ハンブルク・リューベク辺りまでしか安定したドイツ語圏とは言えない900年頃から本書は始まる。
そこから東方のバルト海沿いには、スラブ語派やバルト語派やバルト・フィン諸語の民族が割拠する。
ヴェンデ人、ポメラニア人、プロイセン人、リトアニア人、ラトヴィア人、エストニア人等々。
それら異教民族を辺境伯やドイツ騎士団が討伐し、ドイツカトリック圏の東方拡大を進めていく。
本書はそのプロセスが詳述されており、一帯の歴史について関心のある方には大いに参考になろう。
最終的には、それら異教民族の中では最も強大であったリトアニア人が東進を頓挫させるに至る。
早い段階で自発的にカトリック化した内陸発祥のスラブ国家ポーランドと、合同国家を形成。
大軍を動員できる力を得て、傍若無人な振舞いを続けていたドイツ騎士団を屈服させることに成功。
以降もポーランドとリトアニアの一体化は進み、全盛期16~17世紀には黒海近傍まで領する大国に。
その頃ついに消滅したドイツ騎士団領だが、後継はプロイセン公国となり後世に強大化していく。
以後は紆余曲折があり、一帯はロシアとドイツがせめぎあう地となった。
特にヒトラーは「東方生存圏の獲得を」との掛け声で東方植民計画を有していたことは有名だ。
ドイツ騎士団を嚆矢とする中世ドイツ民族の東方植民を『我が闘争』でも明確に言及している。
この喚起された歴史は東方諸民族及びドイツ人自身に大いなる災厄となった東部戦線をもたらした。
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北の十字軍 「ヨーロッパ」の北方拡大 (講談社学術文庫 2033) 文庫 – 2011/1/13
山内 進
(著)
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【サントリー学芸賞受賞作 1998年度 思想・歴史部門】 11世紀、聖地エルサレムの奪還をはかった十字軍。そして中世、ヨーロッパ北方をめざす、もう一つの十字軍があった。教皇の名のもと、異教徒を根絶すべく残虐のかぎりを尽くすドイツ騎士修道会を正当化した思想とは何か? ゲルマンとスラブの相克から大航海時代までも展望し、ヨーロッパ拡大の理念とその矛盾を抉り出す。(講談社学術文庫)
サントリー学芸賞受賞作
伝道と聖戦の結合がもたらしたキリスト教世界の武力進出・征服
「ヨーロッパ」の形成と拡大その原点を中世にさぐる
11世紀、聖地エルサレムの奪還をはかった十字軍。そして中世、ヨーロッパ北方をめざす、もう一つの十字軍があった。教皇の名のもと、異教徒を根絶すべく残虐のかぎりを尽くすドイツ騎士修道会を正当化した思想とは何か? ゲルマンとスラブの相克から大航海時代までも展望し、ヨーロッパ拡大の理念とその矛盾を抉り出す。
私は本書において、「北の十字軍」の一連の活動と作用を、理念の側面を含めて考察していくことにしたい。これは、なによりもヨーロッパ史のほとんど未開拓の分野を切り開くための試みである。しかし、狙いはこれに尽きない。私がとくに注目するのは、「北の十字軍」がヨーロッパの形成と拡大の重要な一コマをなしている、という点である。それを考察することによって、われわれはヨーロッパのみならず現代世界の歴史的理解をより深めることができるに違いない。――<本書「プロローグ」より>
サントリー学芸賞受賞作
伝道と聖戦の結合がもたらしたキリスト教世界の武力進出・征服
「ヨーロッパ」の形成と拡大その原点を中世にさぐる
11世紀、聖地エルサレムの奪還をはかった十字軍。そして中世、ヨーロッパ北方をめざす、もう一つの十字軍があった。教皇の名のもと、異教徒を根絶すべく残虐のかぎりを尽くすドイツ騎士修道会を正当化した思想とは何か? ゲルマンとスラブの相克から大航海時代までも展望し、ヨーロッパ拡大の理念とその矛盾を抉り出す。
私は本書において、「北の十字軍」の一連の活動と作用を、理念の側面を含めて考察していくことにしたい。これは、なによりもヨーロッパ史のほとんど未開拓の分野を切り開くための試みである。しかし、狙いはこれに尽きない。私がとくに注目するのは、「北の十字軍」がヨーロッパの形成と拡大の重要な一コマをなしている、という点である。それを考察することによって、われわれはヨーロッパのみならず現代世界の歴史的理解をより深めることができるに違いない。――<本書「プロローグ」より>
