震災前に書かれてたらよかったですね。え?無理!…
そうですね(笑)
でも、的を得た意見はやっぱり畑村さん様々です。これからも原子力規制委員長としてどんどん活躍されることを期待します。
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未曾有と想定外─東日本大震災に学ぶ (講談社現代新書 2117) 新書 – 2011/7/15
畑村 洋太郎
(著)
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「未曾有」と「想定外」、二つの言葉に隠れてしまった本質的な問題とは? 3月11日から原発事故調査委員会・委員長に就任するまでに、失敗学の視点から考えた大津波と原発事故。311後の日本を考えるヒント。
- 本の長さ194ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2011/7/15
- 寸法10.5 x 1 x 17.5 cm
- ISBN-104062881179
- ISBN-13978-4062881173
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商品の説明
著者について
(はたむら ようたろう)
1941年生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授、工学院大学グローバルエンジニアリング学部特別専任教授を歴任。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主宰。2002年にNPO法人「失敗学会」、2007年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる。日本航空安全アドバイザリーグループ委員、JR西日本安全有識者会議委員、リコールの原因調査・分析検討委員会委員長などを務め、2011年6月より東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会委員長。
著者に『失敗学のすすめ』『創造学のすすめ』『みる わかる 伝える』『危険不可視社会』(以上、講談社)、『直観でわかる数学』『技術の創造と設計』(以上、岩波書店)、『数に強くなる』(岩波新書)、『畑村式「わかる」技術』『回復力』(以上、講談社現代新書)など多数。
1941年生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授、工学院大学グローバルエンジニアリング学部特別専任教授を歴任。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主宰。2002年にNPO法人「失敗学会」、2007年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる。日本航空安全アドバイザリーグループ委員、JR西日本安全有識者会議委員、リコールの原因調査・分析検討委員会委員長などを務め、2011年6月より東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会委員長。
著者に『失敗学のすすめ』『創造学のすすめ』『みる わかる 伝える』『危険不可視社会』(以上、講談社)、『直観でわかる数学』『技術の創造と設計』(以上、岩波書店)、『数に強くなる』(岩波新書)、『畑村式「わかる」技術』『回復力』(以上、講談社現代新書)など多数。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2011/7/15)
- 発売日 : 2011/7/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 194ページ
- ISBN-10 : 4062881179
- ISBN-13 : 978-4062881173
- 寸法 : 10.5 x 1 x 17.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 35,493位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 477位講談社現代新書
- - 4,734位社会・政治 (本)
