700回を超えた16年にわたる週刊文春の連載コラム「ホリイのずんずん調査」は何の前触れもなく、2011年6月23日号をもって終了した。著者ホリイちゃんは、『
落語の国からのぞいてみれば
』・『
落語論
』・『
青い空、白い雲、しゅーっという落語
』など近年、落語に傾倒していたが、真相は全く分からない。
ホリイちゃんは「私(堀井憲一郎個人)が書きたいものは(というか文章を借りてやりたいことは)、自分のおもいついたことを楽しく広く聞いてもらいたい、というだけ」(本書63p)というスタンス(『
馬鹿が止まらない
』というエッセイ集があるくらい)で、あえて言えば「どうでもいいこと」を”ずんずん”調査する中で垣間見せる、正鵠を得た独自の切り口が魅力の一つだった。だが、昨年9月から今年の4月まで講談社の有料メールマガジンに連載していたものを書籍化した本作は、完全に“ガチ”である(『
若者殺しの時代
』の続編ではないとのこと)。
「バブルは貧乏人の祭り」(28p)
「被害者に戦争を語らせても意味がない」(37p)
「有縁社会というのは、たとえば結婚相手は自分で選べない、ということ」(155p)
「(原発問題は)騒ぎたいから騒いでいる。…「まじに行動しないとやばいとき」は…人は黙って行動する」(172p)
と斬り捨てる。
日経BPnetの「あなどれない新書たち」などにも紹介されており、これ以上つべこべ書くのは無粋なので、本文から牽いてレビューに代えたい。
◆p.123/p.87 無縁社会ってのは、便利さとの引き替えで、いろんなものを解体したから出来てきたのであって、政治が悪いわけでも、社会が悪いわけでもない。自分たちで選んで、きちんとそこに立っているだけである。個人が個人として尊重されていると錯覚できる世の中になった。……べつに、いろんなものを解体して、そこから金を儲けていくのはかまわない。実際に生活は便利になっていく。…それはでも便利になっただけだ。発展したわけでもない。成長したわけでもない。便利になっただけである。分割は発展ではない。/もはや発展しているわけではないのにはうすうす気づいています。便利にはなった。…でも便利になるぶん、ただ消費が増えるだけで、発展なのか、ただ、金を社会に回すためのどうでもいい工夫に金を払っているのか、もうわからなくなりました。……ものを停滞させると社会も停滞してしまう。そこを恐れているかぎりは、我々はくるくると回転し続けるしかないのだ。
(第4章 個性の尊重で世界はどんどん歪んでいく/第3章 19世紀的ハイテンション気分の果て)
◆p.173/p.183 「どうも政府の言っていることは信用できないし、東電の発表も隠蔽ばかりだし…」と考えるのが、ふつうのスタンスになっている時期があって、…多くの人がすごく焦っていたようだけど、世の中そんなに特権的にはできていない。そもそも正しい情報などどこにも存在しないし、それは基本的には「すべてを把握している人がいる」ということを想像して苦しんでるようなんだけど、あきらかに神の視点と混同していますね。……「お上は本来ちゃんとやってくれるもの」という幻想を持っていると、本当はきちんとした情報をつかんでいて、将来に対しての予測もしてるのに隠蔽してるのだ、という考えに至ってしまう。…その根拠は「向こうは政府(ないしは巨大な権力)だからそれぐらいの力を持ってるはず」というものでしかなく、…おまえは子供かとつっこみたくなる妄想からしか考えてないわけですよ。
(第7章 政府も東電も「他者」ではない)
◆p.200 客観的立場に立って発言することが礼儀である、という刷り込みがわが国ではなされていて、…この場合の発言主体は、社会全体の空気になりかわって申しますが、ということで、……科学的実験における客観的データ採取というの(と)、…通底しているのだ。……ただ、似てる、というだけだ。似てるというのは、つまりもとより別の存在だということなんだけれど、うちの国では往々にして、この二つの立場が混同されることが多い。
(第8章 だから、いつだって普通の時代)
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いつだって大変な時代 (講談社現代新書 2114) 新書 – 2011/7/15
堀井 憲一郎
(著)
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私たちはなぜ、いつも「大変!大変!」と言っているのか? もしかしたら、大変なのは、経済や社会や時代ではなく、そういうふうにしか考えられない私たちの頭のほうかもしれない――。科学への無邪気な信仰、個性尊重という錯覚、独創的な名前の子の増殖、まだまだ世界は発展するという思い込み……私たちの奇妙な固定観念を考え直す。(講談社現代新書)
私たちはなぜ、いつも「大変!大変!」と言っているのか?
