる評論だった。
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情報環境論集―東浩紀コレクションS (講談社BOX) 単行本(ソフトカバー) – 2007/8/2
東 浩紀
(著)
東浩紀、十年分!
東浩紀が十年にわたって記した原稿がひとつになった、“東浩紀LSDコレクション”第二弾!
東浩紀が十年にわたって記した原稿がひとつになった、“東浩紀LSDコレクション”第二弾!
- 本の長さ449ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2007/8/2
- ISBN-104062836262
- ISBN-13978-4062836265
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2007/8/2)
- 発売日 : 2007/8/2
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 449ページ
- ISBN-10 : 4062836262
- ISBN-13 : 978-4062836265
- Amazon 売れ筋ランキング: - 441,928位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 54位講談社BOX (本)
- - 375位情報社会
- カスタマーレビュー:
著者について
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1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(河出書房新社)、『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)ほか多数。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2010年7月29日に日本でレビュー済み
電子マネーやクレジットカードの使用や防犯カメラの設置、その履歴や映像情報がデータベース化される。情報はネットワークで集中的に集められ、また一旦拡散した情報は取り消すことができない。今や様々な環境が情報化されていく時代。これは著者は情報環境論として、哲学的な考察を行なう。
ネットワーク監視社会が全体主義と結びつく恐ろしさをかつてジョージ・オーウェルは「1984年」でビッグブラザーとして警告した。一方、現実の世界ではユビキタス社会は国家だけではなく、様々な組織がマーケティングや防犯のために個人情報を集めている。この状況を著者はリトルブラザーが沢山いる状態と表現している。だれもがプライバシーを様々な箇所で集められている。
この種の情報を使えば、犯罪者を見つけ出したり、好ましくない人物を特定区域に入れないようにすることもできる。これは裕福層への特待や障碍者への配慮を自動的に行なう技術と表裏一体である。かつての社会的規範が薄れ、隣近所の人が恐ろしいというこの時代、安全を求めるために自分の個人情報を積極的に公開することを求められる。
情報環境の下では、プライバシーや個人情報を守る自由が失われていく。本人の活動範囲も行動規範もIDカードや顔認証などで本人の知らぬ間に規定されていく。
情報社会に生きる我々の世代の哲学であり、かつ雑誌の連載をまとめた本なので適度な量で章分けされており、非常に読み易い。
この本から哲学に入ってみるのも面白いかも知れない。
ネットワーク監視社会が全体主義と結びつく恐ろしさをかつてジョージ・オーウェルは「1984年」でビッグブラザーとして警告した。一方、現実の世界ではユビキタス社会は国家だけではなく、様々な組織がマーケティングや防犯のために個人情報を集めている。この状況を著者はリトルブラザーが沢山いる状態と表現している。だれもがプライバシーを様々な箇所で集められている。
この種の情報を使えば、犯罪者を見つけ出したり、好ましくない人物を特定区域に入れないようにすることもできる。これは裕福層への特待や障碍者への配慮を自動的に行なう技術と表裏一体である。かつての社会的規範が薄れ、隣近所の人が恐ろしいというこの時代、安全を求めるために自分の個人情報を積極的に公開することを求められる。
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2022年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
15年も前の刊行ですが、当時の問題意識(情報環境論)と関係なく楽しめる。
アーレント、ラカン、デリダ、ディックの哲学が著者によってピチピチ跳ねてる。
オマージュのようなものたと思えた。
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