- - 10,388位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1941年東京生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授、工学院大学グローバルエンジニアリング学部特別専任教授 を歴任。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主 宰。’02年にNPO法人「失敗学会」を、’07年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『失敗学実践講義 文庫増補版』(ISBN-10:4062766132)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年1月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
未曾有と想定外。
この言葉は、原因をあいまい化し、分析する雰囲気をなまらせる。原因を分析していくには、冷静に事実のみを予断なく先入観を排除した心で行わねばならない。ということがよくわかる。ひざを打ちました。
この言葉は、原因をあいまい化し、分析する雰囲気をなまらせる。原因を分析していくには、冷静に事実のみを予断なく先入観を排除した心で行わねばならない。ということがよくわかる。ひざを打ちました。
2011年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「人は忘れる」という大原則があると著者は言う。また、「見たくないものは見えない」「聞きたくないものは聞こえない」もその通りだと日々痛感している。「制御技術への過信」を戒め、「本質安全に基づく設計」の重要さを力説されている。”ウラン循環”を用いた現行の原子力発電は、日本の電力需要の30%を満たすと同時に、高レベル放射性廃棄物をどんどん増やし続けている。人から遠ざけるるため、地中深くに埋めて2万年保管する事業に着手した国もある。「本質安全」を、著者は、地中深く作る原子力発電所のアイデア例を示されたが、「本質安全」はもっと別のところにあるのでは・・と思ってしまう。期待して読んだ良書だけに、この部分は残念だし、「公衆の安全を重視する」著者の主張に馴染まないと感じてしまう。
2011年9月10日に日本でレビュー済み
失敗学の畑村教授の緊急作(とレビュワーは思っています)です。
内容の個々、注目すべき点は他の人が語っているので良いとして
私の注目したのは下記3点。
1. 機械の安全には「制御安全」と「本質安全」がある。福島原発
の事故は全電源喪失という「制御安全」に盛り込まれていない
事象が起こったため大事故になった。原発自体、暫くは必要と
せざるを得ないが「原子力村」の住人たちの"見たくないもの"
を見ようとしない"、これを放置しておいた体制的な問題も
事故の根本にはあるはずである。
2. 日本列島は4プレートの境界点にある。北米、ユーラシア、
太平洋、フィリピン海、であり、この結節点にあるフォッサ
マグナ(御前崎〜糸魚川)を乗り越える地点は、由比・諏訪湖
魚津の3地点しかない。ここで何かプレート移動による震災が
起こると日本列島は分断される。しかも由比は日本の大動脈
である新幹線、東名高速、国道1号線が集中しているので、
物流が途絶えて国が活動停止状態に陥る怖れがある。
よって、バイパスラインであるリニア、第二東名の速やかな
建設に賛成の立場を採る。
3. 文中、何度も出てくるのが寺田寅彦の引用です。
曰く「日本列島は太古の昔から自然災害列島だった。それが
有事に備えるための智恵を貯え、日本人は賢く乗り切って来た」
いずれもとても示唆的な指摘だと思います。1.についてはレビュワ
自身、公に書けない情報も手元に握っていますが、脱原発派対
原発推進派という、右翼対左翼の対立図式に落とし込んだらいつまで
経っても原発安全確保の問題、電力供給の問題、自然エネルギーを
育てるための政策(これは物凄く時間がかかります。簡単に「利権」
にしてはいけません)、どれも解決しなくなるという点から、著者
の意見に賛成します。
2の4プレート理論は勉強になりましたし、3の寺田寅彦の引用は
「明治期の知性に学べ」をモットーにしているレビュワーの心に
響いて来るものでした。畑村先生、政治的利害に取り込まれる事
なく、社会派学者としての立場を堅持して主張すべき事を主張
して、今後の政策に是非とも影響力を行使して頂きたいと願い
ます。
『結局、自分の眼で見て、自分の頭で考え、判断し行動できる人間
が強いのです。本書をその材料の一つとして使っていただけるので
あれば著者としてこれ以上嬉しいことはありません』
上記のあとがきに大いに勇気をいただきました。
内容の個々、注目すべき点は他の人が語っているので良いとして
私の注目したのは下記3点。
1. 機械の安全には「制御安全」と「本質安全」がある。福島原発
の事故は全電源喪失という「制御安全」に盛り込まれていない
