2009年の出版で著者初期の著作である。今に至る問題は提出されていてロボット工学により進捗中である。
その主張は、人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけである。
人間がロボットを作る根源的理由は、人間を知りたいという欲求に根ざすものである。
心は、相互作用によって生まれる主観的現象である。なぜ、相互作用を起こすかの答えは「情動」にあり性的情動に起因する。
そして、情動には、もう一つ知的情動(好奇心)もある。
ロボットに情動を組み込む必要があるが、性の問題は難解で不思議な問題に突き当たる覚悟が要る。
最近、その入り口部分に取り組めるようになったがそれはジェミノイドをミニマルデザインしたむき身の人間のようなテレノイド(年齢・性別不詳の容貌)である。
コンピュータが認識機能を持つには、人間と同様環境の中で動き回り物に触れる体が必要となる。
究極的には、「人間とは、何か?」ということである。それには、「人間と関わる機能」が必要である。
第一歩は、インターネットや携帯電話のように人間が分からなくても、利用するものを作ることは可能である。そして、それ自体が人間理解を伴うものとなっている。
人間の脳は、他の人間を認識し人間と関わるために設計されている。そして、見かけは、動き同様に重要であることが分かった。
人間は、必要なときにだけ特定の感覚に注意を向けそこから情報を得る。それ以外は、恐らくそうであろうという「予測」の下に行動している。一旦、人間らしいと思えば他の感覚器も人間として反応するだろうという予測の下に体全体の感覚器が制御されている。
アンドロイドであっても一旦、人間らしいと思えば匂いさえ再現する。勿論、逆もある。一旦、人間と違うと判断すれば他の感覚も同様に人間ないと反応する。
人間は、「見かけ」に非常に敏感である。また、無意識的微小動作も非常に敏感である。
これまでに分かったこと。
.人は、他人ほど自分のことを知らない。
.社会がなければ、人間は自分を知ることができない。
.人間は、自分の体に都合のよい情報を選択できるようになっている。
.人間は、絶対的アイデンティティを持たない。
.人間の体と感覚は密接に繋がってはいない。
.脳と体、脳と感覚が蜜に繋がっていないために、人間はジェミノイドのようなロボットにも乗り移ることができる。錯覚する機能が脳にあるのである。
.他人から認識される自分があるから自我がある。
.人間は、相手の感情や仕草や口調から単に、感情を想像しているだけである。そして、感情は最も早い意思伝達手段である。
.人間とは、他人の心と自分の心に挟まれた感覚器の集合にすぎない。
.心とは、主観的な現象であり「役者」に心は必要ない。立つ位置とタイミング(間)で十分である。それは、ロボットでも再現可能である。
.自分の心も他人の心も、観察を通じて感じることでその存在に気づくことができるが、直接覗くことはできない。
.心、感情、知能、意識を突き詰めて考えても、何一つそれを示す人間の機能はない。それらに、実体はない。概念に実感を抱いているだけである。
.人は、競争することしか出来ないが、その結果として協調という現象が顕われる。
著者の基本問題は、「人間の理解」であるがそこに至る段階(問題設定)が実に論理的で、思考の道筋が常に「より深い問題は何か」
ということにある。そして、次々と結果を出している。
情報化社会の次は、ロボット化社会という見立てである。
ロボット研究の結果は、デカルトとは真逆で「思う、故に我あり」が人間でありそれは、人間が関係性の上に拠って立つということであった。
ラカンの人間観も同様である。
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ロボットとは何か-人の心を映す鏡 (講談社現代新書) 新書 – 2009/11/19
石黒 浩
(著)
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「なぜ私は人型ロボットを作るのか」。自分がモデルのアンドロイド、ロボット演劇など、世界が注目する「人間酷似型ロボット」の第一人者が、その研究と「人間とは?」という問いの軌跡を綴る快著。
-出版社からの紹介-
この本のカバーの(超太帯の)写真をご覧ください。双子のようなペアの、右側が著者の石黒浩氏、左は、自身をモデルにした遠隔操作型のアンドロイド「ジェミノイド」です。
