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理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書) 新書 – 2008/6/19
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アロウ、ハイゼンベルク、ゲーデルらの思索を平易に解説しつつ、人類が到達した「選択」「科学」「知識」の限界論の核心へ。 知的刺激にみちた、「理性の限界」をめぐる論理学ディベート。
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2008/6/19
- 寸法10.6 x 1.3 x 17.4 cm
- ISBN-104062879484
- ISBN-13978-4062879484
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商品の説明
著者からのコメント
以前から私は、難解な話をわかりやすく楽しく進めるためには「雑談」が最も有効なのではないかと思っていました。そこで本書も、なによりも読者の皆様に「知的刺激」を味わっていただくことを目的に、多彩な登場人物がシンポジウムで自由闊達に議論を繰り広げるという形式にしました。改めて数えてみたところ、登場人物は次の36名でした。
司会者・会社員・数理経済学者・哲学史家・運動選手・生理学者・科学社会学者・実験物理学者・カント主義者・論理実証主義者・論理学者・シェイクスピア学者・大学生A・国際政治学者・フランス社会主義者・フランス国粋主義者・心理学者・A候補・B候補・C候補・D候補・E候補・情報科学者・急進的フェミニスト・映像評論家・ロマン主義者・法律学者・科学主義者・科学史家・方法論的虚無主義者・相補主義者・ロシア資本主義者・大学生B・大学生C・大学生D・大学生E(登場順)。
さて、某教授から夜中に酔声で電話が掛かってきて「あのカント主義者というのは、まさか僕のことではないだろうね?」と聞かれたのですが、とんでもないことです。「おわりに」にも書きましたように、本書の登場人物は、あくまで議論の進展に都合がよいように生み出した「架空の人物像」に過ぎません。具体的なモデルが現実世界に存在するわけではありませんので、ご了承いただけましたら幸いです。
とはいえ、不思議なことに、書き進めていくうちに登場人物が勝手に個性を発揮し始めたことも事実です。現在の彼らは、『理性の限界』で議論し尽くすことのできなかった「限界論」に関わる題材について、再びディスカッションを開始した模様です。その結果が発行されましたら(いつのことになるのかは、わかりませんが)、またご笑覧いただけますように、よろしくお願い申し上げます。
2008年7月17日 高橋昌一郎
著者について
1959年生まれ。國學院大學文学部教授。専門は、論理学・哲学。主要著書に『理性の限界』『ゲーデルの哲学』(以上、講談社現代新書)、『哲学ディベート』(NHKブックス)、『科学哲学のすすめ』(丸善)、『環境と人間』(共著、岩波書店)、『パラドックス!』(共著、日本評論社)などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2008/6/19)
- 発売日 : 2008/6/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 280ページ
- ISBN-10 : 4062879484
- ISBN-13 : 978-4062879484
- 寸法 : 10.6 x 1.3 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 20,026位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
最新刊『天才の光と影:ノーベル賞受賞者23人の狂気』(PHP研究所)を上梓した。本書では、とくに私が独特の「狂気」を感得したノーベル賞受賞者23人を厳選して、彼らの波乱万丈で数奇な人生を辿っている。一般に、ノーベル賞を受賞するほどの研究を成し遂げた「天才」は、すばらしい「人格者」でもあると思われがちだが、実際には必ずしもそうではない。フィリップ・レーナルト(1905年物理学賞)のようにヒトラーの写真を誇らしげに書斎に飾っていた「ナチス崇拝者」もいれば、「妻と愛人と愛人の子ども」と一緒に暮したエルヴィン・シュレーディンガー(1933年物理学賞)のような「一夫多妻主義者」もいる。「光るアライグマ(実はエイリアン)」と会話を交わしたという「薬物中毒」のキャリー・マリス(1933年化学賞)や、「アルコール依存症」で売春街から大学に通ったヴォルフガング・パウリ(1945年物理学賞)、「超越瞑想」に「オカルト傾倒」して周囲を唖然とさせたブライアン・ジョセフソン(1973年物理学賞)のような天才も存在する。どんな天才にも、輝かしい「光」に満ちた栄光の姿と、その背面に暗い「影」の表情がある。読者には、天才と狂気の紙一重の「知のジレンマ」から、通常では得られない「教訓」を読み取っていただけたら幸いである。本書には「狂気」の23人と関連して、44人のノーベル賞受賞者も登場する。「ノーベル化学賞・物理学賞・生理学医学賞の歴代受賞者(1901~2023年)」と600名近くの「人名索引」も添付してあるので、こちらもご活用いただけたらと願っている。
