ヴェネツィアについての本といえば、ヴェネツィア本島を中心とした歴史や文化の紹介が多いが、この本は少し趣を変えている。
ヴェネツィアのかつての植民地となった地域を実際に巡りながら、帝国としてのヴェネツィアの歴史を振り返るという内容になっている。
ヴェネツィアが、”帝国”というと始めはピンとこなかったが、読み進めていくうちに、かつては、イスタンブールから、クレタ島やアドリア海沿岸を支配していた、ヴェネツィアの帝国としての側面が見えてきた。
モリスによれば、ヴェネツィアの支配は、他の帝国とは違い、完全に経済的な目的に限られてもので、その他の文化や宗教的な支配ではなかった。しかし、その支配は過酷で、支配される方からしてみれば、ヴェネツィアは、招からざる客だった。
第4次十字軍のどさくさに紛れ手に入れたイスタンブールから、徐々にヴェネツィア本島に向けてモリスは旅を続けていく。それは、同時のヴェネツィア帝国が、オスマントルコの攻勢を受けて、その領土を徐々に失っていく、没落の歴史を辿ることでもある。
現在の風景から、過去の出来事や事件を回想する。歴史の楽しみ方として、これ以上のものはない。その楽しさを、十分に味合わせてくれる、好著だ。
歴史学の危機が叫ばれているが、こうした歴史の味わい方は、これからも、決して絶えることはないだろう。
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ヴェネツィア帝国への旅 (講談社学術文庫 2079) 単行本 – 2011/11/11
英国の作家が海の帝国をゆく歴史紀行の傑作アドリア海からギリシャの海辺へ、さらにエーゲの島々、キプロス島、イスタンブールへ。練達の「歴史の旅人」が海洋帝国ヴェネツィアの跡を訪ね、情緒豊かに綴る
- 本の長さ333ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2011/11/11
- ISBN-104062920794
- ISBN-13978-4062920797
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登録情報
- 出版社 : 講談社 (2011/11/11)
- 発売日 : 2011/11/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 333ページ
- ISBN-10 : 4062920794
- ISBN-13 : 978-4062920797
- Amazon 売れ筋ランキング: - 921,320位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2012年1月1日に日本でレビュー済み
2011年12月2日に日本でレビュー済み
タイトルが示すように、
ヴェネツィア本島やその北イタリアの領地の歴史ではなく、
クレタ島やキプロス島など、
海外での領地の歴史を扱った本です。
都市国家として最も長い繁栄を誇ったヴェネツィアを
「帝国」としているのはそのためです。
邦語では類書がなく、貴重です。
植民地史としての価値もあります。
最初に有名な第4回十字軍のコンスタンティノープル襲撃の話も出てきます。
難攻不落の防御を誇る大都会を、
ヴェネツィア側がどのような知略をもちいて
攻略したのか、とても興味深い記述があります。
旅行案内も含む歴史書といったかんじで、
どちらかというと歴史書の性格のほうが、
前面にでている本だと思います。
8割、歴史書、2割、旅行案内といった割合でしょうか。
ヴェネツィア本島やその北イタリアの領地の歴史ではなく、
クレタ島やキプロス島など、
海外での領地の歴史を扱った本です。
都市国家として最も長い繁栄を誇ったヴェネツィアを
「帝国」としているのはそのためです。
邦語では類書がなく、貴重です。
植民地史としての価値もあります。
最初に有名な第4回十字軍のコンスタンティノープル襲撃の話も出てきます。
難攻不落の防御を誇る大都会を、
ヴェネツィア側がどのような知略をもちいて
攻略したのか、とても興味深い記述があります。
旅行案内も含む歴史書といったかんじで、
どちらかというと歴史書の性格のほうが、
前面にでている本だと思います。
8割、歴史書、2割、旅行案内といった割合でしょうか。