- 本の長さ384ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2011/1/13
- 寸法10.8 x 1.5 x 14.8 cm
- ISBN-104062920336
- ISBN-13978-4062920339
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2011/1/13)
- 発売日 : 2011/1/13
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 384ページ
- ISBN-10 : 4062920336
- ISBN-13 : 978-4062920339
- 寸法 : 10.8 x 1.5 x 14.8 cm
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- - 774位講談社学術文庫
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上位レビュー、対象国: 日本
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2019年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
バルト三国といえばソ連邦崩壊後に独立したイメージが強く、近代の苦難の歴史は知られているが、中世後期の十字軍運動によってカトリック化された歴史についてはほとんど知られていない。
元来十字軍運動自体が聖地回復に名を借りた西欧カトリック世界の拡張運動であり、第4回十字軍などは東ローマ帝国に侵入してコンスタンチノープルを占領して略奪行為を行った。これが西欧世界の東方への拡張であるとすると、「北方十字軍」とは東北への拡張、すなわち東プロイセンとバルト三国のバルト海沿岸地域への拡張運動であったといえる。その担い手はドイツ騎士団などの軍事国家であり、騎士団が十字軍を全西欧に呼びかけ、ローマ教皇のお墨付きを得て十字軍を送り込む。その実態は領土拡張運動そのものであり、その手法たるや、異教徒に対しては虐殺と略奪、婦女子の奴隷化などの無法行為が許されるという思想による蛮行であった。こうした蛮行に対しては、当然ながらバルト諸国側から強力な反撃がなされ、長きにわたる抗争が続き、最終的にドイツ騎士団はポーランド・リトアニア連合軍により決定的な敗北を喫して十字軍運動は終結する。
著者は、この北方十字軍の運動と思想はスペインの国土回復運動(レコンキスタ)と軌を一にし、その後のコロンブス以降の新大陸の植民地化につながるものであるとエピローグで示唆しているが、新大陸でスペインとポルトガルの侵略者が行った虐殺、略奪と文明破壊がカトリックの宣教を伴っていたことはその説得的な裏付けといえる。
この著作では、こうした十字軍運動と思想への対抗として、ドイツ騎士団敗北後のコンスタンツ公会議でポーランド代表の教会法学者ウラディミリが自然法的見地からの異教徒の権利を公然と擁護したことが紹介されているが、これは新大陸のスペイン・ポルトガルの残虐行為を告発した修道士ラス・カサスに通じるものである。
ただ、西欧諸国家や教皇庁の貪欲な領土拡大運動にキリスト教の果たした役割については議論のあり得るところであろう。一方では異教徒に対する支配と略奪の正当化イデオロギーとして布教活動が用いられた一方、ウラディミリやラス・カサスの議論のようにその対抗イデオロギーとしての重要な役割もまたキリスト教は担っている。
現代においても、中南米の「解放の神学」やポーランドの抵抗運動の拠点として教会が果たした役割を想起すれば、宗教イデオロギーの多義性が理解できるのである。