『新書100冊』(光文社新書)は、2019年7月〜2023年7月に刊行された約5000冊の新書の中から、私が責任を持って選び抜いた「新書100冊」を紹介します。また、本書掲載のコラム「『新書大賞』について」では、小集団の偏向審査に基づく「新書大賞」の「廃止」を提言しました(笑)。本書の100冊の書評は、絶対に「その著者だけ」にしか書けない新書、一流の科学者が最先端の研究成果をわかりやすく解説してくれる秀逸な新書、日本の抱える諸問題に本質的に斬り込む斬新な新書ばかりを集めてあります。多種多彩な「知的刺激」が凝縮された100冊の書評をまとめて見ると「壮観」です。本書が何よりも読者の「視野を広げる読書」のお役に立てば幸いです。
『実践・哲学ディベート』(NHK出版新書)は、『哲学ディベート』(NHKブックス)の続編に相当します。舞台は同じ大学の研究室で、教授と5人の学生がセミナーで話している光景……。とくに本書が焦点を当てているのは、実際に誰もが遭遇する可能性のある多彩な「人生の選択」です。第1章「出生前診断と反出生主義」、第2章「英語教育と英語公用語論」、第3章「美容整形とルッキズム」、第4章「自動運転とAI倫理」、第5章「異種移植とロボット化」について、各章が現実的問題と哲学的問題の2つのセクションに分けられて「哲学ディベート」が進行します。章末には「一緒に考えてみよう」という課題もあります。NHK文化センター講座【哲学ディベートを楽しもう!】でもリアルな「哲学ディベート」を楽しむことができますから、ぜひご参加ください。
『20世紀論争史』(光文社新書)は、20世紀に生じた多種多彩な論争について、「教授」と「助手」がコーヒーを飲みながら研究室で対話する形式で進行します。人類史上、過去と比べて20世紀の思想が大きく変遷したのは、コンピュータや遺伝子操作などの科学技術が飛躍的に発展した結果、そもそも人間とは何か、知性とは何か、存在とは何か……といった、従来は哲学の対象とされてきた問題が「科学哲学」の対象になった点にあります。本書の目的は、もはや「科学を視野に入れない哲学」も「哲学を視野に入れない科学」も成立しないという観点から、改めて20世紀を代表する「知の巨人」たちが繰り広げた原点の論争を振り返り、「科学と哲学の融合」のイメージを味わっていただくことにあります。全30章・456ページという新書は、これまでに私が上梓してきた中でも最も分厚い作品ですが、どなたにもわかりやすくスムーズに読んでいただけるように、ユーモラスで知的な対話を心掛けたつもりです。
『フォン・ノイマンの哲学』(講談社現代新書)は、20世紀を代表する天才のなかでも、ひときわ光彩を放っているジョン・フォン・ノイマンの生涯と思想、つまり「人生哲学」に焦点を当てました。ノイマンは、わずか53年あまりの短い生涯の間に、論理学・数学・物理学・化学・計算機科学・情報工学・生物学・気象学・経済学・心理学・社会学・政治学に関する150編の論文を発表しました。天才だけが集まるプリンストン高等研究所の教授陣のなかでも、さらに桁違いの超人的な能力を発揮したノイマンは、「人間のフリをした悪魔」と呼ばれました。「コンピュータの父」として知られる一方で、原子爆弾を開発する「マンハッタン計画」の科学者集団の中心的指導者でもあり、「ゲーム理論」と「天気予報」の生みの親でもあります。どのページにも驚愕の事実があると思います。
『自己分析論』(光文社新書)は、これまでに私が大学生や卒業生から相談を受けてきた「自己分析」について、「就職活動・人間関係・人生哲学」の3つの視点からアプローチしたのが特徴。「自己分析」についてのノウハウ本やワークブックは世に溢れていますが、本書のように3つの異なる分野に深く踏み込んで読者をサポートする書籍は、他に類を見ないものと自負しています。「就活生は必読!」であり、「転職」が頭に浮かんだり「いかに生きるべきか」悩んでいる読者にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。
『反オカルト論』(光文社新書)は、『週刊新潮』の連載に加筆修正を行った内容。帯に「STAP事件は現代のオカルト!」とあるようにSTAP事件を徹底的に総括しました。フォックス事件の真相やコナン・ドイルがスピリチュアリズムに騙された理由、さらに霊感セミナーや江戸しぐさなど「現代も生き続ける〝トンデモ〟を科学的思考でめった斬り」にしたつもりです。
★自己紹介(たかはし・しょういちろう)
情報文化研究所所長・國學院大學教授。青山学院大学・お茶の水女子大学・上智大学・多摩大学・東京医療保健大学・東京女子大学・東京大学・日本大学・放送大学・山梨医科大学・立教大学でも兼任講師を歴任。ミシガン大学大学院哲学研究科修了後、テンプル大学専任講師、城西国際大学助教授を経て現職。
朝日カルチャーセンター・NHK文化センター・中日文化センター・ヒューマンアカデミーでも講座を担当。
専門は論理学・科学哲学。幅広い学問分野を知的探求!
