・寝ている間にオンラインで仮想世界にダイブ
・中世風の原始的で血生臭い戦闘により呼び覚まされる抑圧されていた現代人の欲望
・仮想世界を現実世界より優先し始めるプレイヤー達
・NPCに生まれた「自我」
個々のキーとなる要素の面白さもさることながら、
現実の社会問題とのリンクや救われない鬱展開が良くできています。
描写が説明臭かったりして世界観に入り込めず大して面白くない点が残念ですが、
興味をひく展開で途中まではのらりくらりと読まされてしまう感じです。
後半は広げた風呂敷を畳み切れず尻切れトンボというか、
ダイジェスト的な描写で済まされていてびっくりさせられます。
読んだ方の殆どが恐らく「そこが一番観たいトコなんだけど…」と思われることでしょう。
もっと魅力的に描ける筈のキャラクター達について一切触れることなく終わるのも勿体無いところです。
多くのキャラクターに焦点を当てることによる物語の分散を嫌ったのかもしれませんが、
その割には主人公の物語すらぼんやりとしている上にダイジェストですし…。
恐らく一昔前に流行った「気になりそうな謎を敢えて放置することで深い話っぽく見せる」手法を狙って、
結果的に失敗してしまったのではないかと思います。
全体的に素材は良いのですが構成力と描写力が不足していて魅力を引き出しきれていません。
上手い人に書かせれば名作になり得る可能性があるだけに、
非常に勿体無い作品だなあと感じました。
続編で補完されるのでなければ、現状買ってまで読む作品ではないと思います。
とは言え素材は興味深いものですので、未完の小説にもストレスを感じないという方にはオススメです。
この作家さんは原作として世界観構築とプロットを担当されて、
実際の執筆は力のある方に任せるという形ならもっと力を発揮できそうですので、
そのような形で世に出る作品がありましたら是非読ませていただきたいと思います。
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アンリアル UnReal (講談社BOX) 単行本(ソフトカバー) – 2010/11/2
「心」を守る弟と、狩る兄。
虚構世界の美少女と彷徨い歩く、絶望の旅路の果ては――!!?
『心を殺しても、罪にはならないんだ』
命の恩人である兄に負い目を感じて生きてきた高校生・サトル。夢中になれることもなく、だらだらした日々を送るなか、ある日兄が申し込んだ体感型オンラインゲーム≪アンリアル≫に一緒にログインすることに。殺戮と戦いの坩堝である虚構(アンリアル)の世界の予想以上のリアルさに次第にハマっていく2人だが、ある村でサトルはNPC(ノンプレイヤーキャラクター)でありながら「心」を持ってしまった謎の少女・イーヴと出逢う。彼女は<ハートホルダー>と呼ばれる存在だった。「イーヴ狩り」を目論む兄たちから、サトルは彼女を守ろうと決意するが……!?
虚構世界の美少女と彷徨い歩く、絶望の旅路の果ては――!!?
『心を殺しても、罪にはならないんだ』
命の恩人である兄に負い目を感じて生きてきた高校生・サトル。夢中になれることもなく、だらだらした日々を送るなか、ある日兄が申し込んだ体感型オンラインゲーム≪アンリアル≫に一緒にログインすることに。殺戮と戦いの坩堝である虚構(アンリアル)の世界の予想以上のリアルさに次第にハマっていく2人だが、ある村でサトルはNPC(ノンプレイヤーキャラクター)でありながら「心」を持ってしまった謎の少女・イーヴと出逢う。彼女は<ハートホルダー>と呼ばれる存在だった。「イーヴ狩り」を目論む兄たちから、サトルは彼女を守ろうと決意するが……!?