石黒氏は、これまでにほかにも、自分の幼い娘をモデルにした子供アンドロイドや女性アンドロイド、ロボットが役者と演じる「ロボット演劇」、介助されて立ち上がる「発達する子供ロボット」など、国内外を驚かせ、注目を集める研究を行ってきました。
「なぜ人間型ロボットにこだわるのか?」――それは、このような一連の研究は、著者にとって「人間とは何か」を問う自己探求の試みでもあるからです。
本書では、人間型ロボット第一人者である石黒氏が、これまで開発したロボットを紹介しながら、研究の過程で感じてきたことを、疑問や戸惑いも含めて率直に語ります。また、有名な「ロボット3原則」や、ロボットと人間の将来まで論じた、すぐれた情報社会論でもあります。
-出版社からの紹介-
この本のカバーの(超太帯の)写真をご覧ください。双子のようなペアの、右側が著者の石黒浩氏、左は、自身をモデルにした遠隔操作型のアンドロイド「ジェミノイド」です。
石黒氏は、これまでにほかにも、自分の幼い娘をモデルにした子供アンドロイドや女性アンドロイド、ロボットが役者と演じる「ロボット演劇」、介助されて立ち上がる「発達する子供ロボット」など、国内外を驚かせ、注目を集める研究を行ってきました。
「なぜ人間型ロボットにこだわるのか?」――それは、このような一連の研究は、著者にとって「人間とは何か」を問う自己探求の試みでもあるからです。
本書では、人間型ロボット第一人者である石黒氏が、これまで開発したロボットを紹介しながら、研究の過程で感じてきたことを、疑問や戸惑いも含めて率直に語ります。また、有名な「ロボット3原則」や、ロボットと人間の将来まで論じた、すぐれた情報社会論でもあります。
- ISBN-104062880237
- ISBN-13978-4062880237
- 出版社講談社
- 発売日2009/11/19
- 言語日本語
- 寸法10.6 x 1.1 x 17.4 cm
- 本の長さ240ページ
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- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4062880237
- ISBN-13 : 978-4062880237
- 寸法 : 10.6 x 1.1 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 378,770位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 203位メカトロ・ロボット工学
- - 1,743位講談社現代新書
- - 1,801位コンピュータサイエンス (本)
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2021年7月23日に日本でレビュー済み
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「人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけである」という刺激的な冒頭一行で始まり、「ロボットも心を持つ事が出来」て「ロボットは、人間の心までも映し出す鏡である」と考える著者(コンピュータ・ビジョン(以下"CV"と略)、ロボット、アンドロイドの専門家)のロボット論である。勿論、以降はその由縁を語って行く訳だが、著者の研究経歴が影響を与えている様だ。
まず、著者はCVの研究中に「体を持たないコンピュータに真の認識が可能か?」という疑問を抱いた由。平たく言うと、画像認識のためには予めプログラム中に認識対象の情報を埋め込んで置く必要がある(AI技術の進歩に伴ってこの状況は変わりつつある)が、人間には一般化能力があるので、自らの体験を通して、初めて見た"椅子"でも"椅子"と認識出来る。一方、コンピュータが人間と同等の認識能力を持つには、環境の中で動き回り、物に触れる<体>が必要となる。これが著者が「CVの世界→ロボットの世界」と研究範囲を広げた理由の由。そこで、ロボットの視覚機能を研究する内に「目的を持たないロボットは物を認識出来ない」事に気付き、「ロボットの目的とは何か?」を思索する内に「人間とは何か?」というより深い興味に移行した由。そこでは、「人間と関わる機能」の研究が中心課題となるが、この研究の最も大きな特徴は「ロボットの開発」と「人間についての理解」とを同時に進める必要があるからである。