西田について勉強しており、様々な西田本にあたっている身としては、この本の第6章、7章の西田解釈は大変参考になった。
中沢さんの文章は、読ませるのだけれど、それがゆえにときに言葉の滑らかさだけで後に残るものがない、という感想を持たざるをえないこともあるが、この本に関しては、とくに私にとって重要だった西田解釈の章は、質実ともに十二分の内容だった。
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フィロソフィア・ヤポニカ (講談社学術文庫) 文庫 – 2011/10/13
中沢 新一
(著)
一九二〇年代以降、田邊元と西田幾多郎は日本的・独創的哲学=「京都学派」を創造する。田邊哲学=愛の哲学と西田哲学=欲望の哲学との対決から誕生した「種の論理」。その最重要の達成は、二十世紀後半から展開する現代思想、構造主義、ポスト構造主義、「野生の思考」、認知科学を先取りしていた。豊饒なる田邊哲学の全貌に迫る。(解説・鷲田清一)私がまず驚いたのは、田邊元の数学思想の斬新さだった。(略)そしてつぎに
京都学派の巨人=田邊元、ここに甦る!
「種の論理」「友愛の哲学」とはなにか?
対称性人類学が田邊哲学の現代性を明らかにする!
一九二〇年代以降、田邊元と西田幾多郎は日本的・独創的哲学=「京都学派」を創造する。田邊哲学=愛の哲学と西田哲学=欲望の哲学との対決から誕生した「種の論理」。その最重要の達成は、二十世紀後半から展開する現代思想、構造主義、ポスト構造主義、「野生の思考」、認知科学を先取りしていた。豊饒なる田邊哲学の全貌に迫る。(解説・鷲田清一)
私がまず驚いたのは、田邊元の数学思想の斬新さだった。(略)そしてつぎには、絶対的な媒介性と転換性をめぐる田邊元の思考の現代性に感心した。(略)さらに、彼の思想のもっとも重要な達成である「種の論理」の中に、正真正銘の構造主義と良識あるポスト構造主義を同時に見いだしたときには、私の喜びは頂点に達した。 ――<「プロローグ」より抜粋>
※本書の原本は、集英社より2001年に刊行されました。
京都学派の巨人=田邊元、ここに甦る!
「種の論理」「友愛の哲学」とはなにか?
対称性人類学が田邊哲学の現代性を明らかにする!
一九二〇年代以降、田邊元と西田幾多郎は日本的・独創的哲学=「京都学派」を創造する。田邊哲学=愛の哲学と西田哲学=欲望の哲学との対決から誕生した「種の論理」。その最重要の達成は、二十世紀後半から展開する現代思想、構造主義、ポスト構造主義、「野生の思考」、認知科学を先取りしていた。豊饒なる田邊哲学の全貌に迫る。(解説・鷲田清一)
私がまず驚いたのは、田邊元の数学思想の斬新さだった。(略)そしてつぎには、絶対的な媒介性と転換性をめぐる田邊元の思考の現代性に感心した。(略)さらに、彼の思想のもっとも重要な達成である「種の論理」の中に、正真正銘の構造主義と良識あるポスト構造主義を同時に見いだしたときには、私の喜びは頂点に達した。 ――<「プロローグ」より抜粋>
※本書の原本は、集英社より2001年に刊行されました。
- 本の長さ384ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2011/10/13
- 寸法10.8 x 1.5 x 14.8 cm
- ISBN-104062920743
- ISBN-13978-4062920742
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2011/10/13)
- 発売日 : 2011/10/13
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 384ページ
- ISBN-10 : 4062920743
- ISBN-13 : 978-4062920742
- 寸法 : 10.8 x 1.5 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 639,298位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 861位日本の思想(一般)関連書籍
- - 1,728位講談社学術文庫
- - 4,286位哲学 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、多摩美術大学芸術人類学研究所所長。思想家。著書に『チベットのモーツァルト』(サ ントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)、『哲学の東北』(斎藤緑雨賞)、『フィロソフィア・ヤポニカ』(伊藤整文学賞)など多数ある(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『カイエ・ソバージュ』(ISBN-10:4062159104)が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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2011年10月23日に日本でレビュー済み
1930年代の京都において、西田幾多郎と田辺元という二人の人物が、近代日本において、はじめて西洋的な意味での哲学的な思考を、まるで競うように行った。
中沢は、この書において、独自の解釈によって、この二人の思想を紹介しているが、田辺の思想の方をより重視している。西田の思想は、田辺との対比という位置付けで紹介されている。
田辺の思想は、”種の思想”といわれている。それは、個を中心とした西洋哲学に対するアンチテーゼでもあり、カントールの集合論にも影響を受けたものだった。
中沢は、田辺の思想を、レヴィ・ストロースやドゥールーズなどの思想と対比しながら論じていく。カントール、ベルクソン、デュルケム、ヘーゲル、プラトンらも登場し、読者は、自らの哲学に関する知識を試されることになる。
後半では、西田幾多郎の思想が紹介される。
中沢は、これまでの西田の思想に対する解釈においては、無意識に対する視点が欠けているとして、フロイトやラカンなどの思想と対比しながら、西田の思想を、欲望の哲学であるとしている。
最後に、ふたたび、田辺の思想が論じられる。田辺にとって、西田の思想はあまりにも宗教的に思えたようだ。
中沢は、最後に、田辺の哲学を性愛の哲学と定義付け、その現代的な性格を高く評価している。
中沢は、この本で、西田と田辺の思想に対する、従来の日本的あるいは東洋的な解釈を転換することを目指した。それに成功しているかどうかは、読者一人一人の判断に委ねられている。
中沢は、この書において、独自の解釈によって、この二人の思想を紹介しているが、田辺の思想の方をより重視している。西田の思想は、田辺との対比という位置付けで紹介されている。
田辺の思想は、”種の思想”といわれている。それは、個を中心とした西洋哲学に対するアンチテーゼでもあり、カントールの集合論にも影響を受けたものだった。
中沢は、田辺の思想を、レヴィ・ストロースやドゥールーズなどの思想と対比しながら論じていく。カントール、ベルクソン、デュルケム、ヘーゲル、プラトンらも登場し、読者は、自らの哲学に関する知識を試されることになる。
後半では、西田幾多郎の思想が紹介される。
中沢は、これまでの西田の思想に対する解釈においては、無意識に対する視点が欠けているとして、フロイトやラカンなどの思想と対比しながら、西田の思想を、欲望の哲学であるとしている。
最後に、ふたたび、田辺の思想が論じられる。田辺にとって、西田の思想はあまりにも宗教的に思えたようだ。
中沢は、最後に、田辺の哲学を性愛の哲学と定義付け、その現代的な性格を高く評価している。
中沢は、この本で、西田と田辺の思想に対する、従来の日本的あるいは東洋的な解釈を転換することを目指した。それに成功しているかどうかは、読者一人一人の判断に委ねられている。