災害に関する随筆を中心に収められている。
もっと声高に言いたいこともあるんじゃないかなあと思うけれど、地球物理学者という立ち位置から外れることなく自身の考えを述べている。
控えめ、ではなく、強さをしっかり感じるけれど、意識されているのだろう、淡々と。
きれいな文章だ。
東日本大震災の時、「天罰」という言葉を使って叩かれた人がいて、自然をコントロール可と考える驕った者たちへの批判、とわたしは思っていたけど、本書を読んでいてそれを思い出した。
寺田さんは、コントロール可/不可、ではなくて、見て調べて考えろ、忘れるな、伝えろ、と言っていて、すごく沁みわたってくる。
12編の随筆のうち、最後の「厄年とetc.」は災害のことに触れておらず、本書では浮いた感じがするのだけれど、周期性の科学的解明、ということで入れられたのであれば、なかなか深い編集だなと思う。
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天災と国防 (講談社学術文庫) 文庫 – 2011/6/10
寺田 寅彦
(著)
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標題作「天災と国防」ほか、自らの関東大震災経験を綴った「震災日記より」、デマに対する考察「流言蜚語」など、地震・津波・火災・噴火などについての論考やエッセイ全十二編を収録。平時における備えと災害教育の必要性など、物理学者にして名随筆家ならではの議論はいまだに有効である。天災について再考するための必読書。(解説・畑村洋太郎)
天災の被害を大きくするのは人災である
悪い年回りはむしろいつかは回って来るのが自然の鉄則であると覚悟を定めて、良い年回りの間に充分の用意をしておかなければならないということは、実に明白すぎるほど明白なことであるが、またこれほど万人がきれいに忘れがちなこともまれである。
「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す」
「現代では日本全体が一つの高等な有機体である。各種の動力を運ぶ電線やパイプやが縦横に交差し、いろいろな交通網がすきまもなく張り渡されているありさまは高等動物の神経や血管と同様である。その神経や血管の一か所に故障が起こればその影響はたちまち全体に波及するであろう」――<本文より抜粋>
※本書は『寺田寅彦全集』『寺田寅彦随筆集』(岩波書店)を底本に、物理学者で随筆家でもある寺田寅彦の発表したもののなかから災害に関連するものを集め、再構成したものです。
天災の被害を大きくするのは人災である
悪い年回りはむしろいつかは回って来るのが自然の鉄則であると覚悟を定めて、良い年回りの間に充分の用意をしておかなければならないということは、実に明白すぎるほど明白なことであるが、またこれほど万人がきれいに忘れがちなこともまれである。
「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す」
「現代では日本全体が一つの高等な有機体である。各種の動力を運ぶ電線やパイプやが縦横に交差し、いろいろな交通網がすきまもなく張り渡されているありさまは高等動物の神経や血管と同様である。その神経や血管の一か所に故障が起こればその影響はたちまち全体に波及するであろう」――<本文より抜粋>
※本書は『寺田寅彦全集』『寺田寅彦随筆集』(岩波書店)を底本に、物理学者で随筆家でもある寺田寅彦の発表したもののなかから災害に関連するものを集め、再構成したものです。
- ISBN-104062920573
- ISBN-13978-4062920575
- 出版社講談社
- 発売日2011/6/10
- 言語日本語
- 寸法10.8 x 0.9 x 14.8 cm
- 本の長さ208ページ
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商品の説明
著者について
寺田 寅彦
寺田寅彦(てらだ・とらひこ)
1878年~1935年。東京帝国大理科大学実験物理学科卒業。理学博士。東京帝国大理科大学教授。帝国学士院会員などを歴任。地球物理学者、随筆家。身近な現象について科学的に考察する「寺田物理学」でも知られる。著書に、『地球物理学』 『万華鏡』 『蒸発皿』 『物質と言葉』 『柿の種』など多数。『寺田寅彦全集』も刊行されている。
寺田寅彦(てらだ・とらひこ)
1878年~1935年。東京帝国大理科大学実験物理学科卒業。理学博士。東京帝国大理科大学教授。帝国学士院会員などを歴任。地球物理学者、随筆家。身近な現象について科学的に考察する「寺田物理学」でも知られる。著書に、『地球物理学』 『万華鏡』 『蒸発皿』 『物質と言葉』 『柿の種』など多数。『寺田寅彦全集』も刊行されている。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2011/6/10)
- 発売日 : 2011/6/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 208ページ
- ISBN-10 : 4062920573
- ISBN-13 : 978-4062920575
- 寸法 : 10.8 x 0.9 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 229,824位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2017年5月31日に日本でレビュー済み
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この本の内容が80年以上前に書かれたものとは全く信じられません!阪神淡路大震災・東日本大震災に殆ど活かされていません。多くの人がこの本を読み災害対策を真剣に考え直す時と思います。
2015年12月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
90年経た今でも輝きを失うことはなく、人類に問いかけています。
まさに、リーダー必読の書と言える。久しぶりに良書にめぐり会えた。
まさに、リーダー必読の書と言える。久しぶりに良書にめぐり会えた。
2014年2月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
地震予知について「出来ない」と寺田寅彦は本書で記載している.ところが「地震予知が出来る」との論文を発表した地震学者たちは,「国から地震予知観測網設置のための厖大な予算を獲得し続けている」.かえって,地震研究の予算とは関係の無かった,寺田寅彦のほうが真実を語っている.国防も天災も重要な問題であり,科学者の「正直な話」を傾聴すべきであろう.