更に、「人間が仕組みを良く分からないモノ(例えばインターネット)でも、人が利用する物を作る事は可能である」との観察から、人類は「技術開発を通して人の能力を機械に置き換えて来た」とし、「人間は全ての能力を機械に置き換えた後に、何が残るか見ようとしている」との見解の下、ロボットは「そのような『人間を理解したい』という根源的欲求を満たす格好の道具」とする。後半展開される(であろう)技術論より、著書の思考回路の方が興味深い(「ロボット→GAI」と読み替えれば、「2045年問題」における"悲観派"のその先を見据えている感がある)。そして、研究を積み重ねて行く内に「人間の生きる意味は<人間とは何か>を考える事にある」という境地にまで達する。
その後、「ロボット(アンドロイド)を人間に近づける」幾つかの試みの記述や既存の言葉を繰り返すだけで一向に冒頭一行に近づかないのでイライラしたが、著者自身のアンドロイド("ジェミノイド"と呼ぶ)を作って学生に感想を聞いた事をキッカケとして「人は他人ほど自分の事を知らない」と思い至って、やっとそれらしくなって来た。それ以降もロボット工学の話題が続くが、冒頭一行には程遠い。それでも、ジェミノイドを用いる事に依って「人間は絶対的なアイデンティティを持たない」、「人間の体と感覚は密には繋がっていない」、「脳の中には、体全体の感覚がちゃんと得られていると錯覚を起こす機能がある」、「人は表面的にしか人を認識していない」との知見を得て、段々と近づく。ところが唐突に、「『人間の存在とは何か? 人間とは何か?』という問いには無論答えはない」とありガッカリする。冒頭一行はレトリックという事か。「人類は常に自らを映し出す鏡を求めて」いて「ジェミノイドは自分の外見を映し出す鏡であるだけではなく、<心>まで映し出す鏡である」との言辞は単なる哲学論である上に牽強付会の感が否めない。次は当然「<心>とは何か?」の追求だが、哲学的・芸術的議論を繰り返しているだけで論理性・科学性に欠ける(元々、脳科学者でも答えを出せない難しい問題ではあるが)。冒頭数行の問題提起は刺激的で著者の思考回路は興味深くて個人的には惹かれたが、竜頭蛇尾の感を免れない惜しい書だと思った。
まず、著者はCVの研究中に「体を持たないコンピュータに真の認識が可能か?」という疑問を抱いた由。平たく言うと、画像認識のためには予めプログラム中に認識対象の情報を埋め込んで置く必要がある(AI技術の進歩に伴ってこの状況は変わりつつある)が、人間には一般化能力があるので、自らの体験を通して、初めて見た"椅子"でも"椅子"と認識出来る。一方、コンピュータが人間と同等の認識能力を持つには、環境の中で動き回り、物に触れる<体>が必要となる。これが著者が「CVの世界→ロボットの世界」と研究範囲を広げた理由の由。そこで、ロボットの視覚機能を研究する内に「目的を持たないロボットは物を認識出来ない」事に気付き、「ロボットの目的とは何か?」を思索する内に「人間とは何か?」というより深い興味に移行した由。そこでは、「人間と関わる機能」の研究が中心課題となるが、この研究の最も大きな特徴は「ロボットの開発」と「人間についての理解」とを同時に進める必要があるからである。更に、「人間が仕組みを良く分からないモノ(例えばインターネット)でも、人が利用する物を作る事は可能である」との観察から、人類は「技術開発を通して人の能力を機械に置き換えて来た」とし、「人間は全ての能力を機械に置き換えた後に、何が残るか見ようとしている」との見解の下、ロボットは「そのような『人間を理解したい』という根源的欲求を満たす格好の道具」とする。後半展開される(であろう)技術論より、著書の思考回路の方が興味深い(「ロボット→GAI」と読み替えれば、「2045年問題」における"悲観派"のその先を見据えている感がある)。そして、研究を積み重ねて行く内に「人間の生きる意味は<人間とは何か>を考える事にある」という境地にまで達する。
