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西洋中世奇譚集成 聖パトリックの煉獄 (講談社学術文庫) 文庫 – 2010/5/12

4.9 5つ星のうち4.9 11個の評価

腹を食い破る蛇、悪霊たちの打擲、四肢を断ち切る処刑人、灼熱と悪臭……
想像を絶する責め苦と試練が待ち受ける西欧版地獄とは?

12世紀、ヨーロッパを席巻した冥界巡り譚「聖パトリキウスの煉獄」「トゥヌクダルスの幻視」を収録。2人の騎士は臨死体験を通して、異界を訪問する。無数の悪霊の襲来から始まり、灼熱、悪臭、寒冷、虫、蛇、猛獣が跋扈する煉獄で、執拗な拷問と懲罰を受けた後、甘美にして至福の天国を見学し、現世へと帰還する。中世人の死生観を熟読玩味する。

女子修道院長たる、尊敬すべきギゼラ殿へ、(略)修道士マルクスより。(略)自己の愚鈍を貴女に露呈しても恥と思わないことに致します。と申しますのも、≪聞き従うことは生贄に勝る≫からで、(略)賢き貴女が喜ばれるのは、アイルランド人トゥヌクダルスなる者の身に起きた不可思議を、いかに吾等の筆が無学であっても、野卑な言葉(俗語)からラテン語に翻訳し、入念な貴女のもとで転写されるべくお送りすることです。――<「トゥヌクダルスの幻視 序」より抜粋>
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 講談社 (2010/5/12)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/5/12
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 240ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 406291994X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4062919944
  • カスタマーレビュー:
    4.9 5つ星のうち4.9 11個の評価

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上位レビュー、対象国: 日本

2011年1月17日に日本でレビュー済み
本書は、表題にある『聖パトリックの煉獄』を後半に、『トゥヌクダルスの幻視』を前半に収録し、末尾に詳細な解説を加えた文庫です。12世紀ラテン語の作品です。
1作目の『トゥヌクダルスの幻視』においては、どうやらそれまで放縦な生活を送ってきたらしいトゥヌクダルスが突如神に選ばれ、幽体離脱のようになって、
本人の肉体は倒れ伏して死んだようになったまま、その魂だけが死後世界へと旅立ちます。
トゥヌクダルスの魂は天使に案内されながら、生前の罪に応じた責め苦を受けている魂たちの現場をつぶさに目撃し、また自らもその責め苦を受けていきます。
悪臭と阿鼻叫喚に満ち満ちた世界の後に、善行や罪の改悛の報いを受けて楽園に住まう者たちの栄光に満ちた世界もたくさん見学しますが、
その中には、「これこれを除いて他の罪は許されているから」という理由で、一日の大半を至福のうちに過ごしながら一定時間だけ火にあぶられる王などもいます。
恰もダンテ『神曲』においてダンテがヴィルジリオを案内役に地獄・煉獄・天国をまわったように、トゥヌクダルスも天使をガイドに死後世界をツアーしますが、
大きな違いはトゥヌクダルス自身も罪に応じた死後の拷問を体験することと、死後世界に於いてみられる魂たちの多くが特定の個人ではなく一般的な人々だという点です。
続いて『聖パトリックの煉獄』は、騎士オウェインが、アイルランドに実際に在ったとされる聖パトリックの煉獄と呼ばれる洞穴のような場所に自ら入る物語です。
教会における細かい儀式を経たうえで入坑したオウェインが「煉獄」においてやはり、責め苦を受ける魂たちを見ていきます。
「引き返すというなら無事送り届けてやる」という悪霊たちの誘惑を退けながらオウェインは進みますが、キリストの名を唱えれば拷問からは逃れ得るため、
トゥヌクダルスほどは責め苦を味わいません。また、楽園を見るのも少しだけですが、その代わりにマナを味わうことを許されます。
生きて帰れないかもしれない「煉獄」の洞穴に自ら入るという設定から、オウェインの冒険物語的な色彩もあります。また、この話の信憑性を裏付ける聖職者の証言も付されています。
どちらの作品も、具体的にどのような生前の罪が死後どのような拷問に該当するのかが細かく述べられていて、死後の責め苦の恐怖を強調する箇所は当時のキリスト教徒への脅迫かと思える程です。
当時どのようなことがどの程度の大きさの罪と考えられ、死後世界の懲罰としていかなるものが考えられていたのかが垣間見える作品であると同時に、
著述の文脈からキリスト教徒一般の教化のみならずシトー会のアピールも執筆の目的として見え隠れする作品でもあります。地図及び古い挿絵つき。
32人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2010年7月25日に日本でレビュー済み
十二世紀半ばアイルランド(人)の幻視譚。前半は仮死状態に陥った貴族が、後半は罪を犯した騎士が生きながら、煉獄を訪れ帰還して語るというもの。悪事を避けるために「地獄の拷問の恐怖」を、善行を鼓舞するため「楽園の享楽」を約束する、という当時の思想から、彼等が何を恐れていたのか、何を善行だと思い込まされていたのか、何によって救われると考えていたのか、を読み取れるのかもしれない。拷問はひたすら残虐、教会への寄進が最高に近い善行、子孫の供養で救われる、など日本の地獄巡りとよく似ていると思う。本書が書かれたのはちょうど十字軍のころ、なぜあんな蛮行に及んだのかその背景にはこういう雰囲気があったのかもしれない。聖書だけでは分からない「キリスト教」の姿。こんなマイナーな書物を中世ラテン語より丁寧な日本語に翻訳した労に感謝です。
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