上北ふたご先生は初代無印より（2011年現在の）スイートプリキュア♪に至るまでの全プリキュアシリーズのコミカライズを手がけてきています。元アニメーターと言う経歴に裏打ちされた確かな画力、そして作品ごとに変わる絵柄に高いレベルで対応できる柔軟性とコアなファンの間では非常に高い評価を得てきました。
さて、そこへ来てシリーズ第三作、今回のsplash☆starです。
およそ文句の持って行きようがありません。
毎年代替わりするTVシリーズのコミカライズである宿命で、一年限りの連載、しかも毎回限られたページ数であるはずです。にも関わらず、画力・画面構成・シナリオが非常に高い次元で融合しています。ストーリーや描写に関しても咲と舞の結びつきを中心に丹念に描き出し、特に薫と満登場後のヒマワリを巡る話の構成の巧みさには舌を巻きます。しかも、単行本あとがきやおまけページからも見て取れるように、作者の作品に対する愛情が強く伝わってきます。そして、これこそがもしかしたらコミカライズの本来あるべき姿なのかもしれません。
しかし、非常に、実に非常に惜しむらくは、雑誌掲載分では単行本二巻分の原稿が存在するはずなのに、一巻しか刊行されていないと言う事実です。と言う事はストーリーが途中で終わってしまっていると言う事で、実際に、薫と満が咲と舞をかばってアクダイカーンの手で消滅させられる所で終了しています。このままで終わらせてしまうのは後味が悪いのはもちろん、ファン（それこそ小さなお友達から大きなお友達まで）に対する、何より作品の完成度をここまで高め上げた上北先生に対する裏切りに等しいと言えるかもしれません（若干言いすぎかもしれませんが…）。
出版社たる講談社にはその点で最大級の努力を切に期待したいです。
続刊の出版は今からでも遅くはありません。だって、未だに多くのファンが待ち望んでいるのですから。
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