元来十字軍運動自体が聖地回復に名を借りた西欧カトリック世界の拡張運動であり、第4回十字軍などは東ローマ帝国に侵入してコンスタンチノープルを占領して略奪行為を行った。これが西欧世界の東方への拡張であるとすると、「北方十字軍」とは東北への拡張、すなわち東プロイセンとバルト三国のバルト海沿岸地域への拡張運動であったといえる。その担い手はドイツ騎士団などの軍事国家であり、騎士団が十字軍を全西欧に呼びかけ、ローマ教皇のお墨付きを得て十字軍を送り込む。その実態は領土拡張運動そのものであり、その手法たるや、異教徒に対しては虐殺と略奪、婦女子の奴隷化などの無法行為が許されるという思想による蛮行であった。こうした蛮行に対しては、当然ながらバルト諸国側から強力な反撃がなされ、長きにわたる抗争が続き、最終的にドイツ騎士団はポーランド・リトアニア連合軍により決定的な敗北を喫して十字軍運動は終結する。
著者は、この北方十字軍の運動と思想はスペインの国土回復運動(レコンキスタ)と軌を一にし、その後のコロンブス以降の新大陸の植民地化につながるものであるとエピローグで示唆しているが、新大陸でスペインとポルトガルの侵略者が行った虐殺、略奪と文明破壊がカトリックの宣教を伴っていたことはその説得的な裏付けといえる。
この著作では、こうした十字軍運動と思想への対抗として、ドイツ騎士団敗北後のコンスタンツ公会議でポーランド代表の教会法学者ウラディミリが自然法的見地からの異教徒の権利を公然と擁護したことが紹介されているが、これは新大陸のスペイン・ポルトガルの残虐行為を告発した修道士ラス・カサスに通じるものである。
ただ、西欧諸国家や教皇庁の貪欲な領土拡大運動にキリスト教の果たした役割については議論のあり得るところであろう。一方では異教徒に対する支配と略奪の正当化イデオロギーとして布教活動が用いられた一方、ウラディミリやラス・カサスの議論のようにその対抗イデオロギーとしての重要な役割もまたキリスト教は担っている。
現代においても、中南米の「解放の神学」やポーランドの抵抗運動の拠点として教会が果たした役割を想起すれば、宗教イデオロギーの多義性が理解できるのである。
2016年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本ではまったくメジャーじゃない分野でほとんど知られていない領域ではあるけれど、知見を増やすことも含めとても興味深くて面白い本でした
2018年10月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ポーランド中世史に興味を持ったときドイツ騎士団の理解が必要と思い読んでみた。「物語ポーランドの歴史」ではほんの数行しか触れられていないグルンヴァルトの戦いの理解も深まる。
2020年6月30日に日本でレビュー済み
異教徒との戦いのために作られたドイツ騎士修道会とかあの辺の騎士団なんだが
異教徒は人権ないから何してもおk、という発想の元で
異教徒の土地切り取り放題略奪し放題の手がつけられない国家となってしまった
あげくに、異教徒の国がキリスト教に改宗するから勘弁してくれ、といっても
改宗は偽りだと決めつけて侵略軍の準備を始めてしまう次第である
そもそもこの拡大によって「ヨーロッパ」がポーランドやバルト海のあたりまで伸びていった
もともとローマ帝国の最大範図というか影響圏はもっと手前だったもんな
そんな中で異教徒の権利をどうするか、ということで大論争が起こった
その辺もヨーロッパの国際法の仕組みが形成されていく過程と見ているわけだ
プロイセンというのがドイツのコアではなくて異教の国だったのが焼け野原にされて
改めてドイツ人が入植した土地だったんだ、ということに( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー
結局ドイツ人が東方に入植しまくって民族のモザイクになったのが
WW1やWW2の遠因だと考えると世界史というのは現在進行形なんだと再認識
ポーランド・リトアニア連合軍がドイツ騎士団をフルボッコにした初代タンネンベルクの戦いがあって
WW1でドイツがロシアをフルボッコにした戦いはわざわざ場所が違うのに
タンネンベルクの戦いと名前をつけて溜飲を下げたのである。いやはや
つうか著者は西欧法制史の研究者で、戦史のプロではないがちゃんと地図乗せろ
異教徒は人権ないから何してもおk、という発想の元で
異教徒の土地切り取り放題略奪し放題の手がつけられない国家となってしまった