もしかしたら、大変なのは、経済や社会や時代ではなく、
そういうふうにしか考えられない私たちの頭のほうかもしれない――。
科学への無邪気な信仰、個性尊重という錯覚、独創的な名前の子の増殖、
まだまだ世界は発展するという思い込み……
私たちの奇妙な固定観念を考え直す。
私たちはなぜ、いつも「大変!大変!」と言っているのか?
もしかしたら、大変なのは、経済や社会や時代ではなく、
そういうふうにしか考えられない私たちの頭のほうかもしれない――。
科学への無邪気な信仰、個性尊重という錯覚、独創的な名前の子の増殖、
まだまだ世界は発展するという思い込み……
私たちの奇妙な固定観念を考え直す。
- ISBN-104062881144
- ISBN-13978-4062881142
- 出版社講談社
- 発売日2011/7/15
- 言語日本語
- 寸法10.5 x 1 x 17.5 cm
- 本の長さ222ページ
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商品の説明
著者について
1958年生まれ。京都市出身。コラムニスト。
著書に『若者殺しの時代』『落語論』『落語の国からのぞいてみれば』『江戸の気分』(いずれも講談社現代新書)、『青い空、白い雲、しゅーっという落語』(双葉社)、『東京ディズニーリゾート便利帖』(新潮社)、『深夜食堂の勝手口』(小学館)などがある。
著書に『若者殺しの時代』『落語論』『落語の国からのぞいてみれば』『江戸の気分』(いずれも講談社現代新書)、『青い空、白い雲、しゅーっという落語』(双葉社)、『東京ディズニーリゾート便利帖』(新潮社)、『深夜食堂の勝手口』(小学館)などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2011/7/15)
- 発売日 : 2011/7/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 222ページ
- ISBN-10 : 4062881144
- ISBN-13 : 978-4062881142
- 寸法 : 10.5 x 1 x 17.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 725,885位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,304位講談社現代新書
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年12月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ホリイさんは『東京ディズニーリゾート便利帖』以来、お世話になってます^^
とにかく肩凝らないで読めるのがいい☆
ホリイさん的楽観主義で、「時代の変化を楽しんで生きて行こうぜぇ♪」という感じで書かれています。
1980年代〜現在までの時代の移り変わりをまとめてますから、その時代の息吹を感じられます。
色々な物事を多数決の意見(みたいな感じで)報道されてるけど、それってホントなのか解んない。
年々便利になって行くようなんだけど、便利になったのかなぁ?
色々情報集めてみても、解らないところは解らない。
物事を判断する基準に迷った時に読むと、ヒントをくれるかもしれない本です。
あまり真面目に読まないで、ビール片手で読んだ方が良いと思いますよぉ^^
(あくまで私的な意見です。)
(この本と対を成す本(と勝手に思っている)です。)
若者殺しの時代 (講談社現代新書)
とにかく肩凝らないで読めるのがいい☆
ホリイさん的楽観主義で、「時代の変化を楽しんで生きて行こうぜぇ♪」という感じで書かれています。
1980年代〜現在までの時代の移り変わりをまとめてますから、その時代の息吹を感じられます。
色々な物事を多数決の意見(みたいな感じで)報道されてるけど、それってホントなのか解んない。
年々便利になって行くようなんだけど、便利になったのかなぁ?
色々情報集めてみても、解らないところは解らない。
物事を判断する基準に迷った時に読むと、ヒントをくれるかもしれない本です。
あまり真面目に読まないで、ビール片手で読んだ方が良いと思いますよぉ^^
(あくまで私的な意見です。)
(この本と対を成す本(と勝手に思っている)です。)
若者殺しの時代 (講談社現代新書)
2012年3月30日に日本でレビュー済み
私は1977年生まれ、2012年現在34歳。堀井さんは60歳前にこの本を書かれている。時間軸として違う時代を生きている。
私は、会社の飲み会等で上司・同僚の「大変だった」話しを聞くにつけ、「その大変さは当事者しかわからないんだなぁ。たぶんみんなそれぞれ大変、大変と思っているんだろうなぁ。」と心の中で思ってしまう。だから自分は絶対に「大変」とは言わない。
といっても諸先輩方の苦労話を酒を飲みながら聞くのは大好きで、無謀にもその経験談に自分の考えを突っ込んでいく。
ということもあり、本書の題目にひかれ触手が伸びました。
第1章「歴史は繰り返し美しく歪められる」は、少しばかりの事実とそれに対する堀井さん特有の考察が相まって、こういう捉え方があるんだと新鮮な刺激をいただきました。
しかし、第2章から第5章までは、堀井さんが生きてきた時代(経験したこと)を軸として主観的えり分けに従い「あれはよい。これはよくない。」の論調。だらだらとしていて飽きた。それ以降は読む気がなくなった。一応、最後まで読みましたが…(第6章無縁社会は面白い視点だった)。
むしろ、堀井さんが、自分の生きてきた時代は「大変(特別)な時代」と言っているように感じられた。なんというか、酒の席でのどうでもいい話しに近い感じ。「それで?」という疑問が沸いてくる。私は図書館で本を借りたので直接お金を払っていないが、お金を払う価値のある内容ではない(第1章を読んだときには購入しようかなと思ったのですが…)。
そして、「いつだって大変な時代」という題目に全くマッチしていないということが私の興味をそいだ。(それとも堀井さんの経験描写が大変な時代なんでしょうか?)
