めったに「表紙買い」などしないのですが、たまたま本屋で平積みされていたこの本の表紙が心に残ってしまい、内容や絵柄、原作者や作画担当者のこと等、一切知らないまま購入。何故これほど心が惹かれたのか判らないまままず一読してみたのですが、思いもよらぬツボを突かれたような、新鮮な驚きを与えてくれた作品でした。
舞台は18世紀のフランス、ルイ15世直属の秘密機関に属する主人公と、女性の生き血をもって詩作をする異形の化け物たちとの戦いを描いたゴシックホラーといった内容でしょうか。私はフランス語もフランス史も全くの門外漢であるし、「韻文」も興味の外なので、読み始めた直後は「コリャ駄目だ」と思ったのですが、妙に絵柄と波長が合ってしまった上、わけのわからない言葉や詩は多いものの、ストーリーそのものは決して原作者の独り善がりにはなっていない、非常にしっかりとした上にわかりやすいプロットで構築されているので、途中からは物語に入り込んで楽しむことができました。また、巻末には当時のフランスの状況や、原作者による解説も掲載されていて、世界観に対する理解の助けにもなりました。
絵的にはグロな描写も多いので万人にウケるとは思えませんが、力強い線で描かれたアクションシーンや大ゴマには迫力があるし、構図もピタっときまっているシーン多いので、「バトル物」として十分に楽しめる要素を持っている作品です。
主人公はなんと実在の人物、非常に数奇な人生を送った方のようですが、そんな主人公の軌跡も作品にうまく取り入れているようです。この先の展開に非常に興味が湧きます。
表紙が少しでも心の琴線に触れた方で「ホラーOK」もしくは「バトルもの好き」な方なら、読む価値は充分にある作品だと思います。
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シュヴァリエ(1) (マガジンZKC) コミック – 2005/10/21
冲方の舌(かたり)と夢路の筆(ペン)が筆舌に尽くせぬ魔を魅せる!! 時は革命前夜の巴里(パリ)。敵は詩人、虚々実々の新・神秘的韻文詩集!!!
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2005/10/21
- ISBN-104063492249
- ISBN-13978-4063492248
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商品の説明
著者について
冲方丁
『マルドゥック・スクランブル』『シュヴァリエ』『蒼穹のファフナー』『ヒロイックエイジ』『カルドセプト』…全メディアの枠を軽々と越え、創作の場を拡大
する「文芸革命児」!!! この『オイレンシュピーゲル』もまた、冲方だから実現できた「同時多発ストーリー」という企みが生んだ、最高の果実である。
『マルドゥック・スクランブル』『シュヴァリエ』『蒼穹のファフナー』『ヒロイックエイジ』『カルドセプト』…全メディアの枠を軽々と越え、創作の場を拡大
する「文芸革命児」!!! この『オイレンシュピーゲル』もまた、冲方だから実現できた「同時多発ストーリー」という企みが生んだ、最高の果実である。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2005/10/21)
- 発売日 : 2005/10/21
- 言語 : 日本語
- コミック : 192ページ
- ISBN-10 : 4063492249
- ISBN-13 : 978-4063492248
- Amazon 売れ筋ランキング: - 457,707位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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1977年岐阜県生まれ。早稲田大学在学中の1996年に『黒い季節』で第1回スニーカー大賞金賞を受賞してデビュー。2003年、第24回日本SF大賞 を受賞した『マルドゥック・スクランブル』などの作品を経て、2009年、天文暦学者・渋川春海の生涯を描いた初の時代小説『天地明察』で第31回吉川英 治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞し、第143回直木賞の候補となる(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『マルドゥック・スクランブル』(ISBN-10:4152091533)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2005年11月9日に日本でレビュー済み
