最終巻である4巻まで読んでから1巻のレビューを書きます。
舞台は、前近代的な中国の山東省付近、
物語の主人公は、平凡な二十代後半の男性と、妖怪の師匠の2人。
妖怪は、失われた記憶を取り戻すために、冥界の仕事をこなしていく。
男性は、最愛の女性を生き返らせるために、妖怪であるもう1人の主人公に教えを請う。
この2つの軸が、それぞれ1つずつテーマを持ち、物語の中で合一されます。
4巻で終わるにも関わらず、重層的に構造が仕込まれており、多読に耐える良物語と化しています。
重厚な資料に裏打ちされた世界で、きちんとリアリティがあるファンタジーにもなっていますが、
作者がそうした資料的な知識をひけらかすこと無く、自然な表現で素直に物語に入れるようになっています。
テーマの1つは、
「たった1人の凡夫が、たった1つの結果を求める努力が、
すでにその結果の多数を所有している才能ある人たちから見て、どう映るのか、
凡夫の結果はどうなるのか、
凡夫の持たぬ結果を所有している多才な人間が、さらなる強欲を持つことに意味はあるのか、
凡夫の行動が公に示されたら、才能ある人たちの上位社会は変革する可能性が出来るのか」
といった感じかもしれません。
もう1つは、
「失われた記憶を取り戻す必要があるのか、
何もかも忘れて、大きな社会生活を捨てて、隠遁生活で楽しく暮らすべきなのか、
それとも、全てを思い出した上で、小さな力だとしても、
社会全体に真っ向正面から取り組むべきなのか」
という感じかもしれません。
このような拙い表現ではもったいないくらい、よく出来た話です。
読むたびに発見がある良い物語として、未来へと残されていくことを祈ります。
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ネクログ(1) (アフタヌーンKC) コミック – 2011/3/23
熊倉 隆敏
(著)
中華な近代都市で屍術と仙術が渦を巻く! 物書きの青年・宋(ソン)は、僵屍(キョンシー)と化した幼なじみ薛姐(シュエねえちゃん)をよみがえらせるべく、道士の胡(フー)に弟子入りすることに。その活動は危険な道士との戦いに発展したり、冥界にお使いに行かされて生気がなくなったり……。果たして、宋は大好きな薛姐の魂を呼び戻すことが出来るのか? 仙術アクション盛りだくさんな本格派中華ファンタジー、堂々開幕!!
『もっけ』の熊倉隆敏、最新作はチャイナな仙術ファンタジー! 時は近代の中国。大都市で駆け出しの物書きとして活動する青年・宋玉生(ソンユーシェン)は、師匠である道士・胡才良(フーツァイリャン)から「腕の立つ道士」を探してこいと命令を受ける。ところが、悪鬼に絡まれたり道士たちの術較べに巻き込まれたりと大変な事に! これも全ては大好きな薛姐(シュエねえちゃん)を生き返らせる為と、宋は奮闘するのだった。
『もっけ』の熊倉隆敏、最新作はチャイナな仙術ファンタジー! 時は近代の中国。大都市で駆け出しの物書きとして活動する青年・宋玉生(ソンユーシェン)は、師匠である道士・胡才良(フーツァイリャン)から「腕の立つ道士」を探してこいと命令を受ける。ところが、悪鬼に絡まれたり道士たちの術較べに巻き込まれたりと大変な事に! これも全ては大好きな薛姐(シュエねえちゃん)を生き返らせる為と、宋は奮闘するのだった。
- 本の長さ200ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2011/3/23
- ISBN-10406310740X
- ISBN-13978-4063107401
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商品の説明
著者について
熊倉 隆敏
1974年、栃木県生まれ。漫画家。1996年アフタヌーン四季賞秋のコンテスト入賞。2000年、アフタヌーンシーズン増刊に掲載された妖怪漫画『もっけ』でデビュー。『もっけ』は、2003年3月号から掲載誌を月刊アフタヌーンに移し、現在も隔月で好評連載中。2007年には『もっけ』がTVアニメ化されている。
1974年、栃木県生まれ。漫画家。1996年アフタヌーン四季賞秋のコンテスト入賞。2000年、アフタヌーンシーズン増刊に掲載された妖怪漫画『もっけ』でデビュー。『もっけ』は、2003年3月号から掲載誌を月刊アフタヌーンに移し、現在も隔月で好評連載中。2007年には『もっけ』がTVアニメ化されている。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2011/3/23)
- 発売日 : 2011/3/23
- 言語 : 日本語
- コミック : 200ページ
- ISBN-10 : 406310740X
- ISBN-13 : 978-4063107401
- Amazon 売れ筋ランキング: - 330,516位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年4月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