たとえば、最近の若者の行動を認めているようで、実は理解不能という雰囲気が行間にあり、読み進むにつれ不快感が募っていく。
そのほか、「DVDはもろいからビデオテープがいい」という話しがあるが、それはDVDを裸のままで積み上げてあるから傷ついて読み取れなくなったというだけであって、保管の仕方が悪いだけ。ちゃんと整理整頓したらどうですかといいたい。もしかして雑然と放っておくのがいいと思っているのでしょうか。
あとは、名づけの話しも。昔は名づけには「型」があったというが、その「型」はいつ完成したのか?「鎌足」とつければいいの?名づけなんて、それこそ時代の流行廃りではないでしょうか。昨今の複雑な名づけに飽きてくれば、おそらく次の時代はシンプルな名前がいいとなるかもしれないし、ただ振り子のように揺れ動くだけ。特に意味はない。知恵のついた大人が(それっぽいことを言いたいがために)意味を求めているだけではないでしょうか。
あと引っかかったのは、「発展」の定義について。「便利になること=発展ではない」という考えを主張しているが、結局堀井さんの発展の定義が見えなかった。「発展」にはいろいろな面があると思う。物的な発展(便利になること等)、心理的な発展(思いやりのある人が増えること等)があるのではないか。ちなみに、私は答えが欲しいわけではないです。
自分の思考力が弱いから、こういう受け方になってしまったのか。いや自分を信じて、ただの相性の問題だと思おう。
第1章はよかったし、それ以外にも思わずうなずくスルドイ指摘もあったので、気に入った文章は“便利な”Evernoteに残しておこうと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
私は、会社の飲み会等で上司・同僚の「大変だった」話しを聞くにつけ、「その大変さは当事者しかわからないんだなぁ。たぶんみんなそれぞれ大変、大変と思っているんだろうなぁ。」と心の中で思ってしまう。だから自分は絶対に「大変」とは言わない。
といっても諸先輩方の苦労話を酒を飲みながら聞くのは大好きで、無謀にもその経験談に自分の考えを突っ込んでいく。
ということもあり、本書の題目にひかれ触手が伸びました。
第1章「歴史は繰り返し美しく歪められる」は、少しばかりの事実とそれに対する堀井さん特有の考察が相まって、こういう捉え方があるんだと新鮮な刺激をいただきました。
しかし、第2章から第5章までは、堀井さんが生きてきた時代(経験したこと)を軸として主観的えり分けに従い「あれはよい。これはよくない。」の論調。だらだらとしていて飽きた。それ以降は読む気がなくなった。一応、最後まで読みましたが…(第6章無縁社会は面白い視点だった)。
むしろ、堀井さんが、自分の生きてきた時代は「大変(特別)な時代」と言っているように感じられた。なんというか、酒の席でのどうでもいい話しに近い感じ。「それで?」という疑問が沸いてくる。私は図書館で本を借りたので直接お金を払っていないが、お金を払う価値のある内容ではない(第1章を読んだときには購入しようかなと思ったのですが…)。
そして、「いつだって大変な時代」という題目に全くマッチしていないということが私の興味をそいだ。(それとも堀井さんの経験描写が大変な時代なんでしょうか?)