事象が起こったため大事故になった。原発自体、暫くは必要と
せざるを得ないが「原子力村」の住人たちの"見たくないもの"
を見ようとしない"、これを放置しておいた体制的な問題も
事故の根本にはあるはずである。
2. 日本列島は4プレートの境界点にある。北米、ユーラシア、
太平洋、フィリピン海、であり、この結節点にあるフォッサ
マグナ(御前崎〜糸魚川)を乗り越える地点は、由比・諏訪湖
魚津の3地点しかない。ここで何かプレート移動による震災が
起こると日本列島は分断される。しかも由比は日本の大動脈
である新幹線、東名高速、国道1号線が集中しているので、
物流が途絶えて国が活動停止状態に陥る怖れがある。
よって、バイパスラインであるリニア、第二東名の速やかな
建設に賛成の立場を採る。
3. 文中、何度も出てくるのが寺田寅彦の引用です。
曰く「日本列島は太古の昔から自然災害列島だった。それが
有事に備えるための智恵を貯え、日本人は賢く乗り切って来た」
いずれもとても示唆的な指摘だと思います。1.についてはレビュワ
自身、公に書けない情報も手元に握っていますが、脱原発派対
原発推進派という、右翼対左翼の対立図式に落とし込んだらいつまで
経っても原発安全確保の問題、電力供給の問題、自然エネルギーを
育てるための政策(これは物凄く時間がかかります。簡単に「利権」
にしてはいけません)、どれも解決しなくなるという点から、著者
の意見に賛成します。
2の4プレート理論は勉強になりましたし、3の寺田寅彦の引用は
「明治期の知性に学べ」をモットーにしているレビュワーの心に
響いて来るものでした。畑村先生、政治的利害に取り込まれる事
なく、社会派学者としての立場を堅持して主張すべき事を主張
して、今後の政策に是非とも影響力を行使して頂きたいと願い
ます。
『結局、自分の眼で見て、自分の頭で考え、判断し行動できる人間
が強いのです。本書をその材料の一つとして使っていただけるので
あれば著者としてこれ以上嬉しいことはありません』
上記のあとがきに大いに勇気をいただきました。
2014年9月27日に日本でレビュー済み
失敗学や危険学を提唱してきた著者が東日本大震災の津波と原発事故を振り返る。
急いで出版したということだが、震災後の調査内容が盛り込まれていて、その生々しさのおかげで、指摘がより一層読者に訴える力になっている。
1章の「津波と未曾有」では、津波の恐ろしさが忘れられる危険性を訴えている。とくに防潮堤が大型化することや小さな津波の経験から、防げたはずの被害が大きくなったことを問題視している。
危険を忘れることは人間の習性であるから、社会の仕組みとして犠牲を防ぐようにする大切さが分かる。
2章の「原発と想定外」では、外部からの敵対的な反対論に反論するうちに想定外を設定出来なかった原子力ムラ共同体を批判している。
航空機事故などの例に学び、失敗や危険を隠さず、真摯に向き合うことは、自然災害大国の日本に住む者には絶対必要なことである。
コンプライアンスを法令遵守と意図的に誤訳し、規則さえ守れば良いとする最近の風潮も、危険から目を逸らす恐れがあるとの指摘も、企業で活動する身としては心に留めておきたいものだ。
急いで出版したということだが、震災後の調査内容が盛り込まれていて、その生々しさのおかげで、指摘がより一層読者に訴える力になっている。
1章の「津波と未曾有」では、津波の恐ろしさが忘れられる危険性を訴えている。とくに防潮堤が大型化することや小さな津波の経験から、防げたはずの被害が大きくなったことを問題視している。
危険を忘れることは人間の習性であるから、社会の仕組みとして犠牲を防ぐようにする大切さが分かる。
2章の「原発と想定外」では、外部からの敵対的な反対論に反論するうちに想定外を設定出来なかった原子力ムラ共同体を批判している。
航空機事故などの例に学び、失敗や危険を隠さず、真摯に向き合うことは、自然災害大国の日本に住む者には絶対必要なことである。
コンプライアンスを法令遵守と意図的に誤訳し、規則さえ守れば良いとする最近の風潮も、危険から目を逸らす恐れがあるとの指摘も、企業で活動する身としては心に留めておきたいものだ。
2011年11月7日に日本でレビュー済み
「失敗学」の畑中洋太郎氏が、「失敗学」と「危険学」の立場から、今回の「3-11」の大地震と大津波という「自然災害」、そして原発事故という「人災」をどう考えるかについて一般向きに書きおろした本である。
「3-11」後、とにかく耳についたのが、専門家たちがクチにする「未曾有」と「想定外」というコトバだ。専門家ではないわたしたちにとって責任放棄としか聞こえないこのコトバに対して、著者もまた本書で厳しく批判している。あいまいさのなかに本質を隠してしまう呪文のようなコトバだからだ。