あげくに、異教徒の国がキリスト教に改宗するから勘弁してくれ、といっても
改宗は偽りだと決めつけて侵略軍の準備を始めてしまう次第である
そもそもこの拡大によって「ヨーロッパ」がポーランドやバルト海のあたりまで伸びていった
もともとローマ帝国の最大範図というか影響圏はもっと手前だったもんな
そんな中で異教徒の権利をどうするか、ということで大論争が起こった
その辺もヨーロッパの国際法の仕組みが形成されていく過程と見ているわけだ
プロイセンというのがドイツのコアではなくて異教の国だったのが焼け野原にされて
改めてドイツ人が入植した土地だったんだ、ということに( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー
結局ドイツ人が東方に入植しまくって民族のモザイクになったのが
WW1やWW2の遠因だと考えると世界史というのは現在進行形なんだと再認識
ポーランド・リトアニア連合軍がドイツ騎士団をフルボッコにした初代タンネンベルクの戦いがあって
WW1でドイツがロシアをフルボッコにした戦いはわざわざ場所が違うのに
タンネンベルクの戦いと名前をつけて溜飲を下げたのである。いやはや
つうか著者は西欧法制史の研究者で、戦史のプロではないがちゃんと地図乗せろ
2016年4月1日に日本でレビュー済み
「ヨーロッパ」の拡大は、キリスト教の拡大でもあります。対イスラム十字軍ではない「北の十字軍」もまた、ヨーロッパの弁証法的な発展と拡大を見せ、近代そして現代につづいていることを本書は教えてくれます。
ドイツ騎士修道会の異教徒への暴力・殺戮・略奪はローマ教皇により許可され、リトアニアをたびたび襲いますが、これにリトアニアは対抗し、カトリック教徒であるポーランドとの縁戚によりキリスト教化します。しかし、ドイツ騎士修道会は「改宗は偽装である」として認めず、中世最大の会戦「タンネンベルクの戦い」へと至ります。この戦いでリトアニアは異教徒の傭兵を用いてドイツ騎士修道会に勝利します。
その後、コンスタンツ公会議にて互いに正当性を主張し、異教徒の権利についての問題提起がなされます。
「他者との共生」は人類の永遠のテーマとも言えますが、本書を読むことで「豊かな社会」という観念が、自分の中で形作られていく感覚が得られます。
あらゆる人にお勧めしますが、とくに管理職・リーダーである人には読んでほしいと思います。
ドイツ騎士修道会の異教徒への暴力・殺戮・略奪はローマ教皇により許可され、リトアニアをたびたび襲いますが、これにリトアニアは対抗し、カトリック教徒であるポーランドとの縁戚によりキリスト教化します。しかし、ドイツ騎士修道会は「改宗は偽装である」として認めず、中世最大の会戦「タンネンベルクの戦い」へと至ります。この戦いでリトアニアは異教徒の傭兵を用いてドイツ騎士修道会に勝利します。
その後、コンスタンツ公会議にて互いに正当性を主張し、異教徒の権利についての問題提起がなされます。
「他者との共生」は人類の永遠のテーマとも言えますが、本書を読むことで「豊かな社会」という観念が、自分の中で形作られていく感覚が得られます。
あらゆる人にお勧めしますが、とくに管理職・リーダーである人には読んでほしいと思います。
2013年6月13日に日本でレビュー済み
中世の後期を通じて、北欧で十字軍の名の下に展開された、ヨーロッパの拡大の歴史を紹介している。
エルサレムを巡る十字軍は、よく知られているが、こちらの北欧の十字軍はあまり知られていない。
宗教が違うというだけで、殺されていった、ラトビア、エストニアなどの人々の悲惨さには、言葉を失う。
筆者によれば、近代の新大陸の発見と、そこでの原住民の虐殺と同じ原理が、すでにそこにはあったという。
その一方で、そうした動きに反対した、その後の国際法と同じ思想を持った人々がいたことも紹介している。
それだけが、唯一の救いとでも言ったところだろうか。
エルサレムを巡る十字軍は、よく知られているが、こちらの北欧の十字軍はあまり知られていない。
宗教が違うというだけで、殺されていった、ラトビア、エストニアなどの人々の悲惨さには、言葉を失う。
筆者によれば、近代の新大陸の発見と、そこでの原住民の虐殺と同じ原理が、すでにそこにはあったという。