たとえば、最近の若者の行動を認めているようで、実は理解不能という雰囲気が行間にあり、読み進むにつれ不快感が募っていく。
そのほか、「DVDはもろいからビデオテープがいい」という話しがあるが、それはDVDを裸のままで積み上げてあるから傷ついて読み取れなくなったというだけであって、保管の仕方が悪いだけ。ちゃんと整理整頓したらどうですかといいたい。もしかして雑然と放っておくのがいいと思っているのでしょうか。
あとは、名づけの話しも。昔は名づけには「型」があったというが、その「型」はいつ完成したのか?「鎌足」とつければいいの?名づけなんて、それこそ時代の流行廃りではないでしょうか。昨今の複雑な名づけに飽きてくれば、おそらく次の時代はシンプルな名前がいいとなるかもしれないし、ただ振り子のように揺れ動くだけ。特に意味はない。知恵のついた大人が(それっぽいことを言いたいがために)意味を求めているだけではないでしょうか。
あと引っかかったのは、「発展」の定義について。「便利になること=発展ではない」という考えを主張しているが、結局堀井さんの発展の定義が見えなかった。「発展」にはいろいろな面があると思う。物的な発展(便利になること等)、心理的な発展(思いやりのある人が増えること等)があるのではないか。ちなみに、私は答えが欲しいわけではないです。
自分の思考力が弱いから、こういう受け方になってしまったのか。いや自分を信じて、ただの相性の問題だと思おう。
第1章はよかったし、それ以外にも思わずうなずくスルドイ指摘もあったので、気に入った文章は“便利な”Evernoteに残しておこうと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
2012年1月21日に日本でレビュー済み
『
若者殺しの時代
』(講談社現代新書)の著者・堀井健一郎が講談社現代新書のメールマガジンに2010年9月〜2011年4月まで連載していた文章をまとめたものです。東日本大震災を挟むようにした期間の連載となります。
大変感銘を受けた『若者殺しの時代 (講談社現代新書)』は比較的読みやすい書だった他方、この本は少々小難しい思想書的な読み物に仕上がっています。注意して読んでいても著者の論の進め方に読み手の私がたびたび迷うことがあり、決して筋道だってこの本を理解できたとは思いません。
しかし『若者殺しの時代 (講談社現代新書)』の書評で私も書きましたが、「時代が始まったときに当事者のほとんどは気づいていない」ことをこの本も改めて読者に訴えかけているようです。
たとえば少子化問題。
「個が完全に尊重される社会では、子どもは増えない。ものすごく大勢の子供がいるならば、そこはそれで窮屈で集団としての生活を余儀なくされるわけで、個の尊重は少子化を進めていくばかりである。(中略)少子化を止めるのは、だからその逆である。社会が貧乏になり、集団への帰属が高まると、少子化は止まる。」(125頁)
また無縁社会については。
「無縁社会は必死でわれわれが頑張った結果である。
おれたちは無縁社会を作ろうとすごく頑張った。無縁になっても大丈夫、無縁でも生きていけるという社会ができて、すごく喜んでいたではないか。
その成果を讃えず、いまの日本社会の客観的な居心地のよさには触れず、つねに否定的要素を見つけて煽るのは、よしたほうがいい。そういう考えのやつがいるのはいいけど、そいつにふりまわされることはない。」(155頁)
こうした論を読むにつけ、その大変さのどれもが私たちが無意識に求めた結果であること、また確かに今だけが特別に大変な時代ではなく、いつだって大変な時代なのだということ、さらには多くの人々が次に「大変だ」と叫ぶ時代の端緒は既に私たちの気づかぬうちに生まれているということに思いが至ります。
あとがきには『若者殺しの時代 (講談社現代新書)』の続編を書かなければならないと著者が考えていることが記されています。その日が来るのを楽しみにしています。
大変感銘を受けた『若者殺しの時代 (講談社現代新書)』は比較的読みやすい書だった他方、この本は少々小難しい思想書的な読み物に仕上がっています。注意して読んでいても著者の論の進め方に読み手の私がたびたび迷うことがあり、決して筋道だってこの本を理解できたとは思いません。
しかし『若者殺しの時代 (講談社現代新書)』の書評で私も書きましたが、「時代が始まったときに当事者のほとんどは気づいていない」ことをこの本も改めて読者に訴えかけているようです。
たとえば少子化問題。
「個が完全に尊重される社会では、子どもは増えない。ものすごく大勢の子供がいるならば、そこはそれで窮屈で集団としての生活を余儀なくされるわけで、個の尊重は少子化を進めていくばかりである。(中略)少子化を止めるのは、だからその逆である。社会が貧乏になり、集団への帰属が高まると、少子化は止まる。」(125頁)
また無縁社会については。
「無縁社会は必死でわれわれが頑張った結果である。
おれたちは無縁社会を作ろうとすごく頑張った。無縁になっても大丈夫、無縁でも生きていけるという社会ができて、すごく喜んでいたではないか。
その成果を讃えず、いまの日本社会の客観的な居心地のよさには触れず、つねに否定的要素を見つけて煽るのは、よしたほうがいい。そういう考えのやつがいるのはいいけど、そいつにふりまわされることはない。」(155頁)
こうした論を読むにつけ、その大変さのどれもが私たちが無意識に求めた結果であること、また確かに今だけが特別に大変な時代ではなく、いつだって大変な時代なのだということ、さらには多くの人々が次に「大変だ」と叫ぶ時代の端緒は既に私たちの気づかぬうちに生まれているということに思いが至ります。
あとがきには『若者殺しの時代 (講談社現代新書)』の続編を書かなければならないと著者が考えていることが記されています。その日が来るのを楽しみにしています。