「想定」の「枠内」であれば、手順さえ間違えなければ問題解決はそれほど困難ではない。しかし、「想定」の「枠外」になるととたんに右往左往してしまうのが専門家である。想定外の事象にかんしては、その場その場でイマジネーションをフルに発揮して対応しなければならないからだ。ここで専門家の限界が明らかになる。
「想定」という枠の範囲を可能な限り拡げれば、ほぼすべての事象が「想定内」となるわけだが、実際問題、予算や時間など使える資源に制約がある以上きわめて難しい。「想定内」の問題解決はマニュアルでも対応可能なのだが、千年に一回しか発生ししない大津波を「想定内」として対処するのは、いくら予算があっても足りる話ではない。つまりは非現実的ということだ。
「想定内」か「想定外」かは、「想定」どう設定するか次第である。そのためには問題設定が重要だということだ。とはいえ、時間の経過とともに「想定内」の枠をめぐる環境も変化することも忘れてはいけないと著者は注意喚起している。思考停止状態にならないためには、つねにみずからシミュレーションという思考訓練を行っておく必要があるのだ。もちろん、カラダもすぐに動けるようにしておかねばらない。
著者の指摘で傾聴に値するのは、自然と「折り合う」ことの重要性である。すべてを想定内とし、防潮堤で津波をすべて防ごうとして世界有数の防潮堤を建設し、鉄壁の守りと思われていた田老町のケースにおいては、今回の大津波であっけなく防潮堤が決壊し、想定外の被害がもたらされてしまった。人間のチカラで自然と全面対決するのではなく、自然災害を「いなす」、「すかす」といった対応をとってきた、昔の人々の知恵に学ぶべきではないかという教訓だ。
あらためて気づくのは、こうした日本人の先人の知恵が、漢字語ではなく「ひらかな語」だということだ。漢字語やカタカナ語は、いかにも近代科学的なニュアンスを感じさせるが、自然を征服できると考えてきた近代科学の限界を痛いほど知らされたのが、今回の「3-11」の大災害であったことは真剣に反省しておきたい。
「天災」は、日本という国にいる以上、避けて通ることはできない。文明が進めば進むほど、自然災害による被害は増大するだけでなく、たとえ一部の損害であっても、すべてがシステムのなかに組み込まれている以上、その被害はシステム全体に拡がる。これは「天災は忘れた頃にやってくる」と喝破した物理学者・寺田寅彦の考えだが、読者も著者ともに深くかみしめる必要を感じている。
真摯な反省の本として、一般人だけでなく、「専門家」と呼ばれる人たちにもぜひ読んでいただきたいと思う。
「3-11」後、とにかく耳についたのが、専門家たちがクチにする「未曾有」と「想定外」というコトバだ。専門家ではないわたしたちにとって責任放棄としか聞こえないこのコトバに対して、著者もまた本書で厳しく批判している。あいまいさのなかに本質を隠してしまう呪文のようなコトバだからだ。
「想定」の「枠内」であれば、手順さえ間違えなければ問題解決はそれほど困難ではない。しかし、「想定」の「枠外」になるととたんに右往左往してしまうのが専門家である。想定外の事象にかんしては、その場その場でイマジネーションをフルに発揮して対応しなければならないからだ。ここで専門家の限界が明らかになる。
「想定」という枠の範囲を可能な限り拡げれば、ほぼすべての事象が「想定内」となるわけだが、実際問題、予算や時間など使える資源に制約がある以上きわめて難しい。「想定内」の問題解決はマニュアルでも対応可能なのだが、千年に一回しか発生ししない大津波を「想定内」として対処するのは、いくら予算があっても足りる話ではない。つまりは非現実的ということだ。
「想定内」か「想定外」かは、「想定」どう設定するか次第である。そのためには問題設定が重要だということだ。とはいえ、時間の経過とともに「想定内」の枠をめぐる環境も変化することも忘れてはいけないと著者は注意喚起している。思考停止状態にならないためには、つねにみずからシミュレーションという思考訓練を行っておく必要があるのだ。もちろん、カラダもすぐに動けるようにしておかねばらない。
著者の指摘で傾聴に値するのは、自然と「折り合う」ことの重要性である。すべてを想定内とし、防潮堤で津波をすべて防ごうとして世界有数の防潮堤を建設し、鉄壁の守りと思われていた田老町のケースにおいては、今回の大津波であっけなく防潮堤が決壊し、想定外の被害がもたらされてしまった。人間のチカラで自然と全面対決するのではなく、自然災害を「いなす」、「すかす」といった対応をとってきた、昔の人々の知恵に学ぶべきではないかという教訓だ。