面白かったです。
前作は日本の妖怪譚を下敷きにしていましたが、今作は中国。
舞台のみならず、主人公は怪しげな道士の弟子だったり、同行する憧れの「ねえちゃん」が今は僵屍(キョンシーと書くとちょっとなつかしい)であったり。
「モノ」とちょっと関わるだけで通りすがる、日本の怪談の趣だった前作に比べ、少しだけ「西遊記」や「封神演義」的な伝奇よりになっています。(少し、ですが)
物語としてもなかなか盛り上がりそうな雰囲気です。
主人公の望みは「ねえちゃん」を生き返らせることただ一つですが、師匠には、何やら仙界を統べる太上老君に隠れて目的があるようですし、その背後には冥界の動きがあるようでもあり……と、この先どうにも波乱の気配。
……個人的には、冥吏(冥界の役人)が現れて
「君の訴状は届いていますよ」
という台詞に
「おおおおお」
と思いました。
前作三巻の「ダイマナコ」(年末、一つ目の、神様の手下がやってくる話です)を思い出します。
仙界や冥界にも帝がいて、その下に官僚制があって、地上世界を管轄している…という中国神話の世界が、現代の人間世界の風習と地続きにつながっている、という感覚がとても良かったです。
続刊を読まずにべた褒めするのもどうかと思いましたが、ともあれ続きを読んでみようと思います。
前作は日本の妖怪譚を下敷きにしていましたが、今作は中国。
舞台のみならず、主人公は怪しげな道士の弟子だったり、同行する憧れの「ねえちゃん」が今は僵屍(キョンシーと書くとちょっとなつかしい)であったり。
「モノ」とちょっと関わるだけで通りすがる、日本の怪談の趣だった前作に比べ、少しだけ「西遊記」や「封神演義」的な伝奇よりになっています。(少し、ですが)
物語としてもなかなか盛り上がりそうな雰囲気です。
主人公の望みは「ねえちゃん」を生き返らせることただ一つですが、師匠には、何やら仙界を統べる太上老君に隠れて目的があるようですし、その背後には冥界の動きがあるようでもあり……と、この先どうにも波乱の気配。
……個人的には、冥吏(冥界の役人)が現れて
「君の訴状は届いていますよ」
という台詞に
「おおおおお」
と思いました。
前作三巻の「ダイマナコ」(年末、一つ目の、神様の手下がやってくる話です)を思い出します。
仙界や冥界にも帝がいて、その下に官僚制があって、地上世界を管轄している…という中国神話の世界が、現代の人間世界の風習と地続きにつながっている、という感覚がとても良かったです。
続刊を読まずにべた褒めするのもどうかと思いましたが、ともあれ続きを読んでみようと思います。
2013年3月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
雑誌掲載時に読んでいたのですが。まとめて読みたくなったので購入。この作者の作品では一番面白いかも。
2014年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中国の伝奇をベースにしたストーリーを軸にホラー、ミステリー、アクション、下品過ぎないお色気要素などを交え一話、一話小気味良く進んでいきます。ネタバレになりますが全4巻で終わってしまったのが非常に惜しまれます。熊倉先生ファンとしては揃えて損の無い作品です。
2011年4月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中国っぽい場所が舞台です。
欧米映画で描かれる『アジア』よりも中国っぽい感じがして、馴染みやすいです。
そんな場所で繰り広げられる、不思議な道士とキョンシーの姐ちゃんと、モノ書きの青年のお話です。
さて、キョンシーというと、どうも、B級ホラー映画でおなじみのアレを思い出してしまいますが、操る人間の力量次第で、これほどまでに変わるものかという、今までの先入観を壊しながら、この物語の世界に読者を惹きこむ話の運びは、分かりやすい上に、効果的だな、と感心させられます。
また、登場する人物の『目』が、セリフ以上に状況や心情を語っており、ちょっとした瞬間に描かれている表情1つすら、見逃せません。
特に、一言もしゃべらない姐ちゃんの表情は秀逸で、おそらくは人間並みの明確な意識は持ち合わせていない筈なのに、その目が言葉以上の何かを語っており、彼女の『素性』を考えると、鳥肌すら立つ思いです。
第1巻目は、とりあえず買ってみて、続きを買うかどうか考える大切な1冊ですが、これは、第2巻目の発売が待ち遠しくなる部類の1冊です。
欧米映画で描かれる『アジア』よりも中国っぽい感じがして、馴染みやすいです。
そんな場所で繰り広げられる、不思議な道士とキョンシーの姐ちゃんと、モノ書きの青年のお話です。
さて、キョンシーというと、どうも、B級ホラー映画でおなじみのアレを思い出してしまいますが、操る人間の力量次第で、これほどまでに変わるものかという、今までの先入観を壊しながら、この物語の世界に読者を惹きこむ話の運びは、分かりやすい上に、効果的だな、と感心させられます。