- 本の長さ356ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2010/11/2
- ISBN-104062837625
- ISBN-13978-4062837620
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2010/11/2)
- 発売日 : 2010/11/2
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 356ページ
- ISBN-10 : 4062837625
- ISBN-13 : 978-4062837620
- カスタマーレビュー:
著者について
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きたくにこうじ。大阪市生まれ。2003年、近未来を舞台とした謀略探偵小説『ルドルフ・カイヨワの事情』で第5回日本SF新人賞に佳作入選。2005年5月、同作を改題した『ルドルフ・カイヨワの憂鬱』でデビュー。
第2作の『夏の魔法』は、Amazon.co.jpの「Best Books of 2006 エディターズ・ピック:文芸」でベスト20作品のうちの1作に選出された。
第3作『リバース』は『2010 本格ミステリ・ベスト10』で9位にランクイン。
短編『靄の中』が2007年の年間ベスト『虚構機関 年刊日本SF傑作選』に収録されている。
カスタマーレビュー
星5つ中3つ
5つのうち3つ
3グローバルレーティング
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年2月12日に日本でレビュー済み
ジャケットの絵の素晴らしさに惹かれて勢いで購入しました。青い背表紙もポイントが高い。肝心の中身ですが、けっこう面白かったと思います。特に、等身大の主人公たちのリアルでの話が興味深かったです。近年のラノベのように過剰すぎないキャラクターが良かった。交互に挟まれるネットゲームの世界のエピソードは正直に言えば微妙でした。最初読み飛ばしていたくらい。ネットゲームに対する知識がないのか、あえてそうしているのかは分かりませんがちょっとリアリティを感じなかった。最後はすごい投げっぱなしで終わるのでそこも不満。ネトゲの世界は描ききれないとしても、せめてリアルの方の話はきちんと描写してほしかったです。二つの世界がもっと絡み合う構成だったらより良かったかなぁ、と。とはいえ、リアルの方の話だけで引っ張られたので、評価は高めにオマケして(偉そうですみません)☆四つで。
2010年11月21日に日本でレビュー済み
リアルでの出来事と、<アンリアル>のゲーム内での出来事を交互に章立て、
並行する世界を描写したのは読みやすかった。
ストーリーは大まかな先の流れが見通しやすい。
全体としてはありがちだが、「心を殺すことは犯罪になるのか」という部分に
フォーカスを当てたのは筆者ならではであろう。
しかし、おそらく筆者自身がネットワークやゲームにあまり詳しくないのだろう、
「よくわからないけどこうなんだ!」という強引な理由付けが多い。
そちらの方面に多少なりとも興味を持った人間であれば、首をかしげる箇所が多々。
たとえばわかりやすいものとして、<アンリアル>がCERO D指定、という部分。
作中で表現されている残酷な描写を考慮すると、CEROはZになるだろう。
主人公の年齢に合わせてDと設定したのかもしれないが、これはおかしい。
また、今回のストーリーに関わらせる世界を広げすぎて、
どれもこれも中途半端になっている間が否めない。
シリーズものになるというのであれば納得はできるのだが。
エピローグも目を引くものはなく、おいおい、と苦笑してしまった。
並行する世界を描写したのは読みやすかった。
ストーリーは大まかな先の流れが見通しやすい。
全体としてはありがちだが、「心を殺すことは犯罪になるのか」という部分に
フォーカスを当てたのは筆者ならではであろう。
しかし、おそらく筆者自身がネットワークやゲームにあまり詳しくないのだろう、
「よくわからないけどこうなんだ!」という強引な理由付けが多い。
そちらの方面に多少なりとも興味を持った人間であれば、首をかしげる箇所が多々。
たとえばわかりやすいものとして、<アンリアル>がCERO D指定、という部分。
作中で表現されている残酷な描写を考慮すると、CEROはZになるだろう。
主人公の年齢に合わせてDと設定したのかもしれないが、これはおかしい。
また、今回のストーリーに関わらせる世界を広げすぎて、
どれもこれも中途半端になっている間が否めない。
シリーズものになるというのであれば納得はできるのだが。
エピローグも目を引くものはなく、おいおい、と苦笑してしまった。