文庫の解説書は政府事故調委員長に就任された畑村洋太郎が調査委員会就任前に福島第1原発事故および大津波による被害について宮古市田老地区(旧田老町)の新旧防潮堤の比較を通じて,「防災と避災」について解説しているので,これも必読である.
文庫の解説書は政府事故調委員長に就任された畑村洋太郎が調査委員会就任前に福島第1原発事故および大津波による被害について宮古市田老地区(旧田老町)の新旧防潮堤の比較を通じて,「防災と避災」について解説しているので,これも必読である.
2012年2月11日に日本でレビュー済み
寺田寅彦氏は、悲惨な自然災害には、過去の教訓を無視した人災が大きく影響する結果となり、それが2千年来繰り返されていると断じています。
昔の日本人は子孫のことを多少でも考えない人は少なかった様である。それは実際いくらか考え映えがする世の中であったからかも知れない。
これから先の日本ではそれがどうであるか甚だ心細い様な気がする。2千年来伝わった日本人の魂でさえも、打ち砕いて夷狄の犬に喰わせようと言う人も少ない世の中である。一代前の言い置き等を歯牙にかける人はありそうもない。
しかし地震や津波は新思想の流行等には委細構わず、頑固に保守的に執念深くやって来るのである。科学の法則とは畢竟「自然の記憶の覚え書き」である。自然ほど伝統に忠実なものはないのである。
それだからこそ、20世紀の文明と言う空虚な名を恃んで、安政の昔の経験を馬鹿にした東京は1923年の地震で焼き払われたのである。
解説者の畑村洋太郎氏は、その寅彦氏の述懐を反映して、福島第一原発の深刻な事故について次の様に解説しています。
日本全国には原発反対運動と言う大きな縛りがある。電力会社は反対派に対抗する為に「原発は絶対に安全」と言う建前を貫き、その根拠を国の定める外部基準に求め、盾にする様なことをして来た。しかし原子力を運用する組織がこれを前提に動いていたら、これ程危険なことは無い。福島第一原発の深刻な事故に結びついたとすると当然の成り行きとしか言いようが無い。
安全対策と言うのは危ないことを前提に動いているから効果があるのである。想定外の問題が起こった時に正しく対処するには、進むべき道を自分で考える為の内部基準が必要となる。内部基準が無い場合は、想定外の門題が起きると大抵は思考停止状態に陥る。
福島第一原発で全ての電源が喪失すると言う想定外の事故が起きた時、何も手を打たず、当然予想できた水素爆発が起こるのを許してしまった。そうすると、この事故は想定外の問題に対して対処出来る内部基準を備えることを怠った組織不良によるものであることは間違い無いのである。
災難であれ失敗であれ、辛い厭なものだが、これらは使い様によって人間を成長させる糧にすることも出来る。自然災害による試練は、地球に住む限り避けては通れない宿命である。そうであるなら、寺田の言う通り、寧ろこれらと向き合って、多くの知恵を授かる様にした方が良いだろう、それが賢い生き方と言うものである。
従来の想定内の事故に対する「制御安全」に拘泥することなく、他国からのミサイル攻撃に耐え得る「本質安全」を目指して聖域なき奮闘努力をして頂きたいものだと思っております。
昔の日本人は子孫のことを多少でも考えない人は少なかった様である。それは実際いくらか考え映えがする世の中であったからかも知れない。
これから先の日本ではそれがどうであるか甚だ心細い様な気がする。2千年来伝わった日本人の魂でさえも、打ち砕いて夷狄の犬に喰わせようと言う人も少ない世の中である。一代前の言い置き等を歯牙にかける人はありそうもない。
しかし地震や津波は新思想の流行等には委細構わず、頑固に保守的に執念深くやって来るのである。科学の法則とは畢竟「自然の記憶の覚え書き」である。自然ほど伝統に忠実なものはないのである。
それだからこそ、20世紀の文明と言う空虚な名を恃んで、安政の昔の経験を馬鹿にした東京は1923年の地震で焼き払われたのである。
解説者の畑村洋太郎氏は、その寅彦氏の述懐を反映して、福島第一原発の深刻な事故について次の様に解説しています。