その一方で、そうした動きに反対した、その後の国際法と同じ思想を持った人々がいたことも紹介している。
それだけが、唯一の救いとでも言ったところだろうか。
2011年6月2日に日本でレビュー済み
「サントリー学芸賞受賞作」と新聞で宣伝していたが、本屋の店頭で見つけおもしろそうなので購入した。単行本としては1997年に出版されていた(受賞は1998年)が、文庫本は今年1月の出版。山内氏が昨年10月に一橋大学の学長に就任したので、講談社が「売れる!」と判断したのかもしれない。山内氏は、阿部謹也氏が学長の時に学生部長をしていたそうで、何でだか、増田四郎さんとか、歴代、一橋は西洋史の碩学が学長になっていますね・・。
「北の十字軍」とは、ロシア、プロイセン、バルト海沿岸の異教徒であるスラブ人に向けられた一種の「十字軍」で、その背景には、「・・軍事力による「強制」が異教的フロンティアに対して用いられ、その際の殺害、略奪、放火、支配権の簒奪が、キリスト者としての罪無く行われ得る、とされた。それどころか、それはあらかじめ「罪の赦免」をもって奨励されたのである。・・」という事で、当時の著名な法学者のお墨付きもあったようだ。
いわば、大義名分があったわけで、それに基づいて何度も何度も、ヨーロッパ(カトリック・ヨーロッパ)から攻撃が行われた。本書に詳細に記述してあるが、(「無理にでも人々を連れて来なさい」compelle intrare:ルカの福音書にあるそうだ)という発想があった。
この発想が大航海時代に、スペインが「新世界制服」に乗り出す伏線になっている。単なるイスラムからの国土回復運動(レコンキスタ)だけではない・・。布教の名目があれば、容赦なく人殺しも略奪も出来るわけです・・。
「北の十字軍」は、日本語の文献もなくこれまで良く知られていなかったらしいが、山内氏のこの本で、すき間が埋まったようです。原語の文献を駆使して読みやすい本にしてもらえるのはありがたいですね・・。
しかし、殺し合いの応酬で、勝った方は相手側を(少女たちは残して)皆殺しにして、戦利品の家畜とか家財を奪う・・というワンパターンですね・。「そっちの神様の方が強いのがわかったから改宗する」と言ってキリスト教に帰依して助かったケースも出ている。最後には、皆、改宗してしまう。
しかし、「異教徒にも権利があるのではないか?」という議論もあった(スペインでも同様の論調があった)という事で、若干は救われる・・(かな??)。
「北の十字軍」とは、ロシア、プロイセン、バルト海沿岸の異教徒であるスラブ人に向けられた一種の「十字軍」で、その背景には、「・・軍事力による「強制」が異教的フロンティアに対して用いられ、その際の殺害、略奪、放火、支配権の簒奪が、キリスト者としての罪無く行われ得る、とされた。それどころか、それはあらかじめ「罪の赦免」をもって奨励されたのである。・・」という事で、当時の著名な法学者のお墨付きもあったようだ。
いわば、大義名分があったわけで、それに基づいて何度も何度も、ヨーロッパ(カトリック・ヨーロッパ)から攻撃が行われた。本書に詳細に記述してあるが、(「無理にでも人々を連れて来なさい」compelle intrare:ルカの福音書にあるそうだ)という発想があった。
この発想が大航海時代に、スペインが「新世界制服」に乗り出す伏線になっている。単なるイスラムからの国土回復運動(レコンキスタ)だけではない・・。布教の名目があれば、容赦なく人殺しも略奪も出来るわけです・・。
「北の十字軍」は、日本語の文献もなくこれまで良く知られていなかったらしいが、山内氏のこの本で、すき間が埋まったようです。原語の文献を駆使して読みやすい本にしてもらえるのはありがたいですね・・。
しかし、殺し合いの応酬で、勝った方は相手側を(少女たちは残して)皆殺しにして、戦利品の家畜とか家財を奪う・・というワンパターンですね・。「そっちの神様の方が強いのがわかったから改宗する」と言ってキリスト教に帰依して助かったケースも出ている。最後には、皆、改宗してしまう。
しかし、「異教徒にも権利があるのではないか?」という議論もあった(スペインでも同様の論調があった)という事で、若干は救われる・・(かな??)。