著書は『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』『フォン・ノイマンの哲学』『ゲーデルの哲学』(以上、講談社現代新書)、『20世紀論争史』『自己分析論』『反オカルト論』『新書100冊』(以上、光文社新書)、『愛の論理学』(角川新書)、『東大生の論理』(ちくま新書)、『小林秀雄の哲学』(朝日新書)、『実践・哲学ディベート』(NHK出版新書)、『哲学ディベート』(NHKブックス)、『ノイマン・ゲーデル・チューリング』(筑摩選書)、『科学哲学のすすめ』(丸善)、『天才の光と影』(PHP研究所)など多数。
監修書は『記号論理学』『数理論理学』『不完全性定理』(以上、丸善)、『パラドックス大図鑑』『論理的思考』『科学大百科』(以上、ニュートンプレス)、『認知バイアス事典』『認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編』(以上、フォレスト出版)など多数。
趣味はJazz+Wine+将棋四段。Japan Skeptics 副会長。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
各界を代表する架空の人物達の討論として、選択、科学、知識、の限界についての話が進む。
各界代表者とは、
カント主義者、会社員、論理実証主義者、科学主義者、科学社会主義者、数理経済学者、運動選手、ロマン主義者、大学生、フランス国粋主義者、論理学者、哲学史家、方法論的虚無主義者、ロシア資本主義者、
科学史家、国際政治学者、・・・
・選択の限界
コンドルセのパラドックス
個人では成立する選好の遷移率が集団では成立しないことがある。
アロウの不可能性定理
民主主義に必須となる多数決原理そのものにパラドックスがあり、完全な民主主義は原理的に不可能。
・科学の限界
ハイゼンベルクの不確定性原理
ERPパラドックス
科学は一般的には、天動説から地動説へ、ニュートン力学から、相対性理論・量子論へと、合理的選択がなされ進歩しているように見える。しかし、「科学の進歩に合理的基準などない、あるのは科学者集団における信念や主観に基づく合意だ」という見解もある(トーマス・クーン)。だとしたら、「科学こそが、もっとも新しく、もっとも攻撃的で、もっとも教条的な宗教制度である」
(ファイヤアーベント)。
・知識の限界
最後はやはりこれ
ゲーデルの不完全性定理
ゲーデルは述語論理の完全性定理と
自然数論の不完全性定理の両方を証明した。通常、論理学は完全(矛盾がない)だが数学は不完全(矛盾がある)と言われている。しかし、近年、人の思考にもっとも近いと言われている認知論理システムにもゲーデルの不完全性定理が顔を出すことがわかっている(レイモンド・スマリヤン)。
最近の世界動向からは、理性の限界もだが、さらに理性への反動を感じるのは自分だけ?(^^;)
古来より築かれてきた数学・公理の数々、近年の科学技術の大きな進歩を裏付けるといわれる理論式、
それらの全ては各々の分野に属す一集団の「主観的な同意」に過ぎないものだ。
同士が集う狭い世界で戯れることは確かに楽しいだろう。が、そこで満足していいのか?
既存の狭い世界から抜け出し、思考・実践の幅を広げなければいけない時代に差し掛かっている。
■第一章:選択の限界 アロウの不可能性定理
○個人に必用な二つの条件
1-1.どんな選択肢であっても順位をつけることができること。
1-2.AをBより好み、BをCより好むならば、AをCより好むということ。
○民主主義に必要不可欠な四つの条件
2-1.個人の選好が無制約であること。
2-2.市民に主権があること。
2-3. 三つ以上の選択肢がある中から二つを選ぶ時に、他の選好の順位付けからは影響を受けないこと。
2-4.独裁者は存在しないということ。
上記六つの条件を満たすことが、「完全な民主主義モデル」であるが、よくよく観察すると
1-1, 2-1, 2-2, 2-3, 2-4を満たすと、1-2を満たさなくなり(2-3が抵触する)、これは実現できないことがわかる。
つまり、完全に公平な投票形式=完全な民主主義モデルは存在しえない。
■第二章:科学の世界 ハイゼンベルグの不確定性定理
電子の位置と運動量は、本来決まっているものではなく、いろんな状態が共存して(右に進むものもいれば、
左に進むものもある)いるため、どの状態を観測することになるかは決定されていない。常に相互に影響しあっている
(自分の位置を定め、どの方向に向かおうかと決める時に、自分の判断だけで決めることができない)状態。
■第三章:知識の限界 ゲーデルの不完全性定理
あらゆる命題が特定のシステムに従って「真」であるとしても、その「真」はそのシステムにおいて
「真」であるに過ぎず、他のシステムでは偽であることがある。これを極限まで考えると、数学の根本すらも、
人間が思考の内に生み出したものであり、一つの「主観」によるものでしかない。
つまり、我われがこれまでに導いてきた公理・数式その他全てに関し、それらが「真」であるという確証性は消えてしまう。
『数学』が、どこまで完全なものであるのか?どこからが不完全か?