日本全国には原発反対運動と言う大きな縛りがある。電力会社は反対派に対抗する為に「原発は絶対に安全」と言う建前を貫き、その根拠を国の定める外部基準に求め、盾にする様なことをして来た。しかし原子力を運用する組織がこれを前提に動いていたら、これ程危険なことは無い。福島第一原発の深刻な事故に結びついたとすると当然の成り行きとしか言いようが無い。
安全対策と言うのは危ないことを前提に動いているから効果があるのである。想定外の問題が起こった時に正しく対処するには、進むべき道を自分で考える為の内部基準が必要となる。内部基準が無い場合は、想定外の門題が起きると大抵は思考停止状態に陥る。
福島第一原発で全ての電源が喪失すると言う想定外の事故が起きた時、何も手を打たず、当然予想できた水素爆発が起こるのを許してしまった。そうすると、この事故は想定外の問題に対して対処出来る内部基準を備えることを怠った組織不良によるものであることは間違い無いのである。
災難であれ失敗であれ、辛い厭なものだが、これらは使い様によって人間を成長させる糧にすることも出来る。自然災害による試練は、地球に住む限り避けては通れない宿命である。そうであるなら、寺田の言う通り、寧ろこれらと向き合って、多くの知恵を授かる様にした方が良いだろう、それが賢い生き方と言うものである。
従来の想定内の事故に対する「制御安全」に拘泥することなく、他国からのミサイル攻撃に耐え得る「本質安全」を目指して聖域なき奮闘努力をして頂きたいものだと思っております。
2011年10月30日に日本でレビュー済み
大正末期から昭和初期にかけて書かれた寺田寅彦の災害関係随筆を集めたもの。東日本大震災後の2011/6にまとまられた、悪く言えば便乗本だが、元ネタが良質なこともあってか良くまとまっている。
中身であるが、一言で災害といっても地震、台風、火災、津波、など取り上げた範囲は幅広い。つい、地震や津波のところに目が行ってしまいがちだが、さすがに寺田寅彦だけのことはあって、それだけではなくなかなか含蓄を含んだ内容だ。
冒頭付近の例で言うと、たとえば;
P28あたり、「・・・ラッシュアワーの電車の乗降に際する現象を注意してみていても・・・(中略)・・・東京市民は、骨を折ってお互いに電車の乗降をわざわざ困難にし、したがって乗降の時間をわざわざ延長させ、車の発着を不規則にし・・・」
80年前の日本はこんなだった。今でこそ、中国では電車の乗るとき並ばない、なんて笑ってるが。
P41あたり、「・・・誰の責任であるとか、ないとかいうあとの祭りのとがめたてを開き直って子細らしくするよりももっともっと大事なことは、今後いかにしてそういう災難を少なくするかを慎重に攻究することであろう・・・(中略)・・・しかし多くの場合に、責任者に対するとがめたて、それに対する責任者の一応の弁解ないしは引責というだけでその問題が完全に落着したような気がして・・・」
これは、柳田邦夫が50年後にも言い続けなければなかったことと同じである。
地震、津波、から離れてみても、防災、安全確保、といった観点の良書であることは間違いないだろう。
中身であるが、一言で災害といっても地震、台風、火災、津波、など取り上げた範囲は幅広い。つい、地震や津波のところに目が行ってしまいがちだが、さすがに寺田寅彦だけのことはあって、それだけではなくなかなか含蓄を含んだ内容だ。
冒頭付近の例で言うと、たとえば;
P28あたり、「・・・ラッシュアワーの電車の乗降に際する現象を注意してみていても・・・(中略)・・・東京市民は、骨を折ってお互いに電車の乗降をわざわざ困難にし、したがって乗降の時間をわざわざ延長させ、車の発着を不規則にし・・・」
80年前の日本はこんなだった。今でこそ、中国では電車の乗るとき並ばない、なんて笑ってるが。
P41あたり、「・・・誰の責任であるとか、ないとかいうあとの祭りのとがめたてを開き直って子細らしくするよりももっともっと大事なことは、今後いかにしてそういう災難を少なくするかを慎重に攻究することであろう・・・(中略)・・・しかし多くの場合に、責任者に対するとがめたて、それに対する責任者の一応の弁解ないしは引責というだけでその問題が完全に落着したような気がして・・・」
これは、柳田邦夫が50年後にも言い続けなければなかったことと同じである。
地震、津波、から離れてみても、防災、安全確保、といった観点の良書であることは間違いないだろう。