原作者冲方丁お得意の世界観なのだが、何か息切れを感じる。
王道少年漫画的なストーリーに複雑怪奇な人間模様を描くのがお得意な原作者であるが、
今回は「割と普通にあるマンガ」の印象。
ピリリとしまる独自性が感じられない。
主人公や仲間、対する敵キャラクターも「ピルグリム・イエーガー」で出てきても
おかしくないキャラ、ともいえるが、作画担当の力量の差もあり、ピルグリム~で
使われなかったボツキャラ(二軍キャラ)の羅列のようにも思える。
バイオレンスっぽいものをさっぱり軽口で楽しみたい人向けでは。
王道少年漫画的なストーリーに複雑怪奇な人間模様を描くのがお得意な原作者であるが、
今回は「割と普通にあるマンガ」の印象。
ピリリとしまる独自性が感じられない。
主人公や仲間、対する敵キャラクターも「ピルグリム・イエーガー」で出てきても
おかしくないキャラ、ともいえるが、作画担当の力量の差もあり、ピルグリム~で
使われなかったボツキャラ(二軍キャラ)の羅列のようにも思える。
バイオレンスっぽいものをさっぱり軽口で楽しみたい人向けでは。
2005年11月4日に日本でレビュー済み
18世紀パリ、女性の血により革命の死を綴る異形の”詩人”たち、
それに対抗する王とその秘密機関員、シュヴァリエの戦いのはなし。
普段はのらりくらり、しかし実は王直属秘密機関員の主人公、
その従者の可愛く賢い少年、
ゴシック服をひらめかせ、フェンシングで悪を斬るヒロインと、
いかにも漫画ちっくなキャラクタメイキング、
しかし主人公とヒロインの間には驚くべき関係があり、
かつその発想の元になったのが実在の人物なんですから俄然興味が湧きます。
奇想天外な敵役の設定、劇や詩めいた台詞回しなど、なかなか独特の雰囲気があって面白いです。
美麗かつおどろおどろしく謎に満ちたものが好きなひとにはおすすめ。
しかし、気になる一点が。
作画の問題。
ヒロインや顔のアップ、決めポーズは抜群に上手いのですが、
群集やデッサン、背景などがこのタイプの絵にしてはずさん過ぎる。
全て表紙なみのクオリティと思ってはいけません。
コマ割や話の流れもたどたどしく、正直原作を生かしきれているのか疑問が残ります。
連載は初めての著者らしく、
巻を重ねれば整っていくかな?と期待は込めて。
それに対抗する王とその秘密機関員、シュヴァリエの戦いのはなし。
普段はのらりくらり、しかし実は王直属秘密機関員の主人公、
その従者の可愛く賢い少年、
ゴシック服をひらめかせ、フェンシングで悪を斬るヒロインと、
いかにも漫画ちっくなキャラクタメイキング、
しかし主人公とヒロインの間には驚くべき関係があり、
かつその発想の元になったのが実在の人物なんですから俄然興味が湧きます。
奇想天外な敵役の設定、劇や詩めいた台詞回しなど、なかなか独特の雰囲気があって面白いです。
美麗かつおどろおどろしく謎に満ちたものが好きなひとにはおすすめ。
しかし、気になる一点が。
作画の問題。
ヒロインや顔のアップ、決めポーズは抜群に上手いのですが、
群集やデッサン、背景などがこのタイプの絵にしてはずさん過ぎる。
全て表紙なみのクオリティと思ってはいけません。
コマ割や話の流れもたどたどしく、正直原作を生かしきれているのか疑問が残ります。
連載は初めての著者らしく、
巻を重ねれば整っていくかな?と期待は込めて。
2005年11月20日に日本でレビュー済み
作画担当の夢路先生はイラストレーターであって、漫画家ではありません。
その為、一般的な漫画に求められる描き込みには慣れておられない模様。
私は夢路先生のファンなので文句はありませんでした。
が、一般ウケするかどうかまでは知りません。
その為、一般的な漫画に求められる描き込みには慣れておられない模様。
私は夢路先生のファンなので文句はありませんでした。
が、一般ウケするかどうかまでは知りません。