あらためて気づくのは、こうした日本人の先人の知恵が、漢字語ではなく「ひらかな語」だということだ。漢字語やカタカナ語は、いかにも近代科学的なニュアンスを感じさせるが、自然を征服できると考えてきた近代科学の限界を痛いほど知らされたのが、今回の「3-11」の大災害であったことは真剣に反省しておきたい。
「天災」は、日本という国にいる以上、避けて通ることはできない。文明が進めば進むほど、自然災害による被害は増大するだけでなく、たとえ一部の損害であっても、すべてがシステムのなかに組み込まれている以上、その被害はシステム全体に拡がる。これは「天災は忘れた頃にやってくる」と喝破した物理学者・寺田寅彦の考えだが、読者も著者ともに深くかみしめる必要を感じている。
真摯な反省の本として、一般人だけでなく、「専門家」と呼ばれる人たちにもぜひ読んでいただきたいと思う。
2011年7月28日に日本でレビュー済み
失敗学の畑村さんが東日本大震災津波について
書いた本です。
津波と原発の問題を扱うときに頻繁に使われて
いる「未曾有」と「想定外」という二つの言葉
のおかしさを見事に指摘しています。
大津波も原発事故も「未曾有」かつ「想定外」
であるのは確かですが、この二つの言葉を安易
に使うことで、曖昧さの中に本質的な問題がす
べて覆い隠されてしまっているというのがこの
本の主張です。
著者はことが起こる前から津波や原発に注目し
ていただけでなく、「三現」(現地に行って現
物を見て、現場の人すなわち現人に会って話を
聞くという観察姿勢のようです)を実行してい
ました。
付け焼き刃ではない深い話は、なかなか読み応
えがあります。
書いた本です。
津波と原発の問題を扱うときに頻繁に使われて
いる「未曾有」と「想定外」という二つの言葉
のおかしさを見事に指摘しています。
大津波も原発事故も「未曾有」かつ「想定外」
であるのは確かですが、この二つの言葉を安易
に使うことで、曖昧さの中に本質的な問題がす
べて覆い隠されてしまっているというのがこの
本の主張です。
著者はことが起こる前から津波や原発に注目し
ていただけでなく、「三現」(現地に行って現
物を見て、現場の人すなわち現人に会って話を
聞くという観察姿勢のようです)を実行してい
ました。
付け焼き刃ではない深い話は、なかなか読み応
えがあります。
2011年7月23日に日本でレビュー済み
今回の原子力関係の事故調査委員のようなものを任された畑村先生。以前から失敗学で各メディアに出演されていましたが、三陸海岸の石碑「ここから下に家を建てるべからず」というのはその当時(以前から)紹介されており、先人が石碑を建てることで注意喚起をしていた。しかし、すでに下には多くの人家が建てられているという事象が語られていました。(NHKの番組でも紹介されていました。)
今回は津波と原発について短時間で過去の資料からとりまとめられたという内容です。
津波の防波堤は安全ではなく、津波の時間を遅らせるための1ツールであるという話をされ、そこに取り巻く安心感、何度も津波に会いながら大事には至らないため、「オオカミ少年」的な状況により逃げ遅れたケースも考えられるという考え。畑村先生が以前から言われ続けた警告がまさに現実になりました。もし少し被害が少なくできた、と。また職業倫理的に被害にあわれた方も多くあり、美談として取り上げられているが、社会システムのようなものでもっと死なずに済んだ方法があったのではないかと敢えて厳しく提言されている。
原子力については「原子力村」と「極端な原発反対論者」との間との闘争により強固な「原発は絶対安全です」という神話を作り上げた構図を通して、事故に至る現象・マインドを説く。
報道や雑誌・書籍等ですでに多くの今回の震災事情については語られていますが、かなり以前から津波と原発に警告され続けた畑村先生の本として手に取った次第です。
今回は津波と原発について短時間で過去の資料からとりまとめられたという内容です。
津波の防波堤は安全ではなく、津波の時間を遅らせるための1ツールであるという話をされ、そこに取り巻く安心感、何度も津波に会いながら大事には至らないため、「オオカミ少年」的な状況により逃げ遅れたケースも考えられるという考え。畑村先生が以前から言われ続けた警告がまさに現実になりました。もし少し被害が少なくできた、と。また職業倫理的に被害にあわれた方も多くあり、美談として取り上げられているが、社会システムのようなものでもっと死なずに済んだ方法があったのではないかと敢えて厳しく提言されている。
原子力については「原子力村」と「極端な原発反対論者」との間との闘争により強固な「原発は絶対安全です」という神話を作り上げた構図を通して、事故に至る現象・マインドを説く。
報道や雑誌・書籍等ですでに多くの今回の震災事情については語られていますが、かなり以前から津波と原発に警告され続けた畑村先生の本として手に取った次第です。