その後、「ロボット(アンドロイド)を人間に近づける」幾つかの試みの記述や既存の言葉を繰り返すだけで一向に冒頭一行に近づかないのでイライラしたが、著者自身のアンドロイド("ジェミノイド"と呼ぶ)を作って学生に感想を聞いた事をキッカケとして「人は他人ほど自分の事を知らない」と思い至って、やっとそれらしくなって来た。それ以降もロボット工学の話題が続くが、冒頭一行には程遠い。それでも、ジェミノイドを用いる事に依って「人間は絶対的なアイデンティティを持たない」、「人間の体と感覚は密には繋がっていない」、「脳の中には、体全体の感覚がちゃんと得られていると錯覚を起こす機能がある」、「人は表面的にしか人を認識していない」との知見を得て、段々と近づく。ところが唐突に、「『人間の存在とは何か? 人間とは何か?』という問いには無論答えはない」とありガッカリする。冒頭一行はレトリックという事か。「人類は常に自らを映し出す鏡を求めて」いて「ジェミノイドは自分の外見を映し出す鏡であるだけではなく、<心>まで映し出す鏡である」との言辞は単なる哲学論である上に牽強付会の感が否めない。次は当然「<心>とは何か?」の追求だが、哲学的・芸術的議論を繰り返しているだけで論理性・科学性に欠ける(元々、脳科学者でも答えを出せない難しい問題ではあるが)。冒頭数行の問題提起は刺激的で著者の思考回路は興味深くて個人的には惹かれたが、竜頭蛇尾の感を免れない惜しい書だと思った。
2018年5月9日に日本でレビュー済み
ロボット研究の第一人者である石黒先生が著者。
そうか。石黒先生は、人間とは何か、を探るためにロボットを研究してたんですね。なるほど。
バランス理論とか研究者の心意気とか、色々と勉強になりました。文系の人間にも刺激的な本です。
そうか。石黒先生は、人間とは何か、を探るためにロボットを研究してたんですね。なるほど。
バランス理論とか研究者の心意気とか、色々と勉強になりました。文系の人間にも刺激的な本です。
2018年8月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
石黒さんは論理的な記述を好むタイプではなく、芸術的な視点でロボット技術を見ているので、変わっている人だとつくづく思う。大学偏差値どうこうではなくこういった視点を持った人が世の中を変えていくのだと考えました。
2011年3月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
絶対に読むべき本。それも今。
まず読んで面白い。ロボットの研究の最前線を惜しみなく書いていて、ここまできているのか、ということが分かって面白い。
次に話の発展する余地が多いのが面白い。性とロボットの関連、不気味の谷についてなど、そこを基点としてさまざまな方向に話が発展していくから。
そして、なぜ発展するかというと、それは本作で語られているように、ロボットとは何かを考えることがすなわち人間とは何かを考えることだからだろう。
そして更にその点について石黒先生が非常に自覚的であり、そもそも研究とは人間とは何かを考えることである、という問題提起にまで至っており、全面的に賛成せざるを得ない。
また改めて自分の生活を振り返り、人間とは何かに少しでも近づいているような毎日を送れているだろうかと、反省させられてしまったのだった。
ひとつだけ確実にいえるのはこの本は少なくともロボットという工業の一分野の研究に関する紹介文ではなく、人間そのものに近づく、本来の意味の科学全般を代表する著作であろうということだ。
それはかつて哲学や、芸術が担っていた世界であり、ロボット演劇がここから立ち上がってきているのも単なる偶然ではあるまい。今後10年の人文科学はロボットを基点に大きく発展するだろうと、この本を読むと確信できる。
まず読んで面白い。ロボットの研究の最前線を惜しみなく書いていて、ここまできているのか、ということが分かって面白い。
次に話の発展する余地が多いのが面白い。性とロボットの関連、不気味の谷についてなど、そこを基点としてさまざまな方向に話が発展していくから。
そして、なぜ発展するかというと、それは本作で語られているように、ロボットとは何かを考えることがすなわち人間とは何かを考えることだからだろう。
そして更にその点について石黒先生が非常に自覚的であり、そもそも研究とは人間とは何かを考えることである、という問題提起にまで至っており、全面的に賛成せざるを得ない。
また改めて自分の生活を振り返り、人間とは何かに少しでも近づいているような毎日を送れているだろうかと、反省させられてしまったのだった。
ひとつだけ確実にいえるのはこの本は少なくともロボットという工業の一分野の研究に関する紹介文ではなく、人間そのものに近づく、本来の意味の科学全般を代表する著作であろうということだ。
それはかつて哲学や、芸術が担っていた世界であり、ロボット演劇がここから立ち上がってきているのも単なる偶然ではあるまい。今後10年の人文科学はロボットを基点に大きく発展するだろうと、この本を読むと確信できる。