解き明かされていないか?を1冊の本でまとめてくれています。
本のタイトル通り、どこが限界なのか?分かります。
また、これらの内容は専門的になりがちですが、それを一般の
社会人や大学生にも分かるように、ディベート形式で説明してくれて
いて、とてもわかりやすかったです。
●『選択』の限界
選挙や多数決で決める場合、本当に公平な多数決は存在しないとの
内容です。
例えば、ある集まりの中で誰をリーダーにするか?を決定する場合
でも、完全な投票の方法は存在しなくて、どのような性格のリーダーに
したいか?によって、投票の方法や結果が変わるというものです。
多数決は公平なものだと思っていたので、おどろきでした。
もう一つ勉強になったのが、「しっぺ返し戦略」でした。
相手に協調する方がトクか?裏切る方がトクか?有識者がパソコンの
プログラミングを組んで、いろいろなパターンで勝負させたところ、この
単純なプログラミングが一番強かったようです。
(もちろん、統計学やそのほかの数学を使ってプログラムを組んだ人が
いるにも関わらずです。)
自分の生活でも使えそうだと思いました。
●『科学』の限界
万有引力や地動説から相対性理論、量子力学まで、進化の歴史を紹介
しつつ、今の科学はどこまで分かるか?解説してくれています。
相対性理論から、光の速さに近づけば近づくほど時間の経過が遅くなる
ことはなんとなく知っていましたが、光の速さは不変で、距離も不確定な
ものであることは初めて知りました。
(つまり、光の速さで動いても、光は止まって見えずに光の速さで動いて
いる。また、光の速さに近づけば距離は縮んでいく。)
また量子力学から電子の位置は不確定なことも分かって面白かったです。
●『数学』の限界
これも驚きでした。数学自体に証明も反証明も出来ない不完全な命題を
含んでいるのも初めて知りました。数学なので、数字で証明すればすべて
説明できると思っていましたが、そうでもないようです。
上の通り、大きく3つの章に分かれていましたが、『選択』、『科学』、『数学』
ともに、突き詰めていくと、最終的には証明できない不完全なところに
到達するのが、とても面白かったです。
いいl刺激になると思います。
ぜひ一度読んでみてください!
「ゲーデルの哲学」は途中から理解が及ばなくなり、若干心が折れそうになったが、
本書は更に言葉をかみ砕いて説明が尽くされているので、凡愚の心にもかすかな希望が灯った。
理性の限界を照射する光源は、
アロウの不可能性定理(選択の限界)、ハイゼンベルグの不確定性原理(科学の限界)、ゲーデルの不完全性定理(知識の限界)である。
ゲーデルはやはり別格の難解さだったが、選択の限界と科学の限界の不思議さは、既成概念の土台を揺るがすには十分すぎるほどの威力があった。
アロウもハイゼンベルグも決して容易な理論ではないはずだし、それなりに単純化した部分もあると思うのだが、
日常的な具体的例をふんだんに盛り込んでいるので、割とさくさく読み進めることができる。
合理的選択過程で淘汰されずに生き残るのは、最も非合理的な特性を持つ選択肢になりがちという論証は、思わずうなりそうになった。
構成が各界専門家の雑談という形式になっているも、ダメな意見、ダメな感性を浮き彫りにするので、本書のわかりやすさに一役買っている。
しかし、たしか同じ著者の「ゲーデルの哲学」の帯には、「これで不完全性定理がわかる!」と書いてあったはずだが、
本書206頁には「かなりの論理学と数学基礎論の予備知識がなければ、実際の定理そのものを理解することはできません。」と書いてあった。
著者の言が仮に無矛盾であるとすれば、読者は反論も、証明もできないということだろうが、
このちょっとしたパラドックスを解くには更に修行が必要であると思われる。
「理性の限界」というテーマが議論されて行く。
「選択の限界」では、アロウの不可能性定理と囚人のジレンマ
が、「科学の限界」では、科学史及びハイゼンベルクの不確定
性原理が、「知識の限界」では、ぬきうちテストのパラドック
スとゲーデルの不完全性定理が取り上げられる。
何れも、これまでの知のパラダイムの展開を迫る重要問題であ
るが、それをとても判り易いイメージで示してくれるので、スラ
スラと読める。
今後は、これらの知の限界点を認識しつつ、自身の思考展開を
して行く必要があると感じる。