また、登場する人物の『目』が、セリフ以上に状況や心情を語っており、ちょっとした瞬間に描かれている表情1つすら、見逃せません。
特に、一言もしゃべらない姐ちゃんの表情は秀逸で、おそらくは人間並みの明確な意識は持ち合わせていない筈なのに、その目が言葉以上の何かを語っており、彼女の『素性』を考えると、鳥肌すら立つ思いです。
第1巻目は、とりあえず買ってみて、続きを買うかどうか考える大切な1冊ですが、これは、第2巻目の発売が待ち遠しくなる部類の1冊です。
2011年6月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前作「もっけ」とは 全然変わってしまっていますが、物語にも期待できる内容だと思います。
表紙カバーの折返しに 作者の熊倉隆敏さんも書いているように「毛色が変わった」作品です。
妖しいモノを扱っていることは「結局同じこと」のようですが、それでもアクションです。
「もっけ」が「静」の物語なのに対して 「ネクログ」は確実に「動」・アクションです。
まだ1巻なので、旅の目的とか いろいろ謎がありますが、そこを含めて期待できる内容だと思います。
表紙カバーの折返しに 作者の熊倉隆敏さんも書いているように「毛色が変わった」作品です。
妖しいモノを扱っていることは「結局同じこと」のようですが、それでもアクションです。
「もっけ」が「静」の物語なのに対して 「ネクログ」は確実に「動」・アクションです。
まだ1巻なので、旅の目的とか いろいろ謎がありますが、そこを含めて期待できる内容だと思います。
2011年10月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前作「もっけ」が面白かったし、妖怪モノ、中国モノ好きだから購入。近代の話とのことだが、どうも年代不祥な世界観は、「牧歌的なサザンアイズ」という趣。「もっけ」に足りなかった男臭さ、アクション・バトル要素を足した内容は文句なしに面白い。ただ、この話、今後、どんどんシリアスになってくるだろうなと思えるのは、人を生き返らせることの禁忌と、生者も死者もどう向き合うかというテーマが重いから。だって、死んだお姉さんの魂が、キョンシーとなって人殺しに従事されたり、玩具のように扱われたり、あまつさえ、死体を食わされたりした自分の体に戻ってきたいと思うかな?おとなしく眠らせてくれ、生き返らせたいのは、生者のエゴじゃないかって考えないかな?そのあたりの展開が今後描かれるなら、相当深いテーマの名作になるかも。
2011年3月27日に日本でレビュー済み
前作「もっけ」で独特な「日本の妖怪観」をしっかりした視点で構築してくれた、熊倉隆敏の最新刊。
今回は日本を飛び出して、お隣中国での「怪異」をがっつり描きます。
中国のお化けといえばキョンシー。一昔前にも日本でブームを巻き起こした有名妖怪が、新たな視点で騒動を巻き起こす。
主人公の青年・宋は、憧れていた女性、薛の魂を蘇らせるため、怪しげな導師・胡の元に弟子入り。
しかし、弟子入りとは名ばかりで、キョンシーとして操られる薛を守るために雑用や肉体労働をさせられる始末。
殴られ、術でいじり回され、死体の盗掘を手伝わされ……
訳の分からない中国「仙術」「妖術」に振り回される中で、少しずつ「怪しげなもの」の姿を浮き彫りにさせる作劇は、
前作「もっけ」でも用いられた「えもいわれるもの」を描く1つの手法。
作者の丁寧な作画のおかげで、近代中国の怪しげな雰囲気もすっきりと読むことが出来るし、
今回からちょっと増えたセクシーな描写もなかなか素敵です。
まだまだ始まったばかりの1巻ということで思わせぶりな描写も多く、やきもきさせられる部分はありますが、
胡導師のふてぶてしいキャラクターも憎めないし、今後広がっていく物語を想像するだけで、
このちょっと奇妙なチャイナ・ホラーも楽しいものとなりそう。早く続きが読みたい作品ですね。
今回は日本を飛び出して、お隣中国での「怪異」をがっつり描きます。
中国のお化けといえばキョンシー。一昔前にも日本でブームを巻き起こした有名妖怪が、新たな視点で騒動を巻き起こす。
主人公の青年・宋は、憧れていた女性、薛の魂を蘇らせるため、怪しげな導師・胡の元に弟子入り。
しかし、弟子入りとは名ばかりで、キョンシーとして操られる薛を守るために雑用や肉体労働をさせられる始末。
殴られ、術でいじり回され、死体の盗掘を手伝わされ……
訳の分からない中国「仙術」「妖術」に振り回される中で、少しずつ「怪しげなもの」の姿を浮き彫りにさせる作劇は、
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作者の丁寧な作画のおかげで、近代中国の怪しげな雰囲気もすっきりと読むことが出来るし、
今回からちょっと増えたセクシーな描写もなかなか素敵です。
まだまだ始まったばかりの1巻ということで思わせぶりな描写も多く、やきもきさせられる部分はありますが、
胡導師のふてぶてしいキャラクターも憎めないし、今後広がっていく物語を想像するだけで、
このちょっと奇妙なチャイナ・ホラーも楽しいものとなりそう。早く続きが読みたい作品ですね。