前回の警部の話が過去最悪レベルで酷すぎて正直17巻以降が不安なくらいだったのですが、
打って変わって「流石Q.E.D.!」と絶賛できる一冊でした。
前半はアイデア100点、トリックは50点。
なるほど、まさか推理モノでそんな舞台設定をやるのか!
そういうトリックを絡めてくるのか!というインパクトが完璧。
ただ、あの舞台・システムで容疑者らはどれくらい自由に動けるのか、
現実の方で何か特別なアクションが起きたらこっちにはどういう影響が起きるのか(そもそも起こせるのか)
等々、読者視点で想像できる部分が狭すぎて、予想外の展開というよりかは予想不可能な展開です。
今回燈馬くんや水原さんがログアウトしたときは直接姿が消えていたので、
特に「ゲームから離れる=姿そのものが消えている」という発想に繋がりやすく
「動かない=ゲームから離れている」という発想には非常につながりにくいと思います。
確かに本シリーズは「思い込みを崩して更に一歩思考を進めること」に焦点を強く与えてくれる作品ですが
そもそも推理するには最低限の土台が必要なわけで
新しい事件・舞台のアイデアを次々に生み出して特殊な推理条件のシナリオが多いこのシリーズは仕方ないといえば仕方ないのですが、
もうちょっと舞台設定の地盤を盛ってもいいかなと思えました。
後半は謎解きというよりは完全に哲学講義のようなお話でした。
起承転結の美しさもさることながら、トロッコ問題という各方面にいい加減に取り上げられすぎて
安っぽいフリー素材に見えていた案件をここまで掘り下げてくれたことに感謝。
特に途中の燈馬くんの問題ラッシュは必見。
「1人を死なせるか5人を死なせるかほらほらどっちよ~?」の一点だけ考えることが如何に愚かしいかよく再認識できました。
登場人物はレバーの人以外にもいるよね?どっちを死なせるか決めたら以降も同じ判断しなきゃいけないわけじゃないよね?と、
人の犠牲が分岐する事柄の見方を多方面から一気に切り込んでいくのは流石本漫画の主人公。
知性・教養共に規格外で、フィクション作品一頭のいい登場人物だと思っております。
謎解きの方を見ると正直怪しい点(運が悪かったら見つかりそうな隠し場所・弁護士が違和感に気付いたら即アウトなビデオetc)もありますが、
今回はそこまで謎解きの方にウェイトがおかれていないエピソードということで、すんなり読み切ってカタルシスを享受できました。
この問題に関する講義を楽しく受けていたかのように感じられる名エピソードだったと思います。
前半・後半共に題材の取り扱い方が非常に上手く、Q.E.D.らしくドラマを通して見識を広げられる良い巻でした。
これからもこういったエピソードがいっぱい読めるといいですね。
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Q.E.D.証明終了(17) (月刊マガジンコミックス) コミック – 2004/2/17
加藤 元浩
(著)
MIT帰りの天才少年・燈馬×元気全開の女子高生・可奈。事件と謎が二人を待つ!! 新感覚ミステリー・コミック!!
- 本の長さ221ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2004/2/17
- ISBN-10406333922X
- ISBN-13978-4063339222
商品の説明
著者について
1997年から「マガジンGREAT」にて『Q.E.D.ー証明終了ー』を連載開始。『Q.E.D.ー証明終了ー』の連載と並行するかたちで、2005年から「月刊少年マガジン」にて『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』の連載が始まり、現在に至る。その他、代表作に『ロケットマン』などがある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2004/2/17)
- 発売日 : 2004/2/17
- 言語 : 日本語
- コミック : 221ページ
- ISBN-10 : 406333922X
- ISBN-13 : 978-4063339222
- Amazon 売れ筋ランキング: - 487,016位コミック
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2013年3月16日に日本でレビュー済み
相変わらず出来がいいです。
最後まで読んでみるとまさにこれしか解答が無かったと思えるほど綺麗にまとまっていますが読んでいる途中にオチが読めてしまうことはほとんどありません。
よくこのクオリティを維持できるものだと敬服します。
最後まで読んでみるとまさにこれしか解答が無かったと思えるほど綺麗にまとまっていますが読んでいる途中にオチが読めてしまうことはほとんどありません。
よくこのクオリティを維持できるものだと敬服します。
2022年2月15日に日本でレビュー済み
燈馬くんまで「減刑嘆願書を」とほだされて、可哀相な犯人と美化されて終わりましたが、動機(これもいまひとつよくわからなかったが)と無関係な柳沢殺害が忘れ去られてるのがおかしいです。
彼を殺害した理由は、「捜査を撹乱するためこのトリックを使いたい→誰か殺さなきゃいけない→私の大事な人のファンを名乗るこのオタク気持ち悪い→良いのが見つかった」程度のものでしょう。
読者的に好感が持てる人物ではないでしょうが、殺される謂われは全く存在しませんし、そういう時に発生しがちな雑処理の典型的なパターンでした。
彼を殺害した理由は、「捜査を撹乱するためこのトリックを使いたい→誰か殺さなきゃいけない→私の大事な人のファンを名乗るこのオタク気持ち悪い→良いのが見つかった」程度のものでしょう。
読者的に好感が持てる人物ではないでしょうが、殺される謂われは全く存在しませんし、そういう時に発生しがちな雑処理の典型的なパターンでした。